Qtumとは?-ビットコインとイーサリアムの融合へ

新たなブロックチェーン「Qtum」が密かに注目を浴びています。Qtum(キュータム)とは、ビットコインの「UTXOベース」という特徴を活かしながら、イーサリアムの「スマートコントラクト」を実行することができる独自のブロックチェーンです。UTXOベースとは何かも含めて、分かりやすく説明していきます。

スマートコントラクトとは何かについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

→「ブロックチェーン技術の活用範囲を広げるスマートコントラクトとは?」

 

ビットコインの特徴「UTXO」による匿名性とは?

ビットコインブロックチェーン上では、ビットコインの残高を管理する仕組みとして「UTXO(Unspent Transaction Output、アンスペント・トランザクション・アウトプット)ベース」が採用されています。それぞれのトランザクションデータの中にはビットコインの「インプット(Input)」と「アウトプット(出力)」が含まれています。各アドレスのビットコイン残高を、そのアドレスに向けて送信されたトランザクションに含まれるアウトプットの合計金額で計算します。このとき、そのアウトプットに出力されたされたビットコインをUTXOと呼びます。これに対し、イーサリアムなどでは直接アドレスに残高を紐づけて記録する「アカウントベース」のシステムが採用されています。

例えば、太郎さんが所有する3BTCを使用して二郎さんに2BTC送信したい時を考えてみます。この際に、単純に二郎さんへの2BTCの送金依頼をしただけでは、太郎さんにおつりは戻ってきません。ビットコインでは、インプットとアウトプットの差額は取引手数料としてマイナーに自動的に与えられるため、このケースではインプットとアウトプットの差額である1BTCが取引手数料として取られてしまいます。そのため、2BTCを二郎さんに送るだけではなく、おつりとして1BTCを自分のアドレスに指定しなければなりません。この時に新しいアドレスを作成し、おつり用アドレスとして指定することで結果的に追跡を困難にします。このように、UTXOは匿名性を保ちプライバシーが優れていると言われています。

 

スマートコントラクトをビットコインブロックチェーンに導入

ビットコインとイーサリアムでは、残高の管理の仕方が異なることは、上記の通りです。このUTXOとイーサリアムのスマートコントラクトを合体させようとしているのがQtumです。

これが今まで実現されなかったのは、ネットワーク内のスマートコントラクトコードの実行環境、スマートコントラクトを機能させるEVM(イーサリアムバーチャルマシン)がブロックチェーンから隔離された所に存在していたため、ビットコインブロックチェーンと繋げることができなかったからです。 これを解決するために、ビットコインブロックチェーン上に分散アプリケーションプラットフォームを構築し、ビットコインブロックチェーンとEVMの間の通信レイヤーとして機能するQtumアカウントアブストラクトレイヤーを導入します。これを機能させるために、Qtumは、3つのアップコード(OP_EXEC、OP_EXEC_ASSIGN、OP_TXHASH)を加えることでEVMに自動的に転送する手段として機能させ、特定の条件を追加しEVMを使用するトランザクションをUTXO環境内で機能させることができます。

 

UTXOにより、ライトウォレットが可能に

またこのUTXOを活用することで、「ライトウォレット」を作成することが可能となります。ライトウォレットとは、ウォレットを通じてビットコインを保有するときにビットコインブロックチェーン上の全ての取引記録をダウンロードすることなく、自らのアドレスに関連した取引のみを選んでダウンロードできるウォレットです。これを「SPVプロトコル(Simplified Payment Verification Protocol)」と呼びます。ライトウォレットに対して、ブロックチェーン上の取引記録を全て保持するウォレットのことを「フルノード」と呼びます。SPVでは、自分に必要なトランザクションのみを抽出し、十数ギガバイトにも及ぶビットコインブロックチェーン全体をダウンロードすることなく、より少ない電力消費でビットコインの送金ができます。そのため、従来はデスクトップパソコンなどデータ容量の大きい端末でしかウォレットを作成できませんでしたが、モバイル端末でもウォレットを作成できるようになりました。

これによりQtumでは、モバイル端末上で動作するライトウォレットを、スマートコントラクトや分散型アプリケーションにネイティブに取り入れることができるようになります。また、この機能により、IoTデバイスをスマートコントラクトで保護して操作することも可能となるでしょう。

 

コンセンサスアルゴリズムは、PoSを採用

Qtumではビットコインブロックチェーンで使用されるプルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work、PoW)ではなくプルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake、PoS)を採用しています。これはマイニングによる膨大な電力消費でコストが高くかかり合意に時間がかかる傾向があるというPoWの問題に着目し、承認者(マイナー)を自動的に決めることでPoWで課題となっていた取引の遅さと電力消費の問題を解決します。

 

今後の可能性

スマートコントラクトと分散型アプリケーションは、様々な分野での活用が期待されており、Qtumは特に、サプライチェーンマネジメント、通信、IoT、ソーシャルネットワークでの活用を目指しています。更に開発者のPatrick Dai氏は、同じUTXOベースの暗号通貨「Zcash(ジーキャッシュ)」のプライバシーに特化した暗号通貨に対しても言及しており、もしQtumが、Zcashのセキュリティ技術をQtumに応用することができれば、さらなる可能性が開けることでしょう。

web site: https://qtum.org/en/
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BBC編集部
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