2018-2019年度グローバル仮想通貨市場年間報告書 第六章

本文は、ChainDDとBlockchainBusinessCommunityが日本において、合同発表した文章です。
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連載:「2018-2019年グローバル仮想通貨市場年間報告書」

※第1回:2018-2019年グローバル仮想通貨市場年間報告書 第1章(上)

※第2回:2018-2019年グローバル仮想通貨市場年間報告書 第1章(下)

※第3回:2018-2019年グローバル仮想通貨市場年間報告書 第2章

※第4回:2018-2019年グローバル仮想通貨市場年間報告書 第3章

※第5回:2018-2019年グローバル仮想通貨市場年間報告書 第4章

※第6回:2018-2019年グローバル仮想通貨市場年間報告書 第5章

※第7回:2018-2019年グローバル仮想通貨市場年間報告書 第6章


2018年より、IT市場におけるバブルが消え、ブロックチェーン技術は高い注目を集めており、このブロックチェーン技術がIT業界に大きな変革をもたらすことは、多くの従業者が確信していることであった。2018年初頭にブロックチェーン技術が「オールイン(All in)」することを始めとして、技術上ではまだ完璧な解決案が出ていない状態で、話題となるブロックチェーンエコシステムも模索中の段階である。仮想通貨によって多大な利益が取得できる時期が終わり、ブロックチェーンの真の価値を考えることも必要であろう。

ブロックチェーン技術や仮想通貨において、2018年は非常に重要な一年であった。多数のユーザーがオールインから仮想通貨の低迷期に入り、ブロックチェーン技術は一時的な繁栄であったのか、もしくは新たなテクノロジーの発展時期であるのかどうかは未知数のままであり、その将来性に多くの従業者が注目している。

Chainddが管理するDDCIは、2018年においてグローバルなブロックチェーン技術が発展する現状やエコシステムについて整理・分析し、10個のキーワードを用いてこの一年間におけるブロックチェーン技術の発展を考察しながら、その将来性や発展の趨勢を判断する。

 

第6章 2018年ブロックチェーン業界のキーワード


その1:オールイン(All in)

2018年1月、Facebook の創立者マック・ザッカーバーグ氏は、年間目標として仮想通貨の基盤であるブロックチェーン技術を用いて、分散型のエンパワーメントを実施することを明らかにした。またこれと同時期に、Zhenfundの創立者Xu Xiaoping氏はCEO達に、内部管理システムにおける「ブロックチェーン技術のオールイン」を強く薦めていた。また、起業者達には自分自身の業務を推進するとともに、ブロックチェーン技術やICOへの理解を深め、ブロックチェーン時代突入への準備を勧めていた。これらにより、2018年のオールインへの盛況が始まることとなり、数多くの従業者が深夜までブロックチェーン技術について検討・議論していた。

ブロックチェーンや仮想通貨のコンセプトの情報の取り交わしは盛んになり、ブロックチェーンに関わるコンセプトが高く評価されていた。流通市場では、ブロックチェーンコンセプト株の株価が上昇し、アメリカ株のコダック社がブロックチェーン技術を利用して画像の著作権処理を行うことを宣言してからは、株価が119%上がっていた。

ブロックチェーンや仮想通貨は2018年に登場したわけではないが、それまで一般の人々の目に触れる機会が少なく、2018年以降に多くの人に知られる技術となった。DDCIがGoogle Trendを用いて整理した結果から、「blockchain」の検索数は2017年末から2018年始の間に急増し、「ブロックチェーン技術」がこの時期に多くの人に知られたことが分かる。

一方、Xu Xiaoping氏はブロックチェーンのオールインを薦めた後SNS上で「ブロックチェーン技術による技術革命が到来していたが、一時的なブームやバブルは必ず新たな技術とともに誕生する。最終的に勝ち残るのは確実に技術を提供し、価値ある創造をする個人もしくは企業である。ブロックチェーン時代では、技術が不確かである企業はIT業界のバブル時期と同様に失敗する。起業者や投資家はブロックチェーン技術を理解・利用する際に、真の価値を基本とする必要がある。」と発言していた。

その2:規制の遂行

2018年のグローバル仮想通貨市場の規制が厳しくなることは明らかであった。この2018年においてDDCIが224の国やエリアが執行する仮想通貨関連の規制について整理・分析を行った結果、以下の特徴が挙げられる。

① 規制が厳重となり、グローバル仮想通貨市場の正規化が進行している。規制の正規化の重要性が顕著となり、履歴、マネロン対策、納税、仮想通貨資産などの定義やそれに対応する法律の正規化が進んでいた。

② 規制は地域的特徴があり、欧米諸国に比べ、アジア諸国が仮想通貨に対してより一層慎重である。DDCIの統計データにより、仮想通貨取引が合法化された国やエリアの分布から見ると、北米と欧州がビットコインを受け入れる程度が最も高いエリアである。62の国やエリアの内、欧州が35と過半数を占めており、アジアが12で35%、米州が10で16.12%となっている。

③ 小規模国家では、規制を緩和し仮想通貨の合法化を試している。合法化となった国の中では、マルタ、モンゴル国、ベネズエラなどが活躍している。

 

その3:パブリックチェーン競争

2018年にパブリックチェーンが多く登場し、DDCIの統計データによると、2018年内市場価値Top30の仮想通貨におけるパブリックチェーンの比率は30%~40%程度であった。TRONやEOSなどのパブリックチェーンメインネットが上場し、Dappのエコシステムを設立する。同時に取引所もパブリックチェーン業界に参入し、BinanceとHuobiが自社のパブリックチェーンを運営することを公表した。

パブリックチェーン業界における問題はスケーラビリティや処理速度、スマート・コントラクトのバルネラビリティにある。また、パブリックチェーンの最終目的はDappの開発とそのエコシステムにある。現在、パブリックチェーンにはまだ技術上の問題が存在しているが、これから長い期間をかけ、基礎技術やパブリックチェーンのプラットフォームの開発に努めるべきであろう。今後のパブリックチェーンは現実的な商業運営に関わるDappのサポートに応用されるため、機能上のグレードアップが必要である。

その5:取引マイニング

2018年の仮想通貨市場における主流な取引所はBinance、Huobi、OKEXが挙げられるが、2018年5月に「Fcoin」が取引マイニングが可能な取引所の実施を公表した。Fcoinが発行するFcoin Tokenの価格は99.16倍となり、前述の取引マイニングの実施の公表から、取引量は一時的にTop1になっていた。

他の取引所も取引マイニングを導入した。CoinMarketCapのデータよりDDCIが統計を行い、FCoinが取引マイニングを運営した2か月後の7月における取引量のTop10には、Fcoin、CoinSuper、CoinBene、CoinExの4つの取引マイニングを運営する取引所がランクインされていた。

FCoinの目的は取引量ではなく、この技術によりユーザーを招くことを目標としていた。また、コストなしの仮想通貨より巨大な利益を取得する点では、ICOの機能と類似している。しかし、仮想通貨市場における変化は激しく、取引マイニングはすぐにユーザーたちに忘れられていき、2019年1月までにはFcoinの24時間の取引量は41位にまで下落した。

その6 トークンエコノミー改革

取引マイニングの時代が終わり、次にはトークンエコノミー改革の時期を迎えた。2018年7月5日、FCoinはホームページ上で、メインボードのアップグレードやトークンエコノミー改革のテストエリアの設立を公表した。このテストエリアとして「メインボードC」の建設を開始。その目的は、既に存在している商品または企業をトークン化し、トークンエコノミー改革や上場を導くことにあった。この後一か月間で、トークンエコノミー改革のテストエリアはその進捗状況を14回報告した。

また、同月18日にFcoinコミュニティはBizkeyがテストエリアの最初の公示プロジェクトになることを公表した。公示時間内で広く審査・評価され、投票の結果によりFcoinのメインボードCにBizkeyの加入を決めた。しかし、8月4日にQOSプロジェクトがFcoinのメインボードCで上場したことで、最初のプロジェクトはBizkeyではなくQOSになってしまい、QOS上場の翌日、BizkeyはFcoinのテストエリアから退出する意思を表明した。

このQOSの価格はしばらく上昇をみせるも、すぐに下落した。QOS/ETH取引ペアの価格は0.00005499から0.00000856まで下落し、低下率は84.43%に達した。上場から13日後の8月17日、FcoinはQOSの取引停止を実施。QOSが流通市場に出現した時間は極めて短いものであった。また、このことでプロジェクトの運営側はメディアからの質疑への回答を求められることとなる。

その7 ステーブルコイン

ステーブルコインとは、厳密に言えば仮想通貨ではなく、分散型システムに基づいて安定した価格を持つものである。現在、ステーブルコインは主に3種に分類されており、1.法定通貨担保型、2,仮想通貨担保型、3.無担保型、となっている。これらはアルゴリズムを用いているが、特に2の仮想通貨担保型に関してはこれが上手く機能していないのが実情である。または銀行家のアルゴリズムをベースとするステーブルコインがある。2018年におけるステーブルコイン市場の急成長には、以下の3つの特徴がある。

① 2018年後半:ステーブルコイン市場の急成長。

DDCIが2018年11月までに発行された59種のステーブルコインについて統計を行った。2018年以前に発行されたのは12種。その内5種(41.67%)が2014年に発行された。2018年1月から10月までの間には26種が発行。ここでは9月から10月にかけてが最も多く、9種(34.63%)が発行されている。2019年以降、発行予定の仮想通貨は21種だと予想されている。

② 法定通貨担保型が主流

現在、法定通貨担保型のステーブルコインは最も多く22種あり、全体の37.29%を占めている。その内米ドル担保は約半数の10種、ユーロ担保が5種となっている。また、仮想通貨担保型は全体の33.90%(20種)、無担保型は27.12%(16種)、となっており、残り1種はまだ知られていない状態である。

2018年に発行されたステーブルコインでは、GUSDとPAXが最も注目されている。同年9月10日に、DFSが仮想通貨取引所Geminiとフィンテック企業Paxos Trustの米ドルベースの仮想通貨、いわゆるステーブルコインの発行を許可した。ここでは政府が監督を務め、GUSDとPaxos Trustには定期的な報告義務があるため、正規性、透明性やリスクマネジメントに優れている。また、グローバルな規制形勢から見ると、GUSDとPAXは仮想通貨市場と伝統的な金融市場の競合による商品と言え、今後のステーブルコイン発展の試行作だと考えられる。

③ ETHのスマート・コントラクトを基盤とする

現在発行されている59種類のステーブルコインにおいて、ETHのスマート・コントラクトをベースとするステーブルコインは32種あり、全体の54.24%を占めている。他にはOmni Layer、NEO、BitShares、Rootstock、KOWALA、EOS、Stellar、Dashと、未公開のスマート・コントラクトも使用されている。

その8:STO

ステーブルコインに続いて、仮想通貨もデジタル化を試行していた。2018年10月14日に、アメリカのセキュリティ取引所Nasdaqはトークン化セキュリティプラットフォームの設立を考案し、このプラットフォームはSTOと呼ばれる安全性が高いトークン取引を新たな集金方式として提供した。STOはSecurity token offeringsの略であり、Security Token(ST)は従来の証券や株式、セキュリティと類似しているが、ここにトークンの特徴が追加されたものである。

その9:BCHハードフォーク

2018年8月8日、BitcoinABCが同年11月15日までに、BCHをVer.0.18にアップグレードすることを公表した。その目的は、容量の拡大及びスマート・コントラクトのパブリックチェーンへの転換であった。しかしこの一週間後に、nChain社はBitcoinSVプロトコルの開発を公表し、ABCのアップグレードへの明らかな反対意思を表明した。このプロトコルには①ブロック容量の128Mまでの拡大 ②初期バージョンで使用禁止にされたコードのリカバリー の2点のアップグレードが含まれていた。

その後11月16日午前1時52分に、BSVがsvpoolから3つのブロックをマイニングし、ハッシュレートの競争が始まった。BCHパブリックチェーンのプロトコルアップグレードが開始され、BitcoinABCとBitcoinSVに完全に分裂した。

2018年12月31日までに、BCH ABC/USDTの取引ペアは160.34、BCH SV/USDTの取引ペアは88.75であり、BCH SVの市場価値はTop10にランクインした。

その10 低迷期

2019年1月1日、韓国の仮想通貨市場は既に低迷期に入っていると報道され、マイニングプールが稼動停止し投資家も退場した。ウォンによる取引量の比率は5.8%まで下落し、これは2017年同時期の半分以下である。韓国市場の割増率も2018年始の40%より1%まで減少した。

韓国だけでなく、2018年内で仮想通貨市場価値は7276億ドル下落し、2017年末に比べると87.76%の低下を見せ、これまでのブームが終焉を迎え、仮想通貨やブロックチェーン業界の低迷期の到来が明らかとなった。DDCIの分析から、今回の低迷期の原因は以下の3点であるとされている。

① ブーム後の周期性規律

すべての投資市場においてブル・マーケットとベア・マーケットのサイクルは避けられないものである。2018年1月7日に、BTC価格は年間最高値の17527ドルになり、そのインフレ率は18倍であった。ピーク後の価格下落は普通で、バブルも徐々に消えていくものであり、その周期に入っている。

② 基礎技術の発展と仮想通貨市場価値高騰の開き

イーサリアムのスマート・コントラクトをベースとしてICOを行なったことが2017年から続いた相場高揚の主因だと考えられる。多数のプロジェクトがICOによって融資を行い、ブロックチェーンのオールインの話題性などから、大量の投資家が参入したことにより、仮想通貨市場価値が爆発的に増長することとなった。しかし、スマート・コントラクトやICOの技術基盤であるパブリックチェーンの開発は中々進歩せず、未解決の問題はまだ残っている状態である。

仮想通貨市場価値の増長速度が技術開発のペースより遥かに速かった為大量のバブルが生み出された。また現在の技術でもそのバブルをサポートすることは難しく、価格が技術に見合った数値まで下落するのも当然であろう。

③ 規制の厳格化

2018年の仮想通貨市場において、規制強化や正規化が進んでいた。仮想通貨の合法性が認められた日本やアメリカでも、仮想通貨やその関連商品に関する政策に慎重に対応している。規制の厳格化も市場価格の下落の原因となる。

 

このDDCIによる低迷期の成因の分析では、この度の市場価値の下落は周期性規律の範囲内であると判断できる。前回の高騰後の下落は2014年に発生し、2017年に再び急上昇したことから、次回のブームは周期性規律から予測すると、2020年5月にあるビットコインマイニングの半減を契機として、2021年あたりで迎えると予想している。また、この予測は技術の発展にも基づいている。2017年のブームはイーサリアムやスマート・コントラクトの出現により、ブロックチェーン技術や仮想通貨が改めて認識された為おこった。前述の2021年の市場価値上昇の前提は、今後パブリックチェーン技術がアップグレードされることにあり、実体経済と商業シナリオの結合による生産力やその関係性の効率向上を目指し、実際に商業運営が駆動できる技術として最も将来性があると考えられる。


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