チャリティーへのブロックチェーン活用「Ant Financial」|中国のブロックチェーン活用事例紹介

前回の記事では、中国取引所において取引手数料と取引高に密接な関係があることを解説していきました。今回からは、何回かにわたって中国でのブロックチェーンを活用した事例について紹介していきます。

中国においては寄付金の流れが不透明なため、寄付者から不満も

中国においては寄付されたお金は横領されたり、寄付先に必要なものは届かなず不要なものばかり届いたりと、チャリティー組織は本当に機能しているかと疑問や不信感を抱えている人が少なくない現状です。

こういった事情を背景として、寄付金の使い途をリアルタイムで知るとこができる方法がないかと多くの人々が問い続けています。

ブロックチェーンはその答えかもしれません。

タオバオをはじめとしたネットショップサイトで利用されており中国オンライン決済の約52%を占める決済サービス「アリペイ」を提供している会社Ant Financialは、チャリティー組織「中華社会救助基金」と協力し、中国初のブロックチェーン上のチャリティー活動を行い、10人の聴覚障害児のために19.84万元(約318万円)もの募金を集めました。

聴覚障害児は、1年間のリハビリテーションを受けると聴覚を回復できます。しかし、それには年間一人約31.8万円の治療費が必要なので、経済的な問題でリハビリテーションを受けることができない子供が10人いました。この子供たちのために、Ant Financial社は今までにない、ブロックチェーン技術を使った募金活動を実施しました。

アリペイには、もともと簡単に寄付をすることができる機能が備わっており、アリペイのユーザーなら誰でも自分のアリペイ口座にあるお金を募金プロジェクトに寄付することができます。しかし、主催者の都度の更新が必要なので、リアルタイムで寄付金の行方は確認できませんでした。

今回の募金活動はブロックチェーン技術を利用し、下記の図のように、「いつ、誰が、いくら寄付したか」だけではなく、「いつ、誰に、いくらが届いたか」までブロックチェーン上で記録しており、寄付者はいつでもお金の流れを確認することができるようになりました。

結果として3万人以上が聴覚障害児のために寄付しており、10日間で目標金額に達成しました。中華社会救助基金会の会長胡広華氏は「今回の募金活動の全ての開示情報は、ブロックチェーン上のデータから読み込んだので、信ぴょう性を保証した上で、コストの削減も果たしました。」とコメントしています。

ブロックチェーンの透明性という特徴を活かした良い活用例といえるでしょう。暗号通貨(仮想通貨)は少額決済(マイクロペイメント)にも向いていますので、少額からインターネットを介しての寄付がより行いやすくなるかもしれません。

次回以降も、中国のブロックチェーン活用事例を具体的に紹介していきたいと思います。

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Wang Pengfei
About Wang Pengfei 4 Articles
1991年生まれ、中国出身。厦門(アモイ)大学卒業後に来日し、外資系コンサルティング会社にて東証一部上場クレジットカード会社や大手生命保険会社などのクライアントを担当。その後、ブロックチェーン技術に出会い、ブロックチェーン企業へのコンサルティングを行うためロジェ・グローバルアソシエイツへ参画。400人以上のメンバーを有する中国「Shanghai Blockchain Meetup」へも積極的に参加しており、中国ブロックチェーン事情について精通し、中国を拠点としたブロックチェーン関連企業にも強いコネクションを持つ。