ブロックチェーン革命をリードする経営者、足を引っ張る経営者:選手交代

ブロックチェーン革命がもたらす変化

ブロックチェーン時代には、すべての企業は大変大きなチャンスと、これまでにない危機に直面します。影響度の大きさは一部の産業、企業にとどまりません。

多くの産業の主軸であった「大きいことはいいことだ」がなくなり、「素早いことはいいことだ」「賢いことはいいことだ」という、これまでもその通りであったものの「大きさ」に負けがちであった要件が、はるかに重要な意味を持つようになります。

この要件をどのように満たしていくか、激しい競争が始まっています。

 

ブロックチェーンとの関わり合い

ブロックチェーンとの関わり合いは企業によって異なりますので、それを考えてみると、

  1. ブロックチェーンそのものを作り、提供する
  2. ブロックチェーン上にサービスを作り、提供する
  3. ブロックチェーン上のサービスを使って個人あるいは企業にサービスを提供する
  4. ブロックチェーンに関する導入コンサルティング、システム構築、経営支援を提供する
  5. ブロックチェーンから生じるデータ、マーケティングデータなどを活用したコンサルティング、情報を提供する
  6. ブロックチェーンを活用したサービスが急激に伸びているものの、自社はまだ縁がない
  7. ブロックチェーンが自社の産業・環境にも広がる気配がなくはないが、まだ表だった動きはない
  8. ブロックチェーンに接する機会は自社の産業・環境ではないし、今後ともなさそう

などになるでしょうか。自社がそのどれに相当するかで、取り組み姿勢は変わってきます。

ちなみに、AとBがブロックチェーンカンパニーと呼ばれるようになります。Cも当面はブロックチェーンカンパニーと呼ばれますが、ほとんどの企業がブロックチェーンを使うようになると、特にそういった名前で呼ばれることはなくなります。インターネットが普及した今、インターネット企業と呼ばれたり、呼んだりする企業がほとんどなくなったのと同じです。

 

ブロックチェーン革命を生き抜く企業とは

改めて、ブロックチェーン革命を生き抜く企業はどうあるべきなのか、考えてみたいと思います。

  1. ブロックチェーン技術の発展と社会、産業、企業への影響に対して真剣に考え、絶好のチャンスあるいは大変な危機と認識している
  2. それに合わせて自社のビジョンと戦略を立て直し、生き抜こうと決意して社長主導で動き始めている
  3. ブロックチェーン技術の理解を進めて本格的に取り組む専任チームを作り、優秀な人材には社長自ら会い、ビジョンを語り、採用を進めている
  4. 最先端技術の動向、実証実験の進捗状況を把握し、できることから次々に着手している
  5. 年功序列を廃止し、力のある人材がリーダーとして活躍している
  6. 外国人が活躍できる環境を本気で作っている(英語、仕事のスタイル、上司の姿勢、人事制度)
  7. 消費者、顧客ニーズを深く理解し、どこよりも早く的確にニーズに答えようとしている

などですね。

「こんなにできない」「こんなの理想的過ぎる」と思われるでしょうか。もしそう思われるなら、その会社は遅かれ早かれ、国境を簡単に乗り越えてくる新進ブロックチェーン企業に淘汰されていく可能性が高いです。どれも意識と取り組み姿勢についてであり、急成長ベンチャーでは普通に見られることです。

 

リードする経営者、足を引っ張る経営者

前述の7項目は、ほぼ100%、経営者が主導する必要があります。従来のように「おみこし経営」や「よきにはからえ経営」は全く成り立ちません。先頭に立って英語で会話し、意思決定を進め、率先垂範するグローバルリーダーが必要です。

日本にもたまにそういう方がいらっしゃいますが、残念ながら多くが勘違いして「自分はえらいんだ」「自分は特別だ」「自分はこんなに会社のことを考えているのに、ろくな人材がいない」と自慢したり嘆いたりされます。

当然ながら、個人としての力があっても、独りよがりで尊大な人は全く尊敬されず人もついていきません。切磋琢磨するような職場環境も、健全な実力主義も生まれません。

リードする経営者は自分が先頭に立ちます。新しいことにも果敢にチャレンジしていきます。誰の教えも頭を下げて請い、急激に成長します。足を引っ張る経営者は学ぼうとせず、社員を鼓舞しようとしても一方通行になります。会社が弱体化する前に選手交代が必要です。

ブロックチェーン時代にリードできるか、足を引っ張るかは、経営者の資質一つにかかっています。

 

意識の高い役員、部課長は、経営者にどうアプローチすべきか

今、全力で生まれ変わろうとしている経営者は立派です。そう思っている限り、遅かれ早かれ先頭に立てるからです。人は何歳でも、いくらでも成長します。100メートルを10秒以下で走ることはほとんどの人にとってどんなに努力しても無理なことですが、経営者としての能力は、やる気次第で今の何倍にも確実に成長します。

ただ実際は、ポテンシャルがあっても、まだ気づいておられない経営者がほとんどでしょう。意識の高い、役員、部課長はそういう経営者に対してどうアプローチすべきなのでしょうか。

私のお勧めは次のようなものです。ドライといえばドライですが、多分これ以上に現実的なアドバイスは私には考えづらいです。

  1. ブロックチェーンによって今何が起きているのか、どのくらいのチャンスと脅威なのか、詳しく説明する
  2. 強い関心を持っていただけたら、前述7項目の重要性を説明し、立ち上がってもらう。自己改革にも取り組んでもらう
  3. 話を聞こうとしない、あるいはIT知識などがあまりに貧困で理解しない場合でも、いったんは丁寧に説明し、理解していただけるよう努める
  4. 話にならない場合は、副社長あるいは取締役クラスで理解してくれる人を探す
  5. その副社長、取締役の力を借りて、改めて経営者にアプローチする。海外のカンファレンス、イベントなどに参加していただくことで突然目覚めていただけることもある
  6. それでも経営者が関心や変革意思を示さなかったら、ご自身の進退を考える

という感じです。これまでにない産業、企業淘汰があと数年で始まります。

 

当記事は、ブレークスルーパートナーズ株式会社 赤羽雄二氏の連載コラムの第8回です。ブロックチェーンが、産業、企業、個人に与えるインパクトについて、「どういったことが起きるのか、何をすべきなのか」について、それぞれの立場の方に合わせて解説していきます。

連載:「ブロックチェーンがおよぼすビジネスインパクト」
※第1回:ブロックチェーンが産業、企業、個人に与えるインパクト:例外なくすべてが変わる
※第2回:ブロックチェーンが生み出すビジネスチャンス:インターネットを超える大チャンス
※第3回:ブロックチェーンビジネス立ち上げは、早い者勝ち:今すぐ始めないと取り残される
※第4回:ブロックチェーンビジネスを考えるための頭の柔軟性:さらに柔らかい頭を
※第5回:大企業にとってのブロックチェーン革命:大企業の存在意義が真正面から問われる
※第6回:ベンチャーにとってのブロックチェーン革命:このチャンスを活かすか死ぬか
※第7回:中小企業にとってのブロックチェーン革命:生か死かの瀬戸際

ご意見、ご質問は akaba@b-t-partners.com までお気軽にお寄せください。すぐにお返事します。

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赤羽 雄二
About 赤羽 雄二 14 Articles
東京大学工学部を1978年卒、小松製作所を経て、1983年よりスタンフォード大学大学院に留学し、機械工学修士、修士上級課程を修了。1986年、マッキンゼーに入社。1990年より、マッキンゼーソウルオフィスの立ち上げおよびLGグループの世界的な躍進を支えた。2002年、「日本発の世界的ベンチャー」を1社でも多く生み出すことを使命としてブレークスルーパートナーズ株式会社を共同創業。著書に『ゼロ秒思考』『速さは全てを解決する』『ゼロ秒思考[行動編] 即断即決、即実行のためのトレーニング』(ダイヤモンド社)などがある。