就活×ブロックチェーン?高等教育機関が学位偽造を防ぐために、ブロックチェーンの導入を検討

イギリスの Knowledge Media Institute 大学の責任者で、通信教育を専門とする John Dominique氏は、ブロックチェーン技術の高等教育への活用を訴えるエヴァンジェリストです。Dominique氏は、ブロックチェーンの改ざん困難性について述べた上で、「この技術を駆使して誰でも閲覧が可能で安全なデジタル台帳を作成し、各大学がブロックチェーン上で卒業生の学位を管理すれば、理論上は新入社員が履歴書に書いている学歴に嘘があるかどうかを企業側が確認する作業をなくすことができる。全ての大学には、学位の不正を確認している小規模のチームが存在しているが、ブロックチェーン上で記録を管理し、検証できるようにすることでこれらのチームは不要になるだろう。」と主張しています。

その学位はホンモノ?学位偽造が問題になっているイギリス

イギリスでは、高等教育データチェック(Higher Education Degree Datacheck, HEDD)と呼ばれる偽造書類による就職防止のための中央管理型システムがすでに稼働しています。このシステムにより、だれがどのような学位を持っているのかを簡単に把握することができます。学位の改ざんはイギリスでも非常に深刻な問題として捉えられており、4人に1人が履歴書で学位に関する嘘を記載しているとのデータが発表されています

このシステムによって大幅なコストの削減が可能になりましたが、それでも調査1件につき、12ポンドのコストがかかっています。しかしブロックチェーン技術を使用すれば、より早くかつ安く調査を行うことができるようになります。Dominique氏は「学位を誤魔化すほど、信憑性を確認するためのコストが高くなる。ブロックチェーン上で応募者の所属している学校機関の成績情報を検索できるシステムを構築すれば、雇用者は低コストでより多くの応募者の学位の確認ができるようになる。」と指摘しています。

また、ブロックチェーンのさらなるメリットとして、紛争のような非常事態によって大学本体が機能しなくなったとしてもシステムを利用できる点が挙げられます。例えば大学での学びを避難先のヨーロッパで再開したいと思うシリア難民は、彼らの母校に確認を取らなければいけません。しかし、その学校機関が戦闘に巻き込まれて廃止・破綻してしまった場合、学位記録の確認が非常に困難となります。しかし、ブロックチェーン上に全ての証明書のデータが入っていれば、すぐにこの問題を解決することができるようになります。

プライバシー問題と企業の採用方法の今後

このように一見便利なように聞こえるシステムですが、不特定多数の人に自身の学位を参照されてしまうため、プライバシーの管理が重要になってきます。コンプライアンスの観点で考えると、全学生の学位に関するデータが第三者によって参照できる状態は倫理的に問題があります。この問題に対してDominique氏は、学位に関する証明書を暗号化して制限時間を設けた解除鍵を雇用者に付与することで、この問題を解決できると述べています。Dominique氏はイギリスに存在する全大学にブロックチェーン上に全ての学位記録を置くべきだと主張しているそうです。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン及びインペリアル・カレッジ・ロンドンと協議中であり、好意的な回答を得ていると同氏は述べています。

また、同氏は採用条件で必要な資格が明確に定義されている分野(データサイエンスなど)においては、今後従来の採用プロセスとは違う方式がとられるようになる可能性について予測しています。採用担当者は、ブロックチェーン上の学位記録から、特定の分野を学んだ候補者をフィルタリングしたりすることも可能になり、無数の職務履歴書を全て読む必要も無くなります。結果的により効率的に適切な候補者を選ぶことができるようになります。

高等教育機関とブロックチェーンの未来

2016年10月に、マサチューセッツ工科大学メディア研究所は、Blockcertsを発表しました。このソフトウェアはブロックチェーン上で学歴証明書を管理するために開発されています。しかし、技術的な課題も未だに存在しており、応募した仕事に関連する資格情報のみを開示可能にするなどといった改良を加えています。

また、このようなブロックチェーンを利用した資格検証システムの構築は、政府主体ではなく民間主体の運営で行われる可能性もあります。例えば、ロンドンに拠点を置くGradbaseというベンチャー企業が例として挙げられます。。大学を卒業した者に就職活動に必要な履歴書に添付するQRコードを与えることにより、採用担当者は彼らの学歴の正当性を確認することができるシステムを開発しています。このように、アカデミックな世界においてもブロックチェーンを大いに活用することができます。今後の発展に期待です。

 

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BBC編集部
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