インドの保険業界13社が分散型台帳導入に向けて企業連合を形成

 

2017年8月、インドに拠点をおく13の保険会社が企業連合を組み、連合内で分散型台帳を用い、顧客管理の効率化を進めることを発表しました。分散型台帳上で顧客情報を共有することで、ユーザー側が新規契約を結ぶ際に重複する個人情報登録手続きなどを省略することが可能になるため、利便性の向上が見込まれているようです。

ユーザーにとって、乗り換えコストが最小限に

発表に際し、HDFC Life Insurance社の副代表を務めるAkshay Dhanak氏は「これまでのように各社がそれぞれのシステム上でデータの保管やテストを行う場合に比べて、ブロックチェーン上で同一の情報を会社を跨いで1か所にまとめることができれば、はるかに少ないコストでシステムを維持できる」と述べました。

今まではユーザーが保険商品を契約するたびに、KYC(know your customer)と呼ばれる本人確認作業が必須でした。また、保険商品によっては医療機関による診断書、給与明細書など、数種類の書類を用意する必要がありました。しかし、これらの作業はユーザーにとって負担が大きいだけでなく、重要な個人情報の移動に伴う書類の紛失など、重大なリスクも懸念されます。また、契約を他社に乗り換える場合は同様の手続きをもう一度行う必要があったため、ユーザーにとって保険契約の乗り換えのために多大なコストが発生していました。しかし企業連合内で分散型台帳を用いれば、これらの書類を一度提出するだけで、ユーザーは連合内の保険商品であれば気軽に購入できるようになります。

Fintechとブロックチェーンの今後

PwCのGlobal Fintech Report 2017によると、2020年までに決済、送金、デジタルID認証といった用途に用いるため、fintech(フィンテック)に携わる事業者のうちおよそ77%が何らかの形でブロックチェーンを活用することになるだろう、と予想しています。

IndiaFirst Life InsuranceのMohit Rochlani氏は、顧客情報の共有実現のために、連合内で足並みを揃えて、今後協調的にブロックチェーンの導入されていく展望ついて述べました。顧客情報の共有に関して、まだ法的な課題を乗り越える必要があるとしつつも、その先の未来にて実現する大幅なコスト削減と効率向上に期待感を示しました。

今回の13社が共同して分散型台帳を導入する計画は、国際的に活動するコンサルティングファームであるEY社が中心となって複数の外部テクノロジーパートナーと共に進めているようです。EY社のSachin Seth氏は、EY社がHyper Ledger、MultiChain、Cordaといった複数のプラットフォームとのパートナーシップを持っていることを述べた上で、保険業界のビジネス運用において、処理可能なトランザクション量や相互運用性などの点で最適な特徴をもつプラットフォームを模索していくことを示唆しています。

保険詐欺の検知にも使えるブロックチェーン

今回の発表で、13社による企業連合は「顧客データベースの共有による透明性向上と手続きコストの大幅な削減は、企業にとって、また顧客にとってもメリットのある仕組みである」と述べています。IDBI Federal Life InsuranceのPankaj Pandey氏は、「インド国内の保険会社は小規模のものが多い。ブロックチェーンの活用に関する業界基準が乱立してしまう前に、我々の連合に加わってもらえることを望んでいる。また、我々のブロックチェーンプラットフォームにアクセスできれば、保険詐欺を効率的に検知し、被害を未然に防ぐことができるだろう」と述べました。

保険業界におけるブロックチェーンのユースケースは今後ますます登場してくるものと思われます。分散型台帳技術だけでなく、スマートコントラクトの活用方法にも今後注目です。

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BBC編集部
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