中国FinTech業界に大きな動き、中国人民銀行がFinTech委員会を設立。RegTechの応用を強化へ。

2017年5月15日 Wang Pengfei 0

2017年5月15日、中国人民銀行はFinTech(フィンテック)業界の健全な発展を促進し、直面している新しい課題に対応していくため、FinTech委員会を設立することを公表しました。 FinTech委員会のミッションは3つあります。ブロックチェーン業界への影響についても一つ一つ解説していきます。   ①FinTechの発展による金融政策・金融市場・支払清算などの領域への影響を研究し、政府として戦略・政策上のサポートを行う。 中国政府の政策はいつも遅れていると言われます。2013年からビットコイン取引量が長年世界一位にも関わらず、中国では未だにビットコインは「貨幣」もしくは「支払いの手段」として公式的に認められていません。さらに、キャッシュレス化の先進国とも言われる中国ですが、まだアリペイやWechat Payなどのモバイル決剤サービスに関する法律すらもできていないが現状です。 日本では金融庁がFinTech企業のために、経済産業省、財務省などの関係省庁と連携及び意見交換の場を提供できるFinTech協会が存在していますが、中国では似たような組織がなかったです。しかし今回、FinTech委員会が設立されることで、FinTech企業は政府と交流できる機会が増えることが考えられます。 さらに、FinTech委員会の設立は中国政府がFintechに本腰を入れるサインとも捉えられます。今後FinTech企業をサポートする政策が、次々に発表されることも期待できます。ビットコインの法的定義ついて出てくるのも、時間の問題ではないかと考えられます。 欧米諸国のように貨幣として認められることは難しいと想定されるので、日本と同じ「支払い手段」として認められることになるのではないでしょうか。   ②海外との交流・連携をさらに強化させ、中国の現状に適したFinTech管理制度を作り、新技術の金融業界への正しい応用をリードする。 先進国の法律や政策に基づき、中国の現状を考えた上でFinTech管理制度を作るという方針が見えています。現在、イギリス、シンガポールなどの中央銀行は規制のことを考えずに、金融イノベーションを促進するためのレギュラトリー・サンドボックスという制度を実施しています。規制の厳しい中国でも同じような制度を作り、FinTech企業のイノベーションを促進していくことが期待できます。   ③RegTechの応用実践を強化させ、ビッグデータ・AI・クラウドコンピューティングなどの手段を利用し、金融リスクの選別・回避の努力をする。 RegTech(レギュテック)というキーワードは、最近頻繁に中国政府の公文書にも出ており、今後ビッグデータ・AI・クラウドコンピューティングなどハイテク技術を使って、マネーロンダリングなどの対策をしていく動きが見えます。 現在中国では、ブロックチェーンプロジェクトのICO、暗号通貨の取引などはまだグレーゾーンです。ビットコインなどの暗号通貨に対するAML、KYCなどの実行は、伝統的かつ時代遅れのやり方だと非常に手間がかかる上、正確に行うことが困難です。そのため、ビットコインアドレスから取引履歴を分析し犯罪に関与しているか検証する「Coinfirm」のような、暗号通貨やブロックチェーンに特化したRegTechを促進し、既存のサービスに代わって採用していくことが想定されます。 今回のFinTech委員会の設立は、FinTech業界だけでなくビットコインをはじめとする暗号通貨やブロックチェーン業界にも大きな影響を与えていくことになるでしょう。中国にて関連事業を行う企業にとっては、今後の政府の動きは目が離せません。

ブランド品の真贋判定「VeChain」中国のブロックチェーン活用事例紹介

2017年4月27日 Wang Pengfei 0

中国では、ブランド品の偽物にもランクがあることをご存知でしょうか?「Plada」「Cucci」のように明らかな偽物もあれば、専門家でないと判定できなく、本物とほぼ変わらないハイランクの偽物もあります。ブランド品の生産を請負った中国の工場がだまって鐘形をそのまま使い、本物とほぼ同じな偽物を生産する場合すらあり、それを見分けることが極めて難しいのです。 メーカーも消費者も頭を抱えている偽物問題を解決には、ブロックチェーンという選択肢があるとBitSE社の管理層が気づきました。   ブロックチェーン技術によりブランド品の偽物を防ぐ  BitSEは「Bit Service Expert(ビットサービスエキスパート)」の略で、「ブロックチェーン技術でグローバル経済活動協力の効率化や信頼コストの削減」を目指している会社です。同社のCOO陸揚氏は中国Louis Vuittonの元CIOで、ブランド品の偽物問題をよくわかっているでしょう。 2015年10月、BitSE社はブロックチェーンを活用した偽物対策のプロジェクト「VeChain」を発足しました。ブロックチェーン技術の記録された情報が改ざんが困難であるという特徴を活用して、商品データの偽造を防ぎ、世界中のどこからでも商品データにアクセスすることを可能とします。 VeChainでは、メーカーおよび消費者向けに2種類のプロダクトを提供しています。メーカー向けのプロダクトは商品管理プラットフォームと商品に内蔵できるNFCチップです。消費者向けのプロダクトはスマホアプリで、消費者はスマホを使って商品が偽物かどうかをすぐに見分けることができます。   有名ブランドとのタイアップも果たす「VeChain」 2016年10月11日、中国の「東京ガールズコレクション」ー上海ファッションウィークでは、VeChainは数多くの有名人が愛用しているブランド「Babyghost」とコラボレーションして、全ての服にVeChainのチップを内装しました。このNFC機能を使い、商品の内蔵チップの情報を読み込み、ブロックチェーン上の情報と照らし合わせ、偽物かどうか判断でき、商品の生産情報なども全て確認することができます。 VeChainの技術がその他のブランドに広まることで、中国の偽物問題を解決できるかもしれません。今後の動きにも期待しています。   関連記事: チャリティーへのブロックチェーン活用「Ant Financial」|中国のブロックチェーン活用事例紹介  

チャリティーへのブロックチェーン活用「Ant Financial」|中国のブロックチェーン活用事例紹介

2017年4月6日 Wang Pengfei 0

前回の記事では、中国取引所において取引手数料と取引高に密接な関係があることを解説していきました。今回からは、何回かにわたって中国でのブロックチェーンを活用した事例について紹介していきます。 中国においては寄付金の流れが不透明なため、寄付者から不満も 中国においては寄付されたお金は横領されたり、寄付先に必要なものは届かなず不要なものばかり届いたりと、チャリティー組織は本当に機能しているかと疑問や不信感を抱えている人が少なくない現状です。 こういった事情を背景として、寄付金の使い途をリアルタイムで知るとこができる方法がないかと多くの人々が問い続けています。 ブロックチェーンはその答えかもしれません。 タオバオをはじめとしたネットショップサイトで利用されており中国オンライン決済の約52%を占める決済サービス「アリペイ」を提供している会社Ant Financialは、チャリティー組織「中華社会救助基金」と協力し、中国初のブロックチェーン上のチャリティー活動を行い、10人の聴覚障害児のために19.84万元(約318万円)もの募金を集めました。 聴覚障害児は、1年間のリハビリテーションを受けると聴覚を回復できます。しかし、それには年間一人約31.8万円の治療費が必要なので、経済的な問題でリハビリテーションを受けることができない子供が10人いました。この子供たちのために、Ant Financial社は今までにない、ブロックチェーン技術を使った募金活動を実施しました。 アリペイには、もともと簡単に寄付をすることができる機能が備わっており、アリペイのユーザーなら誰でも自分のアリペイ口座にあるお金を募金プロジェクトに寄付することができます。しかし、主催者の都度の更新が必要なので、リアルタイムで寄付金の行方は確認できませんでした。 今回の募金活動はブロックチェーン技術を利用し、下記の図のように、「いつ、誰が、いくら寄付したか」だけではなく、「いつ、誰に、いくらが届いたか」までブロックチェーン上で記録しており、寄付者はいつでもお金の流れを確認することができるようになりました。 結果として3万人以上が聴覚障害児のために寄付しており、10日間で目標金額に達成しました。中華社会救助基金会の会長胡広華氏は「今回の募金活動の全ての開示情報は、ブロックチェーン上のデータから読み込んだので、信ぴょう性を保証した上で、コストの削減も果たしました。」とコメントしています。 ブロックチェーンの透明性という特徴を活かした良い活用例といえるでしょう。暗号通貨(仮想通貨)は少額決済(マイクロペイメント)にも向いていますので、少額からインターネットを介しての寄付がより行いやすくなるかもしれません。 次回以降も、中国のブロックチェーン活用事例を具体的に紹介していきたいと思います。

なぜ取引手数料が中国のビットコイン取引量に影響を与えているのか

2017年3月22日 Wang Pengfei 0

2013年末から人民元建てのビットコイン取引量が急上昇し始め、2016年になると一度総取引量の98%を占めていました。当時、「ビットコインは中国にある」と喜びの声をあげた人もいれば、「ビットコインは中国に翻弄されている」という心配な声もありました。そんな、ビットコインへ大きな影響力を持つ中国市場の傾向について、取引所の手数料という観点から解説していきたいと思います。   取引手数料の撤廃後、取引高が急上昇し世界第一位へ 2013年9月、中国三大取引所の一つBTCCはビットコイン取引手数料を徴収しない方針を打ち出し、他の取引所も相次いて取引手数料の徴収を廃止しました。 その後、週約4%のスピードで上昇していたビットコインの取引量は急上昇し始めました。当月、中国ビットコインの日取引量は1.75万で、世界シェアの30%を占めましたが、1ヶ月後、中国ビットコインの日取引量は世界シェアの50%の10万に達し、アメリカを超え世界一になりました。 2014年、BTCCは一度取引手数料の徴収を復元したら、一気に1位から4位に転落し、取引手数料がずっと無料だったHuobiという取引所は1位となりました。 「ビットコインの取引手数料を廃止するだけで、そこまで取引量を影響するか?」と疑問を持っている方が少なくないと思います。実は、取引手数料無料の時にしかできない「ビットコインの高頻度取引」が一つの要因だと考えられます。   自動取引により活性化したビットコインマーケット 「高頻度取引(HFT, high frequency trading)」はもともと証券用語で、コンピューターアルゴリズムを実行することで、 市況を自動的に判断しながら株のやり取りをするという取引戦略です。ビットコインは株と比べ、値幅制限・取引量制限がなく、24時間365日取引できるなどの特徴があり、取引手数料がない場合、高頻度取引には最適とも言えます。 したがって、ビットコインの取引手数料を廃止するによって、投資者だけではなく、「ビットコインの高頻度取引」をしている投機者もたくさんやってきました。中国の三大取引所の自己分析によって、60%のOKCoinでの取引・80%のHoubiやBTCCでの取引は人間ではなく、ビットコインの高頻度取引のプログラムが行ったようです。 2017年1月6日、中国人民銀行はビットコイン取引所9所と会合し、その日ビットコインの価格は17%も下がりました。1月24日12時、中国三大ビットコイン取引所は0.2%の取引手数料を徴収し始め、1時間でOKCoinの取引量は89%も下がり、Huobiは92%減でBTCCは82%減となり、ビットコインの高頻度取引も中国の世界一ビットコイン取引量の伝説も終焉を向かいました。 このように取引手数料の推移と取引高の相関性から、自動取引による取引高の増加が見て取れるでしょう。中国当局からの規制などの影響もありますが、取引手数料が導入されたことで、中国での取引高は減少しましたが、一方で日本のように手数料がないもしくは低い国でもともと自動取引を行なっていた人々が流入していることも考えられます。(実際に、中国と入れ替わる形で日本は取引高世界第一位となっています。) 今後も中国のマーケットに特化した情報を発信していきますので、ご期待ください。