イーサリアム・ビギナーズガイド-ビットコインとの違いとその活用可能性

 

 この記事はCoinbaseプロダクトマネージャーであるLinda Xie氏によって書かれた“A beginner’s guide to Ethereum”を要約し、加筆・修正を加えた記事です。翻訳・公開の許可を下さったLinda Xie氏に厚く御礼申し上げます。
 Thank you to Linda Xie, the author of the original article, for your permission of translation and publishment.

 

イーサリアムとは?

 イーサリアム(Ethereum)とはひとことで言えば、「スマートコントラクトを実行する分散型プラットフォーム」です。これを理解するためにはまず、イーサリアムとビットコインを比較するのが良いでしょう。このビギナーズガイドではスマートコントラクトを中心にビットコインとの違いについて解説し、その活用事例を紹介していきます。

 

ビットコイン イーサリアム
コンセプト デジタル通貨 スマートコントラクト
トランザクションの内容 アリスからボブへ ・2018年1月1日
・ボブの残高が10ETH未満
以上の条件を満たす場合、アリスからボブへ
時価総額 180億ドル 10億ドル
開発者 サトシ・ナカモト ヴィタリック・ブテリンと開発チーム
リリース日 2009年1月 2015年7月
リリース方法 初期マイニング プレセール

 

目次

  1. ビットコインとの違い-スマートコントラクトとは?
  2. スマートコントラクトの持つ将来性
  3. イーサリアムを利用したアプリケーション
    1. 「uPort」:身元確認(デジタルID)
    2. 「Filecoin」「Golem」:コンピューティングパワー/ストレージ
    3. 「Akasha」:ソーシャルメディア
    4. 「SingularDTV」:権利管理
    5. 「Aragon」:管理会社
  4. クラウドセールを通じ多額の資金調達を可能に

ビットコインとの違い-スマートコントラクトとは?

 ビットコインとは、一言でいうと「デジタル通貨」です。ビットコインは送金手段や価値貯蔵手段として利用されているほか、ビットコインを通じて初めて「分散型デジタル通貨」という概念に触れて理解するという人も少なくありません。

 一方、イーサリアムはデジタル通貨であるだけでなく「スマートコントラクト」を通じてより高度なプログラムを組み込むことができます。スマートコントラクトとは、ある一定の条件が満たされた場合に、自動的にある人から別の人へ送金するようなプログラムです。

 たとえば、アリスさんがボブさんから家を購入したいとします。従来は不動産仲介業者など複数の第三者が介在していたため、プロセスが不必要に遅く、また手数料も高額になってしまっていました。しかしイーサリアムを使用することで、スマートコントラクト(=プログラムコードとして書かれた契約)にしたがって自動的に、つまり仲介者を必要とすることなく所有権や資金の移動を実現できます。

 

スマートコントラクトの持つ将来性

 スマートコントラクトは非常に大きな可能性を秘めています。従来のユーザー同士を繋げるプラットフォームであるUberやAirbnbなどのアプリケーションでは中央集権型システムが一般的であり、ユーザーの間に必ず運営主体が介在していました。しかしこれらはすべてスマートコントラクトを利用することでイーサリアム上で分散的に構築することができます

 分散型プラットフォームとすることによって仲介者は不要となり、ユーザーの手数料負担などのコストは低下します。また分散化を通じ単一障害点や中央集権的なコントロールを排除することで、内部での改ざんおよび外部からの攻撃リスクを大幅に抑制することができます。このようにイーサリアム上に分散型アプリケーションを構築することによって、数多くのメリットを享受することができるのです。

 以下では、特に将来性があると期待されている分散型アプリケーションをいくつか紹介していきます。

 

イーサリアムを利用した分散型アプリケーション

「uPort」:身元確認(デジタルID)

 FacebookやTwitterではインターネット上で個人情報を作成できますが、登録された個人情報は中央集権機関によって管理されているため、ユーザーが自らの情報を完全に自分で管理しているとは言えません。イーサリアムを利用した分散型ID管理システム「uPort(ユーポート)」では、データを一括管理するサーバーが存在しないため、サーバーがシャットダウンすることはなく、あなたのデータがハッキングされたり改ざんされるリスクも大幅に削減されます。

「Filecoin」「Golem」:コンピューティングパワー/ストレージ

 分散型アプリケーションを使用することで、使われていないコンピューティングパワーやストレージを有効活用することができます。これはAirbnbで余っている部屋を貸し出すことと同じ考え方です。

 「Filecoin(ファイルコイン)」では、ユーザーが使っていないコンピュータストレージを他人に貸して収入を得ることができます。また同様に「Golem(ゴーレム)」では、ユーザーがコンピューティングパワーを貸し出すことができます。

 (「Golem」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。)

「Akasha」:ソーシャルメディア

 「Akasha(アカシャ)」は分散型ソーシャルメディアプラットフォームです。コンテンツを集中管理するサーバーが存在しないため、検閲などの形で第三者によってコンテンツをコントロールされることはありません。

 またイーサリアム上の分散型アプリケーションを構築するメリットの一つは、送金手数料が低くマイクロペイメント(少額決済)への応用がしやすいという点です。Akashaではコンテンツに対し報酬を受け取ることが可能であり、ユーザーは「いいね!」などのリアクションの代わりに少額のイーサリアムを送金することができるのです。

 (「Akasha」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。)

「SingularDTV」:権利管理

 分散型アプリケーションのもう一つの特徴は「透明性」が担保されている点です。「SingularDTV(S-DTV)」では、プロジェクトに関わるあらゆるステークホルダーに対し透明な収益配分を可能にする分散型権利管理プラットフォームを提供しています。全ての条件がコードに従って実行されるため、収益配分を行う中央管理者は不要であり、誰もが完全に規定の条件に従う形で報酬を得ることができます。

 (「SingularDTV」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。)

「Aragon」:管理会社

 新しい会社を立ち上げるときに問題となるのが、株式の割り当てと管理です。企業が成長しより多くの資金を調達するにつれて、やがては株式を発行し流通させる必要がありますが、時間や資金などの面で非常に大きいコストがかかります。「Aragon(アラゴン)」はこれらの問題を解決する、資本構成の管理と資金調達のための分散型プラットフォームです。

 

クラウドセールを通じ多額の資金調達を可能に

 そしてもう一つのイーサリアムの主なメリットは、クラウドセールを通じて世界中の投資家から資金調達を行うことができる点です。開発者がリスクの高いプロジェクトに取り組む際、クラウドセールによって資金調達を行うことで、参入障壁を下げることができます。実際にイーサリアムは、クラウドセールを通じて約1800万ドルもの資金調達を実現しています。

 またイーサリアムが2015年7月にローンチされて以降、上で紹介したプロジェクトをはじめとする多くの分散型アプリケーションが、クラウドセールを通じて前例のない規模の資金調達に成功しているのです。今後もイーサリアムのスマートコントラクトを利用したプロジェクトの行方から目が放せません。

 

関連記事

Akasha(アカシャ)

Golem(ゴーレム)

SingularDTV(S-DTV、シンギュラーDTV)

 

The original version: Linda Xie “A beginner’s guide to Ethereum” Feb 24, 2017

https://blog.coinbase.com/a-beginners-guide-to-ethereum-46dd486ceecf#.o1yvm5kef

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