「ポストICO」時代、中国政府によるブロックチェーン技術への取組を完全解説

2018年5月11日 BBC編集部 0

2017年の9月、中国政府のICO完全禁止令はブロックチェーン業界にとっては大きな打撃でした。その後、中国政府はブロックチェーン技術にどういう措置をしたのか、気になる方が多いと思われます。この度、ブロックチェーンビジネス研究会のリサーチチームが、「ポストICO」時代、中国政府によるブロックチェーン技術への取込を解説いたします。

ブロックチェーンがもたらす事業部運営の変化:より厳密な経営遂行ユニットへ

2017年6月21日 赤羽 雄二 0

ここ数回に渡ってブロックチェーン革命を乗り越えるために、組織としてどのように立ち向かっていくかについて触れてきました。今回は、ブロックチェーンによって組織構造自体がどのように変化していくかについてお話したいと思います。   スマートコントラクトによってすべての経理・会計業務が自動化されたら あと数年してブロックチェーンとスマートコントラクトが普及すると、すべての経理・会計業務が安全、確実、安価でリアルタイムに自動処理できるようになります。 ビットコインやイーサリウムでできるかどうかは微妙ですが、例えばIOTA(イオタ)はIoTをサポートするブロックチェーンとして先週上場し、時価総額1650億円($1=110円)を実現して世界中を驚かせました。産業界や市場の期待は大変大きい状況です。トランザクションコストが無料で、かつ処理量も莫大にこなせます。 IOTA以外にもまだいくつもの革新が必要ですが、遅かれ早かれ、すべての経理・会計業務が自動化されることはまず間違いないことだと思います。決まりきった作業であり、人が手作業でやり続ける意味が全くないからです。判断業務の部分はもちろんありますが、恣意的にやらないためにはむしろ人手を完全に排除することが必要です。東芝などでの不正会計、粉飾の可能性をゼロにすることもできます。 もちろん、スマートコントラクトの設計にインチキがないように確認・監査する必要はあります。 これらの結果、事業部ごとの業務や財務状況が人手を全く介さず、リアルタイムで把握できるようになると理解しています。 これは大変なことで、ローマ時代に簿記が発明され、14世紀に複式簿記が発明されて以来の大きな変化をもたらすのではないかと勝手に考えています。   事業部がどうなるかの大胆な仮説 すべての経理・会計業務が安全、確実、安価でリアルタイムに自動処理できるようになったとき、企業経営がどうなるのか、事業部がどうなるのか、ということに関しては、世界中見渡しても、まだどこにも詳しい見解が述べられていません。 多分、企業経営に詳しい人、経営改革に詳しい人、ブロックチェーンとスマートコントラクトに詳しい人がばらばらで、しかもダイナミックに変化している真っ最中なので、そういうことなのだろうと思います。 ということは言ったもの勝ちなので、内外大小の多数の企業の経営改革の経験とブロックチェーンとの深い関わりをもとに、大胆な仮説を述べさせていただきます。 私個人の意見ですので、「いやこうではないか」「こう考えたらもっと意味があるのではないか」という意見をどんどん出していただければ非常に嬉しく思います。 事業部がどうなるのか、またその意味合いがどうなるかということに関して私の仮説は以下の通りです。 事業部の経営・運営状況が常時把握されているので、KPI(Key Performance Index 経営指標)経営がより徹底される。 何をどうすればより売上・利益を拡大できるのかが瞬時に提示されるので、経営判断、方針変更がより早くなる その俊敏で的確な判断ができる事業部長が生き残り、のんびりとした勘と人脈、人柄で生きてきた事業部長は淘汰される 業績、企業への貢献が不透明だった役員、部長、課長の貢献度がKPI達成の一部として明示されるので、どの階層も成果を出すことに全力を挙げるようになる。成果を出せない役員・管理職も淘汰される IoTやウェアラブルの活用で、誰が誰とどうやり取りしているか、会話しているか、仲間作りをしているかなどもすべて把握され、貢献度との関係が明示される 企業全体として見た場合、黒字事業部の業績をどうすればより早く向上できるのか、赤字事業部をいつまでにどう黒字化するのか、どこで見切るのかの判断が明確になる。従来のように赤字のテレビ事業を10年維持・放置するといったことがなくなる […]

ブロックチェーン新事業開発支援チームの設立と運用

2017年6月14日 赤羽 雄二 0

前回、リーンスタートアップによるブロックチェーン新事業開発についてご説明しました。1000字程度の価値仮説を書くのが意外にむずかしいことやスピード感の重要性についてもお話しました。 複数のチームを並行して走らせると交互に刺激になることや、ベストプラクティス共有についても触れました。   ブロックチェーン新事業開発支援チームが必要な理由 ただ、それでも、プロジェクトメンバーが新事業、ましてやブロックチェーン新事業に初めてでは、おっかなびっくり動くしかありません。そうなると、新事業開発がスムーズに進まず、時間を大きくロスします。それだけではなく、慣れていればうまくかわすことのできた問題にぶつかったり、どんなに時間をかけても顧客・ユーザーを満足させる製品・サービスに到達できなかったり、ということが起きてしまいます。 そのため、私は中堅企業、大企業の場合は、ブロックチェーン新事業開発支援チームを専任で置いて、そこが各ブロックチェーン新事業プロジェクトを支援することが望ましいと考えています。 こういう支援チームの提案をすると、多くの経営者が「そんなものは特に必要ない。優秀なメンバーを集めれば、新事業プロジェクトはうまく行くはずだ」と言って必要性を理解してくれません。スポーツならコーチやトレーナーをつけるのが当然と考えられているにも関わらず、会社の新事業プロジェクトは、社員が本気で取り組めば何とかなると考えているようです。精神論だけで何かができると考えがちなのは、まだスパルタ教育や「体育会的ノリ」が信奉されているからかも知れません。 ブロックチェーンのような全く新しいもので、しかも社内外との調整が非常に多く、大企業的でありかつベンチャー的要素もあり、グローバルとローカルの線引きもあいまい、という状況では、ただ仕事ができるだけの部課長に任せるのは危険です。彼らはできないとは言いませんが、会社として決してよい結果をもたらしません。それよりは、専任の支援チームを置いてノウハウを蓄え、会社としてスキルアップしていくことが効果的です。   リーンスタートアップを支援するブロックチェーン新事業開発支援チーム では、リーンスタートアップを支援するブロックチェーン新事業開発支援チームはどういう体制、位置づけ、構成にすべきでしょうか。 上図にあるように、経営者の直下に置き、事業部から生み出される新事業案とその推進メンバーをいったんブロックチェーン新事業開発支援チーム内に置きます。 そこでは、慣れたメンバーのコーチングのもと、新事業案の事業計画を短時間でしっかり詰めます。価値仮説や成長仮説も手早く書いて仕上げ、MVPを設計して電光石火でトライアルを進めます。準備ができ次第、チームは新事業推進プロジェクトとして外に出します。 ブロックチェーン新事業開発チームに助けてもらうと仕事がスムーズに速く進む、本当に助かるという評判をなるべく早く作っていく必要があります。そうなると、事業部あるいは研究所でブロックチェーン関連新事業を検討しようと話し始めた最初の段階で相談されるようになり、会社としては新事業推進が効率的に進むようになります。   ブロックチェーン新事業開発支援チームリーダーとメンバーの資質 ブロックチェーン新事業開発支援チームリーダーは、①ブロックチェーンという新しい分野で、②新事業を立ち上げるための、③支援をするという3つのチャレンジを同時に受ける立場ですので、社内でもっとも優秀な部長クラスを当てる必要があります。 具体的には、 問題把握、解決力がある リーダーシップがある 情報感度が高い 好奇心が強い 頭が柔らかい 社内をスムーズに進めるコミュニケーション力がある 社外のITベンチャー、専門家、海外の関連ベンチャーとの連携ができる […]

スマートコントラクトにおける法的課題

2017年5月24日 BBC編集部 0

前回記事「現役弁護士によるスマートコントラクトの概観」に続き、スマートコントラクトの論点について説明します。今回は、論点整理的な記事となります。 スマートコントラクトの特徴(「ネット上の契約」との違い) スマートコントラクトは、契約の締結と履行の双方又は一方が、コンピュータ・プログラムによって自動的に行われるものであると理解されています。「プログラム」、「自動的」といったキーワードで、「ネット上の契約」と区別されますが、この差を要素に分けてみると以下のように整理できます。 従来のネット契約 スマートコントラクト 締結場所 インターネット ソフトウェア/インターネット 締結意思 人の入力 自動 or 人の入力 契約言語 自然言語 プログラム or 自然言語 履行場所 現実世界 デジタル台帳 or 現実世界 履行方法 請求行為・法的手続 自動 or 請求行為・法的手続 ブロックチェーン 想定なし 活用を想定 プログラム言語で書かれた契約が自動的に成立し、自動的にブロックチェーン上で契約の履行が完了するのが、スマートコントラクトの典型像です。しかし、ネット契約と同じように、相互の意思確認に基づいて自然言語で締結され、契約履行の部分のみ自動的に実行されるものや、反対に自動的にプログラムコードで契約が成立し、契約履行はリアルな方法で行うものも、「スマートコントラクト」の範疇と考えられます。 具体的にどのようなタイプのスマートコントラクトから普及していくかは、現在全世界で実証実験等が行われており、その状況を注視していくことになります。 […]

リーンスタートアップによるブロックチェーン新事業開発

2017年5月22日 赤羽 雄二 0

今回は、新事業を考える際に有効なリーンスタートアップと呼ばれる手法を用いて、ブロックチェーン技術を用いた事業を立ち上げる際のポイントについて述べていきます。   リーンスタートアップとは? リーンスタートアップとは、製品・サービスの仮説を素早く立て、最も重要な機能のみ簡潔に実装し、実際の顧客・ユーザーで試し、ねらいがはずれたらすぐピボット(=方向転換)をして、成功するまで改善していく製品・サービス開発のアプローチです。10年ほど前から米国を中心に発展してきました。 ごく短期間で製品・サービスのねらいをつけられること、読みがはずれたら何度も急速にピボットするので成功確率が高いこと、費用が非常に安いことなどが特筆すべき点で、シリコンバレーのベンチャーとベンチャーキャピタルの力関係を大きく変えるインパクトをもたらしました。急成長するまでそれほどの資金需要がなく、ベンチャーキャピタル側が日参して投資を受け入れてもらう、という新現象が起きたほどです。 具体的なステップとしては、 顧客・ユーザーが泣いて喜ぶほどの「価値仮説」と、1人の顧客・ユーザーが3社・3人呼んでくれる「成長仮説」を立てます(それぞれ1000字程度で)。顧客は製品・サービスの対価を支払ってくれるいわゆるお客様、ユーザーは利用者を指します。 仮説を検証するための必要最小限のMVP(Minimum Valuable Product = 実証ミニプロダクト)を最速で構築します。数日から数週間と通常の開発の数十分の一の時間での構築がポイントです。本当に大事な点だけに絞って、見た目を無視して機能を提供できるようにするものです。 顧客・ユーザー候補を何社・何名か確保し、MVPを使ってもらって価値仮説、成長仮説が正しかったかどうかを検証します。 ターゲットKPI(Key Performance Index = 達成目標)を満たさなかったら、すぐ仮説を見直し、MVPを作り変えてピボットします。 再び最速で検証します。ターゲットKPIを満たさなかったら4.に戻ります。 というものです。 リーンスタートアップそのものに関しては、「素早い仮説構築・検証・修正による商品開発 実践的リーンスタートアップ」という記事で詳しく述べましたので、ご参照ください。 もともとベンチャーの立ち上げのための工夫として始められましたが、大企業、中堅企業の新事業開発にも非常に効果的です。ブロックチェーンによる新事業に関して、サービスの使用感や事業性などを確認するためにもうってつけだと考えています。   複数の新事業をリーンスタートアップで立ち上げる […]

ブランド品の真贋判定「VeChain」中国のブロックチェーン活用事例紹介

2017年4月27日 Wang Pengfei 0

中国では、ブランド品の偽物にもランクがあることをご存知でしょうか?「Plada」「Cucci」のように明らかな偽物もあれば、専門家でないと判定できなく、本物とほぼ変わらないハイランクの偽物もあります。ブランド品の生産を請負った中国の工場がだまって鐘形をそのまま使い、本物とほぼ同じな偽物を生産する場合すらあり、それを見分けることが極めて難しいのです。 メーカーも消費者も頭を抱えている偽物問題を解決には、ブロックチェーンという選択肢があるとBitSE社の管理層が気づきました。   ブロックチェーン技術によりブランド品の偽物を防ぐ  BitSEは「Bit Service Expert(ビットサービスエキスパート)」の略で、「ブロックチェーン技術でグローバル経済活動協力の効率化や信頼コストの削減」を目指している会社です。同社のCOO陸揚氏は中国Louis Vuittonの元CIOで、ブランド品の偽物問題をよくわかっているでしょう。 2015年10月、BitSE社はブロックチェーンを活用した偽物対策のプロジェクト「VeChain」を発足しました。ブロックチェーン技術の記録された情報が改ざんが困難であるという特徴を活用して、商品データの偽造を防ぎ、世界中のどこからでも商品データにアクセスすることを可能とします。 VeChainでは、メーカーおよび消費者向けに2種類のプロダクトを提供しています。メーカー向けのプロダクトは商品管理プラットフォームと商品に内蔵できるNFCチップです。消費者向けのプロダクトはスマホアプリで、消費者はスマホを使って商品が偽物かどうかをすぐに見分けることができます。   有名ブランドとのタイアップも果たす「VeChain」 2016年10月11日、中国の「東京ガールズコレクション」ー上海ファッションウィークでは、VeChainは数多くの有名人が愛用しているブランド「Babyghost」とコラボレーションして、全ての服にVeChainのチップを内装しました。このNFC機能を使い、商品の内蔵チップの情報を読み込み、ブロックチェーン上の情報と照らし合わせ、偽物かどうか判断でき、商品の生産情報なども全て確認することができます。 VeChainの技術がその他のブランドに広まることで、中国の偽物問題を解決できるかもしれません。今後の動きにも期待しています。   関連記事: チャリティーへのブロックチェーン活用「Ant Financial」|中国のブロックチェーン活用事例紹介  

ブロックチェーン革命を乗りこなす組織の構築:組織原理が根本から変わる

2017年4月26日 赤羽 雄二 0

今回は、あらゆる産業に大きな影響を与えるブロックチェーン革命を組織として乗り越えるために、組織をどのように作り変えていくべきかについて述べていきます。   スピードが決定的に重視される ブロックチェーン革命を乗りこなすには、組織の意思決定、行動が圧倒的に速くならないといけません。大企業の安泰だったビジネスにも新進ベンチャーがブロックチェーンベースのサービスで次々に参入してくる可能性が高くなっていきます。海外のベンチャーもブロックチェーンベースであれば、言語対応だけすればすむので、平気で入ってきます。規制も、非関税障壁もありません。 大企業が従来のスピードで議論に議論を重ねていたら、その間に新しいスマートコントラクトをばらまかれて中抜きされてしまいます。気がついたときには、なぜか顧客がどんどん減り、手の打ちようがなくなってしまう、ということになります。顧客に泣きついても、「いや、サービスがよくてずっと安いからさあ」と言われて終わりです。 例えば、大手の人材紹介ビジネスは、顧客と人材の莫大なデータベースを構築し、それを参入障壁としてかなりの利益をあげていました。ところが、ブロックチェーン技術を持つベンチャーが顧客と人材をスマートコントラクトでマッチングし始めると、ユーザーインターフェースさえ使いやすければ、燎原の火のように一気に広まる可能性があります。 失うもののないベンチャーは、手数料を従来の1/2や1/3に下げることも全くいとわずやってきます。それでも、彼らにとっては非常に大きなビジネスだからです。こういう状況に対して、大企業でもベンチャー並の意思決定の速さで対応しなければなりません。 大企業病とよくいいますが、多くの中小企業も意思決定の遅さ自体は相当にひどく、同様に意思決定の速い企業の餌食となっていきます。   従来の組織のまま、ビジネスへのブロックチェーン活用を最速で進める ビジネスへのブロックチェーン活用を最速で進めるには、組織は既存組織のままでいいので、前回述べた「ブロックチェーン化推進リーダー」や「ブロックチェーン新事業開発支援チーム」を置き、一部だけ異次元のスピードで進めるほうがいい良いでしょう。組織全体に手を入れていたらあっという間に1,2年かかってしまうからです。 ほとんどの組織の問題は、構造にあるというよりは、以下のどれかです。 ①上長のフォローが不十分のため、責任を果たしていない部署がある ②協調すべき部門間でコミュニケーションが成立せず齟齬を来している ③人材評価がずさんでゆがんでいるため仕事のできない人が昇進している ですから、そういう問題は別途手当てをしていけばいいですし、それしかしょうがありません。 ということで、自社のスピードの遅さにはいったん目をつぶっても、ブロックチェーン活用のところだけは電光石火で進め、加速していきます。   社長に必要なリーダーシップ 当然ながら、そのように進めるには、社長自身のリーダーシップが不可欠です。本当は、大してむずかしいことではありません。数ページ以上の書類は見ないと宣言し、すべての会議も従来の半分の時間でストップすると宣言して実際そのようにし、自分の出ない会議も「会議生産性3倍増チーム」を派遣して実施させ、中間管理職や現場の意見を真剣に聞くようにすればいいだけです。 「本当は」と前置きをしたのは、本当に全然むずかしいことではないのに、思い切ってやろうとする、押し切ってやらせようとする社長が決して多くはないからです。多分、決めたくないのだろうと思います。リスクを取りたくないからだとよく言われますが、リスクなど全くありません。サボっているだけだろうと理解しています。不勉強で、危機意識があまりないのだろうと理解しています。   自社も中央集権型から分散自律型へ ブロックチェーンベースのサービスである程度のシェアを取り始めたら、自社の改革にも手をつける必要があります。従来の中央集権型から、より各部門の分散自律型に変えていくことで、競争力を一段と高めることができるからです。ただ、この点は言うのは簡単ですが、実際は結構大変で、相当の試行錯誤が必要です。 どこの記事にも書いてありますが、最大の問題とは、ブロックチェーンによって分散自律型を促進すると、分散自律させるためにそれぞれの部門長が大きく成長しなければならないことです。今まで上長の意向を聞いてその通りに実行していればよかったものが、自分の判断でむずかしい意思決定を進め、リスクを取って事業を進めていかなければなりません。 […]

チャリティーへのブロックチェーン活用「Ant Financial」|中国のブロックチェーン活用事例紹介

2017年4月6日 Wang Pengfei 0

前回の記事では、中国取引所において取引手数料と取引高に密接な関係があることを解説していきました。今回からは、何回かにわたって中国でのブロックチェーンを活用した事例について紹介していきます。 中国においては寄付金の流れが不透明なため、寄付者から不満も 中国においては寄付されたお金は横領されたり、寄付先に必要なものは届かなず不要なものばかり届いたりと、チャリティー組織は本当に機能しているかと疑問や不信感を抱えている人が少なくない現状です。 こういった事情を背景として、寄付金の使い途をリアルタイムで知るとこができる方法がないかと多くの人々が問い続けています。 ブロックチェーンはその答えかもしれません。 タオバオをはじめとしたネットショップサイトで利用されており中国オンライン決済の約52%を占める決済サービス「アリペイ」を提供している会社Ant Financialは、チャリティー組織「中華社会救助基金」と協力し、中国初のブロックチェーン上のチャリティー活動を行い、10人の聴覚障害児のために19.84万元(約318万円)もの募金を集めました。 聴覚障害児は、1年間のリハビリテーションを受けると聴覚を回復できます。しかし、それには年間一人約31.8万円の治療費が必要なので、経済的な問題でリハビリテーションを受けることができない子供が10人いました。この子供たちのために、Ant Financial社は今までにない、ブロックチェーン技術を使った募金活動を実施しました。 アリペイには、もともと簡単に寄付をすることができる機能が備わっており、アリペイのユーザーなら誰でも自分のアリペイ口座にあるお金を募金プロジェクトに寄付することができます。しかし、主催者の都度の更新が必要なので、リアルタイムで寄付金の行方は確認できませんでした。 今回の募金活動はブロックチェーン技術を利用し、下記の図のように、「いつ、誰が、いくら寄付したか」だけではなく、「いつ、誰に、いくらが届いたか」までブロックチェーン上で記録しており、寄付者はいつでもお金の流れを確認することができるようになりました。 結果として3万人以上が聴覚障害児のために寄付しており、10日間で目標金額に達成しました。中華社会救助基金会の会長胡広華氏は「今回の募金活動の全ての開示情報は、ブロックチェーン上のデータから読み込んだので、信ぴょう性を保証した上で、コストの削減も果たしました。」とコメントしています。 ブロックチェーンの透明性という特徴を活かした良い活用例といえるでしょう。暗号通貨(仮想通貨)は少額決済(マイクロペイメント)にも向いていますので、少額からインターネットを介しての寄付がより行いやすくなるかもしれません。 次回以降も、中国のブロックチェーン活用事例を具体的に紹介していきたいと思います。

スマートコントラクトのプロダクト活用

2017年3月29日 森川 夢佑斗 0

第3回目となる本記事では、ブロックチェーンの分散型データベースとしての側面に注目して、解説を行っていきたいと思います。   スマートコントラクトとは まず、スマートコントラクトとはなんなのでしょうか。あえて一言でいうならば、「人の手を介さずに一連の取引が自動的に実行されること」です。ここで取引とは、契約や合意をもとに金品や役務のやり取りを行うことです。 さらに、取引において重要なポイントは以下の2つです。 契約や合意の内容が取引中に変更されないこと 所定のやり取りが正しく実行されること より、スマートコントラクトと取引について理解するために、これまでの取引形態の変遷についてみていきます。   これまでの取引形態とスマートコントラクト 現在まで人の行う取引の形態は、以下のように進歩してきており、一番右がスマートコントラクトに当たる形態です。順を追って説明していきます。 直接取引とは、昔ながらの物々交換を想像するとわかりやすいかと思います。人類は、紀元前3世紀以前から、物々交換を行っていたようです。その後、紀元前3世紀は貨幣が生まれた時期にあたります。この頃から人やモノを媒介として取引が出てきたとなると、仲介取引の発生もこの時期に近いと予想されます。その後、1990年頃から急速なインターネットの発達によりECはもちろんのことあらゆる電子取引が登場しました。現在は、パソコンからガラケー、そしてスマホとデバイスの変遷はあるものの、取引形態は管理者ありの電子取引です。そして、2009年にビットコインが始動して新たに登場した取引形態が、管理者なしの電子取引です。ビットコインは、ご存知の通り銀行などの管理者なしに送金が可能です。これも一つのスマートコントラクトと呼べるでしょう。しかし、どうしてこれまでのインターネットを通じた電子取引で実現困難だったことが、実現可能となったのでしょうか。そこには、ブロックチェーンの存在があります。   ブロックチェーンとスマートコントラクト ブロックチェーンの特徴として、以下の2点が挙げられます。 一度記録されたデータの改ざんが困難であること 管理者なしに処理が実行されること この特徴を用いることで、前述の取引におけるポイントを充足することが可能です。つまり、取引の契約や合意の内容をブロックチェーン上に記録し、改ざんが困難な状態にした上で、その内容通りに管理者なしに実行を行わせることができます。 (参考記事:ビットコインを支える技術「ブロックチェーン」とは) これを実現したのが、ブロックチェーン「イーサリアム」です。 イーサリアムは、独自の開発言語である「Solidity」を備えており、契約や合意の内容をプログラミングコードとして記述し、ブロックチェーン上で実行させることができます。イーサリアムのおかげで、スマートコントラクトの活用範囲が広がり、今では多くの企業やプロジェクトがスマートコントラクトを用いたプロダクトの開発に着手しています。 スマートコントラクトは非常に大きな可能性を持っており、メリットとしては、(ブロックチェーンのメリットと被る部分もありますが、)管理者がいないことによるコストカットや時間や場所といった物理的制約の排除、カウンターパーティリスクの軽減、透明性の担保などが挙げられます。 従来のユーザー同士を繋げるプラットフォームであるUberやAirbnbなどのアプリケーションでも中央集権型システムが一般的であり、ユーザーの間に必ず管理主体が介在していました。しかし、これらはすべてスマートコントラクトを利用することでイーサリアム上で管理者なしに分散的に構築することができます。実際に、いくつものプロジェクトが立ち上げっています。 (参考記事:イーサリアム・ビギナーズガイド-ビットコインとの違いとその活用可能性)   […]

ブロックチェーン革命を推進できる人材の早期育成:チャレンジできるリーダーを確保

2017年3月27日 赤羽 雄二 0

根本的な改革なので、経営者の右腕が必要 ブロックチェーン革命は根本的な改革なので、経営者の強いリーダーシップに加え、経営者の右腕がどうしても必要になります。経営者がどれほど能力があり、かつブロックチェーン革命にコミットしていても、資金繰り、顧客対応、トップセールス、中長期計画の立案・合意、新商品開発、人事および人事評価、提携交渉、労組対策、株主対策、投資家対応、地域対応など、経営者の本来業務だけで目の回る忙しさだからです。 これら全部を滞りなく進めつつ、ブロックチェーン革命を他社に負けずに推進することは、到底一人でできません。 どうしても経営者の意をくんで改革を力強く推進する、経営者の右腕が必要になります。経営者が1を言うと真意を理解し、先を読み、必要な確認をへて、1あるいは1.5くらいまで推進できる人材です。 これを「ブロックチェーン化推進リーダー」と呼びます。 通常は、副社長、取締役、経営企画室長クラスになります。問題把握および解決力があり、世界のブロックチェーンの最新動向を知ってフォローする好奇心と理解力があり、社内の反対を押し切って丁寧に実証実験や導入を進めるプロジェクトマネジメント力、リーダーシップ、調整力、コミュニケーション力、政治力、外部との交渉力、人脈などがあり、という社内の最強人材ですね。 本当に資質がよければ、年齢、社歴はそこまで問いません。最悪、外部からの採用もありますが、できれば入社1,2年たっているほうが余計な摩擦が少なくなります。   常識、これまでのやり方にチャレンジできること ブロックチェーン化推進リーダーは、経営者の右腕として社内の常識、これまでのやり方にチャレンジすることが必要です。内容の善し悪しではなく、変えようとするそのものに対して強い反対が起きますので、冷静に問題点と解決策を考え、古くなってしまった常識、これまでのやり方に遠慮なくチャレンジしていきます。 深くものを考える人材でなければ、ブロックチェーン革命を推進する上で、何が本質なのか、どこをどうすればイノベーションを起こせるのか、読み切ることができません。 これまで取引先とはこうやってきたから、というだけの理由で、やり方を変えないことはブロックチェーン時代には通用しません。本当はどうあるべきなのか、従来はどういう制約があったから手作業でやっていたものの、どう考え直せばスマートコントラクトで置き換えられるのか、などを自由な発想で考える必要があります。 そういった人材はそこまで希ではありませんが、それでも、多分、通常の企業では7~8人に1人程度だろうと思います。そういう人材を早期に選び、鍛えておくこともブロックチェーン革命に乗り出す上で大切です。 ITだけに強い人材ではありません。また、問題把握・解決力やリーダーシップがいかにあってもITを苦手とする人材もブロックチェーン化推進リーダーとしてはあまり向いているとは言えません。   社内の反対、冷笑に心が折れないこと ブロックチェーン化推進リーダーには、社内の反対、冷笑に心が折れない人材が必要です。通常の新事業でも、既存事業側からは鼻で笑われたり、揚げ足を取られたり、「誰の金で給料払ってもらってると思っているんだ」など、心ない発言で傷つけられたりします。 ましてや、ブロックチェーン化においては、既存事業がまだ成り立っているうちに、それがこわれたときどう対応するのか、という検討も必要ですし、どうやってスムーズに乗り移ることができるかというシミュレーションも必要です。 既存事業側の気分を傷つけるような検討をせざるを得ないので、単なる新事業とは違い、敵陣への落下傘部隊のようなものです。 いくらそれが将来彼らを救うことになるか、世の中が劇的に進んでいるかを伝えても、よくてややネガティブ、下手をすると大変ネガティブな受け取り方しかされませんので、社内の反対、冷笑に心が折れない人材が必要となります。 使命感がかなりのプラスにはなりますが、それでも、悲しくなることも多いでしょう。自分たちの代わりに、自分たちの将来のために検討してくれてありがとう、ということにはまずなりません。   経営者が全面的にバックアップすること したがって、ブロックチェーン化推進リーダーを経営者が全面的にバックアップすることがどうしても必要です。 口だけでは足りず、社長室の横あるいは近くにプロジェクトルームを置くとか、週次で進捗報告を聞くとか、社内の最優秀メンバーを事業部の反対を押し切って数名投入するとか、特に反対の声が強い事業部長、取締役と経営者自ら食事をして懐柔するとか、あの手この手でのバックアップが大切です。 […]