日立製作所とみずほフィナンシャルグループがブロックチェーンの活用で提携へ

2017年9月27日 BBC編集部 0

2017年9月21日、日立製作所はみずほフィナンシャルグループと提携し、ブロックチェーン技術の導入を進めていくことを発表しました。日立製作所のサプライチェーンマネジメントの分野にてブロックチェーンが活用される見通しです。 日系大手2社が描くサプライチェーンの未来 発表によると、Hyperledger(ハイパーレッジャー)テクノロジーを用いて分散型台帳システムを構築し、10月を目途に2社で共同実験を開始していくとのことです。改ざん不可能な分散型台帳を、サプライチェーン上の製品の受注や運送の記録管理や、オペレーション全般のデータ収集に役立てることを目指しているようです。2社の発表では、理想の状態として全ての取引記録が社内のメンバーの誰にでもアクセスできる状態が掲げられています。 日立製作所内で商品の発注をかける際には、商品の注文、注文の承認、請求書の作成、請求書の承認という、最低でも4段階のステップを経る必要があるそうです。しかし、従来これらのステップは人の手で行われていたため、正確性や信頼性の面に問題がある可能性について指摘されていました。ここに対して、ブロックチェーンを導入して発注フローを整備することで、大幅な効率化につながる可能性があります。また日立製作所は、将来的に自社のIoTプラットフォームであるLumada(ルマーダ)に今回のブロックチェーンプラットフォームを組み込み、データ収集プラットフォームとしてさらに性能を向上させていくことを狙いとしているそうです。 日本発のブロックチェーンプラットフォーム みずほフィナンシャルグループにとって、ブロックチェーンプラットフォームの実証実験を行うのは今回が初めてではありません。2017年7月には、大手総合商社である丸紅株式会社や、損保ジャパン日本興亜株式会社に対して、取引の透明性向上に向けて同社のブロックチェーン技術を提供しています。 また、日立製作所も、2016年3月の段階でアメリカのカリフォルニア州シリコンバレーにブロックチェーン研究所を設立しているほか、ポイントサービスにおけるブロックチェーンの活用方法を確立するなど、積極的な活動をみせています。今後も日本企業発のブロックチェーンプロダクトに注目です。

ネスレ、ユニリーバらがサプライチェーンにブロックチェーン活用

2017年9月26日 BBC編集部 0

2017年8月22日(NY時間)IBMは食品大手10社とのブロックチェーン活用に向けた連携を発表しました。(関連記事)提携企業にはネスレやユニリーバといった世界的企業を含み、インパクトの大きい連携になりそうです。昨今ブロックチェーンは金融分野以外への導入が進められています。その中でもIBMは先進的に多分野でのブロックチェーン活用に取り組んできました。本記事ではこれまでのIBMのブロックチェーン活用に向けた企業とのコラボレーションと、今回の食品業界における大規模連携について紹介します。 IBMによるブロックチェーンのサプライチェーンへの活用事例 IBMはこれまで、多くの企業と提携しサプライチェーン活用を進めてきました。売上高世界一の海運企業であるMaerskとは海運業にサプライチェーンを活用しました。ダイヤモンドなどの分散型台帳を用いた価値保証を行うEverledgerとは、ブロックチェーン技術を提供してきました。今回の大規模提携にも参加しているウォルマートとは2016年10月より提携しており、中国産の豚肉やメキシコ産のマンゴーといった商品の流通経路追跡の実証テストに取り組んできました。ウォルマートの食品安全部門副責任者のYiannas氏はインタビューに対し、これまでのIBMとの連携を好意的に捉えている旨を述べています。 食品大手10社の大規模連携 今回IBMと提携することになったのは、ネスレ、ユニリーバ、ドール、ゴールデンステートフーズ、クローガー、マコーミック、マクレーン、タイソンフーズ、ウォルマート、ドリスコールの10社です。この提携によってIBMと食品販売企業、小売企業を含む大きなグループが誕生し、サプライチェーン技術の生産分野への活用に一歩近づくと言われています。 提携の目的2つあります。ひとつは正確な電子記録を保持することです。もうひとつは鶏肉やチョコレート、バナナのような食品のトレーサビリティを向上させることです。まずブロックチェーン導入によって、データ管理プロセスを改善することができます。現在のデータ管理には農場経営者・ブローカー・卸売業者・加工業者・小売業者・規制当局・消費者が関わっていて非常に複雑です。しかしブロックチェーン技術によって、より正確なデータ管理がよりシンプルにできるようになります。またブロックチェーンで追跡できる情報は、温度、品質、船積日、発送日、設備の安全証明などです。これによりトレーサビリティの正確性とスピードの改善が可能です。現在1つの食品の出所を追跡するのに数週間かかるようですが、将来的に秒単位に改善されることも十分考えられます。 一方ブロックチェーン技術を提供するIBMのこの提携の目的は、ブロックチェーン活用の拡大や食の安全性向上以外にもあると考えられます。それはIBMの既存のクラウドビジネスと融合した関連サービスの将来的な利用を取引企業に促すことです。またIBMのブロックチェーン部門の副責任者のBrigid McDermott氏は、将来的にProof of Concept(PoC, プルーフ・オブ・コンセプト)の領域のビジネスにも取り組むと述べています。ブロックチェーンのサプライチェーンへの導入はますます盛り上がっていきそうです。

GameCredit社がセルビアのブロックチェーンカンファレンスを支援

2017年9月25日 BBC編集部 0

GameCreditss社は、2017年8月26日に開催された「Blockemon 2017」というイベントにスポンサー企業として参加しました。Blokemon 2017は、セルビアで開かれた史上最大規模の企業によるブロックチェーン会議です。MicrosoftやIBMをはじめとするIT系の大企業や、Lykke社、BraveNewCoin社をはじめとするブロックチェーンのリーディングカンパニーらがスピーカーとして参加しました。様々な業界がブロックチェーンの進出によって塗り替えられていくなか、オンラインゲームの分野に目をつけたのがGameCreditss社でした。GameCreditss社は、ユーザー目線であるゲーマーや開発者の目線にたち、ゲーム産業に安全かつ便利な金融プラットフォームを提供することを目的にしています。 ゲーム業界における中央集権構造を破壊する すでに、150のデベロッパーと300のゲームがGameCreditss社が提供するモバイルストア、及びプラットフォームを利用する契約を結んでいます。GameCreditss社チームによると、彼らのブロックチェーンプラットフォームは、Google PlayやApple Storeのように、30パーセントのコミッション料をとったり、支払いまで60日間の期間をとったりすることはないとのことです。透明性の高い分散型金融ネットワークにより、開発者は従来のように金融会社の都合で行われる決済を待つことなく、開発資金にアクセスすることができます。 GameCreditss社についてはこちらから http://businessblockchain.org/about-cryptocurrency-gamecredits   ゲームのデベロッパーに対して、ブロックチェーンとトークンエコノミーの有効性をアピールするために、GameCreditss社は世界各地で行われるハッカソンに対しても積極的にスポンサー支援を行っているようです。今回のBlockemon会議では、ゲーム業界内各社を代表するエンジニアが終結し、48時間内に分散型のアプリケーションを作るコンペが行われました。コンペに参加したGameCreditssとMobileGoのチームは、自身のブロックチェーン開発経験の強みを生かし、11チーム中1位という見事な結果を残しています。 GameCreditss社は「48時間という時間的制約の中で、チームはプルーフオブコンセプトの仕組みによって、ゲーム開発者がアプリケーションをアップロードできるサービスを開発しました。そこからチームはゲームのプレイヤー誰しもがゲームのマッチ(試合や勝負の様子を収めた動画)を投稿できるようにしました。そのような機能を元に、ユーザーがアプリケーション上にアップロードされたゲームマッチの勝敗に賭けられるようにしました。」とインタビューに答えています。 スマートフォンの普及以来、ゲーミング市場がモバイル端末にまで拡大し成長を続けている昨今ですが、ブロックチェーンを携えたGameCreditss社の今後の動向に注目です。  

ブロックチェーンが採用市場を変える

2017年9月22日 BBC編集部 0

  金融分野に限らず、ブロックチェーンは今後様々な業界の市場を塗り替えることが期待されています。今回ご紹介する、採用市場も例外ではありません。プロフェッショナルの採用に特化した分散型ソーシャルネットワークであるIndorse(インドース)と、ブロックチェーンベースのシステムが採用されている人材市場のbitJob(ビットジョブ)は今までの学生の就職までの流れを変えようとしています。 bitJobとIndorseが個人のスキルを可視化する bitJobは、ネットワーキング、支払い、報酬の受け取り、インセンティブの設定が行えるオンライン上のサービスです。このシステムはEthereum(イーサリアム)ベースのブロックチェーン上で運用されており、学生はbitJob上に自身の履歴書やポートフォリオをアップロードし、そのデータを用いることでbitJob内外の求人に応募することができます。雇用者は候補者の履歴書データや評判をみることができ、選考を進めることができます。 現在、bitJobは学生のデータの信頼性をさらに高めていく目的で、Indorseとの連携を進めています。Indorseは個人のスキルをブロックチェーン上で管理するサービスです。Indorse上の過去の実績をアピールすることで新たに仕事を受注することができます。bitJobを利用している学生は、Indorseから与えられた記述式テストに答えることで、自身のスキルを改ざんできない形で可視化し、雇用者に対してさらなるアピールをすることができます。 可視化されていない?企業が学生に求めるスキルとは 近年グローバル化が進み人材競争が加速した影響により、入社時の学生に求められる経験やスキルは年々高くなっているそうです。しかしそんな状況にもかかわらず、企業が学生に対して求めているスキルは可視化されているとは言いづらく、学生が社会に進出する前に何を学ぶべきかが伝わっていない、という状況があります。このbitJobとIndorseのパートナーシップは、圧倒的な人材競争率を誇る業界において、学生が一歩前に出るための足がかりとなるでしょう。bitJobは、勤勉な学生に対して素晴らしい機会を透明性の高い方法で提供する、革新的なプラットフォームです。シェアリング市場の規模が拡大しているなか、bitJobは雇用者と被雇用者を初めて真のP2P方式で繋ぐ、ハイブリッドなブロックチェーンプロジェクトとなるでしょう。 近い未来、ブロックチェーンやAI技術によって現在存在している仕事の約半分がなくなると言われていますが、今後就職活動がどのような進化を遂げていくのか、今後も目が離せないでしょう。

IntelとTencentがIoT×ブロックチェーンの開発で提携へ

2017年9月21日 BBC編集部 0

  2017年9月、中国大手IT企業であるTencentは、IoT製品におけるセキュリティ向上に向けた、ブロックチェーン技術の開発に関して、アメリカのIntel(インテル)と提携して進めていくことを発表しました。両企業は、中国江蘇省南部にある無錫市(Wuxi)に拠点をおく、TUSI(Tencent User Security Infrastucture) IoTラボという、Tencentの顧客情報を保管するセキュリティ基盤へとブロックチェーンを導入することを目指しているようです。 IoT時代におけるセキュリティ問題 ブロックチェーンを用いた分散型台帳は、第三者による改ざんが実質的に不可能といわれており、重要な情報を保管する際に有効に活用できることが期待されています。身の回りの様々なモノがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)時代がこれから到来することが予測されていますが、身の回りの製品がハッキングを受けることにより、外部から不正に機器が操作されてユーザーが危険な事態に陥ったり、プライバシーが侵害されるといったような被害が発生する可能性についても懸念されています。しかし、ブロックチェーンを用いた高度なセキュリティを構築することによって、これらの被害を未然に防げることが期待されています。 中国の産業開発特区「Wuxi」とは? 今回Tencentは江蘇省にて、「Wuxi HIgh-Tech Industrial Development Zone」と呼ばれる、産業開発特区とともに、中国内で初めてとなるIoT技術専門のラボ(The TUSI IoT laboratory)を設立しました。無錫市(Wuxi)は、数々のIoT産業のホームとして知られている都市であり、日本円にして約410億円もの巨大な収入を誇るそうです。 このラボでは、重要な産業テクノロジーに関連した幅広い活動を展開しており、新技術のテストとその結果の検証や、旧テクノロジーから新テクノロジーへの移行に関する問題、また他のテクノロジーとの融合や新規サービスの立案などに重点を置いて、研究、開発を行っているようです。 TUSI IoTラボは、「パスワードを必要としないスマートシティ」の創設を目的としており、健康、公共交通機関、警察、さらには教育まで、活用方法を探っているようです。今後Wuxiから登場してくるであろう最先端のIoT製品と都市計画に注目です。

中国でブロックチェーン×AI開発の初となる連合が結成される見通し

2017年9月19日 BBC編集部 0

  2017年9月3日、「AIとブロックチェーンテクノロジーのためのセミナー」が中国の清華大学で開かれました。セミナーではAIとブロックチェーンの融合、及び長期の発展を目指すために、「AI/ブロックチェーン技術開発連合」を発足させる案が出されました。この連合を結成する目的は、AIとブロックチェーン技術の統合を促進し、中国が新技術のグローバルスタンダードを策定することで、テクノロジーに更なる発展をもたらし、より広範な人々に利益をもたらすようにすることとされているようです。 ABCD連合とは? このABCD連合(ABCD Alliance)計画は、中国では初となるAIとブロックチェーンの発展のための連合となる見通しです。ABCD連合の準備委員会の長官である張氏によると、連合は「平等、自主性、相互利益の原則にしたがって、AIやブロックチェーン関連分野の専門家、企業、社会組織などと共に、民主的に運営される。」とのことです。現在、デューク大学、清華大学、浙江大学を含む国内外の有名大学の関連分野の専門家がABCD連合に参加する意向を示しています。 張氏は「AIとブロックチェーン技術の開発は、テクノロジーを発展させて行く上で、通るべき道であり、私たちは研究の協力と情報交換のプラットフォーム構築後援したいと思っています。」と述べています。 AIとブロックチェーンの統合が今後のトレンドとなるか セミナーに参加した複数の専門家によると、AIとブロックチェーンの統合は互いにシナジーを引き起こし、より刺激的で革新的な未来が実現していく可能性について予測しています。中国のITコミュニティーの中で最も大きいとされるCSDN(Chinese Software Developer Network)の副所長である孟氏は、「AIとブロックチェーンの融合はIT業界に新たな風を吹き込むだろう。」と期待感を表明しています。   また、MATRIXブロックチェーンのチーフである李氏は「AIとブロックチェーンの融合は、インターネットの価値を次世代のものにする効果がある。」と述べています。MATRIXブロックチェーンとは、近年話題のトークンエコノミーや商業的なアプリケーションなどではなく、AIとブロックチェーンの両テクノロジーを統合するための機能的なデザインを行っています。 李氏はブロックチェーンとAIの融合は、二つの価値をもたらすと予測しています。一つは、ブロックチェーンを支えるコンセンサスシステムにおいて、AIが人間の代わりとなって意思決定を行ったり、投票を行われるようになることで、人の手による判断が減少することです。二つ目はブロックチェーンによる情報管理システムを使うことによって、効率的にAIの開発を支援できることです。李氏は「ブロックチェーンは時間の空間の融合に使われており、AIは歴史(蓄積データ)を元に未来を予想します。AIとブロックチェーンの融合が行われれば、空間と時間のより近い関係が発見されるかもしれません。」と述べています。 AIとブロックチェーンの融合により、今では考えられないような次世代の技術が登場するかもしれません。今後も連合の動きに注目です。

イリノイ州が出生証明書をブロックチェーンで管理へ

2017年9月14日 BBC編集部 0

2017年8月31日、北米イリノイ州の政府が出生証明書のデジタル化に向けて、ブロックチェーンによる管理システムのテストを開始したことを発表しました。州政府は、ブロックチェーン上でIDを管理するプロジェクトの実績があるEvernym社というスタートアップ企業と協力し、試験プロジェクトの実施に向けて準備していくようです。 イリノイ州のブロックチェーンビジネス広報担当者であるJennifer O’Rourke氏によると、現在開発中のプラットフォームは、個人が一生涯に渡って使うことができる、個人IDを一元管理できるツールの元となる可能性があるそうです。 ブロックチェーンスタートアップを支援しているイリノイ州 O’Rourke氏は「このパイロットテストでは、法人や政府などの公的機関が、個人のIDが必要となってくる場面において、その正当性を証明することができるようになる可能性があります。」とインタビューに答えています。今回のパイロットバージョンのプログラムでは、子どもの出生にあたり、両親や医師が公式に子どもの情報を登録できるブロックチェーンベースのツールを開発し、テストするようです。これらのツールは、World Wide Web Consortium(W3C)内にある、特別チームによって開発されているそうです。 このプロジェクトは「イリノイ州ブロックチェーンイニシアチブ」と呼ばれる大きなプロジェクトのなかの一部であるそうです。イニシアチブ全体の目的として、州のブロックチェーン企業にとって好ましい環境の創出と、政府がブロックチェーンを構築する際の障壁を排除することが挙げられています。このイニシアチブのパートナー機関には、国務貿易省(DCEO)、保険局(DOI)、および革新技術局(DoIT)が含まれています。 個人のIDが出生時からブロックチェーンで管理される時代へ 州政府機関は、出生時に個人の登録データを確認するだけでなく、個人の名前、生年月日、血液型などに関連する情報を暗号で署名します。その情報は、個人が法的な成人になるまで、法的な保護者によって承認された場合にのみアクセス可能な、改ざん不能の分散型元帳に保管されるそうです。 個人のIDとブロックチェーンの分野は現在非常に注目を集めている分野です。これからも様々な形で、政府主導のIDプロジェクトが出てくる可能性があります。引き続き、ブロックチェーンの活用方法について注目です。   分散型IDについてはこちらから http://businessblockchain.org/decentralized-identity-foundation-announced-formation

就活×ブロックチェーン?高等教育機関が学位偽造を防ぐために、ブロックチェーンの導入を検討

2017年9月7日 BBC編集部 0

イギリスの Knowledge Media Institute 大学の責任者で、通信教育を専門とする John Dominique氏は、ブロックチェーン技術の高等教育への活用を訴えるエヴァンジェリストです。Dominique氏は、ブロックチェーンの改ざん困難性について述べた上で、「この技術を駆使して誰でも閲覧が可能で安全なデジタル台帳を作成し、各大学がブロックチェーン上で卒業生の学位を管理すれば、理論上は新入社員が履歴書に書いている学歴に嘘があるかどうかを企業側が確認する作業をなくすことができる。全ての大学には、学位の不正を確認している小規模のチームが存在しているが、ブロックチェーン上で記録を管理し、検証できるようにすることでこれらのチームは不要になるだろう。」と主張しています。 その学位はホンモノ?学位偽造が問題になっているイギリス イギリスでは、高等教育データチェック(Higher Education Degree Datacheck, HEDD)と呼ばれる偽造書類による就職防止のための中央管理型システムがすでに稼働しています。このシステムにより、だれがどのような学位を持っているのかを簡単に把握することができます。学位の改ざんはイギリスでも非常に深刻な問題として捉えられており、4人に1人が履歴書で学位に関する嘘を記載しているとのデータが発表されています。 このシステムによって大幅なコストの削減が可能になりましたが、それでも調査1件につき、12ポンドのコストがかかっています。しかしブロックチェーン技術を使用すれば、より早くかつ安く調査を行うことができるようになります。Dominique氏は「学位を誤魔化すほど、信憑性を確認するためのコストが高くなる。ブロックチェーン上で応募者の所属している学校機関の成績情報を検索できるシステムを構築すれば、雇用者は低コストでより多くの応募者の学位の確認ができるようになる。」と指摘しています。 また、ブロックチェーンのさらなるメリットとして、紛争のような非常事態によって大学本体が機能しなくなったとしてもシステムを利用できる点が挙げられます。例えば大学での学びを避難先のヨーロッパで再開したいと思うシリア難民は、彼らの母校に確認を取らなければいけません。しかし、その学校機関が戦闘に巻き込まれて廃止・破綻してしまった場合、学位記録の確認が非常に困難となります。しかし、ブロックチェーン上に全ての証明書のデータが入っていれば、すぐにこの問題を解決することができるようになります。 プライバシー問題と企業の採用方法の今後 このように一見便利なように聞こえるシステムですが、不特定多数の人に自身の学位を参照されてしまうため、プライバシーの管理が重要になってきます。コンプライアンスの観点で考えると、全学生の学位に関するデータが第三者によって参照できる状態は倫理的に問題があります。この問題に対してDominique氏は、学位に関する証明書を暗号化して制限時間を設けた解除鍵を雇用者に付与することで、この問題を解決できると述べています。Dominique氏はイギリスに存在する全大学にブロックチェーン上に全ての学位記録を置くべきだと主張しているそうです。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン及びインペリアル・カレッジ・ロンドンと協議中であり、好意的な回答を得ていると同氏は述べています。 また、同氏は採用条件で必要な資格が明確に定義されている分野(データサイエンスなど)においては、今後従来の採用プロセスとは違う方式がとられるようになる可能性について予測しています。採用担当者は、ブロックチェーン上の学位記録から、特定の分野を学んだ候補者をフィルタリングしたりすることも可能になり、無数の職務履歴書を全て読む必要も無くなります。結果的により効率的に適切な候補者を選ぶことができるようになります。 高等教育機関とブロックチェーンの未来 2016年10月に、マサチューセッツ工科大学メディア研究所は、Blockcertsを発表しました。このソフトウェアはブロックチェーン上で学歴証明書を管理するために開発されています。しかし、技術的な課題も未だに存在しており、応募した仕事に関連する資格情報のみを開示可能にするなどといった改良を加えています。 また、このようなブロックチェーンを利用した資格検証システムの構築は、政府主体ではなく民間主体の運営で行われる可能性もあります。例えば、ロンドンに拠点を置くGradbaseというベンチャー企業が例として挙げられます。。大学を卒業した者に就職活動に必要な履歴書に添付するQRコードを与えることにより、採用担当者は彼らの学歴の正当性を確認することができるシステムを開発しています。このように、アカデミックな世界においてもブロックチェーンを大いに活用することができます。今後の発展に期待です。  

インドの保険業界13社が分散型台帳導入に向けて企業連合を形成

2017年9月1日 BBC編集部 0

  2017年8月、インドに拠点をおく13の保険会社が企業連合を組み、連合内で分散型台帳を用い、顧客管理の効率化を進めることを発表しました。分散型台帳上で顧客情報を共有することで、ユーザー側が新規契約を結ぶ際に重複する個人情報登録手続きなどを省略することが可能になるため、利便性の向上が見込まれているようです。 ユーザーにとって、乗り換えコストが最小限に 発表に際し、HDFC Life Insurance社の副代表を務めるAkshay Dhanak氏は「これまでのように各社がそれぞれのシステム上でデータの保管やテストを行う場合に比べて、ブロックチェーン上で同一の情報を会社を跨いで1か所にまとめることができれば、はるかに少ないコストでシステムを維持できる」と述べました。 今まではユーザーが保険商品を契約するたびに、KYC(know your customer)と呼ばれる本人確認作業が必須でした。また、保険商品によっては医療機関による診断書、給与明細書など、数種類の書類を用意する必要がありました。しかし、これらの作業はユーザーにとって負担が大きいだけでなく、重要な個人情報の移動に伴う書類の紛失など、重大なリスクも懸念されます。また、契約を他社に乗り換える場合は同様の手続きをもう一度行う必要があったため、ユーザーにとって保険契約の乗り換えのために多大なコストが発生していました。しかし企業連合内で分散型台帳を用いれば、これらの書類を一度提出するだけで、ユーザーは連合内の保険商品であれば気軽に購入できるようになります。 Fintechとブロックチェーンの今後 PwCのGlobal Fintech Report 2017によると、2020年までに決済、送金、デジタルID認証といった用途に用いるため、fintech(フィンテック)に携わる事業者のうちおよそ77%が何らかの形でブロックチェーンを活用することになるだろう、と予想しています。 IndiaFirst Life InsuranceのMohit Rochlani氏は、顧客情報の共有実現のために、連合内で足並みを揃えて、今後協調的にブロックチェーンの導入されていく展望ついて述べました。顧客情報の共有に関して、まだ法的な課題を乗り越える必要があるとしつつも、その先の未来にて実現する大幅なコスト削減と効率向上に期待感を示しました。 今回の13社が共同して分散型台帳を導入する計画は、国際的に活動するコンサルティングファームであるEY社が中心となって複数の外部テクノロジーパートナーと共に進めているようです。EY社のSachin Seth氏は、EY社がHyper Ledger、MultiChain、Cordaといった複数のプラットフォームとのパートナーシップを持っていることを述べた上で、保険業界のビジネス運用において、処理可能なトランザクション量や相互運用性などの点で最適な特徴をもつプラットフォームを模索していくことを示唆しています。 保険詐欺の検知にも使えるブロックチェーン 今回の発表で、13社による企業連合は「顧客データベースの共有による透明性向上と手続きコストの大幅な削減は、企業にとって、また顧客にとってもメリットのある仕組みである」と述べています。IDBI Federal […]

イギリスの汚染タマゴ問題に見るブロックチェーンの可能性

2017年8月31日 BBC編集部 0

  2017年8月、ヨーロッパで流通している食用卵が、人体に健康被害を及ぼすanti-lice agent(抗寄生虫剤)に汚染されていたことが判明し、大きな問題になっています。イギリスの食品基準庁の発表によると、薬剤は主にオランダやベルギーで使用されており、イギリス国内において確認されている範囲で21,000個の汚染された卵が流通していたとのことですが、被害の全容は未だつかみ切れていない様子です。 2017年3月にはブラジルで発がん性物質が含まれる鶏肉が出荷されていた食肉不正問題が話題になるなど、食品による健康被害問題が世界中で後を絶ちません。しかしこのような問題は、ブロックチェーンの導入によってその解決に期待できるかもしれません。 食のサプライチェーンを次のレベルへ 食品業界のサプライチェーンは大きく複雑です。生産者から数多くのプレイヤーを中継することで、最終的に消費者の元に食品が届けられます。しかし、その過程の取引が電子化されていなかったり、取引記録が各事業者のドメイン内で管理されていることもあり、サプライチェーンを俯瞰して食品の流通経路を完璧に、迅速に辿ることは難しくなっています。。今回の汚染卵の事件でも、スーパーマーケットがこの問題に直面し、問題の原因特定まで数日に渡る時間がかかっている模様です。しかしこの複雑なサプライチェーンも、ブロックチェーンを活用することによって迅速に問題の原因を特定できるようになると考えられています。ブロックチェーンを用いることの長期的なメリットは以下の5つがあると考えられます。 1. 食品の信頼性の向上→ブランド価値向上 / 食品偽装の減少 2. 被害拡大防止がしやすくなる 3. 配送品質の向上 4. サプライチェーンにおけるコスト削減→利益率向上 5. 環境問題解決への貢献 ブロックチェーンは複雑なアルゴリズムによって守られており、取引記録が改ざんされる恐れが非常に低いです。また、分散型台帳を辿れるようになることで流通経路の透明化され、製品の出所を正確に把握することができるため、食品偽装の減少にも期待することができます。これは長期的にはブランド価値を高めることにつながり企業にとって大きなメリットとなります。 万が一食品の汚染が発覚した際も、分散型台帳で流通経路を辿ることで、考えられる汚染の原因を短時間で特定できます。それだけではなく、その食品がどのエリアに流通したのか瞬時に把握できるため、被害の拡大防止策を今まで以上に早く実施することができます。 さらに、ハードウェア面でもブロックチェーンの恩恵を受けられるかもしれません。ブロックチェーンとIoTを組み合わせることによって、鮮度管理が徹底した配送を実現することができるようになるでしょう。例えば、ケニアの養鶏場からイギリスに届けられる卵は、その運搬過程で最低4℃から最高10℃までと、冷蔵温度に大きな幅がありますが、ブロックチェーンとIoTと結びつけることによって、このような状態が可視化され、今後配送品質が向上する可能性があります。 また、支払いに暗号通貨(仮想通貨)を用いる場合、銀行などの第三者機関に手数料を支払う必要がなくなります。サプライチェーン上の各事業者が銀行を介さずに暗号通貨で直接取引するようになれば、業界全体で大幅なコスト削減につながるでしょう。各事業者は削減されたコストの分、利益率を上げることができます。 そして最後に、ブロックチェーンの導入が、今後環境問題の解決にも貢献する可能性があります。保全生態学者のGuillaume Chapron氏はこれまでの自然資源の過剰消費や環境汚染は、説明責任のないビジネスを行う者によって引き起こされたと述べています。しかしブロックチェーンにより、企業の製品製造過程で環境に与えた負荷が明確になることで、環境への配慮を促進され、環境汚染が改善される可能性がある、とChapron氏は主張しています。 IBMの大規模コラボレーション  食品サプライチェーンにブロックチェーンを導入する動きは既にでてきています。実際に2017年8月23日、IBMはDole、Driscoll’s、Golden State Foods、Kroger、McCormick and Company、McLane […]