2018-2019年グローバル仮想通貨市場年間報告書 第一章(下)

本文は、ChainDDとBlockchainBusinessCommunityが日本において、合同発表した文章です。

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連載:「2018-2019年グローバル仮想通貨市場年間報告書」

※第1回:2018-2019年グローバル仮想通貨市場年間報告書 第1章(上)

※第2回:2018-2019年グローバル仮想通貨市場年間報告書 第1章(下)

※第3回:2018-2019年グローバル仮想通貨市場年間報告書 第2章

※第4回:2018-2019年グローバル仮想通貨市場年間報告書 第3章

※第5回:2018-2019グローバル仮想通貨市場年間報告書 第4章

※第6回:2018-2019グローバル仮想通貨市場年間報告書 第5章

※第7回:2018-2019年グローバル仮想通貨市場年間報告書 第6章


第一章:2018-2019年グローバル仮想通貨市場の変動(下)


 

2018年ICOの増長減速

2017年においてはICOプロジェクトが爆発的に増長し、仮想通貨の種類増加も顕著であった。DDCIはCoinMarketCapのデータに基づいた統計結果によると、2017年には仮想通貨の種類は691から1355にまで増え、その増加率は93.19%であった。2018年の仮想通貨市場では731の新規ICOプロジェクトが立ち上がり53.95%の増加を見せたが、2017年と比較するとその増長速度は遅くなっていることが分かる。しかしながら、全体を通してみれば増加傾向にあり、段階的に成長がみえると言える。

1.ICOの急増に伴う市場の動向

2018年、新規ICOプロジェクトは731あり、DDCIのデータよりその内の64.29%は7月から11月の市場価格横這い期間に立ちあがっていたことが分かった。これは前述したように、2018年7月から11月中旬にかけて相場が安定していたことにより、投資家がこの仮想通貨市場の相場に対してポジティブであったからと考えられる。

2018年7月以降、BTC価格は横這いで推移した。プロジェクト主導者や投資家は、多くの人が押し目買いをするであろうことを考え、この期間に大量のICOプロジェクトを行った。しかしながらベア・マーケットとバブル景気が要因となり、数多くのプロジェクトが莫大な損失を被った。同年11月14日からBTC価格は変動し、3000ドルあたりにまで下落した。

この時期に行われたプロジェクトの中でも、QOSの参入が注目された。2018年8月4日にQOSプロジェクトが上場し、流通市場で取引が行われ始めた当初は若干の上昇が見られたが、その後大幅な下落に転じた。ここでのQOS/ETHの価格は0.00005499から0.00000856にまで下落、その減少率は84.43%であった。このため、多くの私募・公募ファンドや流通市場の投資家が大きな損失を被った。その理由として、全体的な経済情勢が厳しくなる現状に伴い、仮想通貨市場のベア・マーケットも半年継続したため、投資家の仮想通貨の価値に対する不信感が強まった為と考えられる。また、BCHがハードフォークした影響により、BTCのコンピューティングパワーが大幅に低下し、仮想通貨市場の新入資金も不足した為、BTC価格が6000ドルまで下落した時点での資金調達が困難になり、仮想通貨価格が3000ドルあたりまで急降下したものと考えられる。

2.史上最大規模のICOプロジェクト:EOSメインネット立ち上げ

2017年に、BTS、Steemitの開発者Daniel LarimerがBlockoneを設立し、ETHに代わるEOSを開発したと発表した。2017年6月26日から2018年6月1日にわたってEOSの資金調達を行い、700万ETHを集めた。上記期間終了時のETH価格(2018年6月1日ETH/USDTの価格は580ドル)で計算すると、この資金の総額は40億ドルを越え、史上最大規模のICOとして認識された。

EOSのメインネット立ち上げ前日、360がEOSのシステム上の破綻を発見したと公表し、立ち上げの延期を促した。その後EOSコミュニティ会議において延期について議論し、その中には1.0.2バージョンが出てから再考すべきではないかという意見もあった。しかし、会議2日目には投票が行われ、結果立ち上げは決定された。セキュリティ問題が解決される前でのこの結果は、今後潜在的な危険になり得ると考えられる。

その後IMEOSの統計により、2018年12月19日までに、EOSのDAPPは35回のハッキングアタックに遭い、30種のDAppに影響が及んだことが分かった。プロジェクト運営側は、EOSへの被害は損害状況が報告されていないアプリを除いても約72万に達したことを明らかにした。


2018年に登場したステーブルコイン市場:米ドルが主流

ステーブルコインとは、厳密に言えば仮想通貨ではなく、分散型システムに基づいて安定した価格を持つものである。現在、ステーブルコインは主に3種に分類されており、1.法定通貨担保型、2,仮想通貨担保型、3.無担保型、となっている。これらはアルゴリズムを用いているが、特に2の仮想通貨担保型に関してはこれが上手く機能していないのが実情である。または銀行家のアルゴリズムをベースとするステーブルコインがある。この2018年におけるステーブルコイン市場の急成長には、以下の3つの特徴がある。

  • 2018年後半:ステーブルコイン市場の急成長。

DDCIが2018年11月までに発行された59種のステーブルコインについて統計を行った。2018年以前に発行されたのは12種。その内5種(41.67%)が2014年に発行された。2018年1月から10月までの間には26種が発行。ここでは9月から10月にかけてが最も多く、9種(34.63%)が発行されている。2019年以降、発行予定の仮想通貨は21種だと予想されている。

  • 法定通貨担保型が主流

現在、法定通貨担保型のステーブルコインは最も多く22種あり、全体の37.29%を占めている。その内米ドル担保は約半数の10種、ユーロ担保が5種となっている。また、仮想通貨担保型は全体の33.90%(20種)、無担保型は27.12%(16種)、となっており、残り1種はまだ知られていない状態である。

2018年に発行されたステーブルコインでは、GUSDとPAXが最も注目されている。同年9月10日に、DFSが仮想通貨取引所Geminiとフィンテック企業Paxos Trustの米ドルベースの仮想通貨、いわゆるステーブルコインの発行を許可した。ここでは政府が監督を務め、GUSDとPaxos Trustは定期的な報告義務があるため、正規性、透明性やリスクマネジメントに優れている。また、グローバルな規制形勢から見ると、GUSDとPAXは仮想通貨市場と伝統的な金融市場の競合による商品と言え、今後のステーブルコイン発展の試行作だと考えられる。

・ETHのスマート・コントラクトを基盤とする

現在発行されている59種類のステーブルコインにおいて、ETHのスマート・コントラクトをベースとするステーブルコインは32種あり、全体の24%を占めている。他にはOmni Layer、NEO、BitShares、Rootstock、KOWALA、EOS、Stellar、Dashと、未公開のスマート・コントラクトも使用されている。


市場価値が7000億ドル下落 低迷期で変革を生み出すか

2018年において仮想通貨市場の価格変動は激しく、市場価値の低下率は87.76%であり、仮想通貨市場は低迷期の様相を見せた。今回のような低迷期は初めてではなく、今から約4年前も同じく低迷期を迎えている。

2013年10月1日時点でBTC価格は132ドルであった。そこから約2か月後の12月5日、BTC価格は1152ドルまで急上昇し、7.72倍にまでなった。しかしその後価格は振るわず、2015年年始には過去最低価格である176ドルまで下落し、その低下率は84.72%であった。2014,2015,2016の3年間の低迷期を経て2016年後半、再び上昇に転じ、2017年年始にはまた1000ドルまでの戻りを見せた。これ以降も上昇を続け、同年BTC価格は1000ドルから20000ドルあたりまで上昇した。

しかしながら、低迷期というものは新しい変革を生み出す可能性を孕んでいる。2014年から始まった低迷期は約3年間に及んだが、この期間中にビットコインコミュニティのメンバーはブロックチェーン技術の探索を始動した。そのメンバーのプログラマーであるVitalik Buterinはビットコインによって啓発され、そこからスマート・コントラクトがあるパブリックブロックチェーンプラットフォームの概念を提案。2014年にはICOでクラウドファンディングを行い、現在のETHとなった。

このETHとスマート・コントラクトの発展によって、ICOと仮想通貨がブロックチェーン技術を初めて応用し始めた。これも2017年に仮想通貨価格が急上昇した一因であったとされている。これ以前の低迷期では、アルゴリズムと分散化の概念に対する認識が強まったが、規制が完全に定まっていないことを利用して疑わしいICOプロジェクトも大量出現した。

DDCIの分析によると、2019年はバブルが減少する一年であり、仮想通貨市場の高利益の消失により機会主義の投資家が退場することが考えられ、市場価値は再び安定すると予想されている。今度の低迷期は2020年5月まで継続し、ビットコインマイニングは12.5から6.25まで減少し、BTC価格の上昇は常にマイニングによる半減を伴う。しかし一方で、この期間はブロックチェーン技術の成長期であり、実体経済と商業シナリオの結合による生産力やその関係性の効率向上を目指し、実際に商業運営が駆動できる技術として最も将来性があると考えられる。今度の低迷期ではパブリックチェーン技術のアップグレードを基盤として、性能や安全性を向上させ、将来的にはブロックチェーン技術をベースとする共有経済、物権、アプリ、アカウントなどのプライバシー保護などに多く応用されると予想している。

※第1回:2018-2019年グローバル仮想通貨市場年間報告書 第1章(上)


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