ビットコインの分裂騒動とその問題の本質に迫る

2017年7月31日 BBC編集部 0

  ビットコインのスケーラビリティ問題を巡るビットコイン分裂の危機はひとまず回避され収束に向かっていると言われています。しかし、ビットコインをはじめとする暗号通貨(仮想通貨)には、今後も同様の問題が起きる可能性があります。分裂の危機が生じた原因から今に至るまでの流れを踏まえ、現在のビットコインの状況および、今回の分裂騒動におけるを考え、暗号通貨の本質的な課題を見て行きましょう。   ビットコインのスケーラビリティ問題とは? ビットコイン分裂問題の発端は、ビットコインの「スケーラビリティ問題」と呼ばれるものです。ビットコインでは一つのブロックに約10分間に起きた世界中の取引をまとめて記録していますが、ブロックには1MBという制限があるため、それを超える取引を記録することができません。そのためブロックに入り切らなかったトランザクションの遅延や優先的にブロックへ取引を入れるために手数料を高く支払う必要が生じてしまうため、ビットコインが多くの人へ浸透し取引量が拡大するにつれて問題化してきました。   SegWitの提案からBitcoin Unlimitedとの対立-分裂危機 ビットコインにおいてスケーラビリティ問題によるデメリットが顕著になる前から、ビットコイン開発の中心となっている少数のコア開発者達を中心としてBIP(Bitcoin Improvement Proposals)と呼ばれる提案がなされてきました。当初コア開発者によって提案されたのがBIP141の「SegWit」と呼ばれるソフトフォークをもとにしたオフチェーンスケーリング提案でした。 一方でSegWitの提案に至るまでの非公開会合など不透明な意思決定に対する反発が生まれたほか、SegWitによってオフチェーン取引が実現されるとマイニング報酬の減少に繋がるとして、マイナーを中心としてSegWitを支持しない層が一定数を占めていました。このようなマイナーを中心とするオンチェーンスケーリング派がハードフォークによるブロックサイズ上限の撤廃を主張する「Bitcoin Unlimited」を提唱し、対立を深めていました。 詳しくはこちらの記事をご覧ください。 →「ビットコイン分裂の危機は、どうして生まれたのか?Bitcoin CoreとBitcoin Unlimited」 このようにコア開発者とマイナーという対立構造が生じたことで、ビットコインコミュニティはいわば二つに分裂した状況でした。しかしBitcoin Unlimitedの採用する突発的なコンセンサスの危険性やそもそもの開発能力に疑念が呈されたこと、そして2017年3月18日には世界の大手取引所19社が合同で「Bitcoin Unlimitedのハードフォークが実行された場合、ビットコイン(BTC)とは異なる通貨(BTU)として扱う」との声明を発表したことなどから、Bitcoin Unlimitedの支持勢力は次第に発言力を失っていきました。   遅々として進まぬSegWit有効化-UASF&UAHF SegWitが提案されたBIP141においては、「マイナーの95%の承認によってSegWitが有効化される」とされていました。しかしながら前項で述べたように利害の不一致やBitcoin Unlimitedの台頭などでマイナー間で支持が得られず、2016年11月に投票が始まってから長らく有効化(アクティベート)に至りませんでした。 […]

金融分野以外に広がるブロックチェーンの活用

2017年7月14日 BBC編集部 0

  インターネットがコミュニケーションを変えたように、ブロックチェーンは世の中のあらゆる「取引」を従来とは全く違ったものに変えると言われています。たとえばビットコインを用いれば、銀行などの仲介業者を経由せずに通貨を個人間で直接、つまりP2P(ピア・ツー・ピア)でやりとりできます。しかしビットコインはあくまで最初のブロックチェーンアプリケーションに過ぎません。ブロックチェーン技術の活用可能性は無限大に広がっているのです。 ブロックチェーンの世界では、すべてのプロセス、すべてのタスク、すべての支払いで、識別、検証、保存、共有が可能なデジタル記録と署名があります。弁護士、ブローカー、銀行家などの仲介業者はもはや必要ではないかもしれません。個人、組織、機械、アルゴリズムが障害なく自由に取引することができるようになります。これこそがブロックチェーンの大きなメリットであり、この特徴ゆえに大きな可能性を秘めていると言えるのです。   ブロックチェーンの仕組み ブロックチェーンにおいては、すべてのトランザクションは参加者の合意(コンセンサス)によって承認される必要があります。約10分間に行われたトランザクションをまとめた「ブロック」と呼ばれるデータが生成されます。すべてのブロックはネットワークを介して同期・複製され、トランザクションデータが分散的に保持されることになります。。 ブロックチェーン技術についてはこちらの記事で詳しく解説しています。 →「ビットコインを支える技術『ブロックチェーン』とは?」 このコンセンサス処理とデータ複製のプロセスにおいては、膨大な量の計算リソースとストレージが必要になる可能性があります。ビットコインではブロックサイズの上限の問題から「スケーラビリティ問題」が生じ、取引遅延や手数料高騰といった問題に直面しています。しかしそれでも、ブロックチェーン技術は様々な業界で可能性があるとされています。 たとえば現行の金融取引には実に多くのプロセスを経る必要があります。今日のクレジットカード取引では複数の仲介者を経由する中で16もの段階を経る必要があり、決済処理の完了までに計7日もの時間を要します。一方でブロックチェーンを活用することで、同じような取引処理でも一時間以内で完了さできます。」   金融分野以外にも広がるブロックチェーンの活用例 スウェーデン通信機器メーカー大手のエリクソン(Ericsson)は、ブロックチェーンを用いてデータの真正性を検証する「Ericsson Data Centric Security」を開発しました。Forsgren氏は、多くの企業や組織はクラウド経由でデータを共有しているため、正確なデータを確実に処理する必要があると述べています。データは強固なセキュリティ対策によって保護されていますが、それでもハッキングなどに対しては脆弱性が否めません。これに対しエリクソンでは、ブロックチェーンを使ってデータの正確性を担保しています。このとき確認されたデータはブロックチェーン上には保存されないため、高いセキュリティを保つことができると言えるでしょう。 またオープンソースのブロックチェーン「Hyperledger」を開発するLinux Foundationは、企業内でのブロックチェーン活用促進に向けた取り組みを進めています。たとえば企業内におけるデータ管理や企業間取引の管理にHyperledgerを活用することで、これまで複数主体が関わることで効率性が低下していた部分の効率化を図ることができるのです。この場合はセキュリティ上の問題からブロックチェーン上の記録を制限する「プライベートチェーン」を採用しています。このようにブロックチェーンは銀行や貿易、IoTに至るまで、実に幅広い産業を変革する可能性があります。

「ICO」による資金調達の課題、暗号通貨「DASH」が解決の糸口となるか?

2017年6月22日 BBC編集部 0

ICO(Initial Coin Offering)は、トークン(暗号通貨)の発行を通じた新たな資金調達手段です。分散型アプリケーション(DApps)内で使用できるトークンをローンチ前に売り出すものもあれば、配当権や議決権を付与した株式に近い性質を持つトークンを発行していることもあります。今回の記事ではアルトコインの一つ「DASH(ダッシュ)」がICOにおける問題点をどのように解決するのか、という点について解説していきます。 ICOとはなにか?についてはこちらの記事で詳しく解説しています。 →「新たな資金調達手段『ICO』とは?」   浮き彫りになったICOの問題点とは? 最近ではICOにおいて10分足らずで数億円規模の資金調達に成功する事例が現れるなど、プロジェクトの初期の資金調達方法として活用が進んでいます。しかし、その一方で、ICOの問題点やリスクについても言及されるようになってきました。ICOの問題点は、「そのプロジェクトの信頼性を測ることが難しい」という点です。 従来の株式市場への上場によるIPOでは、上場審査や監査情報の公開など、その企業の信頼性について十分に情報を得られるようになっています。しかしながらトークンを発行し販売するというICOは誰もが出来てしまうため、ICOを行う主体が果たしてサービスを完成させることができるのかなど、必ずしも正しい情報が手に入るとは限らないのです。 さらに、ICOが一度成功すれば開発者は資金を調達できるため、開発者にとって公開したスケジュールに従ってサービスの開発を行うインセンティブは薄れます。通常の株式であれば議決権を行使し経営陣の交代などを求めることができますが、ICOの場合はトークンを購入した後は待つしかありません。   DASHは、ICOの問題点をどうやって解決するのか? DASHについてはこちらの記事で詳しく解説しています。 →「DASH(ダッシュ)とは?-即時決済可能な匿名性暗号通貨の今後の展望」 DASHではこのような問題を解決することができます。DASHの支払いメカニズムに従えば、ICOを通じて調達した資金は一度にまとめてではなく、一か月ごとに支払われます。また調達資金の支払いは自動ではなくDASHのマスターノードの投票により決定されますので、開発者は常にサービスのローンチに向け開発を進めるインセンティブを持っているのです。 このようなマーケットインセンティブは、開発を集中的かつ効率的に行うように開発者に働きかけるとともに、分散型アプリケーション開発が非効率的になってしまう問題を解決する糸口となるでしょう。

ブロックチェーンは音楽著作権管理のあり方を変えるか?

2017年6月20日 久保田 紘行 0

データの改ざんが難しく、誰もが参照可能なブロックチェーンには、実に様々な活用可能性を見出すことができます。その一つが「著作権管理」の分野です。特に音楽著作権は、作詞家、作曲家などの著作者にはじまり、歌手、演奏家などの実演家、レコード製作者、放送事業者など多くの関係者が関わるためより複雑です。そのため、著作権の管理にコストがかかったり、実際に誰が権利を持っているのかが不明確になるといったことも生じています。 直近では、音楽ストリーミングサービス大手のSpotifyはブロックチェーンスタートアップの「Mediachain Labs」を買収し、Spotifyの提供する楽曲とその著作権者をブロックチェーン上で紐付けるための技術開発を進めると発表しました。そこで今回の記事では、ブロックチェーンの活用が音楽著作権の在り方をどのように変える可能性があるのかについて見ていきたいと思います。   楽曲の著作権管理プロセス-使用料徴収と分配 楽曲の著作権は登録などの手続きを必要とせず、著作物を創作した時点で自動的に発生します。著作権法によって著作権侵害は親告罪であると定められているため、著作権侵害行為があった際には、著作権者自身で対処していく必要があります。著作権者は著作物の利用条件を明記した上で、利用条件に沿って「楽曲使用料」を徴収します。 さらに、徴収した楽曲使用料は著作権者だけでなくステークホルダーへの分配を行わなければなりません。特に音楽制作におけるステークホルダーは、前述の通り非常に多岐に渡るため、楽曲使用料の分配は非常に複雑です。 このように各楽曲の著作権を管理する際には、「再生や演奏に際して発生する楽曲使用料の徴収」と、「徴収した楽曲使用料の著作権者やステークホルダーへの分配」という二つのプロセスが存在しています。   著作権管理団体への委託が一般的、しかし課題も 著作権者が自らの楽曲の再生回数をすべてカウントして楽曲使用料を徴収することや、すべての著作権侵害を指摘するのは現実的に考えて非常に困難でしょう。そこで日本では著作権等管理事業法に基づく非営利著作権管理団体であるJASRACが日本のほぼ全ての楽曲の著作権管理を委託されており、楽曲使用料の徴収と分配を担っています。 しかし、JASRACが単独で300万曲以上の楽曲の著作権を管理し、楽曲全ての再生回数のカウントや、YouTube等への違法アップロードの発見、そして徴収した楽曲使用料の公正な分配には、非常に膨大なコストや手間がかかっています。 またJASRACそのもののあり方を問題視する声もあります。JASRACの楽曲管理における手数料が高額であることに加え、徴収した楽曲使用料が公正に分配されているかが不透明であることなどから、利権と化しているのではないかといった疑惑が取り沙汰されることもあります。また昨今ではJASRACが音楽教室のレッスンにおいて楽曲使用料を徴収する方針を決定し、それに対し歌手の宇多田ヒカルさんがTwitter上で反発を表明するなど、本来の著作権者であるアーティストの意向に沿わない形での楽曲使用料徴収が行われているケースもでてきています。 このように、音楽の楽曲使用料徴収には大きなコストと手間がかかります。さらに、日本では現状透明性が担保されていないためにJASRACの仲介に不信感が募ってしまっている状況です。   ブロックチェーンに基づく分散型著作権データベースの構築 ではこの楽曲に関する著作権管理は、ブロックチェーンを活用することでどのように変わるのでしょうか。このとき著作権者は、レコーディングされた楽曲データや楽曲の歌詞・譜面などを含む著作権情報を、自らの手でブロックチェーンに記録します。ブロックチェーン上の記録は改ざんが困難であるほか、記録されたデータは誰もが参照できます。すべての著作権情報をブロックチェーンに記録することで、巨大な「分散型著作権データベース」を構築するのです。 さらにスマートコントラクトを活用することで、楽曲の購入代金や再生回数のカウントに基づく楽曲使用料の徴収から、著作権者やステークホルダーへの収益配分まで、全てをプログラムに従い自動的に実行できるようになります。これによってJASRACなどの著作権管理団体が不要になるばかりでなく著作権管理という作業そのものが自動化されるため、仲介手数料の削減や効率化が大幅に進みます。また収益配分についてもあらかじめ締結された契約に基づくスマートコントラクトによって自動的に実行されるため、ステークホルダー間での収益配分についてより高い透明性・公平性が確保されます。   アーティストが自分で自らの楽曲を管理できる未来へ これらのビジョンを実現しようとしているプロジェクトの一つが、冒頭で紹介したSpotifyとMediachain Labsの取り組みです。このほかにも「Ujo Music」や「Dot BC」といったプロジェクトで同じような取り組みが進められています。 従来非常にコストも手間もかかっていた著作権管理ですが、ブロックチェーンとスマートコントラクトの活用によって、アーティストは自らの楽曲を自分の手で管理することができるようになったと言えるでしょう。つまり、アーティストは自らの楽曲の著作権情報を自分でブロックチェーン上に記録し、自動化された楽曲使用料徴収とその分配を通じて、著作権管理ははるかに効率的に実行できるようになるのです。それだけでなく、著作権管理団体という仲介組織を排すことで、透明性や公平性の確保にもつながっています。 […]

法的契約生成プラットフォームのAgrelloがイーサリアムベースで展開へ

2017年6月10日 BBC編集部 0

6月8日、エストニアのブロックチェーンスタートアップAgrello(アグレロ)は、Lisk、Qtum、RSK、NEMなど他のブロックチェーンとの互換性を持つプラットフォームの基盤としてイーサリアム(Ethereum)を選択したことを発表しました。 Agrelloとは?-スマートコントラクトを利用した契約プラットフォーム Agrelloは、スマートコントラクトを利用して、暗号化技術や法的知識を持っていない人でも契約を結べるようにするシステムです。法的拘束力を持った契約をだれでも結べるようにするために、ワークフローの効率性、様々なブロックチェーン間の相互運用性、確立された法的システムにおける技術の採用を目指しています。 Agrelloについての詳しい説明はこちらをご覧ください。 →「Agrello(アグレロ)とは?ー簡易化された法的契約をスマートコントラクトとして自動生成可能に」   Agrelloはイーサリアムブロックチェーンを高く評価 Agrelloの開発チームはイーサリアムを最も確立されたブロックチェーンであると評価しており、世界に通用する人材を惹きつけると考えています。また、技術開発の可能性だけでなく、組織としての成熟度や、規制当局と協力してブロックチェーン採用を主流にする能力などを非常に高く評価しています。 Agrelloプロジェクトにおいては、ブロックチェーンとは直接関係のない分野の産業とも良好な関係を築く必要があります。例えば、契約内容を確定させるためには、法制度や金融機関との連携が重要です。また、AgrelloはAI技術との連携も検討しており、これによってシステムが複雑化する可能性があります。そのように複雑化したシステムであっても、イーサリアムブロックチェーンであれば十分にサポートできると考えています。   様々なブロックチェーンとの互換性を持つAgrelloプラットフォーム 以上の理由から、Agrelloのプラットフォームはイーサリアムのブロックチェーン上の分散型アプリケーション(DApps)として開発されると発表されました。ユーザーは、イーサリアム上の基軸通貨であるETHを通じて手数料を支払います。 また、イーサリアム上ではスマートコントラクトをカスタマイズ可能な形で生成できます。AgrelloのユーザーフレンドリーなUIによって、法的知識や暗号化知識のない一般ユーザーであっても契約をスマートコントラクトとして生成することができます。 そのほか、Agrelloのプラットフォームはイーサリアムを基盤としながらも、冒頭に述べたようにLisk、Qtum、RSK、NEMなど複数の他のブロックチェーンとの互換性を持っています。Agrelloの発表によれば、これらの様々なブロックチェーンはそれぞれ異なる領域に適用されるとのことです。   ※画像はETH News “Agrello Announces Its Distributed Platform Will Operate On […]

銀行はもういらない?「ブロックチェーン」が金融業界にもたらすインパクト

2017年6月7日 森川 夢佑斗 0

ここ1年でブロックチェーン技術を取り巻く社会は大きく変化した。連日、ニュースの見出しにブロックチェーンおよびビットコインという言葉が踊っている。「1990年代のIT革命以上」と言われている、ブロックチェーンのインパクトとテクノロジーの進化が巻き起こす第4次産業革命を直前に控え、我々はどう備えればいいのか。『ブロックチェーン入門』(KKベストセラーズ)の著者、森川夢佑斗氏に、ブロックチェーンを実用化した暗号通貨を中心に解説してもらった。 当記事は、『ブロックチェーン入門』の著書、森川夢佑斗氏がBEST TIMESにて連載した内容を再編集し構成しなおした記事です。   今ある銀行は必要なくなる ここ数日は、ビットコイン価格の高騰やビットコイン以外の仮想通貨である「アルトコイン」のバブルが大手メディアでも話題となっています。これら仮想通貨の基盤技術として認識されているのが、「ブロックチェーン」です。 ブロックチェーン自体は、幅広い分野に活用が可能と言われており、経産省の目算では67兆円の市場規模があると考えられています。ブロックチェーンは分散型台帳技術とも呼ばれており、特に金融分野への活用が見込まれています。とりわけ冒頭でも触れたビットコインの登場は、まさに金融分野に大きなインパクトを与える存在でした。 ビットコインをはじめとする仮想通貨(「暗号通貨」とも呼ぶ。)は、仲介者なしに直接的に(P2P、ピア・ツー・ピア)受け渡しが可能です。つまり、銀行の存在なしにお金の送金が実現します。この特徴を取り上げて、ビットコインの登場により銀行は不要になるのでは?という見出しが多く見られるようになりました。事実その側面はあると考えられますし、ビル・ゲイツ氏も過去に「銀行機能は必要だが、今ある銀行は必要なくなる」と発言しています。   銀行の主な3つの業務 もう少し詳しく見ていきましょう。銀行が行う業務は、大きく3つに分類されます。 ①預金業務 ②為替業務 ③貸付業務 預金業務とは、銀行口座を通して預入や引き出しなどお客さまの預金を管理する業務です。為替業務というのは、お金の振込や送金を行う業務のことです。貸付業務は、お客さまにお金を貸す業務のことで、銀行はその利率の支払いによって利益を得ています。   ビットコインは、管理者なしで銀行業務を代替している ここでビットコインの特徴をおさらいしましょう。ビットコインは、簡単にいうと世界共通で利用できる電子マネーです。基盤技術であるブロックチェーンにより支えられています。ビットコインを管理するためのアプリケーションさえ持っていれば、利用者同士で自由に受け渡しが可能です。Suicaを利用するためにSuicaカードが必要であることに似ています。 この時、ビットコインの仕組みを既存の銀行業務に当てはめて考えると、誰がいくらのビットコインを持っているかを管理し、安全に保有することが上記の①に当たる業務であり、利用者間での受け渡しを行うのが②に当たる業務です。 しかし、ビットコインにおいては、誰がどれだけのビットコイン持っているかを、誰か特定の管理者が管理しているわけではありません。世界中で行われた取引内容は、ブロックと呼ばれるデータを記録する箱に格納され、それらが数珠つなぎで更新されていきます。これをブロックチェーンと呼んでいます。そしてブロックチェーンは、複数人で保有されており、利用者は誰かが持っているブロックチェーン内のデータを参照しています。 誤解のないように補足しておくと、ブロックチェーンには、世界中の取引履歴が記録されている分散型台帳を指す場合と、それらを構成する技術体系全体を指す場合とがあります。 次にビットコインの受け渡しも、利用者間で24時間いつでも行うことが可能です。この際も銀行などの仲介者の存在は必要ありません。このインパクトは、特に複数の金融機関が横断して存在する国際送金において大きくなります。 このように銀行が従来担っていた預金業務や為替業務は、ブロックチェーンという技術により銀行のような特定の管理者を必要としなくなりました。   フィンテックにより変化する与信 […]

シルバート協定と「SegWit2MB」とは?ビットコインスケーラビリティ問題に新たな進展

2017年6月1日 BBC編集部 0

  2017年5月23日、バリー・シルバート氏がCEOを務めるDCG(Degital Currency Group)は、「SegWit2MB」の提案に基づいたビットコインのハードフォークを6カ月後に実行する宣言を発表しました。これに対し2017年5月25日時点で、世界22か国より大手マイニングプールや取引所を含む58社が合意を示しています。「SegWit2MB」とは何か、そしてその内容について詳しく見ていきましょう。   SegWitや、ビットコインのスケーラビリティ問題については、こちらの記事で詳しく解説しています。 「ビットコイン分裂の危機は、どうして生まれたのか?Bitcoin CoreとBitcoin Unlimited」   SegWit2MBとは? ビットコインは本来、従来の金融機関と比較して迅速かつ安価に送金を行えることが魅力でした。しかし昨今、ビットコイン人気が世界的に高まった結果、取引量が急増し、迅速な取引を行うには相対的に高い手数料を支払うしかないという状況に陥っています。これを解決する手法として注目を浴びている技術のひとつが、SegWitです。 SegWitとは、”Segragated Witness”の略称で、ブロックチェーン技術のスケーラビリティ問題を打開するといわれています。現状のビットコインブロックチェーンにおいては、各ブロックに格納できる情報量の上限(ブロックサイズ、すなわち取引記録の上限)が1MBに定められています。これに対してSegWitは、取引ひとつ当たりの情報量を圧縮することで、各ブロックに記録できる取引の量を増やすことでスケーラビリティ問題の解決をはかろうとしています。 その中でも特にSegWit2MBは、SegWitの実施とブロックサイズを1MBから2MBへ引き上げるハードフォークを想定しており、今回のシルバート協定の発表では、全ユーザーの80%の合意が得られれば実行されると述べられています。   今後のビットコインの展望について DCGグループによると、今回のシルバート協定に合意している22か国58社(記事作成時点)は、ビットコイン全体の取引量のうち約83%を掌握しているとのことから、SegWit2MBのハードフォークが6カ月後に実行される可能性は高いといえるでしょう。一方で、ビットコインブロックチェーンの運用に携わってきた一部開発者陣が、SegWit2MBに反対を表明していることもあり、今後ビットコインのさらなる分裂の可能性も危惧されます。   (画像はbitnewsbot.“56 Bitcoin Companies Approve Segwit-2Mb Combined […]

リップル社が自身の保有するXRPの約9割の凍結を発表

2017年5月30日 BBC編集部 0

  2017年5月16日、リップル社(Ripple Labs, Inc.)は現在保有するXRPの約90%にあたる550億XRPを一定期間の間にロックアップすることを発表しました。本記事ではその概要について紹介したいと思います。 リップルネットワークの基軸通貨であるXRPの総発行量は1000億XRPとなっています。しかし、現在その約3分の2は運営主体であるリップル社が保持しています。そのため、リップル社が一度に大量のXRPを売却する可能性が懸念されていました。 リップルについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてお読み下さい。 →「リップルとは?-新たな国際送金システムを目指す暗号通貨」   XRPロックアップ(凍結)の概要 リップル社が今回発表したのは、リップル社が保有する630億XRPのうち、約88%にあたる550億XRPを2017年までに凍結(ロックアップ)するということです。これには Suspended Payments(SusPay)と呼ばれる機能が用いられ、XRPはスマートコントラクトを通じてブロックチェーン上に仮想的に生成されたエスクロー(取引仲介者)へと隔離されます。 2017年末または2018年以降、毎月1日に、各コントラクトにより10億XRP分がロックアップの期限切れとなると、リップル社がその分を自由に売却・分配できるようになります。つまり、55カ月後までの間に10億以上の大量のXRPが一度に売却される可能性がなくなったということです。もし、1カ月に10億XRPを分配しきれなかった場合は、その分がエスクロー機能によって再びロックアップされ、55カ月後以降に分配されることになるそうです。 リップル社CEOのブラッド・ガーリングハウス氏が明らかにしたところによれば、過去18カ月の間、1カ月に3億XRPを市場に分配していたそうです。XRPを市場に売却(分配)することでオープンソースコードを監督するエンジニアに支払う資本を調達していたとのことです。 実行までの具体的なスケジュールは明らかにされていませんが、ガーリングハウス氏はこのロックアップのプロセスが今年末までに完了するとみています。   XRPロックアップの影響は? XRPが市場に突然溢れると、XRP価格が暴落する恐れがあります。リップル社がXRPの大半を売却せずに保持しており、それらを一度に売却して市場をコントロールされる可能性があったため、市場からのXRPに対する評価は高いとは言えませんでした。しかし、今回のロックアップによって供給量に制限を加えたことで、そのリスクを軽減する狙いがあると言えます。 またガーリングハウス氏は、XRPが安定した暗号通貨であるという認識を広めることで、それを利用する企業や個人が増える可能性があると考えているようです。暗号通貨が市場に安定的に参入することによって、多くの銀行がその価格に悪影響を及ぼすことなく取引を行うことができます。   ますます影響力を強めるリップル リップル社はP2P(個人間)の仕組みに基づいて、分散型の金融取引を実現するための決済プロトコルを提供し、現在は国ごとに異なっている決済プロトコルをグローバルで統合し、あらゆる「価値」を世界中どこへでも動かせるようにすることを目標としています。 このため、国際送金をより簡単にしたいと望む銀行等がリップルとの提携をはじめているほか、世界中の企業とのネットワークを構築しはじめています。2016年にはみずほFGがリップルを活用した国際送金の実証実験プロジェクトを行い、そのネットワークに参加しています。また、2017年に入ってからは、三菱東京UFJ銀行がリップルを活用し、次世代型の国際送金サービスを2018年から始めることを発表しました。バンクオブアメリカ・メリルリンチなど米欧豪の大手6行とも連携し、手数料の引き下げと即時決済を実現していく方針です。 XRPの価格は上記の発表を境に上昇し、時価総額もイーサリアムを抜いてビットコインに次ぐ規模にまで成長しました。   […]

中国FinTech業界に大きな動き、中国人民銀行がFinTech委員会を設立。RegTechの応用を強化へ。

2017年5月15日 Wang Pengfei 0

2017年5月15日、中国人民銀行はFinTech(フィンテック)業界の健全な発展を促進し、直面している新しい課題に対応していくため、FinTech委員会を設立することを公表しました。 FinTech委員会のミッションは3つあります。ブロックチェーン業界への影響についても一つ一つ解説していきます。   ①FinTechの発展による金融政策・金融市場・支払清算などの領域への影響を研究し、政府として戦略・政策上のサポートを行う。 中国政府の政策はいつも遅れていると言われます。2013年からビットコイン取引量が長年世界一位にも関わらず、中国では未だにビットコインは「貨幣」もしくは「支払いの手段」として公式的に認められていません。さらに、キャッシュレス化の先進国とも言われる中国ですが、まだアリペイやWechat Payなどのモバイル決剤サービスに関する法律すらもできていないが現状です。 日本では金融庁がFinTech企業のために、経済産業省、財務省などの関係省庁と連携及び意見交換の場を提供できるFinTech協会が存在していますが、中国では似たような組織がなかったです。しかし今回、FinTech委員会が設立されることで、FinTech企業は政府と交流できる機会が増えることが考えられます。 さらに、FinTech委員会の設立は中国政府がFintechに本腰を入れるサインとも捉えられます。今後FinTech企業をサポートする政策が、次々に発表されることも期待できます。ビットコインの法的定義ついて出てくるのも、時間の問題ではないかと考えられます。 欧米諸国のように貨幣として認められることは難しいと想定されるので、日本と同じ「支払い手段」として認められることになるのではないでしょうか。   ②海外との交流・連携をさらに強化させ、中国の現状に適したFinTech管理制度を作り、新技術の金融業界への正しい応用をリードする。 先進国の法律や政策に基づき、中国の現状を考えた上でFinTech管理制度を作るという方針が見えています。現在、イギリス、シンガポールなどの中央銀行は規制のことを考えずに、金融イノベーションを促進するためのレギュラトリー・サンドボックスという制度を実施しています。規制の厳しい中国でも同じような制度を作り、FinTech企業のイノベーションを促進していくことが期待できます。   ③RegTechの応用実践を強化させ、ビッグデータ・AI・クラウドコンピューティングなどの手段を利用し、金融リスクの選別・回避の努力をする。 RegTech(レギュテック)というキーワードは、最近頻繁に中国政府の公文書にも出ており、今後ビッグデータ・AI・クラウドコンピューティングなどハイテク技術を使って、マネーロンダリングなどの対策をしていく動きが見えます。 現在中国では、ブロックチェーンプロジェクトのICO、暗号通貨の取引などはまだグレーゾーンです。ビットコインなどの暗号通貨に対するAML、KYCなどの実行は、伝統的かつ時代遅れのやり方だと非常に手間がかかる上、正確に行うことが困難です。そのため、ビットコインアドレスから取引履歴を分析し犯罪に関与しているか検証する「Coinfirm」のような、暗号通貨やブロックチェーンに特化したRegTechを促進し、既存のサービスに代わって採用していくことが想定されます。 今回のFinTech委員会の設立は、FinTech業界だけでなくビットコインをはじめとする暗号通貨やブロックチェーン業界にも大きな影響を与えていくことになるでしょう。中国にて関連事業を行う企業にとっては、今後の政府の動きは目が離せません。

Zcashに対応するウォレットがApp Storeに登場、iPhoneから送金可能に

2017年5月1日 BBC編集部 0

Appleは、「Zcash(ジーキャッシュ)」に対応した暗号通貨ウォレットアプリ「Jaxx」のApp Storeでの取り扱いを認可しました。 Zcashについてはこちらの記事で詳しく解説しています。 →「Zcash(ジーキャッシュ)とは?-第二のビットコインとも言われる匿名性暗号通貨」   Appleと匿名性暗号通貨の歴史 Zcashは、ゼロナレッジセキュリティを通じ、取引内容を第三者に公開することなく取引を実行できます。しかし、匿名性暗号通貨にはマネーロンダリングなどに使われる危険性が以前から指摘されており、Appleは過去に同じく匿名性暗号通貨の「Dash(ダッシュ))に対応するウォレットアプリをApp Storeで認めていない時期もありました。 匿名性暗号通貨についてはこちらの記事で詳しく解説しています。 →「匿名性暗号通貨とは?」 Jaxxは、複数の暗号通貨に対応したモバイルウォレットアプリで、Zcashに初めて対応しました。そしてAppleは、厳重な承認審査を行い、Zcashの技術的側面に可能性があると判断した結果、承認に至りました。 さらにJaxxに加え、ブラジルのウォレットアプリ「Smart Wallet」もZcashへの対応を発表しました。これによってブラジルではスマートフォンを通じ、税金や日常での支払いなどあらゆる決済をZcashで支払うことができようになるとのことです。   匿名性暗号通貨のモバイル送金によって何が実現されるのか 匿名性暗号通貨としてはZcashのほかにDashや「Monero(モネロ)」などが開発され、流通しています。匿名性暗号通貨の持つ「匿名性」という特徴によって、「誰から誰へといくら送金されたのか」といった情報が全て暗号化されるメリットはプライバシー保護の観点から考えると大きなメリットがあると言えるでしょう。匿名性暗号通貨がiPhoneやMacを通じ送金できるようになったことで、個人間送金におけるプライバシー保護が大きく進展したと言えます。   ※画像はJaxxの公式Twitterアカウント(@jaxx_io)より