ブロックチェーンプロダクトの4分類【連載:ブロックチェーンプロダクトの現在と未来】

ブロックチェーンを活用したプロダクトは、今後どのように発展していくのだろうか。当連載「ブロックチェーンプロダクトの現在と未来」では、予想されうるブロックチェーンプロダクトを4つに分類し、そのそれぞれについて現在の国内外の事例に触れながら未来における予測と課題について森川 夢佑斗氏(Alta Apps株式会社 代表取締役)が解説していきます。
当記事は、その第1回目となります。

連載:「ブロックチェーンプロダクトの現在と未来」
第1回:「ブロックチェーンプロダクトの4分類」

 

ブロックチェーンへの注目度は、加熱している

 最近、ブロックチェーン技術をある企業が導入した、共同で実証実験を開始したといったニュースを多くのメディアで見かけるようになったように思います。

 ブロックチェーンと聞くとビットコインのことなのでは?と思う方が多いかもしれません。しかし、実際は、ビットコイン以外にも様々な種類のブロックチェーンが存在します。ブロックチェーンの種類は、仕組み上はビットコインをはじめとする暗号通貨(仮想通貨)の種類だけあります。暗号通貨の取引高情報をまとめているcoinmarketcap.comによると、2017年2月現在、世界中で600種類以上の暗号通貨が確認できます。

 ブロックチェーンとは、ビットコインだけを指すものではないということが伝わったでしょうか?しかし、なぜ今、多くの企業やメディア、起業家からビジネスマンまでがブロックチェーンに注目しているのでしょう?

 MITメディアラボ所長の伊藤穰一氏は、「ブロックチェーンは、インターネット並みのインパクト、そして多くの機会とイノベーションを解き放つポテンシャルがある」と述べました。今でこそ、私たちの生活は、インターネットなしには考えられません。上記の伊藤氏の言葉を借りるならば、それと同じことがブロックチェーンについても当てはまると言えるでしょう。

 つまり、現在インターネットが活用されている分野には、ブロックチェーンも活用が期待されると言い換えられます。実際、昨年に経産省が行なった「ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査」によると、ブロックチェーン技術の潜在市場は、67兆円と予測されています。もちろん、予測が全て正しいとは思いませんが、それだけのインパクトがあると政府も考えているということです。

 確かに、ここまで聞くとなんだかブロックチェーンというものは多くの可能性があるようだと感じられます。もちろん、ブロックチェーンは革新的な技術であり私自身もその魅力を強く感じていますが、どんな課題でも解決する万能薬ではありません。そのため、ブロックチェーンやビットコインなどが何を解決するために発明されたのか、そして現在何ができて、何が課題視されているかを理解する必要があります。ブロックチェーンのもたらす未来に花を咲かせることは良いのですが、地に足のつかない期待はブロックチェーンの着実な進歩と関わりなく、多くの失望を生んでしまうことに繋がります。今回のブロックチェーンおよび関連領域への注目を、単なるブームに終わらせないためにも、適切な知識と未来への予測を持って、この分野の話題を盛り上げていければと思います。

 前置きが長くなってしまいましたが、当連載が皆さんがブロックチェーンのある未来を予測する際の道しるべになれば幸いです。では、話を続けていきましょう。

 

ブロックチェーン活用は、金融分野以外へも波及

 国内でもメガバンクをはじめとする金融機関が、ブロックチェーン技術の研究を行なっています。国外においては、中央銀行が主導して導入を進めている例も出ています。ビットコインが、決済手段として「お金」に近い存在として扱われていますので、金融機関が注目しているのも納得しやすいかもしれません。

 しかし、ブロックチェーンやビットコインは金融分野だけに止まるものではありません。先ほどの経産省の調査によると以下のような分野で具体的に活用が期待されています。

 海外でもこれらの領域での活用が始まっており、様々なプロジェクトやスタートアップが登場しています。また、国家単位でもエストニアやスウェーデン、ホンデュラスやジョージア共和国などでも土地の登記をはじめ様々なbに分野にブロックチェーン技術の導入が行われている。

 プロダクトとしての見え方は、上記の通りなのですが、ブロックチェーン技術をどのレベルまで組み込むかによって、裏の仕組みについてはいくつかの段階があります。

 

ブロックチェーン技術を用いたプロダクトの4分類

 大きくわけると、これまで企業が行なっていた一部のプロセスがブロックチェーン上で行われるようになる場合、もしくはその全てがブロックチェーン上で行われるようになる場合に分けられます。

 後者の場合には、特に昨今注目を集めるスマートコントラクトの力が不可欠です。スマートコントラクトとは、概念自体は古くからあり、人の手を要せず一連の取引が自動的に実行されることです。街中にある自動販売機がよく例として取り上げられます。この概念が、ブロックチェーン技術の中央管理者がおらず、不正や改ざんができないという特徴と融合することで、より強固なものとなりました。イーサリアムのスマートコントラクトが代表的です。

では、さらに4つの分類について見ていきましょう。

  1. 分散型データベースとしての活用
  2. スマートコントラクトの活用
  3. ピア・ツー・ピア(P2P)アプリケーション
  4. 分散型自律組織(DAO)

 前半2つは、一部をブロックチェーンで置き換えるものが多いのに対し、後半2つは全てのプロセスをブロックチェーン上で行うものとなります。

 まず一つ目は、ブロックチェーンを分散型のデータベースとしての活用するプロダクトです。ビットコインでもそうですが、ブロックチェーン上に記録されているデータは、改ざんや複製及び不正が困難です。これらの特徴は、厳重に管理が必要だった領域にとっては親和性の高いものとなります。例えば、土地の権利などを管理する権利書や電子カルテをはじめとする個人情報などです。具体的なサービスとしては、Factom(ファクトム)などが挙げられます。

 二つ目は、スマートコントラクトの活用です。ブロックチェーン上にて決められたプロセスに基づいて確実に実行されます。一連の取引に人の手を要しないので、コストの削減や人的ミスをなくすことが可能となり大きな利点をもたらします。

 三つ目は、ピア・ツー・ピア(P2P)アプリケーションです。上記の二つの場合、ユーザーが利用する際に、任意のブロックチェーンネットワークに一度アクセスをして、他のユーザーとの取引を行うこととなり、厳密にはピア・ツー・ピアではありません。ユーザーひとりひとりがネットワークの構成要員となりプロダクトを維持しつつ、ユーザー同士が直接何らかの取引を行うことができるモデルです。ビットコインネットワークにおけるフルノード同士での取引はこれに当たると言えそうです。具体的なサービスとしては、Open Bazaar(オープン・バザール)などが挙げられます。

 四つ目は、分散型自律組織(DAO)です。これは、イーサリアム上で構築されたThe DAOと呼ばれるプロジェクトが有名かもしれません。プロジェクトとして興味深かく注目されていましたが、プログラムの欠陥をハッカーにつかれ多額のイーサリアムが盗難されたことで話題となった側面もあります。

 分散型自立組織として重要な観点は、上記のような技術欠陥がないことはもちろんなのですが、ガバナンスが比較的重要となってきます。ガバナンスという言葉は、個人的に抽象的でわかりにくい言葉ではありますが、組織や社会に関与するメンバーが主体的に関与を行なう、意思決定、合意形成の仕組みのことです。

 ビットコインを最初のDAOとみなす人もいます。ビットコインを例にとると、ビットコインネットワークを維持するためには、マイナーと呼ばれる人たちの存在が不可欠です。では、どのようにしてマイナーにビットコインネットワークに参加してもらうのか、また不正が起きないように監督していくかという部分がガバナンスの部分となってきます。

 組織の自動化を目指すDAOの場合は、各々異なった目的を持った個人を、どのようにインセンティブを与え、ひとつの大きな組織(システム)として成り立たせ、成果を上げていくかがポイントとなります。国内外問わず、大小様々な組織が存在しますが、それらを自動化するというのは、これまでの産業のあり方や働き方を大きく変革する可能性があります。それ故、インパクトも大きいですが、様々なハードルもつきものです。

 

 さて、ここまでで簡単にブロックチェーンプロダクトを大きく4つに分類して紹介しました。あくまで私の理解での分類ですので、今後変わってくる場合もあります。
 次回以降は、そのそれぞれについて、実際に立ち上がっているプロジェクトの例を交えながら解説をしていきます。そして最後の課題部分について触れていきたいと思います。

では、第2回をお楽しみに。

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森川 夢佑斗
About 森川 夢佑斗 4 Articles
1993年生まれ、大阪府出身。京都大学法学部在学中に、アルタアップス株式会社を創業。同社、代表取締役。主にブロックチェーン技術をビジネス的な観点からみた情報発信を行っており、在日中国人向けの『日中商報』でのコラム連載や各種メディアでの執筆からセミナーの開催など積極的に活動している。著書にAmazon.co.jpの書籍における暗号理論カテゴリー1位を獲得した『一冊でまるわかり暗号通貨2016~2017』(幻冬舎)など。