イギリスの汚染タマゴ問題に見るブロックチェーンの可能性

2017年8月31日 BBC編集部 0

  2017年8月、ヨーロッパで流通している食用卵が、人体に健康被害を及ぼすanti-lice agent(抗寄生虫剤)に汚染されていたことが判明し、大きな問題になっています。イギリスの食品基準庁の発表によると、薬剤は主にオランダやベルギーで使用されており、イギリス国内において確認されている範囲で21,000個の汚染された卵が流通していたとのことですが、被害の全容は未だつかみ切れていない様子です。 2017年3月にはブラジルで発がん性物質が含まれる鶏肉が出荷されていた食肉不正問題が話題になるなど、食品による健康被害問題が世界中で後を絶ちません。しかしこのような問題は、ブロックチェーンの導入によってその解決に期待できるかもしれません。 食のサプライチェーンを次のレベルへ 食品業界のサプライチェーンは大きく複雑です。生産者から数多くのプレイヤーを中継することで、最終的に消費者の元に食品が届けられます。しかし、その過程の取引が電子化されていなかったり、取引記録が各事業者のドメイン内で管理されていることもあり、サプライチェーンを俯瞰して食品の流通経路を完璧に、迅速に辿ることは難しくなっています。。今回の汚染卵の事件でも、スーパーマーケットがこの問題に直面し、問題の原因特定まで数日に渡る時間がかかっている模様です。しかしこの複雑なサプライチェーンも、ブロックチェーンを活用することによって迅速に問題の原因を特定できるようになると考えられています。ブロックチェーンを用いることの長期的なメリットは以下の5つがあると考えられます。 1. 食品の信頼性の向上→ブランド価値向上 / 食品偽装の減少 2. 被害拡大防止がしやすくなる 3. 配送品質の向上 4. サプライチェーンにおけるコスト削減→利益率向上 5. 環境問題解決への貢献 ブロックチェーンは複雑なアルゴリズムによって守られており、取引記録が改ざんされる恐れが非常に低いです。また、分散型台帳を辿れるようになることで流通経路の透明化され、製品の出所を正確に把握することができるため、食品偽装の減少にも期待することができます。これは長期的にはブランド価値を高めることにつながり企業にとって大きなメリットとなります。 万が一食品の汚染が発覚した際も、分散型台帳で流通経路を辿ることで、考えられる汚染の原因を短時間で特定できます。それだけではなく、その食品がどのエリアに流通したのか瞬時に把握できるため、被害の拡大防止策を今まで以上に早く実施することができます。 さらに、ハードウェア面でもブロックチェーンの恩恵を受けられるかもしれません。ブロックチェーンとIoTを組み合わせることによって、鮮度管理が徹底した配送を実現することができるようになるでしょう。例えば、ケニアの養鶏場からイギリスに届けられる卵は、その運搬過程で最低4℃から最高10℃までと、冷蔵温度に大きな幅がありますが、ブロックチェーンとIoTと結びつけることによって、このような状態が可視化され、今後配送品質が向上する可能性があります。 また、支払いに暗号通貨(仮想通貨)を用いる場合、銀行などの第三者機関に手数料を支払う必要がなくなります。サプライチェーン上の各事業者が銀行を介さずに暗号通貨で直接取引するようになれば、業界全体で大幅なコスト削減につながるでしょう。各事業者は削減されたコストの分、利益率を上げることができます。 そして最後に、ブロックチェーンの導入が、今後環境問題の解決にも貢献する可能性があります。保全生態学者のGuillaume Chapron氏はこれまでの自然資源の過剰消費や環境汚染は、説明責任のないビジネスを行う者によって引き起こされたと述べています。しかしブロックチェーンにより、企業の製品製造過程で環境に与えた負荷が明確になることで、環境への配慮を促進され、環境汚染が改善される可能性がある、とChapron氏は主張しています。 IBMの大規模コラボレーション  食品サプライチェーンにブロックチェーンを導入する動きは既にでてきています。実際に2017年8月23日、IBMはDole、Driscoll’s、Golden State Foods、Kroger、McCormick and Company、McLane […]

石油産業の構造にブロックチェーンが与えるインパクト

2017年8月30日 BBC編集部 0

  石油産業は、これまでDWC技術(Dividing Wall Column)やペトロリオミクス技術といったような、先進的なテクノロジーを他の業界に先駆けて積極的に取り入れてきました。しかしその一方で、今世紀で最も重要な技術のひとつといわれるブロックチェーンの導入に関しては遅れをとっていると言われています。今回の記事では、ブロックチェーンの導入が、石油産業の構造にどのようなインパクトを与えるかについて注目していきたいと思います。   石油業界の現状と課題 石油に対する世界的な需要は全体的には増加の見込みがある一方で、需要増加分以上に精油所の新設や増設が進み、供給過剰となってしまう可能性もあります。また、需要の増減については地域によって違いがあります。例えば、日本では少子高齢化や自動車の燃費向上によって需要が減少していますが、欧州では域内の製油所の整理が進み、中東などの域外からの輸入需要が増加する動きがあります。アジアでは新興国を中心に需要の伸びが期待されており、豪州では国内需要の伸びに応じて、輸入が増加する見込みです。また環境問題への対策として石油使用の規制が進められ、バイオ燃料への取り組みがさらに強まることも考えられます。 一方、石油の供給面でも構造的に懸念点があります。近年、石油の主要な産出地域である中東地域で政治的不安が広がっています。それを受けて、中東国家の反体制派であるテロ組織などに活動資金が渡らないように、石油の産出元の健全性が求められています。しかし、イスラム国とトルコ国境に不審な石油運送ルートの存在が衛星画像で指摘されるなど、石油への信頼性が大きく揺らぎました。   このように、石油や石油化学産業のサプライチェーンは⑴採掘から精製地、⑵精製地から最終消費者に届けるまでに数多くのプレイヤーを経由するため、非常に大きく複雑な流れになっています。現在の石油業界では、企業間や部署間での取引効率化やセキュリティ向上のため、業界内での合併や戦略的提携の拡大が進められてきました。しかし、これらの課題を低コストで解決できるポテンシャルをもつ、ブロックチェーン技術の活用に業界内で注目が集まっています。 金融や政治の分野で活用されるブロックチェーン 分散型台帳技術とも呼ばれるブロックチェーンは、取引記録の改竄が困難、悪意ある攻撃を受けにくい、容易に取引記録にアクセスでき透明性が高い、などの特徴をもっています。 financeとtechnologyを掛け合わせたフィンテックが進む金融業界では、与信審査やあらゆる業務の効率性を高めるべく、スマートコントラクトや分散型台帳を導入することによってエラー率の減少、取引の高速化、透明性向上に取り組んでいます。ブロックチェーンは他にも、社債取引、送金、詐欺対策、各種の売買取引に活用されており、これらは石油産業においても同様に活用できることが期待されています。世界最大級の産油国であるアラブ首長国連邦(UAE)では、既に行政レベルでブロックチェーンの導入が進んでいます。UAEは“Dubai Blockchain Strategy”を掲げ、2020年までにUAEの全ての政府機関でのブロックチェーン活用を目指しており、今後石油の分野にも進出していくことが期待されます。   石油業界でのブロックチェーン活用の今後の動向 現在の石油産業では、石油生産、精製、運送において、生産者や、供給者、建築業者、下請業者、精製工、小売業者といった幅広い人が関わっています。ここにブロックチェーンを導入することによって分散型台帳を参照することで、各箇所で行われていた膨大な事務処理を大幅に削減することができます。また、ブロックチェーン上で取引が容易に追跡可能になるので、石油取引に透明性を確保することができます。石油産業やガス産業において、取引の透明性向上は、規制管理の面でも非常に重要です。行政機関などの規制を行う主体は、ブロックチェーンの導入によって、取引の規制がきちんと実行できているか管理しやすくなるでしょう。取引コストの削減や、石油のルーツの健全性、取引価格の透明性が求められる石油産業界において、ブロックチェーン導入は1つの大きなキーとなりそうです。   [参考] http://www.ide.go.jp/library/Japanese/Publish/Download/Report/pdf/2007_04_16_05.pdf PwCあらた監査法人、『Industry snapshot: Oil and […]

ベトナム政府、暗号通貨の合法化へ

2017年8月29日 BBC編集部 0

2017年8月25日、ベトナムの公式通信機関であるVNA(Vietnam News Agency)は、ベトナムのグエン・スアン・フック首相が、bitcoin(ビットコイン)やEthereum(イーサリアム)をはじめとする暗号通貨(仮想通貨)の取り扱いを定める法整備計画を承認したことを発表しました。これに伴い、近くベトナム国内で暗号通貨が合法化されることが期待されています。 グエン・スアン・フック首相は、法務省主導で現状の法制度の見直しを進めるように要請しており、ベトナム国家銀行と4つの関係省庁(情報通信省、公安省、工商省、財務省)と連携して改正案を策定していくそうです。 発表された今後の方針によると、2018年末をめどに通貨に関する法的規範文書を準備する計画のようです。それに先立ち、現行法の見直しは2018年8月までに完了する見通しです。2019年6月には暗号通貨に関する税制関連法の申請が完了し、同年9月には犯罪予防策や新法令の違反に関する規定が整備された状態を目指しているそうです。 IT産業への外国資本誘致を進めるベトナム また今回の法整備には、2015年に策定された民法上の財産権の適用対象を見直す計画も盛り込まれているようです。これにより、ベトナム内外の暗号通貨保有者や投資家の財産権や利益が、今後より一層保護されていくものと期待されます。 ベトナムでは国を挙げてIT人材の育成を行っており、近年多くの日本企業において、オフショア開発の拠点として注目を集めています。既にfintech(フィンテック)関連で、オンライン決済関連のサービス開発が積極的に行われているベトナムですが、今回の暗号通貨関連の法整備によって、ビットコインなどのメジャーな暗号通貨が合法化されると、今後その勢いはさらに増していくでしょう。   参考:http://en.vietnamplus.vn/government-considers-recognising-bitcoin-in-vietnam/116916.vnp

ブロックチェーンが次世代AIの開発を可能にする

2017年8月28日 BBC編集部 0

ウクライナの複雑系脳科学の専門家であるMaxim Orlovsky博士は、2017年5月20日にウクライナのキエフで行われたブロックチェーンカンファレンスにおいて、ブロックチェーンが最先端のAI(人工知能)開発のトレンドを切り開いている現状について発表しました。 現在、最先端をいくテクノロジー企業の間では、ブロックチェーンとAI開発のふたつの技術がかけ合わさり、ブレイクスルーが起きる可能性に注目が集まっているそうです。実際に、IBMではAI開発に携わっているコグニティブ・コンピューティングの部門と、IoT実現に向けたブロックチェーンを開発しているIoT部門を統合されることが発表されています。 カンファレンス中、Orlovsky博士はAI開発の今後の展望についての見解を示しました。 現在私たちが日常的に用いている、SiriやパーソナルアシスタントにみられるようなAIは、1950~60年代頃のニューラルネットワーク理論を元に組み立てられています。これらのAIは、近年コンピュータの小型化と計算能力の向上が進んだことと、通信技術が発達したことにより、日常的に持ち運ぶデバイス上で使うことができるようになりました。 「シングルエージェント」から「マルチエージェント」へ Siriのような、私たちが今日日常的に利用することができるAIシステムの多くは、「シングルエージェント」と呼ばれるカテゴリーに分類されます。一方で、現在「マルチエージェント」と呼ばれるAI研究の分野が注目を集めています。エージェントとは、知覚された情報に対して何らかのアウトプットをする存在のことで、人間も一種のエージェントと考えることができます。ここでは、人間に代わって複雑な作業をこなす存在のことをエージェントと呼びます。 「シングルエージェント」とはすなわち、1人のエージェントが問題解決にあたっている状況を指します。シングルエージェントでは、単体で処理しきれる情報量に限界があるため、多大な情報量を扱う複雑な問題の解決を苦手としています。そこで、複数のエージェントを用いることで、より複雑な問題に取り組むことができる「マルチエージェント」システムに期待が集まっています。 マルチエージェントシステムで複雑な問題の効率的な解決方法を模索する場合、各エージェントが全体からみたときに最も適切な合意形成を行い、効率的なアウトプットを目指す必要があります。しかし、通常の場合、エージェントはアウトプットに応じて得られる報酬を最大化するという行動原理に従って活動するため、エージェントが複数になったときに、シングルエージェント下では起きない問題が発生します。例えば、エージェント間に処理できるタスク量に性能差がある場合や、意思決定に競合する部分があって「利害の衝突」が発生している場合、同じインプットに対してそれぞれがバラバラの方向性のアウトプットを返してしまうため、全体としての効率性が落ちてしまいます。このように、マルチエージェントシステムでは、各エージェントによって部分的に最適な意思決定が行われるものの、それが全体的に見た場合に最適ではないことがあるため、効率的な意思決定が達成できない場合があります。 また、ハードウェア面でも課題があります。現状、1台のコンピュータのマシンパワーでは多数のエージェントを同時に処理できない場合があるため、複数のコンピュータに跨ってエージェントを配置することがあります。このとき、問題解決にあたるすべてのエージェントに同じデータを与えて、処理を試行するたびに同じように情報の解釈してもらう必要があるため、既存の人の手でコンピュータにデータを与える作業は管理コスト膨大になってしまうことがあります。 コンセンサスアルゴリズムがAI開発に貢献する可能性 このような問題に対して、ブロックチェーンの活用が期待されています。分散型台帳を用いることによって、各エージェント間で同じ情報を効率的に共有できるデータベースとして活用できるだけでなく、ブロックチェーンの根幹をなす「コンセンサスアルゴリズム」をマルチエージェントシステムに用いることで、エージェントとエージェントの間に「利害の衝突」が発生している場合でも、全体最適のとれた最も効率のよいアウトプットに期待することができます。 Orlovsky博士は、ムーアの法則を例にあげ、ニューラルネットワークモデルが実現して世界に広く普及するまで60年の時間を要したことから、今後マルチエージェントシステムが実用可能なレベルで世界に広く普及するまで、およそ30年ほどかかるのではないかとの見方を示しました。今後のAI開発を飛躍的に推し進める変数として、CPUの計算処理能力の向上(あるいは量子コンピュータの登場)、コーディング方法の進化、マルチエージェントによる意思決定モデルの洗練、インターネットの高速化、人間の脳や意識が生まれる仕組みへの理解の深まりなど、数々の要因が考えられます。ブロックチェーンの登場は、AI開発の歴史に一石を投じることになるかもしれません。今後のAI開発にブロックチェーンがどう関わってくるか、注目です。

次世代の「食の安全」を支えるのは、DNA解析技術とブロックチェーンである

2017年8月26日 BBC編集部 0

その食品は本当に安全なのか? 世の中には数多くの食品がありますが、「この輸入牛肉に大腸菌は付着していないか?」「このビーガン向けの大豆パティは、本当に100%植物由来のパティなのか?」「”遺伝子組み換えでない”との表示がついているが、本当に遺伝子組み換えをしていないのか?」といったように、食品の提供者が安全性をうたっていたとしても、疑いの目をもって検証しなければ、その食品が本当に安全なのかどうか、わかりようがありません。このように食の安全性に疑いがある状況では、文字通り分子レベルの生物学的な検査を経て、本当に安全なのか確かめる必要があります。 DNAのデータが「食の安全」を守る 食品業界では、企業の提供する「食の安全」への信頼が一度でも損なわれてしまうと、ブランドイメージが大幅に下落してしまうため、このような問題を未然に防ぐことが何よりも重要です。近年に入り、食品のDNAシークエンシング(DNAを抽出して解析する作業)が容易になったことや、コンピュータ上で大量の情報を保管できるようになったことによって、「食の安全」の世界は新たな次元に突入しようとしています。 「食の安全」の最先端の現場では食品に含まれるDNAが解析され、その結果がデータベース化されています。このデータベースにより、どの食品にどのDNAが含まれているか(あるいはどの食品にはどのDNAが含まれていないか)が明確になりました。これによって、問題の発生からその原因の特定までが極めて容易になりました。例えば、ある患者が特有のDNAパターンをもつサルモネラ菌による中毒症状を訴えていた場合、そのサルモネラ菌がどの食品由来で体内に侵入したのか、直近の食事の履歴からあらゆる可能性を検証して、食材レベルで感染ルートをピンポイントで絞っていくことが可能になります。 食品に含まれるDNAの分析を行うスタートアップである、Clear Labsの共同創業者の一人であるMahni Ghorashi氏は、DNA解析について「(DNA解析のコストが低下したことにより)今まで解析してみようとすら考えなかった対象についても、私たちは積極的に解析にかけることができるようになった。」と述べています。またGhorashi氏は、FDA(アメリカ食品医薬品局)局長のEric Brown氏の言葉を引用し、近年のDNA解析技術の進歩について「まるで裏庭の望遠鏡から、ハッブル望遠鏡にアップグレードされたかのようだ。」と表現しました。 アメリカの国立ヒトゲノム研究所によると、2008年時点で1000万ドルだったヒトゲノムの解析費用は、現在わずか1000ドルまで低下しているとのことです。Ghorashi氏によると、Clear Labでは特定の1種類のDNA解析であれば、1サンプルあたりわずか10ドルでできるそうです。遺伝子組み換え食材混入の有無を確かめるスクリーニングテストでは、食品に含まれる全ての原材料のDNAを解析しなければならないため、数百ドルかかってしまうそうですが、それでも10、20年前と比較すると破格の値段で検査することができるようになりました。 DNAシークエンシングの課題 このようにDNAの解析にかかるコストは著しく低下しましたが、ひとつ大きな課題が残されています。それは食品のDNA解析に時間がかかってしまう、ということです。例えば、どのようなDNAが含まれているかが不明な食品では、分析に3~4日ほどかかってしまうそうです。新しい食材を導入する際には、安全性の検証が欠かせませんが、輸入食品のなかでも特に傷みやすい果物などは、輸入してからすぐに国内市場に出荷する必要があります。今後より高い精度で食の安全性を確保するためには、1日、あるいは数時間以内に食品に含まれるDNAの解析できるようにする必要があります。綿密な検査によって安全性が確保されているものの、遺伝子レベルの検査のスピードが大きく向上すれば、「食の安全」の分野にブレイクスルーが起きるでしょう。 ブロックチェーンで原因を見極める ここまでは食品が市場に流通する前の段階において、どのように危険な食品を見抜き、被害の拡大を防ぐか?という視点でDNA解析技術について紹介してきました。ここからは、食品が流通した後に危険性が判明した場合、どのようにして被害の拡大を防ぐか?という視点に移ります。 実は、この食品が市場に流通した後の危機管理の解決策として、ブロックチェーン技術が期待されています。食品のサプライチェーンにブロックチェーンを組み込むことができれば、その食品がどんなルートを辿って運ばれてきたのか、複数の事業者にまたがって、改ざんできない分散型台帳上に記録できるようになります。実際に、アメリカの大手スーパー「Walmart(ウォルマート)」では、既にブロックチェーンの導入実験が始まっています。現在は輸入マンゴーと豚肉の2品目のサプライチェーン上でテストが行われているようです。 更にWalmartは、自社倉庫からお客様の自宅までドローンで荷物を宅配する構想を発表しています。このドローンによる宅配が実現すると、サプライチェーンの大元である生産者から末端である消費者の元まで、どれぐらいの時間をかけて、どんな状態(速度・温度など)で輸送したのか、詳細な記録を残すことができるようになります。従来のWalmartでは、消費者からのクレームで食品の問題が発覚した場合、その食品が辿ってきたルートの特定まで1週間かかっていたそうですが、ブロックチェーンの導入後は、わずか2.2秒で特定が可能になったそうです。このように、早期に流通経路と流通先を特定できるようになると、トラブル発覚後に迅速な初期対応をとることができるようになります。   2016年のFDAの発表によると、アメリカでは年間4800万人(アメリカ人全体のうち、およそ6人に1人)が食中毒にかかる言われています。そのうち12万8000人は重症化して入院することになり、さらにそのうちの3000人が亡くなってしまうそうです。このように多くの人々を悩ませている食中毒ですが、症状が軽度な場合、わざわざ食品の購入先に訴えを起こす人は少ないため、ほとんどの人々が症状を我慢するか、治療費を自己負担するなど泣き寝入りしてしまうそうです。「食の安全」が損なわれることによって、多大なる経済損失が発生しているのみならず、人命までもが失われています。このような現状に対して、DNA解析技術やブロックチェーンのようなテクノロジーによる問題解決に期待が高まります。   参考:https://www.fda.gov/food/resourcesforyou/consumers/ucm103263.htm

カナダでイーサリアム対応のATMが稼働開始

2017年8月25日 BBC編集部 0

2017年8月14日、カナダのオンタリオ州を中心に展開している暗号通貨(仮想通貨)対応のATMサービス「LocalCoinATM(ローカルコインATM)」が、Ethereum(イーサリアム)の対応を開始しました。これによりユーザーは、より日常的にイーサリアムの売買や預金をできるようになりました。これまでローカルコインATMは、BItcoin(ビットコイン)とLitecoin(ライトコイン)にも対応していたため、今回のアップデートで3種類の暗号通貨の取引が可能になりました。 日本では、仮想通貨による決済は現状ではあまり普及していないため、街中で仮想通貨対応のATMを見かけることはありません。しかし欧米をはじめとする海外では、仮想通貨決済に対応したカフェや小売店などが広がりを見せており、ビットコインをはじめとする仮想通貨対応のATMが普及しつつあります。 暗号通貨対応のATMが人気の理由 2017年8月現在、暗号通貨の売買はオンライン上の暗号通貨取引所を利用することが主流となっています。多くの暗号通貨取引所は、その運営主体がおかれている国の法律に従う必要があるため、アンチマネーロンダチング(AML)や顧客管理措置(KYC)など、犯罪の防止や消費者保護のための規則に則った運営がされています。これらの措置は取引の透明性を担保し、安全な取引の実現には欠かせません。しかしその一方で、公的身分証明書による本人確認をしないかぎり取引の全機能を使うことができないなど、暗号通貨取引所はユーザー目線にたつと不便な側面も目立ちます。このような現状に対して、ローカルコインATMのようなサービスは、暗号通貨の保管場所となるアドレスさえ保有していれば自由に売買することができるので、少額の暗号通貨を購入してみたいと考えているライトユーザーにとって非常に魅力的な選択肢となるでしょう。 アジアでも広がりつつある暗号通貨対応ATM 今回はカナダの暗号通貨対応のATMのご紹介でしたが、取引所でAMLやKYCの措置がとられている香港や韓国でも、暗号通貨専用のATMが人気を博しているそうです。イーサリアムの流通量が増加し、イーサリアム対応のATMの需要はますます増加の一途を辿ると予想されます。 2017年8月25日の時点で、ローカルコインATMは7か所で稼働しており、今後さらに2か所に増設されるそうです。カナダ在住の方や、これから観光で行かれるという方は、ぜひチェックしてみてください。   現在稼働しているLocalCoinATMリスト: トロント– Hasty Market – 161 Church Street, Toronto エトビコ – Hasty Market 2240 Lake Shore Blvd […]

BBCミートアップ第7回イベントレポート

2017年8月25日 BBC編集部 0

2017年8月23日(水)にブロックチェーンビジネス研究会(BBC)ミートアップ第7回が開催されました。今回のテーマは「ブロックチェーン×レギュレーション ー RegTech分野への応用と最新の規制状況について」でした。本記事ではこのイベントの様子をご紹介いたします。 今回のイベントではブロックチェーン技術のRegTech分野への応用とICOにおける最新の規制状況について、3名の専門家よりご講演をいただきました。 初めに、アルタアップス株式会社代表の森川夢佑斗氏より、ブロックチェーンに関する時事ニュースとして、主にビットコインのスケーラビリティ問題の動向や、エストニアによる国家のICOについてお話を頂きました。さらにレギュレーション分野へのブロックチェーンの活用可能性についてのお話がありました。Reg Techは大幅なコスト削減、特にコンプライアンスコストの削減につながることから金融機関を中心に注目が集まっているとのことでした。今後は金融機関以外にも導入が検討されることが考えられ、ますます注目が集まりそうです。 次にQRC株式会社の王氏から中国におけるブロックチェーンとRegTechに関する最新情報を共有していただきました。中国では暗号通貨のような新しい投資手法については積極的に受け入れるカルチャーがあり、ICOも2017年の5月から7月にかけて非常に早いスピードで成長しているとのことでした。ただ、現段階では中国政府はICOをネガティブに捉えていて規制を強めている傾向だそうで、今後も動向を注視する必要がありそうです。 最後にAZX Professionals Groupの池田宣大弁護士からICOにおける法規制についてお話しして頂きました。ICOは現状では資金決済法や金融商品取引法が適用されるとのことでした。現在は法律の抜け穴があっても、時機に法令の改正や修正が行われ得ることを前提に行動することが求められるというお話しがありました。参加者の方から多くの質問が出るなど、法規制への関心の高さが伺えました。 講演終了後には、前回までのミートアップと同じく、軽食を用意して懇親会の場を設けました。登壇者の方にもご参加頂き、質疑応答や情報交換の場として非常に有意義な時間をお過ごしいただけたようです。 9月にも勉強会の開催を予定しております。皆様のご参加をお待ちしております。

Sonyが教育現場におけるブロックチェーンベースの情報管理システムの開発へ

2017年8月23日 BBC編集部 0

2017年8月、Sony(ソニー)はLinux FoundationのHyperledger Fabric 1.0を用いたIBMのブロックチェーン開発基盤の提供を受けて、教育現場における情報管理プラットフォームを開発することを発表しました。今回の発表に際して、Sony Global Education代表の磯津氏は、「ブロックチェーンは幅広い産業にインパクトを与えるポテンシャルを持っており、もちろん教育現場もその例外ではない。教育関連情報をブロックチェーン上で安全に管理し、特定の認可者にのみ、その情報にアクセスできるようにするといった形で活用できるだろう。」との見解を示しました。 教育現場だけにとどまらない、Sonyのプラットフォームのもつ可能性 Sonyの発表によると、この教育管理プラットフォームはSonyの子会社であるSony Global Educationにて開発されるそうです。Sonyの計画では、2018年中に完成する見通しを立てており、リリース後は初等教育と高等教育の両方の現場に向けて提供していくそうです。従来の学校業務では大きく分けて2種類のICTサービスが導入されていました。ひとつは生徒の所属、出席状況、教師の授業計画といったような教職員側が学校業務を行う上で用いる「校務系システム」で、もうひとつは個別の児童や生徒の学習状況などを管理する「学習系システム」です。今回Sonyが発表したプラットフォームでは、学校現場が今まで用いていた「校務系システム」と「学習系システム」のサービス提供元が異なっていた場合でも、それぞれがこれまで蓄積してきたデータの統合・連携ができることに加えて、ブロックチェーンのもつ特性を生かして安全で効率的な情報管理を行えるそうです。 さらに、蓄積されたデータに人工知能を活用して分析を加えることで、授業計画や学習コンテンツの改善を行う、といった使い方を想定しているようです。またSonyのニュースリリースによると、今回開発予定のプラットフォームは汎用性が高いため、教育現場の情報管理だけでなく、物流管理やIoT時代における機器情報の管理にも活用できる可能性が高いとのことです。   IT化が急速に進む教育現場 近年、教育現場ではICT(情報通信技術)の導入が進んでおり、紙媒体で成績などの情報管理をしていた時代から新たなステップへ移行しつつあります。また、スマートフォンやパソコンさえあれば誰でも好きなタイミングで学校に行かずにオンラインで教育を受けられるMOOCs(Massive Open Online Courses)のようなシステムも、技術革新によって実現しました。今日では、日本にいながらハーバード大学など海外大学のコースを受講するといったことも可能になりました。一方で、「学校」という物理的環境に縛られない教育の在り方が実現すると、進学や就職といった場面において「誰がいつどこで、どのような学習をしてきたのか?」という客観的な学習経験や、学習到達度の指標が必要となってくる場合があります。このような状況において、個人の学習履歴を追跡するシステムづくりに、ブロックチェーンが有効に活用できると考えられます。日本発のグローバル企業の提供するブロックチェーンのサービスに、今後も注目です。

エストニアが世界初となる国家主体のICO計画を発表

2017年8月23日 BBC編集部 0

2017年8月22日、「北欧のシリコンバレー」という名で知られるエストニア共和国が、「estcoin」を発行に向けたICOを行う計画が発表されました。計画はまだ提案段階にある模様で、アナウンスが記載されたページ(https://e-resident.gov.ee/estcoin)には、まだ多くの情報は記載されていませんが、国家が主体として行われる初めてのICOということで大きな注目が集まっています。   電子政府化が進むエストニア 今回発表されたエストニア政府が発行するestcoin(エストコイン)は、同政府が外国人に対して電子居住権を付与する「e-Residency」プログラムに関連した用途で用いられるようです。エストニア共和国は、1500以上の島々からなる地理的事情から、行政機能の電子化が国家レベルで進められている国として有名です。政府の展開する「e-Government」計画により、エストニアの国民一人ひとりがICチップ付きIDカードを所有しており、この1枚で身分証明から銀行や医療機関など公的機関の利用、さらには納税まで行えるそうです。「e-Residency」プログラムは、これらの公的サービスを海外に在住している外国人に提供する目的で開始されました。「e-Residency」に登録している外国人は、市民権や居住権は与えられないものの、エストニア政府による各種公的サービスを享受できる他、海外からでもエストニアに新しい会社を設立し、経営することが可能になります。 ブロックチェーン国家エストニアについては、こちら ブロックチェーンは国家を超越するか – Bitnationとエストニアから見る未来国家 ICOの特設ページには、スマートコントラクトを搭載した初の暗号通貨(仮想通貨)「Ethereum(イーサリアム)」の開発者として有名なVItalik Burerin氏によるコメントが掲載されています。Vitalik氏のコメントには、「今回のestcoinのICOによって、e-Residencyに登録している電子居住者たちの間で、様々な活動ができるようになる。そのため、電子居住者コミュニティの結束力がさらに高まっていくだろう。さらに、estcoinがブロックチェーン上で展開されているので、スマートコントラクトを用いて様々なサービスと連携し、より利便性が増すだろう」と述べられています。 estcoinの計画は今のところはまだ提案段階にあるようですが、今後実際にどのように展開されていくのか注目です。

VR×ブロックチェーン「Decentraland」プロジェクトとは?

2017年8月22日 BBC編集部 0

2017年8月17日、イーサリアムブロックチェーンベースのトークンを用いることで、VR(仮想現実)上に「土地」を買い、その土地で自由な活動を行える「Decentraland」というプロジェクトのICOが行われました。ICOの開始から僅か10秒間で2550万ドルを調達したことから、世界中から大きな注目を集めています。本レポートではこの「Decentraland」の特徴に迫りたいと思います。 Decentralandとは プレイヤーが自身の代わりとなるアバター(キャラクター)を操作して、オンライン空間上で他プレイヤーと交流を行うゲーム自体は以前から存在しており、完全なるファンタジーではなくより実世界に近いものとしては、2003年より稼働している「Second Life」などが有名です。従来のオンラインソーシャルコンテンツは、企業などの運営主体があったため、ユーザーは数々のルールの下でプレイせざるを得ませんでした。また、従来は中央となる運営主体が解散すると、たとえユーザーが存続を望んでいたとしても、オンラインソーシャルコンテンツが消滅することを避けることはできませんでした。   しかし今回紹介するDecentralandは、中央集権となる運営会社が存在していません。そのため、ユーザーが一人でも存在する限り、永続的にこの仮想世界が存続します。Decentralandのプレイヤーは、一切のルールを課されることがなく、自身の所有する仮想空間上の「土地」において、完全に自由なプレイができます。この「自由」には、テクスチャの読み込みや、3Dオブジェクトの生成、一定の入力に対して一定の出力を出す各種アクションの設定、効果音や背景音楽の設定、物理法則の設定、支払いフローの設定など、幅広い項目があります。もしプレイの最中に他のユーザーとの交流を通して、何らかのルールが必要になったとしても、ユーザー同士でやり取りをして、ルールを作ることになります。 VR×ブロックチェーン Decentralandは、「Second Life」のようなメタバース(仮想世界)の構築を目指して、2015年7月にベースとなるオープンVRプラットフォームが完成されました。ユーザーは自身の持つ「土地」の上ならば、想像力の許す限り、物理法則や運営主体によるルールに縛られずあらゆる好きな活動ができるという点で、Decentralandは他のメタバースと大きく異なっています。 2017年に入り、DecentralandのVR空間に存在する「土地」が誰のものであるか明らかにすると同時に、売買などを通してその資産的運用を実現可能する目的で、イーサリアムブロックチェーンが導入されました。DecentralandのVR空間上は、10m x 10m (33ft x 33ft)の土地に区分されています。この10m四方の土地は、10分に1度ブロックが生成されると同時に新たに出現し、ユーザーはICOで獲得した「MANAトークン」で、自分の土地となる「Land」を買い取ることができます。また、新たに生成(マイニング)されたLandが承認されることで、MANAトークンが報酬としてマイナーに与えられます。   Decentralandで何ができるのか Decentraland上のあらゆるモノは、”Decentraland scripting language”という言語によって記述されるため、ユーザーがある程度プログラミングに精通していないとオンライン空間上で好きな物を設計できない、という制約があるものの、Decentralandはユーザーに大いなる「自由」を提供していると言えます。例えば、友達とオンライン上で話す以外にも、VRのゲームソフトを開発して自身の空間で売買する、車を作って試乗する、音楽ライブを観賞するなど、自分の想像力の許す限り、文字通り何でもすることができるという点が最大級の魅力といえるでしょう。また、法規制の厳しいカジノなど、現実世界では様々な制約があって難しいとされることであっても、ユーザーの手によって自由に実現できることから、世界中で大きな関心を集めているようです。今後の動きに注目です。