ブロックチェーンが生み出す新たなビジネスチャンス:インターネットを超える大チャンス

2017年1月20日 赤羽 雄二 0

こちらは、ブレークスルーパートナーズ株式会社 赤羽雄二氏の連載コラムです。 連載:「ブロックチェーンがおよぼすビジネスインパクト」 ※第1回:ブロックチェーンが産業、企業、個人に与えるインパクト:例外なくすべてが変わる ※第2回:ブロックチェーンが生み出すビジネスチャンス:インターネットを超える大チャンス ※第3回:ブロックチェーンビジネス立ち上げは、早い者勝ち:今すぐ始めないと取り残される ※第4回:ブロックチェーンビジネスを考えるための頭の柔軟性:さらに柔らかい頭を ※第5回:大企業にとってのブロックチェーン革命:大企業の存在意義が真正面から問われる 当記事は、その第2回です。 インターネットの限界を一気に超える 前回の「ブロックチェーンが産業、企業、個人に及ぼすインパクト」で見たように、ブロックチェーンが産業や企業の環境、活動を大きく変えていきます。 1993年のブラウザの開発により、インターネットが急激に広がって産業と社会を大きく変えたように、ブロックチェーン技術が2017年以降、大きな影響をもたらします。 インターネットと違ってデータ改ざんの恐れがなく、騙される心配がなくなる上、スマートコントラクトにより、これまで考えられなかった契約の自動化が進み、決済コストも大きく下がります。 これまでインターネットで対応できなかったり、あるいは対応しづらかったりした分野にも広く導入されるので、インターネットの限界を一気に超えていきます。 特に、クレジットカードの情報を入力するのがこわい、自分の個人情報がさらされるのがこわい、インターネットで物を買うとき騙されるのが怖い、買ってすぐ壊れたときにどうしたらいいのかわからないのがこわい、といった精神的なブレーキが一気になくなっていくことがビジネスチャンスとして非常に大きいと思います。   産業構造が変わってチャンス 中央集権型の最たるものであった銀行の存在意義が揺るぎます。銀行を経由した間接金融に頼らなくても、借りたい企業が貸したい企業、個人から直接借りることが可能となり、その動きが最初は徐々に、途中からは加速度的に増えていくからです。 借りたい企業に返済能力があるのかを判断するために銀行の与信部門がありましたが、大変な人手をかけた割にそこまで正確なものではありませんでした。取引の全貌を正確に把握することが簡単ではないからです。悪意がなくてもそうですが、もし悪意を持って改ざんされている場合に見破りにくいことは、直近の東芝の不正会計や、歴史上の多くの粉飾決算事件を見ても明らかです。 シャープの実質的倒産と台湾企業による買収も、メインバンクが事業の実態を正確に把握していれば、とっくに手が打てたはずです。 これらに対し、ブロックチェーンによる過去の取引状況の自動確認のほうが、手間が全くかからず信頼できます。貸し出し可能額については、その企業に関する全データを基に瞬時に計算できます。 銀行は、社会的信用を基に、貸したい企業、個人からのお金をプールし、特定企業、個人に貸し出していました。莫大な費用をかけてです。それも、銀行を通さずにできるようになります。 そのため、過去数百年の企業活動を支えてきた銀行という一大産業が変わります。 証券業界も同様です。資金を出したい企業、個人のお金を集め、一定の基準を満たした企業に投資するために、証券業界が生まれました。ところが、「上場最高値」IPOや、上場後不正が発覚する企業が続出し、この業界の改善課題がすでに露呈しています。 これに代わる、企業の資金調達手段がP2P投資やICO(イニシャル・コイン・オファリング)などの形で次々に始まっています。P2P投資では、エンジェル投資家のグループが投資を受けたいベンチャー多数をプールし、ある程度のデューデリジェンスをし、成功確率の高い順に投資をするといったスキームがすでに始まっています。 […]

ブロックチェーンが産業、企業、個人に与えるインパクト:例外なくすべてが変わる

2017年1月15日 赤羽 雄二 0

こちらは、ブレークスルーパートナーズ株式会社 赤羽雄二氏の連載コラムです。 連載:「ブロックチェーンがおよぼすビジネスインパクト」 ※第1回:ブロックチェーンが産業、企業、個人に与えるインパクト:例外なくすべてが変わる ※第2回:ブロックチェーンが生み出すビジネスチャンス:インターネットを超える大チャンス ※第3回:ブロックチェーンビジネス立ち上げは、早い者勝ち:今すぐ始めないと取り残される ※第4回:ブロックチェーンビジネスを考えるための頭の柔軟性:さらに柔らかい頭を ※第5回:大企業にとってのブロックチェーン革命:大企業の存在意義が真正面から問われる 当記事は、その第1回です。 ブロックチェーンはすべてを変える ブロックチェーンへの関心が昨年来、一気に高まってきました。ブロックチェーンは、インターネット上に構築される「改ざんの心配がほぼない分散型台帳」で、ビットコインのベースでもありますが、暗号通貨や金融を超え、あらゆる産業に大きな影響を与えます。 インターネットは1993年前後から産業、企業に大きなチャンスをもたらし、個人の仕事、生活にも大変な影響を与えてきました。ところが、多くの方が気にしてこられたように、クレジットカードの情報を入力することにはかなり躊躇しますし、ベネッセやYahooを始めとして、何十万、何百万人の個人情報の漏洩が頻繁に起こっています。 Facebook、Twitterなどは私たちのコミュニケーションのあり方、人との接触のあり方まで決定的に変え、米大統領選挙の行方に影響を与えましたが、なりすまし、乗っ取りのリスクがあり、心から安心することはできません。「自己責任」という美名のもとに、「まあいいや、きっと大丈夫だろう」と割り切って使うしかない状況です。 さらには、私たちの行動情報がすべて、これらの企業に把握され、その情報を勝手に使われてしまう、ということも起きています。(彼らは情報の使用に対して承認を得ている、と称していますが、本当のリスクと使われ方を十分理解し、承認している人は全員ではありません) また、10万円を送金しようとしても、他の銀行口座であれば、数百円以上の手数料がかかり、海外への送金の場合は、さらに数倍以上の手数料がかかってしまいます。アフリカやアジアから先進国に出稼ぎに行っている方々が故郷の家族に送金しようとすると、10~15%以上の手数料が当然のようにかかり、しかも場所によっては、現金を支払ってくれるところまで長時間かかって歩いていく、ということも希ではありません。20億人以上が携帯電話をもっているにもかかわらず、です。 ブロックチェーンが産業、企業、個人のすべてに大変なインパクトを与えると考えられている理由には、大きく次の4つが考えられます。 インターネットではデータを改ざんされるリスクが常にありますが、それがほぼなくなります。何十万、何百万という数の公開台帳にすべての取引情報をつなげて記録していきますので、その全部を改ざんすることがほぼできません。量子コンピューターが実用化された場合、暗号解読ができる可能性がないわけではありませんが、その時点では、ブロックチェーン側も発展していますので、現実的にはあまり心配する必要がなさそうです。結果として、これまで心配で使えなかった秘密性の高い情報でも気にせずやりとりできるようになります。 また、相手側がこちらをだますのではないか、という心配もなくなります。ヤフオク、イーベイなどで過去の売買履歴と評価を元に、物を買ったり売ったりした方も多いと思いますが、取引時の不安がほぼなくなります。 第二に、決済コストが極めて低く、従来の1/10~1/100になりますので、数十円を送金したり、気にいったアーティストに支払ったりすることができるようになりました。出稼ぎで稼いだなけなしのお金から大きく手数料を取られて目減りする、ということもなくなります。 第三に、事前に設定しておけば、全自動で情報のやりとりと支払いをすませることのできる「スマートコントラクト」を使うことができるようになります。これは従来から、「エージェント」として言われてきたものに近いですが、これまでは、こちらの条件を事前に定めておき、ハックされる心配なしに、支払いも含めて自動ですべてやってしまう、ということが現実的にはありませんでした。ブロックチェーンによって初めて可能性が出てきます。 スマートコントラクトにより、自動車が異音・振動などから自ら故障予知をし、ガソリンスタンドに到着する前に、整備工場に連絡をして、補修部品を用意しておく、というようなことも人手をわずらわされずにできるようになります。 また、企業が顧客に対して納品する際も、自動で納品・検品・検収・支払いが済まされます。紙の書類がなくなり、人手がいらず、処理も瞬時なので、企業活動の生産性が圧倒的に上がります。 スーパーに行って、1リットルの牛乳パックを1つと、ティッシュペーパーを3箱かごに入れたら、そのままレジのところを通るだけで、スマートコントラクトを使って支払いが済まされることもできるようなります。それだけではなくて、これまでの購買履歴に基づいて、そろそろ消耗品がなくなるころには、全自動でスーパーに注文が行き、勝手に納品されることもスマートコントラクトを通じて実施することができるようになります。これらはIoTやセンサーで可能になりますが、ブロックチェーンがなければデータ改ざんが心配ですし、安心して支払いをすることができません。 第四に、ブロックチェーンにより、自律分散型で安定したシステム構築、運用ができるようになります。これまで、企業では、集中してデータ管理、決済処理をしていますので、その1カ所がたまたま、あるいは負荷が大きすぎたり悪意の攻撃をされたりしてダウンすると、すべてのシステムが止まってしまいます。そういう心配がほぼすべてなくなります。言い換えれば、システム全体に冗長性があるため、安定した運用が可能です。もともとインターネットはそういう発想で作られましたが、接続されている企業や政府のシステムが脆弱なため、全体としては常に問題が起きています。 これらの4つの理由から、政治、経済、企業、組織運営、個別サービスなどすべての分野で、データ改ざんへの不安、高い決済コスト、処理速度、システム構築の大変さなどからできなかったことがブロックチェーンによりできるようになります。ほぼ100%他人・他社を信用し行動できるようになり、個人情報漏洩の心配がなくなることで、サービスへの信用が上がり、行動上の束縛、意味のない躊躇もなくなっていきます。 […]