中国でブロックチェーン×AI開発の初となる連合が結成される見通し

2017年9月19日 BBC編集部 0

  2017年9月3日、「AIとブロックチェーンテクノロジーのためのセミナー」が中国の清華大学で開かれました。セミナーではAIとブロックチェーンの融合、及び長期の発展を目指すために、「AI/ブロックチェーン技術開発連合」を発足させる案が出されました。この連合を結成する目的は、AIとブロックチェーン技術の統合を促進し、中国が新技術のグローバルスタンダードを策定することで、テクノロジーに更なる発展をもたらし、より広範な人々に利益をもたらすようにすることとされているようです。 ABCD連合とは? このABCD連合(ABCD Alliance)計画は、中国では初となるAIとブロックチェーンの発展のための連合となる見通しです。ABCD連合の準備委員会の長官である張氏によると、連合は「平等、自主性、相互利益の原則にしたがって、AIやブロックチェーン関連分野の専門家、企業、社会組織などと共に、民主的に運営される。」とのことです。現在、デューク大学、清華大学、浙江大学を含む国内外の有名大学の関連分野の専門家がABCD連合に参加する意向を示しています。 張氏は「AIとブロックチェーン技術の開発は、テクノロジーを発展させて行く上で、通るべき道であり、私たちは研究の協力と情報交換のプラットフォーム構築後援したいと思っています。」と述べています。 AIとブロックチェーンの統合が今後のトレンドとなるか セミナーに参加した複数の専門家によると、AIとブロックチェーンの統合は互いにシナジーを引き起こし、より刺激的で革新的な未来が実現していく可能性について予測しています。中国のITコミュニティーの中で最も大きいとされるCSDN(Chinese Software Developer Network)の副所長である孟氏は、「AIとブロックチェーンの融合はIT業界に新たな風を吹き込むだろう。」と期待感を表明しています。   また、MATRIXブロックチェーンのチーフである李氏は「AIとブロックチェーンの融合は、インターネットの価値を次世代のものにする効果がある。」と述べています。MATRIXブロックチェーンとは、近年話題のトークンエコノミーや商業的なアプリケーションなどではなく、AIとブロックチェーンの両テクノロジーを統合するための機能的なデザインを行っています。 李氏はブロックチェーンとAIの融合は、二つの価値をもたらすと予測しています。一つは、ブロックチェーンを支えるコンセンサスシステムにおいて、AIが人間の代わりとなって意思決定を行ったり、投票を行われるようになることで、人の手による判断が減少することです。二つ目はブロックチェーンによる情報管理システムを使うことによって、効率的にAIの開発を支援できることです。李氏は「ブロックチェーンは時間の空間の融合に使われており、AIは歴史(蓄積データ)を元に未来を予想します。AIとブロックチェーンの融合が行われれば、空間と時間のより近い関係が発見されるかもしれません。」と述べています。 AIとブロックチェーンの融合により、今では考えられないような次世代の技術が登場するかもしれません。今後も連合の動きに注目です。

ブロックチェーンが次世代AIの開発を可能にする

2017年8月28日 BBC編集部 0

ウクライナの複雑系脳科学の専門家であるMaxim Orlovsky博士は、2017年5月20日にウクライナのキエフで行われたブロックチェーンカンファレンスにおいて、ブロックチェーンが最先端のAI(人工知能)開発のトレンドを切り開いている現状について発表しました。 現在、最先端をいくテクノロジー企業の間では、ブロックチェーンとAI開発のふたつの技術がかけ合わさり、ブレイクスルーが起きる可能性に注目が集まっているそうです。実際に、IBMではAI開発に携わっているコグニティブ・コンピューティングの部門と、IoT実現に向けたブロックチェーンを開発しているIoT部門を統合されることが発表されています。 カンファレンス中、Orlovsky博士はAI開発の今後の展望についての見解を示しました。 現在私たちが日常的に用いている、SiriやパーソナルアシスタントにみられるようなAIは、1950~60年代頃のニューラルネットワーク理論を元に組み立てられています。これらのAIは、近年コンピュータの小型化と計算能力の向上が進んだことと、通信技術が発達したことにより、日常的に持ち運ぶデバイス上で使うことができるようになりました。 「シングルエージェント」から「マルチエージェント」へ Siriのような、私たちが今日日常的に利用することができるAIシステムの多くは、「シングルエージェント」と呼ばれるカテゴリーに分類されます。一方で、現在「マルチエージェント」と呼ばれるAI研究の分野が注目を集めています。エージェントとは、知覚された情報に対して何らかのアウトプットをする存在のことで、人間も一種のエージェントと考えることができます。ここでは、人間に代わって複雑な作業をこなす存在のことをエージェントと呼びます。 「シングルエージェント」とはすなわち、1人のエージェントが問題解決にあたっている状況を指します。シングルエージェントでは、単体で処理しきれる情報量に限界があるため、多大な情報量を扱う複雑な問題の解決を苦手としています。そこで、複数のエージェントを用いることで、より複雑な問題に取り組むことができる「マルチエージェント」システムに期待が集まっています。 マルチエージェントシステムで複雑な問題の効率的な解決方法を模索する場合、各エージェントが全体からみたときに最も適切な合意形成を行い、効率的なアウトプットを目指す必要があります。しかし、通常の場合、エージェントはアウトプットに応じて得られる報酬を最大化するという行動原理に従って活動するため、エージェントが複数になったときに、シングルエージェント下では起きない問題が発生します。例えば、エージェント間に処理できるタスク量に性能差がある場合や、意思決定に競合する部分があって「利害の衝突」が発生している場合、同じインプットに対してそれぞれがバラバラの方向性のアウトプットを返してしまうため、全体としての効率性が落ちてしまいます。このように、マルチエージェントシステムでは、各エージェントによって部分的に最適な意思決定が行われるものの、それが全体的に見た場合に最適ではないことがあるため、効率的な意思決定が達成できない場合があります。 また、ハードウェア面でも課題があります。現状、1台のコンピュータのマシンパワーでは多数のエージェントを同時に処理できない場合があるため、複数のコンピュータに跨ってエージェントを配置することがあります。このとき、問題解決にあたるすべてのエージェントに同じデータを与えて、処理を試行するたびに同じように情報の解釈してもらう必要があるため、既存の人の手でコンピュータにデータを与える作業は管理コスト膨大になってしまうことがあります。 コンセンサスアルゴリズムがAI開発に貢献する可能性 このような問題に対して、ブロックチェーンの活用が期待されています。分散型台帳を用いることによって、各エージェント間で同じ情報を効率的に共有できるデータベースとして活用できるだけでなく、ブロックチェーンの根幹をなす「コンセンサスアルゴリズム」をマルチエージェントシステムに用いることで、エージェントとエージェントの間に「利害の衝突」が発生している場合でも、全体最適のとれた最も効率のよいアウトプットに期待することができます。 Orlovsky博士は、ムーアの法則を例にあげ、ニューラルネットワークモデルが実現して世界に広く普及するまで60年の時間を要したことから、今後マルチエージェントシステムが実用可能なレベルで世界に広く普及するまで、およそ30年ほどかかるのではないかとの見方を示しました。今後のAI開発を飛躍的に推し進める変数として、CPUの計算処理能力の向上(あるいは量子コンピュータの登場)、コーディング方法の進化、マルチエージェントによる意思決定モデルの洗練、インターネットの高速化、人間の脳や意識が生まれる仕組みへの理解の深まりなど、数々の要因が考えられます。ブロックチェーンの登場は、AI開発の歴史に一石を投じることになるかもしれません。今後のAI開発にブロックチェーンがどう関わってくるか、注目です。

トヨタがtoB利用に特化したエンタープライズ版イーサリアムに参画

2017年5月25日 BBC編集部 0

2017年5月22日、自動車メーカーのトヨタが企業におけるブロックチェーン技術の標準化を目指す企業連合「エンタープライズ・イーサリアム・アライアンス(Enterprise Ethereum Alliance)」に加盟し、ブロックチェーン技術を自動運転車の開発などに応用する姿勢を明らかにしました。このニュースはトヨタがブロックチェーンの活用に向け動き出したことで、日本のメディアでも大きく取り上げられました。詳しく解説していきましょう。   エンタープライズ版イーサリアムとは?-企業利用に特化 エンタープライズ版イーサリアムは、企業での活用に合わせた形でイーサリアムプラットフォームを構築することを目指しています。既にマイクロソフトやJPモルガン、インテルなど100社を越える企業が参画しており、銀行、経営コンサルティング、ハードウェアなどの幅広い分野での活用に向けて研究が進められています。 通常のイーサリアムは不特定多数がマイニングを行い、また誰もがブロックチェーン上に記録された取引記録を閲覧することができます。そのため企業内部においてブロックチェーンを活用しデータ管理の効率化を図る場合、顧客情報のプライバシーや企業の内部情報のセキュリティに大きな問題となります。そこでスマートコントラクトなどイーサリアムの利点はそのままに、取引記録の生成や承認を行うノードを承認制とし、ブロックチェーン上の情報閲覧を制限する企業内部での活用に特化したプライベートチェーン型のイーサリアムプラットフォームの開発が進められているのです。 パブリックチェーンとプライベートチェーンの違いについてはこちらの記事で詳しく解説しています。 →「パブリックチェーンとプライベートチェーンの違いとは?」   たとえば、米大手生命保険企業のジョン・ハンコック・ファイナンシャルは、資産管理部門の顧客情報共有およびマネー・ロンダリング対策への活用を検討しています。また欧州航空機メーカーのエアバスは、サプライチェーン管理をブロックチェーン上で実行する計画を調査しており、ともにエンタープライズ版イーサリアムを利用して研究を行っています。   トヨタはどのように自動運転車開発にブロックチェーンを活用するのか? トヨタは2017年5月23日に、MIT(マサチューセッツ工科大学)メディア・ラボなど複数のブロックチェーン関連団体との提携を発表し、自動運転車の開発におけるブロックチェーンの活用に向けた取り組みを急激に活発化させています。では具体的に、トヨタはどのようにブロックチェーンを自動運転車の開発に活用しようとしているのでしょうか。 現段階での一番の目的は、メーカー側と個人が走行試験やその実績などのデータを安全に共有することです。安全な自動走行を実現する自動運転車の開発のためには、何千億キロにもわたる人の手による走行データが必要になります。さらに、自動運転車の安全性に対する消費者からの信頼を獲得するためには、これらのプロセスを信頼できる形で公開していければさらに良いと言えるでしょう。ブロックチェーンを用いることで、個人とメーカー間で走行データなどの情報共有を安全に実現できます。将来的にはそれらのデータを活用したカーシェアリングや、走行距離に基づいた自動車保険料算定システムの開発も検討しているとのことです。   ブロックチェーン活用の未来 これまで見てきたように、ブロックチェーンを企業内外での情報共有に用いる考え方が大きく広まってきています。プライベートチェーンの活用によって、権限を付与された複数主体における効率的かつ安全なデータ共有が可能になると言えるでしょう。企業におけるブロックチェーン活用の標準化を目指すエンタープライズ版イーサリアムの今後の動きに注目です。