新たな資金調達手段「ICO」とは?

2017年4月28日 BBC編集部 0

ブロックチェーン周りで聞かれる新しい用語の一つに「ICO」という言葉があります。「ブロックチェーンを用いた〇〇がICO間近!」という言葉を見たことがある人も少なくないでしょう。今回の記事ではこのICOとはいったい何なのか、解説していきます。 従来の資金調達の形-株式公開、クラウドファンディング 資金調達手段には融資などの手段もありますが、今回の記事では「出資」にフォーカスして見ていきます。出資は、融資と違い返済義務がないため出資先が潰れてしまえば出資者は大損してしまいます。出資者はこのようなリスクを負うため、出資者に対しては必ず何らかのリターンを提供する必要があります。 日本において民間企業が出資を募るときの最も代表的な手段は、株式の発行でしょう。企業は株式を発行し販売することで資金を調達し、株主は株式を購入することで配当権や経営参加権などを持ちます。企業が成長し株式市場に上場すると、一般公開された市場において株式を売買できるため、より機動的な資金調達が可能になります。これを新規株式公開、またはIPO(Initial Public Offering)と呼びます。 また近年ではクラウドファンディングといった手法も盛んになってきています。これは何らかのプロジェクトが実現する前にあらかじめ「サービス受益権」を直接一般向けに販売しすることで、投資者のハードルを下げることを実現するものです。 近年、IPOによる株式公開やクラウドファンディングとは異なる、暗号通貨を用いた資金調達が登場しています。   暗号通貨建ての資金調達「ICO」とは? 「ICO(Initial Coin Offering)」とは、ある組織や企業が資金調達する際に暗号通貨やブロックチェーン上でトークンを発行し、それらを一般の投資家に向けて販売することで資金調達を行うことを指します。暗号通貨やトークンの発行を伴うため、ブロックチェーン関連のプロジェクトにおいてよく用いられています。「クラウドセール」や「プレセール」と呼ばれることもあります。たとえば、分散型予測市場プロジェクトの「Gnosis(ノーシス)」のICOでは、数分で1200万ドルにも上る資金調達に成功しました。 では、ICOにおけるリターンはどのようなものがあるのでしょうか。ICOにおけるリターンには複数のパターンがあります。以下のようにスマートコントラクトを活用し、様々な形態でのリターンを提供できるのも暗号通貨およびトークンならではのメリットだと言えるでしょう。   ICOにおけるリターンの3分類 (1)議決権 スマートコントラクトを通じ何らかの形で多数決による何かしらの意思決定に投票に参加できるというものです。株主のように運営主体の経営に関する議決に参加できる場合や、サービス内での投票に参加できる場合もあります。たとえば、自律分散的な投資ファンド運用を目指した「The DAO」のプレセールにおいて販売されたDAOトークン保有者は、The DAOにおいて提案された投資先への投資の可否についての投票に参加することができます。 (2)配当権 こちらのタイプは、サービス利用に伴う手数料収入などをスマートコントラクトによって配分するものです。このように直接金銭的なリターンを提供するものも多くあります。たとえば公正な著作権料分配を目指す「SingularDTV」がプレセールで販売したSNGLSトークンの保有者は、SingularDTV内の動画の再生回数に応じた収益を受け取ることができます。(1)の議決権と併せて付与される場合もあります。 (3)サービス内で使えるコイン サービスにおいて手数料や利用料などの支払いに利用することができるトークンをそのままプレセールで販売するパターンです。たとえば、コンピュータリソースの共有を目指す「Golem」がプレセールで販売したGNTトークンは、サービス内でそのままコンピュータリソースの購入に利用することができます。   […]

取引所にビットコインなどの暗号通貨を預けることのリスクとは?

2017年4月3日 BBC編集部 0

ビットコインなどの暗号通貨(仮想通貨)を買いたい時に、誰もが最初に使うのが国内ですとbitFlyerやcoincheckなどの「取引所」だと思います。取引所では円などの法定通貨と暗号通貨の交換を行っているほか、取引所に暗号通貨を預けることも出来ます。しかし、取引所に暗号通貨資産を預けることには「カウンターパーティリスク」と呼ばれるリスクが伴うことをご存知ですか?もしご存知ない場合は、暗号通貨の管理に必須である「秘密鍵」と「公開鍵」の2つについて知る必要があります。   暗号通貨を管理する秘密鍵と公開鍵とは 暗号通貨は自分だけが知っている「秘密鍵(シークレット・キー)」と、全世界に公開している「公開鍵(パブリック・キー)」というペアからなる暗号鍵を用いて管理・送金を行います。公開鍵は秘密鍵から生成されますが、公開鍵から秘密鍵を知ることはできません。これを「公開鍵暗号方式」といいます。 (参考記事:ブロックチェーンを支える技術「公開鍵暗号方式」とは) 誰かに暗号通貨を送金する場合、送金先の利用者の公開鍵から生成されるアドレスを用いて送金先を指定し、さらに送金者が自身の秘密鍵を用いて「電子署名」をすることで初めて送金処理を実行することができます。このとき秘密鍵を用いた電子書名は、銀行口座で送金を行う際の本人確認(パスワードや印鑑)にたとえることができます。しかしながら、秘密鍵と特定の個人を結びつける要素はないため、秘密鍵を知っていれば誰でも送金が可能になってしまいます。そのため秘密鍵は誰にも知られることがないように、厳重に管理する必要があります。   取引所は秘密鍵と公開鍵を集中的に管理 前述の通り、取引所では暗号通貨を預けることもできます。しかし、実は個々の取引所の利用者それぞれが個別の秘密鍵と公開鍵のペアを保有しているのではありません。実は公開鍵からは限りない数のアドレスを生成することができます。取引所はこれを用いて、保有する秘密鍵と公開鍵のペアから生成したアドレスを取引所の利用者に割り当てているのです。 特に即時の取引が重要となるトレードにおいては、送金のたびにブロックチェーンに記録しながらトレードを行うのは時間がかかりすぎるため、取引所は利用者の暗号通貨と法定通貨のやりとりをブロックチェーン上に記録せず、取引所運営会社内のデータベースを書き換えることで利用者の暗号通貨を管理しています。 このように利用者の暗号通貨は、取引所が集中的に管理しています。これは個人が銀行口座にお金を預け、ある口座から別の口座への振込みを行う際に、実際に現金の移動が行われているのではなく銀行内のデータの書き換えによって行われるのと同様の構図です。   取引所の抱えるカウンターパーティーリスクとは? 取引所が利用者の暗号通貨を集中的に管理することには、あるリスクを伴います。それは、暗号通貨を管理する取引所の破綻やサイバー攻撃によるハッキングリスクです。取引所では当然大きな金額を扱っている以上、サイバー攻撃の標的になりやすいのです。 このように取引相手の信頼性によって発生するリスクのことを「カウンターパーティリスク」と呼びます。ここでは暗号通貨のやり取りの相手(=カウンターパーティ)、つまり取引所が倒産したり、外部からサイバー攻撃を受けることで暗号通貨が損失するリスクのことです。 もし仮に、取引所の管理する秘密鍵が何者かによって知られてしまい、取引所から利用者から預かった暗号通貨の一部が盗まれてしまう事件はこれまでも度々起きています。代表的なものが、Mt. Gox事件です。この事件では内部の人間が自社サーバーに不正にアクセスし、管理されている秘密鍵の情報を得て、Mt. Goxに預けられていた人々の暗号通貨を勝手に送金したことで多額の損失が生じました。 ブロックチェーンの大きなメリットとして、分散化によって外部からの攻撃や改ざんに対して強い点です。しかしながら、取引所が秘密鍵を集中的に管理した場合は、ブロックチェーン自体のセキュリティの問題ではなく、取引所のセキュリティの脆弱性による問題が起きてしまうことがあり得ます。取引所に保有する暗号通貨を預ける際には、必ずこのリスクを意識した上で利用する必要があるでしょう。

ブロックチェーンを支える技術「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」とは

2017年3月30日 BBC編集部 0

ブロックチェーン上で行われた取引は「マイニング」と呼ばれる作業を通じて全てが正しく記録され、最終的にはネットワークに接続されている無数のコンピュータに同期されます。ビットコインほか多くの暗号通貨では、このマイニング作業に「プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work、PoW)」と呼ばれるシステムが利用されています。この仕組みにより、ブロックチェーンがトラストレスでも正しく動作する理由にも繋がっています。詳しく見ていきましょう。   マイニング作業-取引情報の入ったブロックの新規生成 ブロックチェーン上で行われた取引の記録作業を「マイニング(Mining)」と呼び、その記録作業を行う人々のことを「マイナー(Miner)」と呼びます。また、ブロックチェーンに接続されているコンピューターを「ノード」と呼びます。マイナー達はノードとして接続されている自身のコンピュータを使って、いくつもの取引をまとめた「ブロック」を約10分間おきに生成しています。 このとき各ブロックには「nonce(ナンス)」と呼ばれるハッシュ値を含める必要があります。このハッシュ値は一つ前のブロックのハッシュ値とは別物であり、プログラムにより指定される「ターゲット」と呼ばれる値以下である必要があります。マイナー達は膨大な量の計算を行い、総当りでこのハッシュ値を探し出すマイニング競争を行います。そして条件に該当するハッシュ値を一番最初に探し出すことに成功したマイナーがブロックを生成し、マイニング報酬を受け取ることができます。ビットコインではマイニング報酬が約4年おきに「半減期」を迎えるよう設定されており、2016年夏には25BTCから12.5BTCに半減しました。最終的には2140年頃にマイニング報酬がゼロとなり、発行上限量として設定された2100万BTCに到達する予定です。   ブロックの承認と合意形成 ブロックが生成されると、他のノード達の多数決によって承認作業が行われます。ブロックチェーンネットワークの過半数のノードによって承認されればそのブロックは正当なものとみなされ、さらに次のブロックが生成されます。仮に一番乗りになったマイナーが間違った取引を含んだブロックを生成した場合には、そのブロックは他のノードから承認されず、次に条件に該当するハッシュ値を見つけたマイナーがブロックを生成し、それを他のノードが承認するという過程を経ます。このようにして生成されたブロックをノードが多数決で承認しながら、常に正しいブロックが同期されるような合意形成(コンセンサス)を行うことで台帳への記録作業が行われているのです。   膨大な計算を行うことで、報酬を得ることができる「プルーフ・オブ・ワーク」 この一連の合意形成の仕組み(コンセンサスアルゴリズム、Concensus Algorithm)を「プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work、PoW)」といいます。このようにマイナーは自分のコンピュータの計算能力を台帳への記録作業に提供する代わりに、記録に成功すると報酬としてビットコインを受け取ることができます。 では、仮に不正に送金を行おうとする人がいた場合はどうなるでしょうか。過去の取引記録を改ざんしようとする場合、ブロックチェーンのデータ構造の特徴上、過去のブロックだけでなく最新のブロックまでを全て改ざんした上で、全ノードに同期させる必要があります。そのため、過去のブロックになればなるほど指数関数的に改ざんは困難となります。6承認されるとほぼ改ざんの恐れはないと判断しているのは、こういった理由からです。 またマイニングの際に不正なブロックを生成しようとする場合には、世界中に無数に存在するマイナーのコンピュータの計算能力を上回る必要があるため、むしろマイニング作業に参加して報酬を得たほうが経済合理性に適う結果となるため、ハッキングすることへのインセンティブも低減します。 このように人々が合理的な選択の結果として正しい取引記録を行う仕組みを確立したことで、管理者の存在がなくとも取引の記録作業が完全に自律的に維持されているのです。   「51%攻撃」リスクとは? しかしながらこれは逆に言えば世界中のマイナーのコンピュータの計算能力の51%を上回るマイナーが現れると、ブロックがそのマイナーの恣意によって生成されてしまう、「51%攻撃(51%アタック)」という問題が発生します。ビットコインで考えると、現状のマイニングパワーと同じだけの計算能力を特定の一つの集団が保持するのは難しく実現不可能であるとされていますが、中国がマシンパワーの9割近くを占めている現在の状況を危惧する声もあります。 また、プルーフ・オブ・ワークは、仕組み上コンピューターに膨大な計算をさせるため、莫大な電力を消費するというデメリットがあります。そのため電力の安い中国など発展途上国において、マイニング作業に特化した巨大なコンピューターサーバーを多数設置した「マイニングプール」が多く設立されています。このような電力の消費が無駄なのではないかとして、プルーフ・オブ・ワーク以外のコンセンサスアルゴリズムも研究がされていますが、ほとんどの暗号通貨がプルーフ・オブ・ワークを採用しているのが現状です。   最後に […]