adToken(アドトークン)は広告業界の課題を解決できるか?

これまでの広告業界における課題

スマートフォンのようなモバイル端末が広く普及して以来、人々の可処分時間は従来の新聞やテレビといった大規模マスメディアから、大小問わず様々なウェブコンテンツで消費されるようになりました。インターネット以前の時代は、マスメディアの広告枠自体に「希少性」があったため、広告枠には価値があるものとして取引されていました。しかしインターネット登場後はウェブコンテンツの数だけ広告枠が増えるため、広告枠の「希少性」は徐々に低下してきました。そのため、広告主は広告枠の「希少性」に対してお金を払うのではなく、ウェブ上で実際に計測された広告枠の「パフォーマンス」に対してお金を払うように変化してきています。

現在、広告枠のパフォーマンスは、「CPM(Cost Per Mille)」、つまり1000クリックごとの料金といった指標のように、その広告枠がどれだけクリックされたかというクリック数に基づいて評価し、値段をつける手法が主流となっています。しかし、悪意あるメディアが自動的にウェブページを閲覧して特定の広告枠をクリックするbotを展開することによって、意図的に自社メディアが展開する広告枠の価格を吊りあげたり、あるいは競合他社により高い広告費を払わせるためにクリック数を水増しする、アドフラウドと呼ばれる詐欺行為が横行していたことが発覚し、これが広告業界において大きな問題となっていました。これにより広告主が広告枠のパフォーマンスに見合わない金額を支払っていることが判明しただけでなく、ある会社の製品の広告がテロリストグループがアップした動画の広告として配信された結果、そのブランド価値が大きく傷ついてしまうという事件もありました。このように、広告業界ではどの媒体ならば信頼して出稿できるのか?ということが懸念されるようになっています。

 

アドチェーンレジストリを通じて管理

この問題に対処するため、米アドテク企業のMetaxと、同じくアメリカの分散型アプリケーション構築企業のConsenSysの二社は共同で、データマーケティング協会(DMA)という業界団体と協働し、adChain(アドチェーン)レジストリというドメインの分散型ホワイトリストを始動させると発表しました。adToken(アドトークン)の保有者はコミュニティ内において、特定のドメインの不正や品質を監査する役割を持ちます。

監査の結果ドメインが有効であると承認されればそのドメインはホワイトリストに掲載されます。広告主はこのホワイトリスト上に出稿することで広告効果を得られるため、ブランド価値毀損のリスクやアドフラウドの被害にあうリスクを大幅に下げることができます。時間が経つにつれホワイトリストに掲載されているドメインの広告としてのパフォーマンスに変化が起きることを想定し、一定期間ごとにドメインの更新が行われることも特徴のひとつです。そのたびに、トークン保有者はドメインをコミュニティ内で提案し、再度承認を得ることでホワイトリストへ再掲することが可能になります。

今後の展望

将来テキストマイニング技術などが発達すれば、自動で悪質なメディアを判別することができるようになるかもしれません。しかし、現在はまだ人の目で媒体を精査し、信頼性を担保する他ありません。ここに対して、広告業界と業界団体で結託してガバナンスシステムを築き上げた点で、このアドチェーンレジストリの仕組みは優れているといえるでしょう

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BBC編集部
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