パブリックチェーンとプライベートチェーンの違いとは?

2017年4月18日 BBC編集部 0

   ブロックチェーンには大きく分けて「パブリックチェーン」と「プライベートチェーン」という二種類があります。この二つにはどのような違いがあるのでしょうか。今回の記事では、それぞれのメリットやデメリットも含めて解説していきます。   ブロックチェーンにおける「取引承認」のプロセス  ブロックチェーンにおいては取引の「記録」と「承認」という二段階のプロセスが存在します。まずブロックチェーンに取引が記録されるプロセスでは、プルーフ・オブ・ワークなどを通じて選ばれたマイナーが取引記録の塊である「ブロック」を生成します。 (プルーフ・オブ・ワークについてはこちらの記事で詳しく解説しています。)  その後マイナーによって生成されたブロックは、他のノードが同期したり、他のマイナーが次のブロックを繋げることによって徐々に「承認」されていきます。この時ノードやマイナーはブロックに記録された取引記録の検証作業を行っており、不正なブロックであると判断された場合には承認しないこともあります。つまり、ブロックチェーンでは多くのノードやマイナーによる検証作業を経て取引が承認されるほど、その取引記録の正当性が高まっていきます。   最大の違い-誰が取引承認を担うのか?  ここでパブリックチェーンとプライベートチェーンの最大の違いは、誰が取引の承認を担うのかという点です。結論から言えば、パブリックチェーンにおいて取引の承認を担うのは不特定多数のノードやマイナーです。たとえば、パブリックチェーンに分類されるビットコインにおいてマイナーの生成したブロックを承認するのは、ビットコインブロックチェーンに参加している不特定多数のノードやマイナーであり、ノードおよびマイナーには誰でもなることができます。  パブリックチェーンでは不特定多数による承認作業が取引の正当性の根拠となるため、特定の個人の恣意による操作や改ざんが非常に困難です。これは分散化の大きな利点の一つです。  このようにブロックが生成されるたびに全てのノードによって取引記録の検証と正当性の担保が行われているという意味で、パブリックチェーンは真に「パブリック」かつ「自律分散的」であると言えます。    一方プライベートチェーンでは、取引記録の生成や承認を行うことができるのは一部のノードに限られています。このとき、記録生成や承認のための権限が一部のノードに限定的に集中してしまっている点で、分散化の利点が失われてしまいます。また記録生成や承認の権限を持つノードは予め管理主体によって指定されていることが多く、管理主体が存在している点でも「非中央集権化」という側面が弱くなっていると捉えられるでしょう。このように特定の管理主体によって権限を持つノードが指定されているブロックチェーンを「許可型ブロックチェーン(パーミッション型)」と分類する場合もあります。  多くの暗号通貨はパブリックチェーン上に構築されていますが、たとえばリップル(Ripple)などは取引承認をユニーク・ノード・リスト(UNL)に限定しているため、プライベートチェーンに分類されることが多いと言えます。   プライベートチェーンの強みとは?-迅速な取引承認  プライベートチェーンにおいて、取引承認を一部のノードに限定する大きな利点は、迅速かつ効率的な取引の承認が実現できる点です。たとえば、ビットコインではプルーフ・オブ・ワークというプロセスを踏み、悪意のあるマイナーによる記録を防いでいますが、それには時間と膨大な計算を行うマシンパワーおよび電力消費が必要となります。一方、プライベートチェーンにおいては管理主体によってあらかじめ指定された信頼性が高くかつ少数のノード内部で取引の承認が完結するため、迅速かつ効率的な取引承認が可能になります。そのほかにもマイニング報酬など、正しい情報を記録するためのインセンティブが不要であるなどの利点があります。   プライベートチェーンの活用可能性-管理のしやすさ  プライベートチェーンの強みはそれだけではありません。パブリックチェーンが完全に自律分散的であるのに対し、ノードを指定することができるプライベートチェーンは裏を返せば管理がしやすいと捉えることができます。このためノードを信頼性の高い者のみに限定するだけでなく、たとえばブロックチェーンに記録された情報の公開範囲を指定できるなどの利点があります。  このようにプライベートチェーンでは中央による管理を損なうことなく、ブロックチェーンのメリットを取り入れることが可能なため、既存の金融機関などの中央集権機関による採用に適しています。具体的には既存のシステムを効率化するために活用されることが多く、実際に先ほど例に挙げたリップルは既存の銀行内システムや銀行間決済の効率化に活用される動きが進んでいます。  しかし、単一組織内でのプライベートチェーン採用においては、中央管理者によるデータ改ざんの可能性などが拭い去れず、従来型の分散型データベースと同じなのではないかといった議論も起きています。  一方で、国際送金や銀行間決済におけるリップル採用の例においては、単一の中央管理者というよりは複数の信頼の高いノード間で自律的に取引が記録・承認されるため、効率化に貢献する側面は大きく、分散化のメリットもある程度保っていると言えます。このように中央管理者が単一ではなく複数の主体からなるものは「コンソーシアム型ブロックチェーン」と分類されることもあります。   […]

ビットコインとは?-法定通貨との比較

2017年4月7日 BBC編集部 0

 ビットコイン(Bitcoin)はサトシ・ナカモトによって2008年に発表された最初の暗号通貨(仮想通貨)です。ビットコインの発明がもたらしたブロックチェーンやプルーフ・オブ・ワークなどの技術的なインパクトもさることながら、ビットコインの「新たな通貨」としての側面も非常に画期的なものであるといえます。そもそも、ビットコインなどの暗号通貨と日本円やUSドルなどの法定通貨には、どのような違いがあるのでしょうか。今回の記事ではビットコインを既存の法定通貨と比較しながら、暗号通貨の特徴を「通貨」という観点から見ていきます。   「通貨」とはなにか?  通貨とはなんでしょうか。日本円やUSドルなどの法定通貨に加え、過去には貝殻や金などが通貨として流通していた時代もあります。これらの通貨に共通するのは、 (1)価値貯蔵 (2)価値尺度 (3)交換手段 という三つの機能です。  ビットコインは1BTC、2BTCなどと数えることが出来る点で価値尺度として成り立ち、またビットコイン建て決済なども浸透してきており交換手段としての役割を果たしていると言えます。しかしながら価値貯蔵手段としての役割については、現段階では投機資金の流入が大きく価格が不安定であることから議論が分かれている状況です。  ではビットコインを通貨として見なしたときに、法定通貨とどのような違いがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。   法定通貨との三つの違い  ビットコインと法定通貨との違いは大きく分けて「発行主体の有無」、「取引の透明性」、「第三者を介さないP2P送金」の三点です。詳しく見ていきましょう。 (1) 発行主体の有無  ビットコインと法定通貨との最大の違いは「発行主体の有無」です。法定通貨の場合、発行をしているのは中央銀行であり、金融政策を通じて法定通貨の発行量(マネタリーベース)を調整・管理しています。それにより、為替相場や物価をあるべき水準に合わせ調整しています。これは見方を変えれば、「中央銀行が政策的に法定通貨の価値を調整することができる」と言えるでしょう。  一方でビットコインの最大の特徴は「発行主体が存在しない」点です。ビットコインでは、プログラムに従って自動的にビットコインが発行されており、2140年頃に通貨発行上限の2100万BTCに達したあとはビットコインは新規発行されません。このようにビットコインは発行主体が存在せず自動的に発行されていくため、発行量や通貨価値を第三者(中央管理者)によって左右されることはありません。 (2) 取引の透明性  ビットコインの取引履歴はすべてブロックチェーン上に記録されているため、どのアドレスからどのアドレスにいくら送金されたのかが第三者から閲覧可能です。ブロックチェーン上に個人を特定可能な情報は記録されていませんが、アドレスと特定の個人が結びつけばその人の全ての取引記録を追跡することが可能です。  これはあらゆる取引を誰もが確認できる「透明性」を担保している一方で、全ての取引記録が他者に閲覧されてしまうことが、プライバシー問題として懸念されています。 (3) 第三者を介さないP2P送金  法定通貨を国内で送金する場合、口座振替などを利用することになるでしょう。また国際送金では国際銀行間決済ネットワーク(SWIFT)を通じさらに複数の銀行を介す必要があります。複数の事業者を介することで、高額な送金手数料がかかってしまいます。  ビットコインでは、アドレスを持っている相手であれば誰にでも、第三者を介さず直接送金することができます。第三者を介さない個人間で直接やり取りすることをP2P(ピア・ツー・ピア)と言います。ビットコインでは送金の際に銀行やクレジットカード会社を介する必要はありません。またビットコインでは国内外にかかわらず送金手数料が低く、高くても数十円程度です。このため「国家」という枠組みを超えてグローバルに流通する可能性を持っています。 […]

ブロックチェーン技術の活用範囲を広げるスマートコントラクトとは?

2017年4月4日 BBC編集部 0

ビットコイン(Bitcoin)は最初の暗号通貨(仮想通貨)として広く取引されるようになりましたが、ビットコイン自体は単なる送金手段として以外の役割は持ち合わせていませんでした。一方イーサリアム(Ethereum)には「スマートコントラクト」という機能が加わっており、送金手段としての暗号通貨という側面だけでなく「分散型アプリケーション(DApps)」構築のプラットフォームとしても機能しています。このようにブロックチェーン技術を通貨以外の用途へ活用するプロジェクトを総称して「ブロックチェーン2.0(ビットコイン2.0)」とも呼びます。 「スマートコントラクト」とは一言で言えば「ある条件が満たされた場合に、決められた処理が自動的に実行されること」です。このスマートコントラクトを活用することで、どのようなことが可能になるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。   従来の価値取引には仲介者が必要 たとえばAさんがBさんから通信販売で商品を買う場合には、BさんがAさんへ商品を発送し、AさんはBさんに代金を送金する必要があります。しかし、Aさんにとっては代金を支払っても商品が確実に届く保証はありませんし、Bさん側も支払いを確認する前に商品を発送することはリスクが伴います。このように購入者と出品者がお互いの信頼性について十分な情報を持っていない場合、代わりに「信頼を担保する仲介者(第三者)」を間に挟むことで円滑な取引を行っています。このような取引形態をエスクロー型と呼びます。通販業者やeコマース企業などがこの信頼を担保する仲介者にあたります。 この構図が、スマートコントラクトを活用することでどのように変わるのでしょうか。   スマートコントラクトがもたらすもの-「トラストレス」 スマートコントラクトとは「ある条件が満たされた場合に、決められた処理が自動的に実行されること」です。スマートコントラクトのもっとも身近な例は自動販売機であると言われています。「お金を入れて商品を選ぶ」という条件が満たされた場合に「選ばれた商品を出す」という操作を自動的に実行しているからです。 これを先ほどの通信販売に当てはめて考えてみましょう。スマートコントラクトを用いることで、「Aさんがサイト上で購入ボタンをクリックする」という条件が満たされた場合に、「AさんからBさんへと代金が送金される」「Bさんから商品が発送される」という二つの操作が自動的に実行されるようにプログラムを設定することができます。 このように、スマートコントラクトでは定められたコードに従って自動的に契約を実行します。プログラムはブロックチェーン上に記録されており改ざんが困難であるため、この場合のBさんや仲介者などの取引相手を信頼する必要がないトラストレスな形での取引が可能になり、信頼を担保する仲介者(第三者)を不要とすることができます。いうなれば、契約書そのものが契約実行をも行うことができる、「自力執行権を持つ契約」と言えるでしょう。これにより取引相手が信頼に足るかどうかを取引の度に考慮する必要がなくなり、また仲介コストを削減することができます。   スマートコントラクトの活用-「DApps」「DAO」とは? スマートコントラクトを用いた活用例としては、「DApps(自律分散型アプリケーション)」や「DAO(自律分散型組織)」といったものが挙げられます。DAppsとは、スマートコントラクトを用い全てをコードに従って自動的に処理するアプリケーションです。従来の中央集権型システムをDAppsとして分散型アプリーケーション化することには、仲介コストの低下や中央管理者によるコントロールの排除、内部での改ざんや外部からの攻撃リスクの抑制など、様々なメリットが存在します。この意味でイーサリアムはDAppsを構築するためのプラットフォームとも言うことができ、実際に数多くのDAppsプロジェクトがイーサリアム上に構築されています。 また組織の意思決定やその実行などのガバナンスを全てスマートコントラクトに従って行うものを「DAO」と呼びます。通常の企業では取締役会など中央管理者によって経営されているのに対し、中央管理者が存在せず給与からマネジメントに至るまで全てがスマートコントラクトによって実行されている企業、というイメージです。   関連記事 今回の記事ではスマートコントラクトについて詳しく解説しましたが、スマートコントラクトと密接な関係があるイーサリアムとその関連プロジェクトについてはこちらの「イーサリアム・ビギナーズガイド-ビットコインとの違いとその活用可能性」という記事にて詳しく解説しています。 また、以下のページではスマートコントラクトを活用したDAppsなどの各プロジェクトをご紹介しています。 ・Digix(ディジックス)とは?−金の所有権をブロックチェーン上で管理 ・Golem(ゴーレム)とは?-世界中のコンピュータからなるシェアリングエコノミーの可能性 ・SingularDTV(シンギュラーDTV)とは?-スマートコントラクトを活用した権利管理を実現 ・Akasha(アカシャ)とは?-改ざん・検閲を受けない自由な言論空間 ・Sensus(センサス)とは?-回答するほど儲かる、分散型の”知恵袋”

ブロックチェーンを支える技術「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」とは

2017年3月30日 BBC編集部 0

ブロックチェーン上で行われた取引は「マイニング」と呼ばれる作業を通じて全てが正しく記録され、最終的にはネットワークに接続されている無数のコンピュータに同期されます。ビットコインほか多くの暗号通貨では、このマイニング作業に「プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work、PoW)」と呼ばれるシステムが利用されています。この仕組みにより、ブロックチェーンがトラストレスでも正しく動作する理由にも繋がっています。詳しく見ていきましょう。   マイニング作業-取引情報の入ったブロックの新規生成 ブロックチェーン上で行われた取引の記録作業を「マイニング(Mining)」と呼び、その記録作業を行う人々のことを「マイナー(Miner)」と呼びます。また、ブロックチェーンに接続されているコンピューターを「ノード」と呼びます。マイナー達はノードとして接続されている自身のコンピュータを使って、いくつもの取引をまとめた「ブロック」を約10分間おきに生成しています。 このとき各ブロックには「nonce(ナンス)」と呼ばれるハッシュ値を含める必要があります。このハッシュ値は一つ前のブロックのハッシュ値とは別物であり、プログラムにより指定される「ターゲット」と呼ばれる値以下である必要があります。マイナー達は膨大な量の計算を行い、総当りでこのハッシュ値を探し出すマイニング競争を行います。そして条件に該当するハッシュ値を一番最初に探し出すことに成功したマイナーがブロックを生成し、マイニング報酬を受け取ることができます。ビットコインではマイニング報酬が約4年おきに「半減期」を迎えるよう設定されており、2016年夏には25BTCから12.5BTCに半減しました。最終的には2140年頃にマイニング報酬がゼロとなり、発行上限量として設定された2100万BTCに到達する予定です。   ブロックの承認と合意形成 ブロックが生成されると、他のノード達の多数決によって承認作業が行われます。ブロックチェーンネットワークの過半数のノードによって承認されればそのブロックは正当なものとみなされ、さらに次のブロックが生成されます。仮に一番乗りになったマイナーが間違った取引を含んだブロックを生成した場合には、そのブロックは他のノードから承認されず、次に条件に該当するハッシュ値を見つけたマイナーがブロックを生成し、それを他のノードが承認するという過程を経ます。このようにして生成されたブロックをノードが多数決で承認しながら、常に正しいブロックが同期されるような合意形成(コンセンサス)を行うことで台帳への記録作業が行われているのです。   膨大な計算を行うことで、報酬を得ることができる「プルーフ・オブ・ワーク」 この一連の合意形成の仕組み(コンセンサスアルゴリズム、Concensus Algorithm)を「プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work、PoW)」といいます。このようにマイナーは自分のコンピュータの計算能力を台帳への記録作業に提供する代わりに、記録に成功すると報酬としてビットコインを受け取ることができます。 では、仮に不正に送金を行おうとする人がいた場合はどうなるでしょうか。過去の取引記録を改ざんしようとする場合、ブロックチェーンのデータ構造の特徴上、過去のブロックだけでなく最新のブロックまでを全て改ざんした上で、全ノードに同期させる必要があります。そのため、過去のブロックになればなるほど指数関数的に改ざんは困難となります。6承認されるとほぼ改ざんの恐れはないと判断しているのは、こういった理由からです。 またマイニングの際に不正なブロックを生成しようとする場合には、世界中に無数に存在するマイナーのコンピュータの計算能力を上回る必要があるため、むしろマイニング作業に参加して報酬を得たほうが経済合理性に適う結果となるため、ハッキングすることへのインセンティブも低減します。 このように人々が合理的な選択の結果として正しい取引記録を行う仕組みを確立したことで、管理者の存在がなくとも取引の記録作業が完全に自律的に維持されているのです。   「51%攻撃」リスクとは? しかしながらこれは逆に言えば世界中のマイナーのコンピュータの計算能力の51%を上回るマイナーが現れると、ブロックがそのマイナーの恣意によって生成されてしまう、「51%攻撃(51%アタック)」という問題が発生します。ビットコインで考えると、現状のマイニングパワーと同じだけの計算能力を特定の一つの集団が保持するのは難しく実現不可能であるとされていますが、中国がマシンパワーの9割近くを占めている現在の状況を危惧する声もあります。 また、プルーフ・オブ・ワークは、仕組み上コンピューターに膨大な計算をさせるため、莫大な電力を消費するというデメリットがあります。そのため電力の安い中国など発展途上国において、マイニング作業に特化した巨大なコンピューターサーバーを多数設置した「マイニングプール」が多く設立されています。このような電力の消費が無駄なのではないかとして、プルーフ・オブ・ワーク以外のコンセンサスアルゴリズムも研究がされていますが、ほとんどの暗号通貨がプルーフ・オブ・ワークを採用しているのが現状です。   最後に […]

ブロックチェーンを支える技術「公開鍵暗号方式」とは

2017年3月28日 BBC編集部 0

暗号通貨を送金する際には、「秘密鍵」と「公開鍵」というペアの暗号鍵を用いた「公開鍵暗号方式」が使われています。これはインターネットサイトの閲覧においても用いられている暗号化方式であり、暗号通貨ではそれをブロックチェーンやプルーフ・オブ・ワークなどと組み合わせる形で応用しています。今回の記事では公開鍵暗号にフォーカスして詳しく解説していきます。   公開鍵暗号方式とは?-暗号化と閲覧を別々の暗号鍵で実行 公開鍵暗号方式では特定の人だけが知っている「秘密鍵(シークレット・キー)」と外部に公開している「公開鍵(パブリック・キー)」というペアの暗号鍵があります。公開鍵は秘密鍵をもとに生成されますが、公開鍵から秘密鍵を知ることはできません。このとき暗号化については公開されている公開鍵を用いて誰でも行うことができますが、公開鍵によって暗号化された内容は秘密鍵を持っている者だけしか閲覧することができません。   暗号通貨における公開鍵・秘密鍵の役割 誰かに暗号通貨を送金する場合、送金者が自身の秘密鍵を用いて「電子署名」をすることで初めて送金処理を実行することができます。秘密鍵を用いた電子書名は、銀行口座で送金を行う際にパスワードや印鑑などで行う本人確認にたとえることができます。 一方で送金先を指定する際には、送金先が公開している公開鍵を用いて生成されるアドレスを用います。公開鍵は振込先の口座番号にたとえることができます。 例えば、ボブさんがアリスさんに10BTCを送金する際、ボブさんは「10BTCをアリスさんのアドレスへと送る」という内容に自らの秘密鍵で電子署名を行います。この電子署名によって送金処理が初めて可能になり、アリスさんは10BTCを受け取ることができます。   秘密鍵の所有=所有権の確認 しかしながら秘密鍵と特定の個人の間に紐付けは存在しないため、秘密鍵を知られていまうと誰でも勝手に送金できてしまいます。これは「秘密鍵を知っていること」がつまり「暗号通貨の所有権」を意味すると捉えることができます。そのため秘密鍵は誰にも知られることがないように、オフラインで保管するなど非常に厳重に管理する必要があると言えるでしょう。 bitFlyerやcoincheckなどの取引所に暗号通貨を預けている場合、秘密鍵を取引所が管理していることになります。Mt.Gox事件のように、取引所の管理する秘密鍵が何者かによって流出し、取引所から利用者の暗号通貨の一部が盗まれてしまうといった事件はこれまでもたびたび起きています。取引所に資産を預けるリスクについては別の記事で詳しく解説しますので、併せてご覧ください。

ビットコインを支える技術「ブロックチェーン」とは

2017年3月23日 BBC編集部 0

サトシ・ナカモトによって2008年に発表されたビットコイン(Bitcoin)には、実に革新的なアイデアが多く盛り込まれています。その一つが分散型取引台帳とも呼ばれる「ブロックチェーン」です。現在ではブロックチェーンを活用し暗号通貨にとどまらず様々なプロジェクトが進められています。今回の記事ではそれらの根幹を成すブロックチェーンについて、分かりやすく解説していきます。ブロックチェーンを活用した各プロジェクトの詳細についてはこちらの記事で詳しく解説しています。   ブロックチェーン(分散型取引台帳)とは? ブロックチェーンとは分散型台帳(Distributed Ledger)という名のとおり、「全ての取引(トランザクション)が記録された仮想的な台帳」です。それは、その名の通り分散して存在しており、1つではありません。   「分散型」と「集中(中央集権)型」の違いとは?  「分散型(Decentraized)」という言葉と対置されるのが、「集中型(中央集権型)(Centralized)」という言葉です。従来のサービスはほとんどが集中型であり、たとえばFacebookではユーザーの投稿や写真は全ていったんFacebookの集中サーバーにアップロードされ、そのデータをFacebookユーザーが同期(ダウンロード)することで全ユーザーが同じデータを閲覧できるようになっています。  このような集中システムにおいては中央管理者が効率的にデータを管理できる一方で、データを集中的に管理しているためハッキングなど外部からの攻撃のリスクが高まり、またそれに対するセキュリティコストも必要となります。簡単に言えば、誰かが金庫を開けてしまいさえすれば、預金者の財産をごっそり取られてしまうのです。  また集中的に管理されているためサーバーダウンや内部からの改ざんに脆弱なほか、中央管理者を介することによる仲介コストが必要となるといった点もデメリットとして挙げられるでしょう。  一方で分散型システムにはそもそも「中央管理者」が存在しません。ネットワークに接続しているユーザーが更新を行うと、その更新は自動的に他の全ユーザーに送信されます。同様に、分散型台帳にはブロックチェーン上で行われたあらゆる取引が自動的に記録されます。どういうことか詳しく見ていきましょう。   ブロックデータを分散的に常に同期、そのため不正や改ざんが困難  ブロックチェーンの中では、約10分間の取引記録をまとめた「ブロック」と呼ばれるデータの塊がチェーン状(鎖状)に連なっています。あるブロックにはその一つ前のブロックから算出された「ハッシュ値」という値が含まれているため、ブロックの「チェーン(鎖)」と表現されます。  これらはネットワークに接続された無数のコンピュータに同期されることで、接続されたコンピュータは常に同一の取引記録をローカルに保持します。ここでは「マイニング」と呼ばれる作業によって取引記録が絶えず更新され続けていますが、ユーザーからすれば取引記録が自動的に更新されていくと考えてよいでしょう。  以上のようなシステムによって、悪意を持った第三者がブロックチェーン上の取引記録を書き換えようとしても、そのためには世界中に無数にあるコンピュータ内に保存されている取引記録すべてを改ざんする必要が生じます。ブロックチェーン上の取引記録データを改ざんするのは非常に困難なのです。これがセキュリティコストの削減にもつながっています。   ピア・ツー・ピア(P2P)かつトラストレスなネットワーク  このように、自律的に全取引を改ざん不可能な状態で記録するブロックチェーン技術は中央管理者の存在を不要にし、個人と個人が仲介者(第三者)を介すことのない直接的なやり取りが実現されました。このように第三者を介さない直接的な個人間のやりとりのことをP2P(ピア・ツー・ピア、Peer to peer)と呼びます。  中央管理者を介さないP2P取引によって仲介コストやセキュリティコストを削減できるほか、分散的に保存されているために改ざんやサーバーダウン、外部攻撃に強く、なおかつ第三者によって管理されることもありません。さらに、正しい取引記録が自動的に更新されることを踏まえると、ブロックチェーンは「トラストレス(Trustless)」であると言うことができます。これはそれぞれの取引相手の信頼性をそのつど確認する必要がなく、ブロックチェーン上の取引記録を常に正しいものとして信頼できるということです。  では、「マイニング」を通じて正しい取引記録が自動的に更新されていく過程は、具体的にはどのようなものなのでしょうか。ブロックチェーンがトラストレスであると言える理由も含めて、「プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work、PoW)」については、別の記事で詳しく説明したいと思います。 […]