パブリックチェーンとプライベートチェーンの違いとは?

 

 ブロックチェーンには大きく分けて「パブリックチェーン」と「プライベートチェーン」という二種類があります。この二つにはどのような違いがあるのでしょうか。今回の記事では、それぞれのメリットやデメリットも含めて解説していきます。

 

ブロックチェーンにおける「取引承認」のプロセス

 ブロックチェーンにおいては取引の「記録」と「承認」という二段階のプロセスが存在します。まずブロックチェーンに取引が記録されるプロセスでは、プルーフ・オブ・ワークなどを通じて選ばれたマイナーが取引記録の塊である「ブロック」を生成します。

(プルーフ・オブ・ワークについてはこちらの記事で詳しく解説しています。)

 その後マイナーによって生成されたブロックは、他のノードが同期したり、他のマイナーが次のブロックを繋げることによって徐々に「承認」されていきます。この時ノードやマイナーはブロックに記録された取引記録の検証作業を行っており、不正なブロックであると判断された場合には承認しないこともあります。つまり、ブロックチェーンでは多くのノードやマイナーによる検証作業を経て取引が承認されるほど、その取引記録の正当性が高まっていきます

 

最大の違い-誰が取引承認を担うのか?

 ここでパブリックチェーンとプライベートチェーンの最大の違いは、誰が取引の承認を担うのかという点です。結論から言えば、パブリックチェーンにおいて取引の承認を担うのは不特定多数のノードやマイナーです。たとえば、パブリックチェーンに分類されるビットコインにおいてマイナーの生成したブロックを承認するのは、ビットコインブロックチェーンに参加している不特定多数のノードやマイナーであり、ノードおよびマイナーには誰でもなることができます。

 パブリックチェーンでは不特定多数による承認作業が取引の正当性の根拠となるため、特定の個人の恣意による操作や改ざんが非常に困難です。これは分散化の大きな利点の一つです。

 このようにブロックが生成されるたびに全てのノードによって取引記録の検証と正当性の担保が行われているという意味で、パブリックチェーンは真に「パブリック」かつ「自律分散的」であると言えます

 

 一方プライベートチェーンでは、取引記録の生成や承認を行うことができるのは一部のノードに限られています。このとき、記録生成や承認のための権限が一部のノードに限定的に集中してしまっている点で、分散化の利点が失われてしまいますまた記録生成や承認の権限を持つノードは予め管理主体によって指定されていることが多く、管理主体が存在している点でも「非中央集権化」という側面が弱くなっていると捉えられるでしょう。このように特定の管理主体によって権限を持つノードが指定されているブロックチェーンを「許可型ブロックチェーン(パーミッション型)」と分類する場合もあります。

 多くの暗号通貨はパブリックチェーン上に構築されていますが、たとえばリップル(Ripple)などは取引承認をユニーク・ノード・リスト(UNL)に限定しているため、プライベートチェーンに分類されることが多いと言えます。

 

プライベートチェーンの強みとは?-迅速な取引承認

 プライベートチェーンにおいて、取引承認を一部のノードに限定する大きな利点は、迅速かつ効率的な取引の承認が実現できる点です。たとえば、ビットコインではプルーフ・オブ・ワークというプロセスを踏み、悪意のあるマイナーによる記録を防いでいますが、それには時間と膨大な計算を行うマシンパワーおよび電力消費が必要となります。一方、プライベートチェーンにおいては管理主体によってあらかじめ指定された信頼性が高くかつ少数のノード内部で取引の承認が完結するため、迅速かつ効率的な取引承認が可能になります。そのほかにもマイニング報酬など、正しい情報を記録するためのインセンティブが不要であるなどの利点があります。

 

プライベートチェーンの活用可能性-管理のしやすさ

 プライベートチェーンの強みはそれだけではありません。パブリックチェーンが完全に自律分散的であるのに対し、ノードを指定することができるプライベートチェーンは裏を返せば管理がしやすいと捉えることができます。このためノードを信頼性の高い者のみに限定するだけでなく、たとえばブロックチェーンに記録された情報の公開範囲を指定できるなどの利点があります。

 このようにプライベートチェーンでは中央による管理を損なうことなく、ブロックチェーンのメリットを取り入れることが可能なため、既存の金融機関などの中央集権機関による採用に適しています。具体的には既存のシステムを効率化するために活用されることが多く、実際に先ほど例に挙げたリップルは既存の銀行内システムや銀行間決済の効率化に活用される動きが進んでいます。

 しかし、単一組織内でのプライベートチェーン採用においては、中央管理者によるデータ改ざんの可能性などが拭い去れず、従来型の分散型データベースと同じなのではないかといった議論も起きています。

 一方で、国際送金や銀行間決済におけるリップル採用の例においては、単一の中央管理者というよりは複数の信頼の高いノード間で自律的に取引が記録・承認されるため、効率化に貢献する側面は大きく、分散化のメリットもある程度保っていると言えます。このように中央管理者が単一ではなく複数の主体からなるものは「コンソーシアム型ブロックチェーン」と分類されることもあります。

 

ブロックチェーンの将来-既存の枠組みを効率化か、破壊か

 ここまで見てきたように、パブリックチェーンとプライベートチェーンの違いは、取引承認を担うノードが不特定多数か一部に限られているかという点だけでした。しかしながらその違いは、完全に自律分散的なブロックチェーン中央管理に適したブロックチェーンという全く異なるベクトルで表れています。そのためパブリックチェーンがそもそも中央集権機関など既存の枠組みに根本的に相容れないモデルであるのに対し、プライベートチェーンは既存の枠組みを大きく変えずに効率化を進めることができるため、企業や銀行等におけるプライベートチェーンの採用が今後急激に進む可能性があります。
一方で完全に自律的なパブリックチェーンは既存の枠組みを破壊しながら発展し普及する可能性もあり、将来的には分散化による完全な仲介者の排除が実現されるかもしれません。長期的な話ではありますが、今後どのような形でブロックチェーンが普及していくのか、目が離せません。

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BBC編集部
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