「ポストICO」時代、中国政府によるブロックチェーン技術への取組を完全解説

2018年5月11日 BBC編集部 0

2017年の9月、中国政府のICO完全禁止令はブロックチェーン業界にとっては大きな打撃でした。その後、中国政府はブロックチェーン技術にどういう措置をしたのか、気になる方が多いと思われます。この度、ブロックチェーンビジネス研究会のリサーチチームが、「ポストICO」時代、中国政府によるブロックチェーン技術への取込を解説いたします。

各国大学ブロックチェーン教育の最新取組状況 [2018年版]

2018年5月7日 BBC編集部 0

はじめに 急成長中のブロックチェーン業界は人材不足という課題に直面している中、大学でのブロックチェーン人材育成は期待されています。今回、ブロックチェーンビジネス研究会のリサーチチームがブロックチェーンシンクタンクBlockDataの『全世界大学ブロックチェーンカリキュラムレポート』を解説し、読者の皆様に各国大学のブロックチェーン教育の最新取組状況についてお伝えします。   1.ブロックチェーンカリキュラム開設大学数、米中二強、日本は九州工業大のみ ブロックチェーンカリキュラムを始めた大学の多くは各国の有名大学で、中国では清華大学、浙江大学、中央財政大学など。米国ではプリンストン、スタンフォード、マサチューセッツ工科大学など。イギリスではオックスフォード、ケンブリッジなどがリストに挙げられました。 米国の4大学とイギリスの2大学でブロックチェーンカリキュラムが2014年に始めて開設した事に気づきました。この開設は、技術の発展と一致していて、アメリカが発祥地で、ヨーロッパは発展の先頭に位置してました。2017年までは、このブロックチェーンカリキュラムを行なってる学校の数にあまり変化は見られませんでした。しかし今年になって急変し、最初の4ヶ月(秋に実施すると決定も含む)だけで、2017年の数を大きく上回りました。     2.日本の大学において、ブロックチェーン教育の現状 日本にある多くの有名大学も、九州工業大学のように専門講義を行っていないが、ブロックチェーン技術及びその応用に対しての研究を各自大学の研究会で行ってます。例えば、慶應義塾大学SFC研究所では2016年に村井純教授が「ブロックチェーンの技術に関する調査研究と課題を共有する国際連携会議体の推進」を目的とされたブロックチェーン・ラボを開設しました。今年の2月に早稲田大学でも研究科内でブロックチェーン講義を行ったりと多くの場でブロックチェーン技術などが述べられてます。   3. 大学発ブロックチェーンプロジェクト紹介 上記の27大学以外でも、一部の国と地域の大学ではブロックチェーンについての研究を行っている、その中でも韓国とイスラエルが最も力を注いでいます。 韓国にある多くの大学はブロックチェーンに関与しており、ランキング三位の学校延世大学校はもう一校の有名大学浦项工科大学(Postech)と共同でブロックチェーンキャンパスを構築する協定を結んだ。 東国大学は、ブロックチェーン・リサーチ・センターを中心に研究を進める事を韓国の電気通信サービス会社セジョン・テレコムと契約を交わし、そして東国大学とセジョン大学のためのエテリアムベースのブロックチェーン・エコシステムを共同で創設すると表明した。 西江(ソガン)大学はすでにブロックチェーン実験プランをリリースしており、ブロックチェーンベースの支払いシステムに終着した。 ORBSは、イスラエルの「ブロックチェーンの母」として知られるIdit Keidarをコースコンサルタントとして招き入れました。彼女は、イスラエル工科大学の学長を務め、数多くの分散ネットワークシステムの開発に参加しながら、100以上の論文を発表し、5,300回引用されています。   付録:各国大学ブロックチェーンカリキュラムの詳細 大学名 開始年 国 カリキュラム詳細 […]

ゼロ知識証明とは?ZCash、Ethereumの基盤技術:情報の中身を相手に知らせずに、正しい情報を知っていることを伝える方法

2017年12月13日 BBC編集部 0

ゼロ知識証明とは? 近年、暗号通貨(仮想通貨)コミュニティの間で話題になっている「ゼロ知識証明」、またの名を「Zk-Snark」と呼ばれる技術について紹介していきます。ゼロ知識証明とは、ある人(証明者)が別のある人(承認者)に対して、与えられた情報が「真実である」ということ以外の情報を相手に与えずに、その情報が実際に「真実」であることを証明する手法のことです。 例えば、こちらの実験について考えてみてください。仮に、ここに色を判別することができない「色盲」の方がいらっしゃったとしましょう。そして、ここにそれぞれ色の違う2つのボールがあるとします。 あなたの目にはこの2つが違うボールであると区別することができますが、色盲の方には、2つのボールがまったく同じものに見えていると仮定します。さて、ここで問題です。あなたはこの色盲の方に対して、2つのボールが異なるものであることを証明することになりました。どっちがどのボールであるか、またそれぞれのボールがどの色なのかという情報を、相手に一切与えずに、自分が「2つのボールを見分けることができる(=正しい情報を持っている)」ことを、色盲の方に証明するにはどうすればよいでしょうか?   ここで、ゼロ知識証明の出番です。あなたは下記のような実験をします。 まずはじめに、色盲の方がボールを両手にひとつずつ取り、背中に手を回して隠します。次に、色盲の方が片方のボールをとりだし、あなたに見せます。そして、もう一度ボールを背中に隠したあと、また2つのうちひとつのボールをあなたに見せて、最初に見せたボールと同じものであるか、異なるものであるかを尋ねてきます。色盲の方はボールの色の情報については知りませんが、自分が今どっちのボールを相手に見せているかについて、把握しています。この試行を数回繰り返して、1回目にみせたボールと2回目にみせたボールが、すり替わったかどうかについて答え続けることになります。ここで、色盲の方があなたにどちらのボールをみせるかについては、50%の確率で固定されているものとします。 あなたはボールの色をみることで、ボールがすり替わったかどうかについて「YES/NO」で確実に答えることができます。しかし、2つのボールの区別がつけられない状態でこの試行に挑戦すると、正答率は50%に収束していきます。 すなわち、この試行を何度か繰り返して試行に対する正答率をみることで、あなたが正しい知識を持っているかどうか(本当にボールの区別がつくのかどうか)がわかります。例えばこの正答率50%の試行を10連続でクリアできる確率は1/1024なので、ある程度試行回数を重ねることで、本当に知識を持っているのかどうかについて、知識そのものの情報を相手に知らせずに証明することができます。ゼロ知識証明も、これとまったく同じような仕組みを用いて、相手に情報の中身を一切知らせずに、自分が知っている情報が正しいことを相手に証明します。 情報の中身について公開せずに、知っていることを伝える 今回話題になっている、暗号通貨領域におけるゼロ知識証明では、このボールの色ではなく、ランダムな文字列である「ハッシュ」という情報を用います。証明者(ボールの判別をする人)は、承認者(色盲の人)に対して、試行を通して実際のハッシュの値を公開することなく、ハッシュに関する知識の証明をします。ある規則を用いて元のハッシュを別の値に変換し、「ハッシュ変更の規則は?」「ハッシュ変更後の値は?」という2つの問いかけのうちひとつを証明者に対して問いかけます。(2つとも問いかけると、元の値が明らかになってしまうため、問いかけられるのは片方のみです。)元のハッシュの値を知っていれば、確実に正解を出せるため、同じように試行を繰り返して、本当に正しい知識を保有しているのかどうか、判別していきます。 なぜ現在、このゼロ知識証明のことが話題になっているのでしょうか?暗号通貨のどの領域にこの技術を用いることができるのでしょうか? zk-SNARKとは? 流通量が8億4000万ドル以上もの流通量を誇る暗号通貨であるZCash(ジーキャッシュ、ZEC)は、このゼロ知識証明という技術によって支えられています。ZCashは、ゼロ知識証明を用いることで、トランザクションの完全なプライバシー(匿名性)を実現した世界初のパーミッションレス型の暗号通貨です。ZCashは、シールド(アドレスの匿名化)をネットワークのうちの広範囲に適用することで、攻撃者にとって目当てのトランザクションを掘り当てるコストを大幅に増大させています。これによって攻撃をするインセンティブを削ぐことで、ネットワークの安全性を保つ試みをしています。 ZCashは、ZCashが開発した「zk-SNARK」と呼ばれるゼロ知識証明技術によって支えられています。ZCashは、このzk-SNARKsを用いて、トランザクションのアドレスや送金額といったプライバシーにかかわる重要な情報を隠したまま、トランザクションの正当性を証明することができます。 ZCashは、匿名トランザクションの送り主が、トランザクションの正当性についての試行をクリアすることでネットワークの安全性が担保されています。 ・各匿名トランザクションの、アウトプット値とインプット値の総和が算出されます。 ・送り主は、インプット値のプライベートキーを持っていることを証明することで、トランザクションを使用する権利を入手します。 ・インプットノートのプライベート使用キーは、トランザクション全体の署名と暗号で結びつけられます。このようにして、トランザクションがこのプライベートキーを知らない人によって改ざんされる恐れをなくします。 ZCASHは、①一般アドレスから一般アドレスに送るパブリックトランザクション(一般アドレスは情報が匿名かされていないので、トランザクションの内容が完全に公開されている)、②一般アドレスから匿名アドレスへのトランザクション、③匿名アドレスから一般アドレスへのトランザクション、④匿名アドレスから匿名アドレスへのトランザクション(完全非公開のトランザクション)、の4つの使用パターンにわかれます。このように、プライバシーを保つ技術が確立している点で素晴らしい一方で、マネーロンダリングといった用途に使われることも懸念されています。ビットコインと違い、ZCashでは誰がどんな取引をしたのか特定することはできません。   イーサリアムに導入されたzk-SNARK 最近行われたEthereum(イーサリアム)のByzantiumアップグレードによって、イーサリアムにこのzk-SNARKsの機能が追加されたことで話題になりました。イーサリアムのスマートコントラクトに、この承認アルゴリズムの技術基盤が組み込まれました。イーサリアム上でzk-SNARKsを用いることで、トランザクションのアドレスや送金額といったプライバシーに関わる情報を隠したまま、トークンを送金することができるようになりました。 2017年11月に行われたDevCon3という開発者向けのカンファレンスで、The Open […]

【ライトニングネットワーク上でのアトミックスワップ】解説記事

2017年11月20日 BBC編集部 0

注目が集まるライトニングネットワーク(Lightning Network)とアトミックスワップ(Atomic Swap) Segwitのアクティベート以来、ビットコインブロックチェーンの署名格納方法が変更されたことで、異なるブロックチェーン間で暗号通貨(仮想通貨)レートに応じて同量のトークンを交換する「atomic swap(アトミックスワップ)」に注目が集まっていました。2017年11月16日、Lightning Labsはライトニングネットワークのテストネット上で、bitcoin(ビットコイン)とLitecoin(ライトコイン)のクロスチェーン・アトミックスワップに成功したことを発表し、大きな注目を集めています。今回の記事では、アトミックスワップとライトニングネットワークの概要、ライトニングネットワーク上のスワップについて説明していきます。 アトミックスワップとは? そもそもクロスチェーン・アトミックスワップとはなんでしょうか。簡潔に説明すると、この言葉は「それぞれ異なるブロックチェーン上にある資産を、ブロックチェーンをまたがって交換を行うこと」を指しています。これは、トランザクション(取引)の「原子性」が保障されたときに、初めて可能となるため、「アトミックスワップ(原子的な交換・両替)」と呼ばれています。 原子性とは? ここでいう原子性とは、なんでしょうか。コンピュータ・サイエンスの分野において、トランザクションシステムが持つべき4つの性質を総称した【ACID特性】というものがあります。このACIDのA(Atomic)に該当するのが、原子性になります。 トランザクションの「原子性」がある状態とは、トランザクションのプロトコルが「AさんとBさんの資産の交換が成功に終わる」、あるいは「AさんとBさんの資産の交換がまったく行われない」という2つの状態のみに収束している状態のことです。すなわち、原子性がある状態では、すべての取引は「All or Nothing」に帰結します。この状態がシステム上で保障されていることで、「AさんがBさんにお金を渡したけれども、Bさんからは何も返ってこなかった」という、資産交換時に相手に持ち逃げされる「リスク」を回避することができます。トランザクションの原子性は、お互いに信頼関係がないプレイヤーの間で取引を行う場合、必須の要件となってきます。 あらためて、ライトニングチェーン上のアトミックスワップとは? ここまでアトミックスワップとは何か、について説明して参りました。ここからは、ライトニングチェーンなどのシステムの部分について、理解を深めていきたいと思います。 今回のライトニングネットワーク上でアトミックスワップが成功したというニュースが話題になっているのは、異なるブロックチェーン間で価値を交換できる技術が実証されたという点もありますが、それ以上に、ライトニングネットワークを利用することによって得られる魅力的なメリットが複数あるから注目されているのだと考えられます。 ひとつは、取引スピードが向上すること。二つ目には、プライバシーが向上すること。そして三つ目には、取引手数料が低下することが考えられます。既存の暗号通貨の取引所は、そのどれもが中央集権的に運営されていますが、アトミックスワップが今後ますます発展すれば、ライトニングネットワーク上に管理者不在の新たな取引インフラが完成する可能性があります。 オンチェーン・スワップ   ※引用元:Connecting Blockchains: Instant Cross-Chain Transactions On […]

イーサリアムがハードフォーク、Metropolisバージョンへ

2017年10月6日 BBC編集部 0

Ethreum(イーサリアム)が、現行のHomestead(ホームステッド)からMetropolis(メトロポリス)バージョンにアップデートされるにあたり、ハードフォークが実行されることが決まりました。アップデート前後でどのように変わるのかについて、見ていきたいと思います。 PoS導入は見送り まずはじめに一番注目されていたProof of Stakeの導入についてですが、イーサリアムコミュニティ内でコンセンサスをとった結果、次回の「Serenity」バージョンまで持ち越されるようです。 今回のMetropolisアップデートに伴うByzantineハードフォークにより分岐し、Byzantineが今後のメインチェーンとして機能する見込みです。また、Metropolisアップデートには2段階目のハードフォークであるConstantinopleハードフォークも計画されているものの、こちらについては内容、日時など詳細については現時点では不明です。Byzantineハードフォークは、4,370,000番目のブロックが生成されたタイミングにアクティベートされる予定で、2017年10月17日に起きる見込みです。Byzantine ハードフォークにより、EIP(Ethereum Improvement Proposal、イーサリアム改善提案)649が導入され、マイニング難易度向上のプログラムが18か月間、停止されるそうです。これにより、かねてより懸念されていたイーサリアムの氷河期(マイニング難易度向上による、、イーサリアムネットワークの停滞期)の到来が18カ月間先伸ばしされたかたちになります。また、ブロック生成報酬の少ないProof of Stakeの導入を見越して、マイニング報酬が現行の5ETHから3ETHへと減額されるそうです。 ハードフォークで何が変わる? Byzantineハードフォークでは、5つの項目が改善されるようです。 1.パフォーマンス EIP98の導入により、state root情報がブロックから削除されます。これによって、マイニングに必要なエネルギー(GPUの消費電力)が大幅に低下する見込みです。 2.ライトクライアントのユーザビリティ EIP658の導入により、ユーザーはコントラクトが実行されたかどうかを判別することが可能になります。従来のイーサリアムにおいてコントラクトの実行状況を確認するためには、ユーザーがイーサリアムブロックチェーン上の全情報を手元にダウンロードして最新情報をアップデートする、あるいはイーサリアム専用のブロックチェーンエクスプローラー(ブロックチェーン内部のデータを参照する外部サービス)のような第三者機関を参照する必要がありました。Metropolisバージョンのイーサリアムでは、これらの大きなユーザー負担が解消され、手軽にコントラクトの実行状況を確認できるようです。 3.マイニング EIP100の導入により、ブロックの同時生成で得られる報酬額に調整が入りました。ブロックチェーンでは、複数のマイナーがほぼ同時のタイミングでマイニングに成功した場合、チェーンが一時的に分岐することがあります。最終的には一番長いチェーンに正当性が認められ、他のチェーンは消滅するのですが、これらの分岐したブロックを生成した際にも、マイナーは報酬を得ることができます。(このようなチェーンは、bitcoinブロックチェーンでは親なしチェーン、ethereumブロックチェーンでは従兄弟チェーンと呼ばれるようです。) 従来のイーサリアムブロックチェーンでは、ここの報酬設定に問題がありました。同時生成時に得られる従兄弟チェーンのマイニング報酬を総額すると、本チェーンを生成した人のマイニング報酬である5ETHよりも高くなってしまうケースがあったそうです。今回のEIP100は、ここのバランス調整の目的で行われるようです。 4.プライバシー Metropolisバージョンの目玉となりそうです。EIP198、EIP212、EIP213により、zk-SNARKsがイーサリアムに導入される見込みです。zk-SNARKsとは、匿名性暗号通貨で有名なZCASH(ジーキャッシュ)のチームが開発した技術です。これにより、ユーザーは自身のトランザクションの詳細や、ステートの変化を非公開にすることができるようになるそうです。ただし、この匿名機能を利用するには、通常のコントラクトやトランザクジョンにかかるGas(ガス、取引手数料)よりも高くなるとのことです。 5.コントラクト まずはじめに、EIP214の導入により、コントラクトのセキュリティが強化されます。従来は、コントラクトのなかにコントラクトが含まれているコントラクトといったような、入れ子構造になった複雑なコントラクトについては、最も中心に含まれているコントラクトから順番に実行されて、各コントラクトのステートもそれに応じて変化していくという仕組みでした。しかしイーサリアムは、このステート変化の複雑性がもたらす脆弱性を突かれて、DAO事件という未曽有の匿名サイバー攻撃の被害にあい、イーサリアムとイーサリアムクラシックの2つへと分岐するハードフォークを起こしています。今回のMetropolisバージョンへのアップデートにより、ステート変化を起こさずに入れ子上のコントラクトを処理できるようになったことで、脆弱性が低下し、安全性が向上したようです。 […]

Blockchain to Blockchain:今注目されている新たな「B2B」とは?

2017年10月4日 BBC編集部 0

  ブロックチェーン技術は現在、黎明期から普及期へと移行しつつあります。その傾向は、新規ICOプロジェクトの傾向に注視すると読み取ることができます。従来のブロックチェーンプロダクトは、通貨としての利用や、その他の価値の保存目的での利用などに主軸が置かれていました。すなわち、現実世界で起きている問題の解決や、現実世界にある価値の代替物を作る目的で、ブロックチェーンが活用される場合が主でした。 メタアプリケーションのICOが相次ぐ昨今 しかし現在では、ブロックチェーンのエコシステムにおける「メタアプリケーション」の開発に、投資家たちの熱い注目が集まっています。メタアプリケーションとはすなわち、「ブロックチェーン経済圏のなかにおいて発生している問題を解決するプロダクト」のことです。 一般的にメタアプリケーションは、直接的に消費者のニーズを満たすことがない一方で、企業体のニーズを満たすことに特化しています。いわゆるB2B(business-to-business)と呼ばれるビジネス領域に属しています。 昨今、メタアプリケーションを扱うICOプロジェクトが急増している背景には、ブロックチェーンエコシステム全体の「複雑性」が急激な勢いであがっていることが原因として挙げられます。世界を席巻したbitcoin(ビットコイン)という一大暗号通貨が誕生して以来、様々なアルトコイン(ビットコイン以外の暗号通貨)が誕生しました。新たに誕生したアルトコインやブロックチェーンは、それぞれが違う目的を実現するために設計されている一方で、実際のユースケースを見てみると、相互に関係性を持った経済圏が誕生していることがわかります。 巨大なマーケットに食らいつく これにより、異なるアルトコインやブロックチェーン間における、相互運用性や互換性が問題となってきました。暗号通貨の市場規模は、2017年10月現在で17兆円以上と推計されています。そのため、この相互運用性や互換性を実現する機能をもったメタアプリケーションを開発したプレイヤーには、莫大な資金やユーザーが集まる可能性に期待が高まっています。 このようなメタアプリケーションを開発プレイヤーの例として、Aionブロックチェーンを提供している、Nuco社が挙げられるでしょう。Nuco社は、グローバルコンサルティング企業であるDelloite社における、ブロックチェーン専門部門であるRubix社という前身企業をもとに作られているそうです。Nuco社は、銀行から自社のプライベートブロックチェーンを経由して、様々なアルトコインブロックチェーンの架け橋となるような機能を提供しています。社員数は20名ほどであるそうですが、ブロックチェーン技術を数年に渡って扱ってきた豊富な開発経験と、Delloitte社から得られるビジネスコネクションは大きな強みとなるでしょう。Nuco社は、Aionブロックチェーンにいちはやくエンタープライズユーザーを惹きつけ、ネットワーク効果を発揮することで、Aionブロックチェーンの価値を高めることを目指しているようです。 メタアプリケーション開発における3つの壁 しかしこの領域においては、3つの大きな課題が残されています。 一番大きな問題として立ちはだかっているのが、①スケーラビリティの問題です。Ethereum(イーサリアム)のRaidenネットワークが開発されたように、ビットコインのLightningネットワークや、ビットコインブロックチェーンのフォークが行われた背景には、このスケーラビリティ問題があります。 スケーラビリティ問題とは? http://businessblockchain.org/what-is-bitcoin-split-and-its-fundamental-problem これからの企業は、それぞれ大量のデータを含んだブロックチェーンを持つようになることを考えると、ブロックチェーン間のやりとりを担保する中間プレイヤーは、大量のトランザクションを捌けるシステムを開発することが必須となります。 スケーラビリティ問題は、ふたつめの②相互運用性の問題にも絡んできます。あるブロックチェーンから別のブロックチェーンへとデータが移動する場合、プログラムの使用上、互換性がないことや、バグが発生してしまうこと懸念されます。この問題に対処できなければ、メタアプリケーションにとって致命的となります。 そして最後に、③プライバシーの問題が挙げられます。暗号通貨の重要な特徴のひとつとして「取引の透明性」を担保できることが挙げられます。この特徴は活用方法によってはメリットになる一方で、一般に公開されることが望ましくない顧客の個人情報など、企業が扱うセンシティブなデータのやりとりにおいては問題となってきます。 これら3つの大きな課題を乗り越え、なおかつ複雑でリアルタイムなビジネスの取引を運用できる中間プレイヤーが、次の覇権を握るでしょう。 次世代B2Bビジネスの覇権を取るのは誰か? Nuco社のCEOは、「今日、すでに何百と存在しているブロックチェーンですが、じきに数千、数百万ものブロックチェーンが誕生するでしょう。今後のブロックチェーンの発達には、公私の主体を問わず、ブロックチェーン同士のネットワークを構築できるかどうかにかかっています。そして、我々はその実現に向けて活動しています。」と述べています。Nuco社は、EEA(Enterprise Ethereum Foundation、イーサリアム企業連合)の立ち上げメンバーでもあります。 日々混沌さを増しているブロックチェーンビジネスですが、今後この巨大なマーケットを制するプレイヤーが誕生する様子に注目です。

次世代の「食の安全」を支えるのは、DNA解析技術とブロックチェーンである

2017年8月26日 BBC編集部 0

その食品は本当に安全なのか? 世の中には数多くの食品がありますが、「この輸入牛肉に大腸菌は付着していないか?」「このビーガン向けの大豆パティは、本当に100%植物由来のパティなのか?」「”遺伝子組み換えでない”との表示がついているが、本当に遺伝子組み換えをしていないのか?」といったように、食品の提供者が安全性をうたっていたとしても、疑いの目をもって検証しなければ、その食品が本当に安全なのかどうか、わかりようがありません。このように食の安全性に疑いがある状況では、文字通り分子レベルの生物学的な検査を経て、本当に安全なのか確かめる必要があります。 DNAのデータが「食の安全」を守る 食品業界では、企業の提供する「食の安全」への信頼が一度でも損なわれてしまうと、ブランドイメージが大幅に下落してしまうため、このような問題を未然に防ぐことが何よりも重要です。近年に入り、食品のDNAシークエンシング(DNAを抽出して解析する作業)が容易になったことや、コンピュータ上で大量の情報を保管できるようになったことによって、「食の安全」の世界は新たな次元に突入しようとしています。 「食の安全」の最先端の現場では食品に含まれるDNAが解析され、その結果がデータベース化されています。このデータベースにより、どの食品にどのDNAが含まれているか(あるいはどの食品にはどのDNAが含まれていないか)が明確になりました。これによって、問題の発生からその原因の特定までが極めて容易になりました。例えば、ある患者が特有のDNAパターンをもつサルモネラ菌による中毒症状を訴えていた場合、そのサルモネラ菌がどの食品由来で体内に侵入したのか、直近の食事の履歴からあらゆる可能性を検証して、食材レベルで感染ルートをピンポイントで絞っていくことが可能になります。 食品に含まれるDNAの分析を行うスタートアップである、Clear Labsの共同創業者の一人であるMahni Ghorashi氏は、DNA解析について「(DNA解析のコストが低下したことにより)今まで解析してみようとすら考えなかった対象についても、私たちは積極的に解析にかけることができるようになった。」と述べています。またGhorashi氏は、FDA(アメリカ食品医薬品局)局長のEric Brown氏の言葉を引用し、近年のDNA解析技術の進歩について「まるで裏庭の望遠鏡から、ハッブル望遠鏡にアップグレードされたかのようだ。」と表現しました。 アメリカの国立ヒトゲノム研究所によると、2008年時点で1000万ドルだったヒトゲノムの解析費用は、現在わずか1000ドルまで低下しているとのことです。Ghorashi氏によると、Clear Labでは特定の1種類のDNA解析であれば、1サンプルあたりわずか10ドルでできるそうです。遺伝子組み換え食材混入の有無を確かめるスクリーニングテストでは、食品に含まれる全ての原材料のDNAを解析しなければならないため、数百ドルかかってしまうそうですが、それでも10、20年前と比較すると破格の値段で検査することができるようになりました。 DNAシークエンシングの課題 このようにDNAの解析にかかるコストは著しく低下しましたが、ひとつ大きな課題が残されています。それは食品のDNA解析に時間がかかってしまう、ということです。例えば、どのようなDNAが含まれているかが不明な食品では、分析に3~4日ほどかかってしまうそうです。新しい食材を導入する際には、安全性の検証が欠かせませんが、輸入食品のなかでも特に傷みやすい果物などは、輸入してからすぐに国内市場に出荷する必要があります。今後より高い精度で食の安全性を確保するためには、1日、あるいは数時間以内に食品に含まれるDNAの解析できるようにする必要があります。綿密な検査によって安全性が確保されているものの、遺伝子レベルの検査のスピードが大きく向上すれば、「食の安全」の分野にブレイクスルーが起きるでしょう。 ブロックチェーンで原因を見極める ここまでは食品が市場に流通する前の段階において、どのように危険な食品を見抜き、被害の拡大を防ぐか?という視点でDNA解析技術について紹介してきました。ここからは、食品が流通した後に危険性が判明した場合、どのようにして被害の拡大を防ぐか?という視点に移ります。 実は、この食品が市場に流通した後の危機管理の解決策として、ブロックチェーン技術が期待されています。食品のサプライチェーンにブロックチェーンを組み込むことができれば、その食品がどんなルートを辿って運ばれてきたのか、複数の事業者にまたがって、改ざんできない分散型台帳上に記録できるようになります。実際に、アメリカの大手スーパー「Walmart(ウォルマート)」では、既にブロックチェーンの導入実験が始まっています。現在は輸入マンゴーと豚肉の2品目のサプライチェーン上でテストが行われているようです。 更にWalmartは、自社倉庫からお客様の自宅までドローンで荷物を宅配する構想を発表しています。このドローンによる宅配が実現すると、サプライチェーンの大元である生産者から末端である消費者の元まで、どれぐらいの時間をかけて、どんな状態(速度・温度など)で輸送したのか、詳細な記録を残すことができるようになります。従来のWalmartでは、消費者からのクレームで食品の問題が発覚した場合、その食品が辿ってきたルートの特定まで1週間かかっていたそうですが、ブロックチェーンの導入後は、わずか2.2秒で特定が可能になったそうです。このように、早期に流通経路と流通先を特定できるようになると、トラブル発覚後に迅速な初期対応をとることができるようになります。   2016年のFDAの発表によると、アメリカでは年間4800万人(アメリカ人全体のうち、およそ6人に1人)が食中毒にかかる言われています。そのうち12万8000人は重症化して入院することになり、さらにそのうちの3000人が亡くなってしまうそうです。このように多くの人々を悩ませている食中毒ですが、症状が軽度な場合、わざわざ食品の購入先に訴えを起こす人は少ないため、ほとんどの人々が症状を我慢するか、治療費を自己負担するなど泣き寝入りしてしまうそうです。「食の安全」が損なわれることによって、多大なる経済損失が発生しているのみならず、人命までもが失われています。このような現状に対して、DNA解析技術やブロックチェーンのようなテクノロジーによる問題解決に期待が高まります。   参考:https://www.fda.gov/food/resourcesforyou/consumers/ucm103263.htm

ビットコインの分裂騒動とその問題の本質に迫る

2017年7月31日 BBC編集部 0

  ビットコインのスケーラビリティ問題を巡るビットコイン分裂の危機はひとまず回避され収束に向かっていると言われています。しかし、ビットコインをはじめとする暗号通貨(仮想通貨)には、今後も同様の問題が起きる可能性があります。分裂の危機が生じた原因から今に至るまでの流れを踏まえ、現在のビットコインの状況および、今回の分裂騒動におけるを考え、暗号通貨の本質的な課題を見て行きましょう。   ビットコインのスケーラビリティ問題とは? ビットコイン分裂問題の発端は、ビットコインの「スケーラビリティ問題」と呼ばれるものです。ビットコインでは一つのブロックに約10分間に起きた世界中の取引をまとめて記録していますが、ブロックには1MBという制限があるため、それを超える取引を記録することができません。そのためブロックに入り切らなかったトランザクションの遅延や優先的にブロックへ取引を入れるために手数料を高く支払う必要が生じてしまうため、ビットコインが多くの人へ浸透し取引量が拡大するにつれて問題化してきました。   SegWitの提案からBitcoin Unlimitedとの対立-分裂危機 ビットコインにおいてスケーラビリティ問題によるデメリットが顕著になる前から、ビットコイン開発の中心となっている少数のコア開発者達を中心としてBIP(Bitcoin Improvement Proposals)と呼ばれる提案がなされてきました。当初コア開発者によって提案されたのがBIP141の「SegWit」と呼ばれるソフトフォークをもとにしたオフチェーンスケーリング提案でした。 一方でSegWitの提案に至るまでの非公開会合など不透明な意思決定に対する反発が生まれたほか、SegWitによってオフチェーン取引が実現されるとマイニング報酬の減少に繋がるとして、マイナーを中心としてSegWitを支持しない層が一定数を占めていました。このようなマイナーを中心とするオンチェーンスケーリング派がハードフォークによるブロックサイズ上限の撤廃を主張する「Bitcoin Unlimited」を提唱し、対立を深めていました。 詳しくはこちらの記事をご覧ください。 →「ビットコイン分裂の危機は、どうして生まれたのか?Bitcoin CoreとBitcoin Unlimited」 このようにコア開発者とマイナーという対立構造が生じたことで、ビットコインコミュニティはいわば二つに分裂した状況でした。しかしBitcoin Unlimitedの採用する突発的なコンセンサスの危険性やそもそもの開発能力に疑念が呈されたこと、そして2017年3月18日には世界の大手取引所19社が合同で「Bitcoin Unlimitedのハードフォークが実行された場合、ビットコイン(BTC)とは異なる通貨(BTU)として扱う」との声明を発表したことなどから、Bitcoin Unlimitedの支持勢力は次第に発言力を失っていきました。   遅々として進まぬSegWit有効化-UASF&UAHF SegWitが提案されたBIP141においては、「マイナーの95%の承認によってSegWitが有効化される」とされていました。しかしながら前項で述べたように利害の不一致やBitcoin Unlimitedの台頭などでマイナー間で支持が得られず、2016年11月に投票が始まってから長らく有効化(アクティベート)に至りませんでした。 […]

金融分野以外に広がるブロックチェーンの活用

2017年7月14日 BBC編集部 0

  インターネットがコミュニケーションを変えたように、ブロックチェーンは世の中のあらゆる「取引」を従来とは全く違ったものに変えると言われています。たとえばビットコインを用いれば、銀行などの仲介業者を経由せずに通貨を個人間で直接、つまりP2P(ピア・ツー・ピア)でやりとりできます。しかしビットコインはあくまで最初のブロックチェーンアプリケーションに過ぎません。ブロックチェーン技術の活用可能性は無限大に広がっているのです。 ブロックチェーンの世界では、すべてのプロセス、すべてのタスク、すべての支払いで、識別、検証、保存、共有が可能なデジタル記録と署名があります。弁護士、ブローカー、銀行家などの仲介業者はもはや必要ではないかもしれません。個人、組織、機械、アルゴリズムが障害なく自由に取引することができるようになります。これこそがブロックチェーンの大きなメリットであり、この特徴ゆえに大きな可能性を秘めていると言えるのです。   ブロックチェーンの仕組み ブロックチェーンにおいては、すべてのトランザクションは参加者の合意(コンセンサス)によって承認される必要があります。約10分間に行われたトランザクションをまとめた「ブロック」と呼ばれるデータが生成されます。すべてのブロックはネットワークを介して同期・複製され、トランザクションデータが分散的に保持されることになります。。 ブロックチェーン技術についてはこちらの記事で詳しく解説しています。 →「ビットコインを支える技術『ブロックチェーン』とは?」 このコンセンサス処理とデータ複製のプロセスにおいては、膨大な量の計算リソースとストレージが必要になる可能性があります。ビットコインではブロックサイズの上限の問題から「スケーラビリティ問題」が生じ、取引遅延や手数料高騰といった問題に直面しています。しかしそれでも、ブロックチェーン技術は様々な業界で可能性があるとされています。 たとえば現行の金融取引には実に多くのプロセスを経る必要があります。今日のクレジットカード取引では複数の仲介者を経由する中で16もの段階を経る必要があり、決済処理の完了までに計7日もの時間を要します。一方でブロックチェーンを活用することで、同じような取引処理でも一時間以内で完了さできます。」   金融分野以外にも広がるブロックチェーンの活用例 スウェーデン通信機器メーカー大手のエリクソン(Ericsson)は、ブロックチェーンを用いてデータの真正性を検証する「Ericsson Data Centric Security」を開発しました。Forsgren氏は、多くの企業や組織はクラウド経由でデータを共有しているため、正確なデータを確実に処理する必要があると述べています。データは強固なセキュリティ対策によって保護されていますが、それでもハッキングなどに対しては脆弱性が否めません。これに対しエリクソンでは、ブロックチェーンを使ってデータの正確性を担保しています。このとき確認されたデータはブロックチェーン上には保存されないため、高いセキュリティを保つことができると言えるでしょう。 またオープンソースのブロックチェーン「Hyperledger」を開発するLinux Foundationは、企業内でのブロックチェーン活用促進に向けた取り組みを進めています。たとえば企業内におけるデータ管理や企業間取引の管理にHyperledgerを活用することで、これまで複数主体が関わることで効率性が低下していた部分の効率化を図ることができるのです。この場合はセキュリティ上の問題からブロックチェーン上の記録を制限する「プライベートチェーン」を採用しています。このようにブロックチェーンは銀行や貿易、IoTに至るまで、実に幅広い産業を変革する可能性があります。