UTRUSTとは?ブロックチェーン取引を加速させるエスクローシステム

2017年10月6日 BBC編集部 0

  ブロックチェーンは総合的ソリューションではない ブロックチェーン技術に期待されている最も重要な機能の1つは、エンドユーザーとビジネスサイドの両方にとって、よりシンプルで安全な支払い方法を提供することです。取引コストの低下、決済速度と匿名性の向上など数々の利点がもたらされることがブロックチェーンには期待されています。しかしその一方で、実際のビジネスをのぞくと、ブロックチェーンはより実務的な場面におけるサポートまでカバーしきれていない、というのが現状です。 買い手側が本当に望んでいるのは、売り手との取引で何らかの問題が発生した場合に、払い戻しや返金の保証などの強力な顧客保護のバックアップを得られることです。売り手側も同様に、ボラティリティに振り回されるなど暗号通貨を受け入れて起こる問題を恐れています。 UTRUSTとは? UTRUSTは、画期的な顧客保護メカニズムを備えた、バイヤーとセラー両方にメリットのある次世代の支払いモデルの開発を目標としています。バイヤーは強力な顧客保護モデルを使って商品やサービスを購入するために、あらゆる主要な暗号通貨を使用することができます。UTRUSTは、Paypalに似た紛争処理システムを備えており、これによって詐欺や不正リスクをほぼゼロに抑えます。UTRUSTは、支払い時期から納期までバイヤーを保護することを保証します。 またセラー側もUTRUSTプラットフォームを利用することで、、暗号通貨のボラティリティによる経営リスクや、取引関連トラブルのリスクを回避することができます。UTRUSTはセラーが同時に複数の暗号通貨を受け入れることを可能にし、価格の変動から売り手を保護しつつ、取引の即時決済を行います。また紛争処理システムによって、売り手はハッキングされたクレジットカードの支払いや、不正なチャージバックを仕掛けるような詐欺を排除することができます。 UTRUSTのしくみ セラーは特定の価格で市場で商品やサービスを提供します。 バイヤーはオファーをチェックし、購入の意思決定をします。 バイヤーは、変換コストの低い主要な暗号通貨の1つで支払うか、または変換費用の掛からないUTRUSTトークンを使用して支払いするか選択することができます。 UTRUSTはエスクローファンドを保有しており、セラーを暗号通貨のボラティリティのリスクから保護するために、、暗号通貨が即座に変換されます。(保持期間は加盟店のパフォーマンス履歴によって異なります) バイヤーは商品やサービスを受け取り、セラーは法定通貨で資金を入手します。 例えば、何らかの理由でバイヤーが品物を受け取らないなど、取引中に想定外の問題が発生した場合、セラーはUTRUSTに対して問題の申し立てをすることができます。バイヤーとセラー同士が自力で問題を解決できない場合、UTRUSTは審判員または仲介者として機能し、バイヤーとセラーからの証拠を収集し、バイヤーに払い戻したり、セラーに資金を出すなど問題の解決を図ります。 Crypto Valleyがブロックチェーンビジネスを育む UTRUSTはCrypto Valleyに加わることを発表しています。ホワイトペーパーによると、2017年9月から始まる、7ラウンドのICOを長期的に見据えているそうです。現在進行中のICOラウンドで$ 1.5mを調達することを目指しているようです。 Crypto ValleyはスイスのZugに拠点を置く有名なブロックチェーンと暗号化技術のコンソーシアムです。かの有名なイーサリアムプロジェクトも、Crypto Valleyに拠点を置いている企業です。この協会は、ビジネスフレンドリーな規制枠組み、ハイスキルな人材のプール、洗練されたインフラストラクチャーのおかげで、若いブロックチェーン企業の育成場として機能しています。スイス政府の支援もあり、新たなイノベーションの拠点としても注目されています。Crypto Valleyのもたらす創発効果と、UTRUSTの今後の動向にも注目です。

イーサリアムがハードフォーク、Metropolisバージョンへ

2017年10月6日 BBC編集部 0

Ethreum(イーサリアム)が、現行のHomestead(ホームステッド)からMetropolis(メトロポリス)バージョンにアップデートされるにあたり、ハードフォークが実行されることが決まりました。アップデート前後でどのように変わるのかについて、見ていきたいと思います。 PoS導入は見送り まずはじめに一番注目されていたProof of Stakeの導入についてですが、イーサリアムコミュニティ内でコンセンサスをとった結果、次回の「Serenity」バージョンまで持ち越されるようです。 今回のMetropolisアップデートに伴うByzantineハードフォークにより分岐し、Byzantineが今後のメインチェーンとして機能する見込みです。また、Metropolisアップデートには2段階目のハードフォークであるConstantinopleハードフォークも計画されているものの、こちらについては内容、日時など詳細については現時点では不明です。Byzantineハードフォークは、4,370,000番目のブロックが生成されたタイミングにアクティベートされる予定で、2017年10月17日に起きる見込みです。Byzantine ハードフォークにより、EIP(Ethereum Improvement Proposal、イーサリアム改善提案)649が導入され、マイニング難易度向上のプログラムが18か月間、停止されるそうです。これにより、かねてより懸念されていたイーサリアムの氷河期(マイニング難易度向上による、、イーサリアムネットワークの停滞期)の到来が18カ月間先伸ばしされたかたちになります。また、ブロック生成報酬の少ないProof of Stakeの導入を見越して、マイニング報酬が現行の5ETHから3ETHへと減額されるそうです。 ハードフォークで何が変わる? Byzantineハードフォークでは、5つの項目が改善されるようです。 1.パフォーマンス EIP98の導入により、state root情報がブロックから削除されます。これによって、マイニングに必要なエネルギー(GPUの消費電力)が大幅に低下する見込みです。 2.ライトクライアントのユーザビリティ EIP658の導入により、ユーザーはコントラクトが実行されたかどうかを判別することが可能になります。従来のイーサリアムにおいてコントラクトの実行状況を確認するためには、ユーザーがイーサリアムブロックチェーン上の全情報を手元にダウンロードして最新情報をアップデートする、あるいはイーサリアム専用のブロックチェーンエクスプローラー(ブロックチェーン内部のデータを参照する外部サービス)のような第三者機関を参照する必要がありました。Metropolisバージョンのイーサリアムでは、これらの大きなユーザー負担が解消され、手軽にコントラクトの実行状況を確認できるようです。 3.マイニング EIP100の導入により、ブロックの同時生成で得られる報酬額に調整が入りました。ブロックチェーンでは、複数のマイナーがほぼ同時のタイミングでマイニングに成功した場合、チェーンが一時的に分岐することがあります。最終的には一番長いチェーンに正当性が認められ、他のチェーンは消滅するのですが、これらの分岐したブロックを生成した際にも、マイナーは報酬を得ることができます。(このようなチェーンは、bitcoinブロックチェーンでは親なしチェーン、ethereumブロックチェーンでは従兄弟チェーンと呼ばれるようです。) 従来のイーサリアムブロックチェーンでは、ここの報酬設定に問題がありました。同時生成時に得られる従兄弟チェーンのマイニング報酬を総額すると、本チェーンを生成した人のマイニング報酬である5ETHよりも高くなってしまうケースがあったそうです。今回のEIP100は、ここのバランス調整の目的で行われるようです。 4.プライバシー Metropolisバージョンの目玉となりそうです。EIP198、EIP212、EIP213により、zk-SNARKsがイーサリアムに導入される見込みです。zk-SNARKsとは、匿名性暗号通貨で有名なZCASH(ジーキャッシュ)のチームが開発した技術です。これにより、ユーザーは自身のトランザクションの詳細や、ステートの変化を非公開にすることができるようになるそうです。ただし、この匿名機能を利用するには、通常のコントラクトやトランザクジョンにかかるGas(ガス、取引手数料)よりも高くなるとのことです。 5.コントラクト まずはじめに、EIP214の導入により、コントラクトのセキュリティが強化されます。従来は、コントラクトのなかにコントラクトが含まれているコントラクトといったような、入れ子構造になった複雑なコントラクトについては、最も中心に含まれているコントラクトから順番に実行されて、各コントラクトのステートもそれに応じて変化していくという仕組みでした。しかしイーサリアムは、このステート変化の複雑性がもたらす脆弱性を突かれて、DAO事件という未曽有の匿名サイバー攻撃の被害にあい、イーサリアムとイーサリアムクラシックの2つへと分岐するハードフォークを起こしています。今回のMetropolisバージョンへのアップデートにより、ステート変化を起こさずに入れ子上のコントラクトを処理できるようになったことで、脆弱性が低下し、安全性が向上したようです。 […]

脱アンダーグラウンドに向けて、大麻産業のこれからとブロックチェーン

2017年9月8日 BBC編集部 0

近年、アメリカの一部の州で大麻販売が合法化された結果、大麻関連ビジネスが急成長をみせています。しかしその一方で、従来の大麻業界が犯罪との密接な関わりが疑われるアンダーグラウンドな業界であったことも災いし、合法化された現在においても明確な業界基準のようなものが存在していない、という現状があります。 そのため、大麻の栽培者、生産者、ラボの科学者、農業技術者、および診療所の間で適切な連携が行われておらず、業界基準の欠如がビジネスにおける成長のボトルネックになっていることが指摘されています。また、大麻製品に関する法整備の状況がアメリカ各州で異なるため、大麻の国境や州境を越えた支払いなど、大麻製品の輸送関連の問題に対して、解決策が求められていました。 業界構造が不透明な大麻産業 現在、医療用大麻のID作成方法、処方箋登録の方法、CBD / THCレベル(大麻に含まれる成分の表示方法)に関する業界基準となるものが存在していません。また、大麻の売買における支払い方法は連邦規則によって現金のみに限定されているため、大部分のマネーフローは可視化されていません。業界構造が可視化されていないことから、大麻関連スタートアップ企業の参入余地も明確ではありません。さらには、大麻のユーザーは、店舗で販売されている大麻の品質を検証する方法がないため、安全性についても不安がつきまといます。このように大麻産業は数多くの問題を抱えており、状況は混沌を極めています。 Paragonプロジェクトとは? Paragonプロジェクトとは、大麻の育成に用いられた種子、水質、肥料などのデータ、販売店舗の患者IDや医師による診断書など、大麻販売に関するデータをEthereum(イーサリアム)ベースのブロックチェーン上に保管し、市場に透明性をもたらすことを目的としたプロジェクトです。 Paragon社は、大麻業界における最大の問題は、業界全体の透明性の欠如にあると考えており、これらの問題に対処するためにブロックチェーンを活用して業界内で統一された基準を作っていくことを目指しているそうです。(Paragonという英単語は、日本語で「模範」や「手本」、という意味があります。)このブロックチェーンでは、大麻の育成から製品化、販売までのすべてのデータを管理するため、ユーザーは製品のライフサイクル全体を追跡し、信頼性のある大麻の品質管理情報を入手することができます。また、業界関係者間でのやり取りにParagonコインを用いることで、業界全体の透明性向上に努めていく目標を掲げています。 Paragonは、大麻産業の新しい世代の知的成長を促進するために、大麻関連スタートアップの支援を行うことを表明しています。Paragonの発表した計画によると、スタートアップの従業員は入居料をParagonコインで支払い、ラボの実験結果や研究成果に対して、コインが支払われるそうです。 ブロックチェーンは大麻のネガティブイメージを払拭できるか? 大麻産業は、合法化されて以来、破竹の勢いで成長を遂げています。これから大麻の用途の研究がさらに進み、大麻が様々な分野において応用されていく可能性があります。そしてこれは奇しくも、ブロックチェーンテクノロジーの発展の流れと非常によく似ています。Paragonプロジェクトが大麻産業に与えるインパクトに、今後も注目です。

adToken(アドトークン)は広告業界の課題を解決できるか?

2017年8月21日 BBC編集部 0

これまでの広告業界における課題 スマートフォンのようなモバイル端末が広く普及して以来、人々の可処分時間は従来の新聞やテレビといった大規模マスメディアから、大小問わず様々なウェブコンテンツで消費されるようになりました。インターネット以前の時代は、マスメディアの広告枠自体に「希少性」があったため、広告枠には価値があるものとして取引されていました。しかしインターネット登場後はウェブコンテンツの数だけ広告枠が増えるため、広告枠の「希少性」は徐々に低下してきました。そのため、広告主は広告枠の「希少性」に対してお金を払うのではなく、ウェブ上で実際に計測された広告枠の「パフォーマンス」に対してお金を払うように変化してきています。 現在、広告枠のパフォーマンスは、「CPM(Cost Per Mille)」、つまり1000クリックごとの料金といった指標のように、その広告枠がどれだけクリックされたかというクリック数に基づいて評価し、値段をつける手法が主流となっています。しかし、悪意あるメディアが自動的にウェブページを閲覧して特定の広告枠をクリックするbotを展開することによって、意図的に自社メディアが展開する広告枠の価格を吊りあげたり、あるいは競合他社により高い広告費を払わせるためにクリック数を水増しする、アドフラウドと呼ばれる詐欺行為が横行していたことが発覚し、これが広告業界において大きな問題となっていました。これにより広告主が広告枠のパフォーマンスに見合わない金額を支払っていることが判明しただけでなく、ある会社の製品の広告がテロリストグループがアップした動画の広告として配信された結果、そのブランド価値が大きく傷ついてしまうという事件もありました。このように、広告業界ではどの媒体ならば信頼して出稿できるのか?ということが懸念されるようになっています。   アドチェーンレジストリを通じて管理 この問題に対処するため、米アドテク企業のMetaxと、同じくアメリカの分散型アプリケーション構築企業のConsenSysの二社は共同で、データマーケティング協会(DMA)という業界団体と協働し、adChain(アドチェーン)レジストリというドメインの分散型ホワイトリストを始動させると発表しました。adToken(アドトークン)の保有者はコミュニティ内において、特定のドメインの不正や品質を監査する役割を持ちます。 監査の結果ドメインが有効であると承認されればそのドメインはホワイトリストに掲載されます。広告主はこのホワイトリスト上に出稿することで広告効果を得られるため、ブランド価値毀損のリスクやアドフラウドの被害にあうリスクを大幅に下げることができます。時間が経つにつれホワイトリストに掲載されているドメインの広告としてのパフォーマンスに変化が起きることを想定し、一定期間ごとにドメインの更新が行われることも特徴のひとつです。そのたびに、トークン保有者はドメインをコミュニティ内で提案し、再度承認を得ることでホワイトリストへ再掲することが可能になります。 今後の展望 将来テキストマイニング技術などが発達すれば、自動で悪質なメディアを判別することができるようになるかもしれません。しかし、現在はまだ人の目で媒体を精査し、信頼性を担保する他ありません。ここに対して、広告業界と業界団体で結託してガバナンスシステムを築き上げた点で、このアドチェーンレジストリの仕組みは優れているといえるでしょう

EOSとは?ーより優れたDAppsプラットフォームを目指す新たなブロックチェーン

2017年6月28日 BBC編集部 0

2017年6月26日より、スケーラビリティ問題や取引コストの課題を乗り越える新たなブロックチェーンとして注目を集めている「EOS」のICOがスタートしました。この記事では、そのEOSの特徴について、詳しく見ていきたいと思います。   EOSの特徴について EOSはGraphene上で開発されており、BitShares(ビットシェアズ)同様に高度な情報処理能力を有しているほか、Ethereum(イーサリアム)のスマートコントラクト機能を併せ持っています。また、Ethereumなどのブロックチェーンで顕在化しているユーザビリティ問題の解決策も目指しています。 人間にやさしいデータ記録方式 まずEOSの大きな特徴として、ブロックチェーン上にバイナリでない方法で記録ができることが挙げられます。バイナリとは、0と1で構成されたコンピュータ言語のことで、人間が一目見ただけで、その意味を解読することが困難な形式です。 Ethereumでは、記録がバイナリで行われるため、ブロックチェーン上の記録を参照することが難しく、使い勝手の面で問題がありました。これに対してEOSでは、ブロックチェーン上に人間が読める状態で作成したプログラムを直接アップロードすることが可能なため、ユーザビリティが大きく向上することが見込まれます。 コンセンサスアルゴリズムは、PoSを採用 Ethereumでは、PoW(Proof of Work、プルーフ・オブ・ワーク)を採用しているのに対し、EOSではPoS(Proof of Stake、プルーフ・オブ・ステーク)を採用しています。これにより、マイニングにかかるエネルギーコストが低く、コンセンサス形成にかかる時間も短縮でき、さらに一部マイナーへの権利集中リスクも低くなります。 プルーフ・オブ・ワークについては、こちらをご参照ください。 ブロックチェーンを支える技術「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」とは スケーラビリティ問題を解決し、よる優れたDAppsプラットフォームを目指す EOSはさらに、Ethereumのスケーラビリティ問題についても解決を試みています。非同期通信と並行処理を採用していることで、EOSは、Ethereumと比較して取引処理能力が大幅に拡大します。Ethereumは取引処理能力がボトルネックとなり、実際のビジネスユースに耐えうるかどうかが懸念されていましたが、EOSはこのボトルネックを解決した形になります。 また、EOSは集中型アプリケーションと同様な機能を持つ分散アプリケーションをサポートするよう設計されており,トランザクション毎に使用料を支払わなくていいという特徴を備えています。昨今Ethereumの人気に伴い、取引手数料が高騰し、スマートコントラクトのビジネス展開が難しくなることが懸念されていました。これに対し、EOSは手数料をゼロにすることで、誰でも気軽にスマートコントラクトが履行できる世界を目指しているようです。   EOSのICOスケジュールについて EOSトークンの総量は、1,000,000,000EOSとなっており、Ethereumの基軸通貨であるEther(イーサ)と引き換えに入手できます。このうち全体の20%にあたる200,000,000EOSが、最初の5日間のプレセール(2017年6月30日まで)で販売されます。 プレセール後の7月1日以降では、全体の70%にあたる700,000,000EOSが、23時間毎に350回に分けて分配されます。(2017年7月1日から約335日間、1回あたり2,000,000EOSが分配)このように従来のICOの方法とは、大きく異なった形態となっています。 EOSの開発元であるBlock.One社によると、現在のICOは一部の人にトークンが集中しがちで、少数の人にのみオープンになっている実態について指摘しています。今回、EOSトークンでこのような新しい分配方法が採用されている背景として、EOSの根本的な設計思想が「真の意味で万人にとって開かれたプラットフォーム」を目指しており、トークンを通してより多くの人に開発を見守ってほしいとのアナウンスがありました。 BLOCKCHAIN CapitalのBrock […]

OmiseGOとは?―スマートコントラクトを用いた台帳間取引ネットワーク

2017年6月26日 BBC編集部 0

  「OmiseGO」は、複数のブロックチェーン間での取引を可能にする新たな決済プラットフォームです。日本人企業家が東南アジア向けに展開しているクレジット決済システム「Omise」が、ブロックチェーンを活用したウォレットアプリの提供を発表したことで話題になりました。Omiseには、SBIホールディングスや三井住友フィナンシャルグループなどが出資に加わっているほか、イーサリアム(Ethereum)の開発者であるVitalik Buterin氏がアドバイザーとして加わるなど、注目を集めているプロジェクトの一つです。 本記事では、OmiseGoの基盤である「OmiseGOブロックチェーン(OMGブロックチェーン)」の仕組みを簡単に解説したいと思います。 「Omise GO」のリリースについてはこちらの記事もあわせてご覧ください。 「東南アジア向け決済プラットフォーム『Omise』がイーサリアムベースのウォレットアプリ『Omise GO』の提供をアナウンス」   複数の決済ネットワークを繋げる独自ブロックチェーン 現在の決済ネットワークは金融機関ごとに異なるものが用いられているため、異なる決済ネットワークを介した取引は、手数料や取引時間の面でデメリットがあります。たとえば、国際送金を行う際には複数の銀行を経由する必要があるため、高額な送金手数料がかかったり、時間もかかってしまいます。OMGブロックチェーンはこのような複数の決済ネットワークにまたがる取引を迅速かつ低コストで実行するため、既存のものとは独立した新たなブロックチェーンとして開発されました。 ユーザーはOMGブロックチェーン上に生成される「eウォレット」を通じてトークンのやり取りを行います。OmiseGO上では「eウォレット決済提供者(EPP)」が法定通貨の裏付けを持つトークンを発行します。これにより、eウォレットを持つユーザーは発行されたトークンを決済手段として利用することができます。eウォレット決済提供者は法定通貨を保有してその価値に基づくトークンを発行する主体であり、リップルのIssurer(旧IOU)を発行する「ゲートウェイ」に近いものだと言えます。このようにユーザーがeウォレットを用いてOMGブロックチェーン上で発行されたトークンをやり取りする、モバイルペイメントが実現されます。   イーサリアムブロックチェーンとの連携により、複数トークンの交換を実現 さらにOMGブロックチェーンは異なる決済ネットワーク間での取引を行うとき、イーサリアムブロックチェーンとの連携を行っています。これは異なる暗号通貨もしくはトークンを直接交換すると組み合わせが増えすぎてしまうため、ETHを媒介として交換を行うことでいわゆる「為替スプレッド」を抑え、取引の流動性を高めるというものです。イーサリアム上ではスマートコントラクトを活用してトークンの交換が行われ、OMGブロックチェーン上で決済が実行されます。このようにブロックチェーン上で分散的にトークン同士を交換する機能を、中央集権型の暗号通貨取引所と対比して「分散型取引所」と呼びます。 このように、eウォレットを用いることでOMGブロックチェーン上でトークンをやり取りできるだけでなく、分散型取引所を通じて法定通貨の裏付けを持つトークンを他の暗号通貨やトークンと交換することが可能になります。   今後もOmiseGOの情報に注目 そのほかにも、OMGブロックチェーンの特徴として、コンセンサスアルゴリズムはプルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake、PoS)を採用しています。また、OMGトークンの保有割合に応じてネットワーク上で決済された際の手数料をを配当として受け取ることができます。 また、OmiseGOはイーサリアムだけでなく、Golem(ゴーレム)、Cosmos(コスモス)、Tendermint(テンダーミント)などのブロックチェーンを活用した各種プロジェクトとも連携することを目指しています。このOmiseGOのセキュリティ等の詳しい技術については、「Exonumia Labs, Inc.」から今夏に詳細な発表がなされるとのことです。決済サービスの在り方に影響を与えるであろうOmiseGOには、今後も注目が集まりそうです。 6/26 […]

Humaniq(ヒューマニック)とは?ー生体IDにより金融システムの不平等性の解決を目指す

2017年6月19日 BBC編集部 0

分散型台帳とも呼ばれるブロックチェーン技術は暗号通貨(仮想通貨)だけでなく様々な分野に応用が可能で、多くのプロジェクトが登場しています。こうしたプロジェクトの多くは従来の中央集権的な構造による問題点を解決することを目指しています。今回はその中からHumaniq(ヒューマニック)の特徴、そして今後の展望について分かりやすく解説していきます。   Humaniq(ヒューマニック)とは? ”Unbanked”と呼ばれる銀行口座を持たない、または持つことのできない人々は、世界に20億人以上存在すると言われています。預金するに十分な収入がない、本人証明(ID)を持っていない、銀行インフラが未整備であるなど、その理由は様々です。 Humaniqはブロックチェーンを活用し、発展途上国の人々も含めたすべての人に公平に金融インフラを提供するアプリケーションです。   Humaniqの特徴 自分の暗号通貨をスマートフォンで管理し送金できるという点では、既存のウォレットアプリなどと似たもののように思えるかもしれません。Humaniqはウォレットアプリとどのような違いがあるのでしょうか。 ①生体認証によるセキュリティの高い「BioID」を生成 Humaniqの最大の特徴の一つは高度な生体認証を基礎とした「プルーフ・オブ・フェイス(Proof of Face、PoF)」という仕組みです。ユーザーが初めてHumaniqを使うときには、生体認証登録を通じて「BioID」を生成します。本人確認書類やメールアドレスではなく生体認証を採用したのは、Humaniqが発展途上国の人々をメインターゲットとしているためです。さらに生体認証の採用によって、1人につき1つのBioIDだけを割り当てることになり、アカウントの盗難や複製などの不正行為リスクが大幅に削減できます。 ユーザーはBioIDを取得して初めて、ウォレットの生成やトークンのやり取りが可能になります。サインイン時はジェスチャー認証によってウォレットにアクセスし、送金などを行います。既存の多くのウォレットではパスワードや公開鍵・秘密鍵、パスフレーズなどがセキュリティとして用いられていますが、それらが他人に知られてしまえば本人でなくともウォレットにアクセスして送金を実行することができてしまうため、厳重に管理する必要がありました。しかし、利用者にとってそれらのデータの管理は、少々煩雑であったり、情報の紛失などによって所有者であってもウォレットにアクセスできないということが少なからず起きていました。そこで、生体認証を用いれば容易に本人確認を行うことができるため、既存の多くのウォレットに比べてより高いセキュリティを保ち、かつ利便性を高めることができるでしょう。 ②HMQトークン もう一つの特徴は、Humaniq内で用いられる「HMQトークン」という独自イーサリアムトークンです。人々はHMQトークンを自国通貨に交換して日常的な決済に用いるほか、将来的にはHMQトークンを用いた店頭決済の導入も検討しています。 HMQトークンは、アカウントの開設、HMQトークンの送金、友人の招待など、ユーザーのアクティビティによって新たに生成され、ユーザーに付与されます。Humaniqの利用を促進するインセンティブとしてHMQトークンを用いつつ、付与されたHMQトークンを決済手段として提供することで、循環的にHumaniq経済を活性化させていきます。   Humaniqの普及と今後の可能性 高度な生体認証を用いてのアカウント付与と、HMQトークンを基軸とした経済圏の構築という2つのポイントが、Humaniqの大きな特徴です。Humaniqではこのようなウォレット・送金サービスに加え、保険や、個人間融資、データセキュリティサービスなどのサードパーティサービスの参入を見据え、それらに必要なインフラの提供も検討しています。 Humaniqの将来的な展望としては、HMQトークンを通じ暗号通貨を浸透させることで送金が容易になり、発展途上国における経済循環を活発化することができるとしています。また送金手段の浸透によってリモートワークなど職業の選択肢が広がることで国民所得が向上し、ひいては国全体の信用力の向上へ繋がることも期待されています。 まずはアフリカ、中南米、アジアの発展途上国に多数存在する、銀行口座を持たない”Unbanked”層をメインターゲットとした上で、将来的には世界各国への展開を検討しています。2017年4月6日にはICOが実施され、約500万ドルにも上る資金調達に成功しました。今後は2017年5月までにプロトタイプを完成させ、2018年を目途に世界中へと展開していくとのことです。   web site: https://humaniq.co/

IOTA(アイオータ)とは?ーIoTに最適化された暗号通貨

2017年6月16日 BBC編集部 0

分散型台帳とも呼ばれるブロックチェーン技術は暗号通貨(仮想通貨)だけでなく様々な分野に応用が可能で、多くのプロジェクトが登場しています。こうしたプロジェクトの多くは従来の中央集権的な構造による問題点を解決することを目指しています。今回はその中からIOTA(アイオータ)の特徴、そして今後の展望について分かりやすく解説していきます。   IOTAとは?ーIoTに最適化された暗号通貨および決済プロトコル IOTA(アイオータ)とは、IOTAプロトコル上でやり取りされるIoTに最適化された暗号通貨(仮想通貨)です。IOTAは、パソコンやスマートフォンだけでなく、あらゆるIoTデバイスが利用可能です。 送金手数料なしに送金が可能 IOTAの特徴として、デバイス間で送金を行う際に、他のビットコインなどの暗号通貨と異なり手数料が発生しません。常に手数料なしに送金を行うことが可能です。これは、Tangleと呼ばれる非循環有向グラフ構造に基づいた、ブロックチェーンと似た働きをするアーキテクチャによって処理が行われるためです。 送金手数料が必要なくなるため、その他の暗号通貨に比べてよりマイクロペイメントに向いていると言えるでしょう。さらに、IoTデバイスと接続することで、より柔軟にリアルタイムかつ細かな料金支払が可能となります。例えば、レンタカーの場合を考えてみましょう。内部センサーで測定した走行距離分だけ数メートル刻みで支払いを行うことも可能となります。 IoTデバイスで取得したデータを安全に送信可能 IOTAのもう一つの重要な特徴として、IoTデバイスの取得したデータ(気温、振動、回転数など)を、デバイス間でセキュアにやり取りができることです。 よくIoTの発展はブロックチェーン技術によって補完されると言われることがあります。これはデバイス間でのデータの整合性を保つことや、デバイスに対して不正なデータの送信を防ぐことが技術的に困難だったためです。しかし、IOTAのTangleを通して送信することで、データへの改ざんや外部からの攻撃を不可能となります。これにより、IoTデバイス間でデータの信頼性を担保したネットワークを構築することができます。   IOTAの普及と今後の可能性 電子マネーである暗号通貨は、IoTデバイス間の決済を可能にし、IoTサービスの可能性を拡げます。ここ最近はAmazon GOの登場など、デバイスやセンサーとインターネットとの接続によって、どんどんとスマートな決済体験が登場しています。IOTAにより、デバイス間での決済がよりスムースになり、購入体験がより向上するかもしれません。IOTAは、現在ベータ版が提供されており、誰でも利用が可能です。今後もIOTAの開発状況に注目したいところです。   web site: https://iota.org/

Qtumとは?-ビットコインとイーサリアムの融合へ

2017年6月15日 BBC編集部 0

新たなブロックチェーン「Qtum」が密かに注目を浴びています。Qtum(キュータム)とは、ビットコインの「UTXOベース」という特徴を活かしながら、イーサリアムの「スマートコントラクト」を実行することができる独自のブロックチェーンです。UTXOベースとは何かも含めて、分かりやすく説明していきます。 スマートコントラクトとは何かについては、こちらの記事で詳しく解説しています。 →「ブロックチェーン技術の活用範囲を広げるスマートコントラクトとは?」   ビットコインの特徴「UTXO」による匿名性とは? ビットコインブロックチェーン上では、ビットコインの残高を管理する仕組みとして「UTXO(Unspent Transaction Output、アンスペント・トランザクション・アウトプット)ベース」が採用されています。それぞれのトランザクションデータの中にはビットコインの「インプット(Input)」と「アウトプット(出力)」が含まれています。各アドレスのビットコイン残高を、そのアドレスに向けて送信されたトランザクションに含まれるアウトプットの合計金額で計算します。このとき、そのアウトプットに出力されたされたビットコインをUTXOと呼びます。これに対し、イーサリアムなどでは直接アドレスに残高を紐づけて記録する「アカウントベース」のシステムが採用されています。 例えば、太郎さんが所有する3BTCを使用して二郎さんに2BTC送信したい時を考えてみます。この際に、単純に二郎さんへの2BTCの送金依頼をしただけでは、太郎さんにおつりは戻ってきません。ビットコインでは、インプットとアウトプットの差額は取引手数料としてマイナーに自動的に与えられるため、このケースではインプットとアウトプットの差額である1BTCが取引手数料として取られてしまいます。そのため、2BTCを二郎さんに送るだけではなく、おつりとして1BTCを自分のアドレスに指定しなければなりません。この時に新しいアドレスを作成し、おつり用アドレスとして指定することで結果的に追跡を困難にします。このように、UTXOは匿名性を保ちプライバシーが優れていると言われています。   スマートコントラクトをビットコインブロックチェーンに導入 ビットコインとイーサリアムでは、残高の管理の仕方が異なることは、上記の通りです。このUTXOとイーサリアムのスマートコントラクトを合体させようとしているのがQtumです。 これが今まで実現されなかったのは、ネットワーク内のスマートコントラクトコードの実行環境、スマートコントラクトを機能させるEVM(イーサリアムバーチャルマシン)がブロックチェーンから隔離された所に存在していたため、ビットコインブロックチェーンと繋げることができなかったからです。 これを解決するために、ビットコインブロックチェーン上に分散アプリケーションプラットフォームを構築し、ビットコインブロックチェーンとEVMの間の通信レイヤーとして機能するQtumアカウントアブストラクトレイヤーを導入します。これを機能させるために、Qtumは、3つのアップコード(OP_EXEC、OP_EXEC_ASSIGN、OP_TXHASH)を加えることでEVMに自動的に転送する手段として機能させ、特定の条件を追加しEVMを使用するトランザクションをUTXO環境内で機能させることができます。   UTXOにより、ライトウォレットが可能に またこのUTXOを活用することで、「ライトウォレット」を作成することが可能となります。ライトウォレットとは、ウォレットを通じてビットコインを保有するときにビットコインブロックチェーン上の全ての取引記録をダウンロードすることなく、自らのアドレスに関連した取引のみを選んでダウンロードできるウォレットです。これを「SPVプロトコル(Simplified Payment Verification Protocol)」と呼びます。ライトウォレットに対して、ブロックチェーン上の取引記録を全て保持するウォレットのことを「フルノード」と呼びます。SPVでは、自分に必要なトランザクションのみを抽出し、十数ギガバイトにも及ぶビットコインブロックチェーン全体をダウンロードすることなく、より少ない電力消費でビットコインの送金ができます。そのため、従来はデスクトップパソコンなどデータ容量の大きい端末でしかウォレットを作成できませんでしたが、モバイル端末でもウォレットを作成できるようになりました。 これによりQtumでは、モバイル端末上で動作するライトウォレットを、スマートコントラクトや分散型アプリケーションにネイティブに取り入れることができるようになります。また、この機能により、IoTデバイスをスマートコントラクトで保護して操作することも可能となるでしょう。   コンセンサスアルゴリズムは、PoSを採用 Qtumではビットコインブロックチェーンで使用されるプルーフ・オブ・ワーク(Proof of […]

リップル社がインターレジャープロトコル(ILP)のビットコインプラグインを公開

2017年6月12日 BBC編集部 0

2017年6月1日、リップル社(Ripple, Inc.)は「インターレジャープロトコル(InterLedger Protocol、ILP)」初のビットコインプラグインを公開しました。これによって、ブロックチェーントランザクションを異なる決済ネットワーク上送信することができます。本記事では、その公開内容について解説していきます。 リップルについてはこちらの記事で詳しく解説しています。 →「リップルとは?-新たな国際送金システムを目指す暗号通貨」   インターレジャープロトコル(ILP)とは? 国際送金など複数の金融機関をまたぐ形での取引を行う場合、異なる取引記録データベース(=決済ネットワーク)を経由する必要があるため、大きな時間的・費用的コストがかかります。2015年10月にリップル社が発表した「インターレジャープロトコル」は、複数の取引台帳を接続することで異なる決済ネットワークにまたがる取引を実現します。具体的には、二者間の取引を仲介する「エスクロー」という機能を通じ、異なる決済ネットワーク上の資産をやり取りすることができます。これにより、複数の金融機関やブロックチェーンにまたがる取引をリップルネットワークを介して実行できるようになるため、時間や費用をかけずに取引を行うことができます。このリップルの発表以来、多くの金融機関がブロックチェーンの活用への関心を強めています。 リップルネットワークにおいてブリッジ通貨として発行されているXRPですが、金融機関の多くはKYCコンプライアンスなどセキュリティの問題から暗号通貨を銀行間取引に用いることに消極的です。その一方でブロックチェーンや広義の分散型台帳の活用には積極的であり、リップルネットワーク上のIssurance(イシュアランス、旧IOU)を用いた銀行間取引に向けての取り組みも進められています。一方で、インターレジャープロトコル自体はブロックチェーンではなくあくまで接続システムであり、既存のリップルネットワーク(XRP Ledger)とは独立して存在しています。 また、リップルネットワークの基盤である「XRP Ledger」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。 →「リップルネットワークの基盤「XRP Ledger」とは?」   ILPがビットコインへ対応 インターレジャープロトコルでは既存の決済ネットワークを接続することを目指していましたが、2017年6月にビットコインブロックチェーンへ接続するプラグインを公開しました。2017年6月1日、2日にドイツのベルリンで開催されたBlockchain Expoではリップル社によるデモンストレーションが行われ、パブリックブロックチェーン、プライベートブロックチェーン、中央集権的な取引台帳、従来の決済チャネルなど7つの異なる決済ネットワークを経由する一つのトランザクションが実行されました。これらを通じ、既存の取引チャネルとブロックチェーンの連携が実現されました。将来的には、全ての取引台帳が結びつくことになるかもしれません。 今回は公開されたビットコイン向けプラグインを用いた接続だけでなく、XRPを使用したインターレジャー取引も実行されました。これはXRPエスクローとXRP支払いチャネルの両方を使用して行われるものです。これらの技術により、取引記録の全体をETHに両替し、それらをいったんXRPに両替したのち、それらを最終的にユーロに戻すといったことが、より小さな費用・時間で実行できるようになります。   今後もプラグイン構築は拡大 今後インターレジャープロトコルは接続可能なブロックチェーンをさらに拡大していく予定です。例えば、ライトコインとの接続を可能にすることは、ビットコイン向けプラグインのコードを微調整するだけで可能になると言われています。また、ZcashやLightning Network、PayPalなどにも対応するプラグインを構築していくとのことで、今後もリップル社の発表に注目していきたいです。   リップルについてはこちらの記事で詳しく解説しています。 […]