
2017年11月28日、IoTに特化した暗号通貨(仮想通貨)を提供するIOTA(アイオータ)プロジェクトが、世界有数のグローバル企業であるCisco Systems社、Volkswagen AG社、Samsung Group社を筆頭とする、複数の企業とパートナーシップを締結したことを発表しました。発表に際し、IOTAの共同創業者のひとりであるDavid Sønstebø氏は、今後これらの企業と協力し、安全なデータ市場を構築していく狙いについて述べました。
IOTA上で分散型データ販売市場を確立へ
このプロジェクトでは、企業間でデータが売買できる市場を設立することを目指しているとのことです。IOTAによると、現在世界では一日あたり2.5京バイトものデータが生成されており、その量は毎月指数的な増加曲線を描いているとのことです。しかし、これらのデータはセキュリティが整っていないがために、99%が利用されていないという現状があるそうです。
Sønstebø氏は、
「いかなるデータにも金銭的価値がある。例えば、あなたが個人で気象観測器を保有しており、風速、気温、湿度、その他気象データを収集したとすれば、それらのデータは気象調査を行っている団体に販売することができる。私たちが目標としているのは、多様でオープンなデータ市場の確立である。それによって、企業や個人間でデータの流れが発生するようなインセンティブが生まれると考えている。」
と述べました。
BBC編集部では、過去にIOTAの創業メンバーのひとりであるDominik Schiener氏に独占インタビューを行っています。IOTAプロジェクトの目指す先について、詳しく述べています。ブロックチェーンとIOTAプロトコルの違いなどについては、こちらの記事にてご確認ください。
インタビュー記事はこちら 【IOTA創業メンバーDominik Schiener氏 BBC独占インタビュー】前編
国家・大企業とプロジェクトを進めるIOTA
データは、IOTAの分散型台帳に記録されたと同時に、ブロックチェーンネットワークに接続している無数のノードに分配され、第3者による改ざんが不可能な状態になります。こうして安全性が確立した状態で、自由にデータを売買できる状態を実現することを目指しているようです。今回、IOTAとパートナーシップを結んだ企業は、今後それぞれの業界内においてデータを供給する役割を果たしていくようです。
ブロックチェーンの抱える課題でもある、スケーラビリティや取引手数料の問題を乗り越えると期待されているIOTAですが、IoTの機器間でのデータのやりとりなどで、今後活躍する機会が増えていくと期待されます。引き続き、IOTAの動向に注目です。