ブロックチェーンビジネスを考えるための頭の柔軟性:さらに柔らかい頭を

2017年2月2日 赤羽 雄二 0

こちらは、ブレークスルーパートナーズ株式会社 赤羽雄二氏の連載コラムです。 連載:「ブロックチェーンがおよぼすビジネスインパクト」 ※第1回:ブロックチェーンが産業、企業、個人に与えるインパクト:例外なくすべてが変わる ※第2回:ブロックチェーンが生み出すビジネスチャンス:インターネットを超える大チャンス ※第3回:ブロックチェーンビジネス立ち上げは、早い者勝ち:今すぐ始めないと取り残される ※第4回:ブロックチェーンビジネスを考えるための頭の柔軟性:さらに柔らかい頭を ※第5回:大企業にとってのブロックチェーン革命:大企業の存在意義が真正面から問われる 当記事は、その第4回です。 飛行機もコンピュータもインターネットも、最初は全く理解されなかった ライト兄弟が人類で初めて飛行に成功したとき、誰もそれが可能なものだと認めませんでした。 コンピュータが発明されたとき、有識者でさえ「将来、世界で1台くらいなら必要になるかも知れない」と発言をしていました。 インターネットは1990年頃、エンジニアの遊びだと思われていました。 これらの例について、その後の爆発的な発展を予想した人はほとんどいません。 人類の叡智と言っても、本当にたかが知れています。見たことのないもの、それまでの常識と違うものに対して、後から見ると驚くほど先見性がなく、その割に大変もっともらしくこけおろすのが常です。 ブロックチェーンに関しては、ビットコインが最初、違法サイトに使われていたとか、マウント・ゴックスの事件でさらに怪しいとか、価格が極端に上下するので決済に使えないなど出発点は相当ネガティブでした。理解されるどころか社会的に不適切なものとして否定されていたわけです。   ブロックチェーンが世の中を決定的に変える理由 ゴールドマンサックスのようなトップクラスの投資銀行ですらも数年前はビットコインやブロックチェーンに対して否定的でした。ところがここに来て、大手の金融機関も、各国の中央銀行ですら、ブロックチェーンを使った新しい仕組みの導入に全力で取り組んでいます。 欧米、アジア、アフリカなど世界各国がその話題で持ちきりですし、ダボス会議ですら例外ではありません。この変化のスピードが驚くほどです。認知され普及し始めるまでのインターネットに比べても、電光石火と言って過言ではないでしょう。 なぜそこまで一気に、急に注目されているのでしょうか。 私の理解では、インターネットという情報インフラが開発途上国にいたるまで広範囲に普及している一方、その割に安全性には常に不安を抱え、送金費用などは大きいままといった問題点がダブルに後押ししたと考えています。 ブロックチェーンの多方面かつ莫大なメリットの前には、わずか数年前にあった不適切な事件の記憶が吹っ飛んでしまったわけです。 非効率・高コストだった決済方法や証券取引を大きく改善するだけではなく、クレジットカード、契約書、物流、不動産取引、ダイヤモンド取引、500億個~数十兆個がインターネットにつながるといわれるIoT(Internet of […]

ブロックチェーンビジネス立ち上げは、早い者勝ち:今すぐ始めないと取り残される

2017年1月26日 赤羽 雄二 0

こちらは、ブレークスルーパートナーズ株式会社 赤羽雄二氏の連載コラムです。 連載:「ブロックチェーンがおよぼすビジネスインパクト」 ※第1回:ブロックチェーンが産業、企業、個人に与えるインパクト:例外なくすべてが変わる ※第2回:ブロックチェーンが生み出すビジネスチャンス:インターネットを超える大チャンス ※第3回:ブロックチェーンビジネス立ち上げは、早い者勝ち:今すぐ始めないと取り残される ※第4回:ブロックチェーンビジネスを考えるための頭の柔軟性:さらに柔らかい頭を ※第5回:大企業にとってのブロックチェーン革命:大企業の存在意義が真正面から問われる 当記事は、その第3回です。 産業革命、PC革命、インターネット革命以上に変化が早い 前回、「ブロックチェーンが生み出すビジネスチャンス」を詳しくお話しましたが、ブロックチェーン技術による変化は、あらゆる産業、企業、個人に影響を及ぼし、ビジネスチャンスを生み出します。 しかも、その変化のスピードは1800年代の産業革命や1970年代のPC革命、1990年代のインターネット革命よりも段違いに早いと考えたほうがよさそうです。 もちろん、これからどのようなスピードで変化が起きるのかは誰にもわかりません。ただ、私がそのように考える理由がいくつもあります。 第一に、ブロックチェーンによるサービスは、インターネットの上に構築されます。インターネットは数十億台のスマートフォンとPCによって先進国に限らず世界中に広がっています。IoT(Internet of Things)の発展により、2020年には500億個以上、あるいは1000億個もの物がインターネットに接続されるとも言われています。世界で77億人とすると、一人あたり6~13個ですので、十分ありそうな数字です。したがって、ブロックチェーンを必要とする状況は今も莫大にありますし、今後さらに拡大していきます。 第二に、ブロックチェーンプラットフォームはイーサリウムがすでに提供しており、誰でもその上でのサービスをすぐに構築できる状況になっています。さらにイーサリウムを超えるべく、多数のプラットフォームが生まれています。ブロックチェーンごとの接続も可能になっていきます。そうすると、導入スピードもますます加速します。 第三に、スマートコントラクトによって人手を介さずに多くのサービス、決済ができるようになります。人件費削減効果が非常に大きいので、企業としては一刻も早く導入したいという強いニーズがあります。新興企業ほど、少ない人数のままで急成長することができますので、より抵抗なく進めることができます。また、ブロックチェーンによって中央集権型のデータベースや会員コントロールをしなくてもよくなることも、大きなコスト削減につながります。 第四に、グローバル化によって世界中がつながっています。ビットコインを始めとする暗号通貨がそれを格段に進化させ、取引がどの国、企業、個人とも、瞬時に実行できるようになります。暗号通貨への各国政府の規制がどのように進むかによりますが、この数年の動きを見ていると、もう止めることはとうていできないと私は判断しています。暗号通貨のメリットが非常に大きく、社会のイノベーションに多方面から寄与するからです。 これらの結果、ブロックチェーン技術による変化は、誰もが驚くほど早いと考えています。どのくらい早いかというと、2年後には、ブロックチェーンを基盤としたサービスが人材紹介、投資、物流、企業間取引などで次々に始まっていても、不思議ではないと思えるくらいです。企業、消費者にとっては、単に便利なので使っている、特に意識せず使っている、という状況になります。   「先行優位」を重視すべき それだけのスピードで変化が進むとしたら、企業にはどういう意味があるでしょうか。それは間違いなく、「先行優位」を重視すべきということです。 他社のお手並み拝見、という余裕がありません。他社が出した商品への市場の反応を見て、よりよいものを出し、後から市場を席巻する、という従来の上位企業の戦い方が全く通用しない可能性が高いと思います。それまでに勝負が終わってしまいます。 お手並み拝見しているうちに、他社がブロックチェーンベースで決済コストを1~2桁下げ、スマートコントラクトで自動的に契約・決済を進め、顧客も取り込んでしまう、ということが冗談抜きに起こりえます。そうなってしまうと、ブロックチェーンベースの開発ができるエンジニアの確保もいっそう困難になってしまいます。後からどう割り込むというのでしょうか。 […]

ブロックチェーンが生み出す新たなビジネスチャンス:インターネットを超える大チャンス

2017年1月20日 赤羽 雄二 0

こちらは、ブレークスルーパートナーズ株式会社 赤羽雄二氏の連載コラムです。 連載:「ブロックチェーンがおよぼすビジネスインパクト」 ※第1回:ブロックチェーンが産業、企業、個人に与えるインパクト:例外なくすべてが変わる ※第2回:ブロックチェーンが生み出すビジネスチャンス:インターネットを超える大チャンス ※第3回:ブロックチェーンビジネス立ち上げは、早い者勝ち:今すぐ始めないと取り残される ※第4回:ブロックチェーンビジネスを考えるための頭の柔軟性:さらに柔らかい頭を ※第5回:大企業にとってのブロックチェーン革命:大企業の存在意義が真正面から問われる 当記事は、その第2回です。 インターネットの限界を一気に超える 前回の「ブロックチェーンが産業、企業、個人に及ぼすインパクト」で見たように、ブロックチェーンが産業や企業の環境、活動を大きく変えていきます。 1993年のブラウザの開発により、インターネットが急激に広がって産業と社会を大きく変えたように、ブロックチェーン技術が2017年以降、大きな影響をもたらします。 インターネットと違ってデータ改ざんの恐れがなく、騙される心配がなくなる上、スマートコントラクトにより、これまで考えられなかった契約の自動化が進み、決済コストも大きく下がります。 これまでインターネットで対応できなかったり、あるいは対応しづらかったりした分野にも広く導入されるので、インターネットの限界を一気に超えていきます。 特に、クレジットカードの情報を入力するのがこわい、自分の個人情報がさらされるのがこわい、インターネットで物を買うとき騙されるのが怖い、買ってすぐ壊れたときにどうしたらいいのかわからないのがこわい、といった精神的なブレーキが一気になくなっていくことがビジネスチャンスとして非常に大きいと思います。   産業構造が変わってチャンス 中央集権型の最たるものであった銀行の存在意義が揺るぎます。銀行を経由した間接金融に頼らなくても、借りたい企業が貸したい企業、個人から直接借りることが可能となり、その動きが最初は徐々に、途中からは加速度的に増えていくからです。 借りたい企業に返済能力があるのかを判断するために銀行の与信部門がありましたが、大変な人手をかけた割にそこまで正確なものではありませんでした。取引の全貌を正確に把握することが簡単ではないからです。悪意がなくてもそうですが、もし悪意を持って改ざんされている場合に見破りにくいことは、直近の東芝の不正会計や、歴史上の多くの粉飾決算事件を見ても明らかです。 シャープの実質的倒産と台湾企業による買収も、メインバンクが事業の実態を正確に把握していれば、とっくに手が打てたはずです。 これらに対し、ブロックチェーンによる過去の取引状況の自動確認のほうが、手間が全くかからず信頼できます。貸し出し可能額については、その企業に関する全データを基に瞬時に計算できます。 銀行は、社会的信用を基に、貸したい企業、個人からのお金をプールし、特定企業、個人に貸し出していました。莫大な費用をかけてです。それも、銀行を通さずにできるようになります。 そのため、過去数百年の企業活動を支えてきた銀行という一大産業が変わります。 証券業界も同様です。資金を出したい企業、個人のお金を集め、一定の基準を満たした企業に投資するために、証券業界が生まれました。ところが、「上場最高値」IPOや、上場後不正が発覚する企業が続出し、この業界の改善課題がすでに露呈しています。 これに代わる、企業の資金調達手段がP2P投資やICO(イニシャル・コイン・オファリング)などの形で次々に始まっています。P2P投資では、エンジェル投資家のグループが投資を受けたいベンチャー多数をプールし、ある程度のデューデリジェンスをし、成功確率の高い順に投資をするといったスキームがすでに始まっています。 […]

ブロックチェーンが産業、企業、個人に与えるインパクト:例外なくすべてが変わる

2017年1月15日 赤羽 雄二 0

こちらは、ブレークスルーパートナーズ株式会社 赤羽雄二氏の連載コラムです。 連載:「ブロックチェーンがおよぼすビジネスインパクト」 ※第1回:ブロックチェーンが産業、企業、個人に与えるインパクト:例外なくすべてが変わる ※第2回:ブロックチェーンが生み出すビジネスチャンス:インターネットを超える大チャンス ※第3回:ブロックチェーンビジネス立ち上げは、早い者勝ち:今すぐ始めないと取り残される ※第4回:ブロックチェーンビジネスを考えるための頭の柔軟性:さらに柔らかい頭を ※第5回:大企業にとってのブロックチェーン革命:大企業の存在意義が真正面から問われる 当記事は、その第1回です。 ブロックチェーンはすべてを変える ブロックチェーンへの関心が昨年来、一気に高まってきました。ブロックチェーンは、インターネット上に構築される「改ざんの心配がほぼない分散型台帳」で、ビットコインのベースでもありますが、暗号通貨や金融を超え、あらゆる産業に大きな影響を与えます。 インターネットは1993年前後から産業、企業に大きなチャンスをもたらし、個人の仕事、生活にも大変な影響を与えてきました。ところが、多くの方が気にしてこられたように、クレジットカードの情報を入力することにはかなり躊躇しますし、ベネッセやYahooを始めとして、何十万、何百万人の個人情報の漏洩が頻繁に起こっています。 Facebook、Twitterなどは私たちのコミュニケーションのあり方、人との接触のあり方まで決定的に変え、米大統領選挙の行方に影響を与えましたが、なりすまし、乗っ取りのリスクがあり、心から安心することはできません。「自己責任」という美名のもとに、「まあいいや、きっと大丈夫だろう」と割り切って使うしかない状況です。 さらには、私たちの行動情報がすべて、これらの企業に把握され、その情報を勝手に使われてしまう、ということも起きています。(彼らは情報の使用に対して承認を得ている、と称していますが、本当のリスクと使われ方を十分理解し、承認している人は全員ではありません) また、10万円を送金しようとしても、他の銀行口座であれば、数百円以上の手数料がかかり、海外への送金の場合は、さらに数倍以上の手数料がかかってしまいます。アフリカやアジアから先進国に出稼ぎに行っている方々が故郷の家族に送金しようとすると、10~15%以上の手数料が当然のようにかかり、しかも場所によっては、現金を支払ってくれるところまで長時間かかって歩いていく、ということも希ではありません。20億人以上が携帯電話をもっているにもかかわらず、です。 ブロックチェーンが産業、企業、個人のすべてに大変なインパクトを与えると考えられている理由には、大きく次の4つが考えられます。 インターネットではデータを改ざんされるリスクが常にありますが、それがほぼなくなります。何十万、何百万という数の公開台帳にすべての取引情報をつなげて記録していきますので、その全部を改ざんすることがほぼできません。量子コンピューターが実用化された場合、暗号解読ができる可能性がないわけではありませんが、その時点では、ブロックチェーン側も発展していますので、現実的にはあまり心配する必要がなさそうです。結果として、これまで心配で使えなかった秘密性の高い情報でも気にせずやりとりできるようになります。 また、相手側がこちらをだますのではないか、という心配もなくなります。ヤフオク、イーベイなどで過去の売買履歴と評価を元に、物を買ったり売ったりした方も多いと思いますが、取引時の不安がほぼなくなります。 第二に、決済コストが極めて低く、従来の1/10~1/100になりますので、数十円を送金したり、気にいったアーティストに支払ったりすることができるようになりました。出稼ぎで稼いだなけなしのお金から大きく手数料を取られて目減りする、ということもなくなります。 第三に、事前に設定しておけば、全自動で情報のやりとりと支払いをすませることのできる「スマートコントラクト」を使うことができるようになります。これは従来から、「エージェント」として言われてきたものに近いですが、これまでは、こちらの条件を事前に定めておき、ハックされる心配なしに、支払いも含めて自動ですべてやってしまう、ということが現実的にはありませんでした。ブロックチェーンによって初めて可能性が出てきます。 スマートコントラクトにより、自動車が異音・振動などから自ら故障予知をし、ガソリンスタンドに到着する前に、整備工場に連絡をして、補修部品を用意しておく、というようなことも人手をわずらわされずにできるようになります。 また、企業が顧客に対して納品する際も、自動で納品・検品・検収・支払いが済まされます。紙の書類がなくなり、人手がいらず、処理も瞬時なので、企業活動の生産性が圧倒的に上がります。 スーパーに行って、1リットルの牛乳パックを1つと、ティッシュペーパーを3箱かごに入れたら、そのままレジのところを通るだけで、スマートコントラクトを使って支払いが済まされることもできるようなります。それだけではなくて、これまでの購買履歴に基づいて、そろそろ消耗品がなくなるころには、全自動でスーパーに注文が行き、勝手に納品されることもスマートコントラクトを通じて実施することができるようになります。これらはIoTやセンサーで可能になりますが、ブロックチェーンがなければデータ改ざんが心配ですし、安心して支払いをすることができません。 第四に、ブロックチェーンにより、自律分散型で安定したシステム構築、運用ができるようになります。これまで、企業では、集中してデータ管理、決済処理をしていますので、その1カ所がたまたま、あるいは負荷が大きすぎたり悪意の攻撃をされたりしてダウンすると、すべてのシステムが止まってしまいます。そういう心配がほぼすべてなくなります。言い換えれば、システム全体に冗長性があるため、安定した運用が可能です。もともとインターネットはそういう発想で作られましたが、接続されている企業や政府のシステムが脆弱なため、全体としては常に問題が起きています。 これらの4つの理由から、政治、経済、企業、組織運営、個別サービスなどすべての分野で、データ改ざんへの不安、高い決済コスト、処理速度、システム構築の大変さなどからできなかったことがブロックチェーンによりできるようになります。ほぼ100%他人・他社を信用し行動できるようになり、個人情報漏洩の心配がなくなることで、サービスへの信用が上がり、行動上の束縛、意味のない躊躇もなくなっていきます。 […]