ゼロ知識証明とは?ZCash、Ethereumの基盤技術:情報の中身を相手に知らせずに、正しい情報を知っていることを伝える方法

2017年12月13日 BBC編集部 0

ゼロ知識証明とは? 近年、暗号通貨(仮想通貨)コミュニティの間で話題になっている「ゼロ知識証明」、またの名を「Zk-Snark」と呼ばれる技術について紹介していきます。ゼロ知識証明とは、ある人(証明者)が別のある人(承認者)に対して、与えられた情報が「真実である」ということ以外の情報を相手に与えずに、その情報が実際に「真実」であることを証明する手法のことです。 例えば、こちらの実験について考えてみてください。仮に、ここに色を判別することができない「色盲」の方がいらっしゃったとしましょう。そして、ここにそれぞれ色の違う2つのボールがあるとします。 あなたの目にはこの2つが違うボールであると区別することができますが、色盲の方には、2つのボールがまったく同じものに見えていると仮定します。さて、ここで問題です。あなたはこの色盲の方に対して、2つのボールが異なるものであることを証明することになりました。どっちがどのボールであるか、またそれぞれのボールがどの色なのかという情報を、相手に一切与えずに、自分が「2つのボールを見分けることができる(=正しい情報を持っている)」ことを、色盲の方に証明するにはどうすればよいでしょうか?   ここで、ゼロ知識証明の出番です。あなたは下記のような実験をします。 まずはじめに、色盲の方がボールを両手にひとつずつ取り、背中に手を回して隠します。次に、色盲の方が片方のボールをとりだし、あなたに見せます。そして、もう一度ボールを背中に隠したあと、また2つのうちひとつのボールをあなたに見せて、最初に見せたボールと同じものであるか、異なるものであるかを尋ねてきます。色盲の方はボールの色の情報については知りませんが、自分が今どっちのボールを相手に見せているかについて、把握しています。この試行を数回繰り返して、1回目にみせたボールと2回目にみせたボールが、すり替わったかどうかについて答え続けることになります。ここで、色盲の方があなたにどちらのボールをみせるかについては、50%の確率で固定されているものとします。 あなたはボールの色をみることで、ボールがすり替わったかどうかについて「YES/NO」で確実に答えることができます。しかし、2つのボールの区別がつけられない状態でこの試行に挑戦すると、正答率は50%に収束していきます。 すなわち、この試行を何度か繰り返して試行に対する正答率をみることで、あなたが正しい知識を持っているかどうか(本当にボールの区別がつくのかどうか)がわかります。例えばこの正答率50%の試行を10連続でクリアできる確率は1/1024なので、ある程度試行回数を重ねることで、本当に知識を持っているのかどうかについて、知識そのものの情報を相手に知らせずに証明することができます。ゼロ知識証明も、これとまったく同じような仕組みを用いて、相手に情報の中身を一切知らせずに、自分が知っている情報が正しいことを相手に証明します。 情報の中身について公開せずに、知っていることを伝える 今回話題になっている、暗号通貨領域におけるゼロ知識証明では、このボールの色ではなく、ランダムな文字列である「ハッシュ」という情報を用います。証明者(ボールの判別をする人)は、承認者(色盲の人)に対して、試行を通して実際のハッシュの値を公開することなく、ハッシュに関する知識の証明をします。ある規則を用いて元のハッシュを別の値に変換し、「ハッシュ変更の規則は?」「ハッシュ変更後の値は?」という2つの問いかけのうちひとつを証明者に対して問いかけます。(2つとも問いかけると、元の値が明らかになってしまうため、問いかけられるのは片方のみです。)元のハッシュの値を知っていれば、確実に正解を出せるため、同じように試行を繰り返して、本当に正しい知識を保有しているのかどうか、判別していきます。 なぜ現在、このゼロ知識証明のことが話題になっているのでしょうか?暗号通貨のどの領域にこの技術を用いることができるのでしょうか? zk-SNARKとは? 流通量が8億4000万ドル以上もの流通量を誇る暗号通貨であるZCash(ジーキャッシュ、ZEC)は、このゼロ知識証明という技術によって支えられています。ZCashは、ゼロ知識証明を用いることで、トランザクションの完全なプライバシー(匿名性)を実現した世界初のパーミッションレス型の暗号通貨です。ZCashは、シールド(アドレスの匿名化)をネットワークのうちの広範囲に適用することで、攻撃者にとって目当てのトランザクションを掘り当てるコストを大幅に増大させています。これによって攻撃をするインセンティブを削ぐことで、ネットワークの安全性を保つ試みをしています。 ZCashは、ZCashが開発した「zk-SNARK」と呼ばれるゼロ知識証明技術によって支えられています。ZCashは、このzk-SNARKsを用いて、トランザクションのアドレスや送金額といったプライバシーにかかわる重要な情報を隠したまま、トランザクションの正当性を証明することができます。 ZCashは、匿名トランザクションの送り主が、トランザクションの正当性についての試行をクリアすることでネットワークの安全性が担保されています。 ・各匿名トランザクションの、アウトプット値とインプット値の総和が算出されます。 ・送り主は、インプット値のプライベートキーを持っていることを証明することで、トランザクションを使用する権利を入手します。 ・インプットノートのプライベート使用キーは、トランザクション全体の署名と暗号で結びつけられます。このようにして、トランザクションがこのプライベートキーを知らない人によって改ざんされる恐れをなくします。 ZCASHは、①一般アドレスから一般アドレスに送るパブリックトランザクション(一般アドレスは情報が匿名かされていないので、トランザクションの内容が完全に公開されている)、②一般アドレスから匿名アドレスへのトランザクション、③匿名アドレスから一般アドレスへのトランザクション、④匿名アドレスから匿名アドレスへのトランザクション(完全非公開のトランザクション)、の4つの使用パターンにわかれます。このように、プライバシーを保つ技術が確立している点で素晴らしい一方で、マネーロンダリングといった用途に使われることも懸念されています。ビットコインと違い、ZCashでは誰がどんな取引をしたのか特定することはできません。   イーサリアムに導入されたzk-SNARK 最近行われたEthereum(イーサリアム)のByzantiumアップグレードによって、イーサリアムにこのzk-SNARKsの機能が追加されたことで話題になりました。イーサリアムのスマートコントラクトに、この承認アルゴリズムの技術基盤が組み込まれました。イーサリアム上でzk-SNARKsを用いることで、トランザクションのアドレスや送金額といったプライバシーに関わる情報を隠したまま、トークンを送金することができるようになりました。 2017年11月に行われたDevCon3という開発者向けのカンファレンスで、The Open […]

ロシア観光庁長官がブロックチェーンの旅行産業へのインパクトについて言及

2017年11月9日 BBC編集部 0

  ロシアの観光庁長官のOleg Safanov氏は、ブロックチェーンがロシアの観光業界を塗り替える可能性について言及しました。ブロックチェーンのような新しいテクノロジーによって、産業全体が塗り替えられる直前であることについても述べています。 長期的インパクトに注目が集まる 2017年11月初頭に、ロシア連邦内タタール共和国の首都カザンにて行われた、カザン・ツーリズムフォーラム2017冒頭のスピーチにて、Safanov氏はブロックチェーンが観光客に提供されるサービスの品質を向上させる可能性について述べました。ブロックチェーンによって、中間業者や第三者機関を経由せずに、観光客が直接サービス提供者とやりとりできる可能性について述べました。 「観光庁内部では、ブロックチェーンがツーリズム市場に大きな変化を起こすことは間違いない、と考えている。ただし、この変化は2年以内ではなく、5年から10年といった(比較的長期な)タイムスパンで起こるだろう。ブロックチェーンによって、サービスの質が向上すると同時にコストも低下し、かつサービス提供者に求められる責任も向上するだろう。」 とコメントしています。 文化的背景からくるサービス品質への懸念? ロシアには年間2500万人ほどの観光客が訪れている一方で、スペインやトルコ、エジプトといった観光大国の国々がライバルとして立ちはだかっています。ロシアでは見知らぬ人に対してはあまり笑顔をみせず、不愛想な対応をすることが文化的習慣として根付いており、海外の観光客からはサービス品質が低いと誤認されている可能性があります。ブロックチェーンを通じてよりサービス提供者はより直接的に観光客相手にビジネスを展開することになると同時に、国際的な競争環境に身を置くことになります。ブロックチェーンによって、今後ロシアはより観光客にフレンドリーなスタイルに変化していくかもしれません。 観光産業における中間事業者を迂回する手法については、先日のルフトハンザ航空の投資先企業である、スイスのスタートアップ Winding Tree社のことが思い浮かぶ方がいらっしゃるかもしれません。オンライントラベル産業が急成長を遂げたこの10年ですが、ブロックチェーンによってまだまだ環境が変化する可能性があります。 Winding Tree社についてはこちらから ルフトハンザ航空がスイスのブロックチェーン企業と提携、ICOへ   ロシア政府トップは現在、暗号通貨(仮想通貨)への慎重な態度を示しています。2017年10月28日には、プーチン大統領とメドヴェージェフ首相は議会に対して、国内のマイニング事業者を登録制に変更するように議論を進めている他、「ルーブルが国内唯一の通貨である」とする法律の解釈の変更についても議論を進めているようです。ロシア政府は、ICOを法の下に置きたいという狙いがある一方で、国家暗号通貨である「クリプトルーブル」の発行を目指していると報道しているメディアもあり、議会の結論が出る2018年7月頃までに様々な議論が起こりそうです。 規制か、援護か このように暗号通貨に対しては厳しい姿勢をみせているロシアですが、国有銀行であるSberbankの金融インフラシステムにEthereum(イーサリアム)を組み込む実験を計画するなど、ブロックチェーン技術そのものには前向きな姿勢で取り組んでいることが伺えます。2017年10月、ロシア政府は2018年初頭に、土地登記のシステムにブロックチェーンを組み込むパイロットテストを行うことを発表しています。当時の経済産業省の提示した草案資料によると、ブロックチェーンを用いて国有の土地情報登録システム内の情報へのアクセシビリティを向上させることと、土地の所有権を明白にする目的で利用を計画しているようです。 引き続き、規制情報も含め、ロシアのブロックチェーン産業の動向に注目です。

ブロックチェーンで変わる?結婚のアレコレ

2017年11月6日 BBC編集部 0

  スマートコントラクトの登場によって、ブロックチェーンはより日常的な場面でも簡単に利用することができるようになりました。スマートコントラクトに署名をすると、契約内容はブロックチェーン上に半永久的に、ハッキングされない安全な形で格納されます。このブロックチェーンとスマートコントラクトの性質を生かしたビジネスが、「結婚」に関する領域で新たに誕生しています。 婚姻届けをブロックチェーン上に? 2014年10月5日、人類史上初めて、婚姻記録がパブリックブロックチェーン上に記録されました。David MondrusさんとJoyce Bayotookさんの結婚式は、フロリダ州オーランドのディズニーワールド内で開催された、プライベート・ビットコインカンファレンスで執り行われました。ふたりはQRコードをスキャンして承認ボタンを押すことでスマートコントラクトを締結し、婚姻関係を結びました。婚姻情報は、ビットコインブロックチェーン上にただちに記録されました。ふたりは婚姻に際し、 「命は有限であり、死がふたりを分かつことがあるかもしれない。しかし、ブロックチェーンは永遠である。」 とコメントを寄せています。 他にブロックチェーンに記録された結婚記録の例としては、ビットコイン活動家であるOles Slobodenyukさんと、Irina Dkhnovskayaさんの夫妻が挙げられます。2016年7月17日に結婚したふたりは、披露宴にてWeddingbook.ioというブロックチェーンプラットフォーム上で結婚証明書を発行しました。Weddingbook.ioは、Cryptograffitiというウェブサービスを用いて婚姻情報を登録しています。Cryptograffitiは、オンラインインタフェースを用いることで、ビットコインブロックチェーン上に秘密のメッセージを記録することができるサービスです。結婚証明書だけに留まらず、結婚の証人一覧や結婚の誓いをブロックチェーン上に半永久的に保管することができます。 イーサリアムブロックチェーンで結婚 すべての結婚がめでたく「成功」に終わるとは限りませんが、開発者たちは、年々ブロックチェーン上に婚姻情報を保管したい、という要望が増加している手ごたえを感じているそうです。いくつかのブロックチェーン結婚プラットフォームでは、ふたりの婚姻情報だけではなく、家族情報の登録も行っている、とのことです。IT開発者のGaurang TorvekarさんとSayalee Kaluskarさんは、2016年のイーサリアムブロックチェーン上で初めて婚姻を結びました。夫妻は、婚姻契約書のテンプレートをクラウドファイル管理システムからダウンロードし、Ethereum(イーサリアム)ベースのAttoresプラットフォーム上で電子署名をし、結婚しました。 Prenup With Loveというイーサリアムブロックチェーンベースのサービスは、同棲前の婚前契約情報を保管することができます。婚前契約の内容は多岐に渡り、例えば買い出しの頻度、家事の分配、最低限デートに割く時間、ふたりで見るドラマ番組などがあります。婚前契約は、ふたりがそれぞれのIPアドレスから、暗号化されたメッセージを送信することで締結され、スマートコントラクトに反映されます。これらのコードは公開されているため、新婚のカップルが気軽に利用することができます。しかし現時点では、これらの婚前契約に法的拘束力はないと考えられています。夫妻は、ふたりの決断について、下記のように述べています。 「ブロックチェーンのもつ無限の可能性を、私たちは家族問題の解決につかうことにしました。婚姻をブロックチェーン上で結ぶことは、賢い選択だと思っています。」 離婚をブロックチェーンにどう組み込むか そしてさらに、2017年10月、ロシアで初となるブロックチェーンサービスを利用した結婚が行われたそうです。Vasily LifanovskyさんとAlla Tkachenkoさん夫妻は、夫婦の暗号貯蓄資産をひとつの家族資産に統合しました。この手続きは、結婚状態を含めた様々なライフステージに応じた暗号資産管理を提供する、MyWishというサービスプラットフォーム上で行われたそうです。 MyWishは、思想や実装の面で、先ほどのPrenup With […]

ルフトハンザ航空がスイスのブロックチェーン企業と提携、ICOへ

2017年10月31日 BBC編集部 0

  2017年10月10日、ドイツの拠点を置く大手航空会社ルフトハンザ航空が、スイスの旅行プラットフォームアプリを提供するブロックチェーン企業と提携することを発表しました。イーサリアムの技術を旅行業界に導入し、分散化を推し進めていくようです。 分散型航空券市場を提供するWinding Tree社 ルフトハンザグループは、スイスのブロックチェーンスタートアップであるWinding Tree社とパートナーシップを結ぶことを発表しました。Winding Tree社は、B2Bの分散型パブリックブロックチェーン上で、航空券の販売市場サービスを提供していることで知られています。今回の発表によると、今後ルフトハンザ航空のAPIを、Winding Tree社のパブリック・イーサリアムブロックチェーンと統合していくそうです。 Winding Tree社の航空券市場を用いることで、ユーザーはExpediaやBooking.comのような、OTA(オンライントラベルエージェンシー)と呼ばれる中間業者を経由せずに、より安く効率的に航空券を購入することができるようになります。一方、航空会社側(ルフトハンザ航空)にとっても、中間業者を迂回して直接顧客に航空券が販売できるだけでなく、各取引にかかる手数料も大幅に低下するため、メリットがある仕組みとなっています。 ルフトハンザの目線の先 ルフトハンザ航空は、「この先、ホテルや航空会社、その他旅行産業に携わっているプレイヤーは、Winding Tree社のプラットフォームの上でサービスを展開することになるでしょう。そして、ユーザーに対してコンテンツ(旅行商品)を提供することに特化したプレイヤーは、今後、ブロックチェーン上のB2Bの分散型取引市場にて流通しているなかから、ユーザーの希望に沿ったコンテンツを探し出すことになるでしょう。」と述べており、今後OTAが旅行商品を調達する先として、分散型市場が台頭してくる可能性について示唆しています。今後は実際の導入テスト開始に向けて、ルフトハンザ航空の提示する要件に合わせて、Winding Tree社がサービスを開発していくとのことです。 ブロックチェーンによって塗り替えられる旅行業界 Winding Tree社は、2017年11月1日から11月8日まで、同社の発行するLIF(リフ)トークンのICOを行うことを発表しており、ICO期間中に調達した資金はプラットフォームの開発費用として利用されるそうです。ルフトハンザ航空が投資している額については公表されていませんが、他の航空会社からも高い注目を集めているようです。 今回のルフトハンザ航空の発表は、ドイツ発の世界最大手旅行会社、TUI(Touristik Union International)を後追いした形になります。TUI社は2017年8月に、「Bed Swap」という独自のプライベートブロックチェーン計画を発表しています。TUI社の「Bed Swap」構想では、ブロックチェーン上でTUI社の抱えているホテルの空き部屋在庫情報を、スマートコントラクトを用いて管理する社内運用システムの実現を目指しているようです。 2000年代に入り、オンライン化の波が押し寄せていた旅行業界でしたが、ここにブロックチェーンの波が加わることによって、更に業界構造に変化が起こりそうです。引き続き、ドイツの旅行業界を支える巨人と、日本の旅行業界の動向にも注目です。

イーサリアムのByzantiumハードフォークが完了

2017年10月17日 BBC編集部 0

2017年10月16日05:22 UTC(協定世界時)、Ethereum(イーサリアム)のアップデートが、公式に完了しました。イーサリアムネットワークにとって、通算で5度目のハードフォークとなります。 Constantinopleハードフォークは2018年中に実行か 2015年に発表されたイーサリアムプロジェクトの開発ロードマップで名付けられていた通り、Frontier、Homesteadバージョンに続く3番目のバージョンであるMetropolisバージョンへのアップデートが完了しました。Metropolisバージョンは、最小限の変更に留まるマイナーアップデートであるByzantiumハードフォークとさらなる変更が加えられるConstantinopleハードフォークの2段階のアップデートを予定しており、今回はByzantiumハードフォークが実行された形となります。なお、Constantinopleハードフォークの実行日時については未だ詳細な発表はなされていませんが、2018年中に行われるものとみられています。今回、Byzantiumハードフォーク実行直前にプログラムにバグが発見されたものの、イーサリアムコミュニティのエンジニアたちにより、無事にバグを回避することができた、とのことです。 イーサリアムMetropolisバージョンの詳細や変更点はこちら http://businessblockchain.org/ethereum_metropolis_update 利便性が増していくスマートコントラクト 近年のICOにERC-20トークンが用いられるようになってから注目度が急上昇していたイーサリアムですが、今後スマートコントラクトの利用場面において、さらに利便性が向上していくものと思われます。引き続きイーサリアムの動向に注目です。

業界内パワーバランスの分散化を進めるブロックチェーンスタートアップ3社

2017年10月16日 BBC編集部 0

  今回はブロックチェーンビジネスを展開している3つのスタートアップ企業について紹介していきます。これらはそれぞれ金融業界や広告業界の既存の構造にブロックチェーンでアプローチしており、今後業界内でパワーバランスの集中構造が崩れ、分散化が進んでいく可能性があります。大まかではありますが、彼らが取り組んでいる業界内の課題とともに、概要を紹介して参ります。 Wish Finance社 中小企業向けローンの契約は、その作業に時間がとてつもなくかかる上に、借り手にとっては極めて制約された選択肢しか提供されていないように感じられるそうです。 Eugene Green(ユージーン・グリーン)氏によって設立されたWish Finance(ウィッシュ・ファイナンス)社は、中小企業のローンオプションを、ブロックチェーン上で提供することに重点を置いています。中小企業は、予測モデルや資産ではなく、会社の実際のキャッシュフローに基づく金利でWish Finance社を通じて融資を受けることができるようになります。 Wish Finance社は、Point of Sales(POS)というローン返済用に開発された分散型ソリューションをベースにビジネスを展開しています。融資を受けた中小企業は、各取引を行う際に、ブロックチェーン上のPOSを経由します。 ここでPOSを経由する際に、あらかじめ設定された数%の金額がWish Finance社に返還されることにより、中小企業はローンを返済することができます。ブロックチェーン上で取引が透明化されることにより、貸し手と借り手双方にとって信頼性を築きやすくなりました。   BitClave社 ブロックチェーンと暗号通貨(仮想通貨)に対して最も期待を寄せられている役割のひとつとして挙げられるのが、「市場における中央集権構造を破壊し、分散化を推し進めること」です。BitClave社はまさにその役割を果たそうとしている一例として挙げられるでしょう。現在個人が利用する検索エンジンとしては、GoogleやFacebookが有名です。しかし、ユーザーは検索をすると同時に多くの情報を引き換えにして、広告ネットワークのなかに飛び込まされることになります。BitClave社は、個人が自身のデータの主導権をGoogleやFacebookに奪われることなく、自分の意志に基づいて管理できる世界を実現しようとしています。 BitClaveについては下記記事にまとまっているので、ぜひご覧ください。 広告配信の分散化を進めるBitClaveプロジェクト http://businessblockchain.org/bitclave_project_basetechnology Ripio Credit Network社 現在世界中の起業家たちは、fintechにブロックチェーンが活用できる可能性に魅了されています。私たちが今利用できる金融サービスは、すべてがあらゆる制約の支配下にあり、法律に固められています。しかし、Ripio […]

チューリッヒ大学とProcivis社がブロックチェーンベースの電子投票システムを開発へ

2017年10月11日 BBC編集部 0

  スイスのe-government計画を推進しているスタートアップのProcivis社と、チューリッヒ大学の情報科学部のCSG(Communication Systems Group)は、電子投票ソリューションを開発するための計画を発表しました。現在計画中のプラットフォームでは、有権者情報の提供から結果の評価まで、投票プロセス全体を電子的かつシームレスに取り扱うことを目指しています。Procivis社は、ブロックチェーンの起業家Daniel Gasteiger氏によって2016年秋に設立されたスイスのベンチャー企業です。同社は、社会のデジタル化と世界中のオンライン公共サービスの提供を可能にする「サービスとしての電子政府」プラットフォームを提供しています。 e-Votingで変わる投票のありかた 今回のプロジェクトは、Burkhard Stiller教授率いるProcivis社とCSGのチームにThomas Bocek博士による技術関連のバックアップサポートが入るかたちとなるそうです。Stiller博士とBocek博士は、ともにチューリッヒ大学に在籍しています。このチームのプロジェクトは、安全に電子投票を行うための投票サービスの実現を目指しています。本投票プラットフォームでは、例えば有権者に投票先候補に関する情報を提供する機能のように実際に有権者が投票を行う前のフェーズをサポートする機能から、投票数カウントと分析など、投票後のフェーズをサポートする機能まで備えるとのことです。開発後は、チューリッヒ大学内部で行われる選挙において、電子投票プラットフォームがテスト導入されることが検討されています。 このプロジェクトでは、Ethereum(イーサリアム)ブロックチェーンを用いることで、安全性を確保するそうです。プラットフォームが完成したあとについては、選挙の透明性を保ちつつ、公平性を確保する目的でオープンソースライセンスの下で公開されていく予定です。また有権者の登録については、電子アイデンティティの発行と管理を可能にするProcivis社の「eID +」プラットフォームが用いられるとのことです。 産学共同で進められるブロックチェーンプロジェクト Procivis創設者兼CEOのDaniel Gasteiger氏は、「電子投票システムは、電子ガバナンスの実現を支える中核要素です。スイス連邦議会は、電子投票システムの導入に向けた明確なスケジュールを発表しました。それ以来、我々はチューリッヒ大学と協力して、電子投票ソリューションの開発に貢献してきました。」と述べています。また、チューリッヒ大学CSGの 「P2Pと分散システム」の責任者で、大学側のプロジェクトを担当しているThomas Bocek博士は「ブロックチェーン技術に基づく電子投票は、投票の透明性を高めると同時に、技術的にも非常に挑戦的な内容となっています。これは非常に興味深い分野です。我々はこのエキサイティングなプロジェクトに携われることを楽しみにしています。」と述べています。プロジェクトのさらなる発展を目指して、Procivis社とチューリッヒ大学は、スイス内外にある学術機関や企業が今後さらに活動の輪に加わってくることを期待しているそうです。今後も産学共同で進められるブロックチェーンプロジェクトへの注目は高まっていくでしょう。    

イーサリアムがハードフォーク、Metropolisバージョンへ

2017年10月6日 BBC編集部 0

Ethreum(イーサリアム)が、現行のHomestead(ホームステッド)からMetropolis(メトロポリス)バージョンにアップデートされるにあたり、ハードフォークが実行されることが決まりました。アップデート前後でどのように変わるのかについて、見ていきたいと思います。 PoS導入は見送り まずはじめに一番注目されていたProof of Stakeの導入についてですが、イーサリアムコミュニティ内でコンセンサスをとった結果、次回の「Serenity」バージョンまで持ち越されるようです。 今回のMetropolisアップデートに伴うByzantineハードフォークにより分岐し、Byzantineが今後のメインチェーンとして機能する見込みです。また、Metropolisアップデートには2段階目のハードフォークであるConstantinopleハードフォークも計画されているものの、こちらについては内容、日時など詳細については現時点では不明です。Byzantineハードフォークは、4,370,000番目のブロックが生成されたタイミングにアクティベートされる予定で、2017年10月17日に起きる見込みです。Byzantine ハードフォークにより、EIP(Ethereum Improvement Proposal、イーサリアム改善提案)649が導入され、マイニング難易度向上のプログラムが18か月間、停止されるそうです。これにより、かねてより懸念されていたイーサリアムの氷河期(マイニング難易度向上による、、イーサリアムネットワークの停滞期)の到来が18カ月間先伸ばしされたかたちになります。また、ブロック生成報酬の少ないProof of Stakeの導入を見越して、マイニング報酬が現行の5ETHから3ETHへと減額されるそうです。 ハードフォークで何が変わる? Byzantineハードフォークでは、5つの項目が改善されるようです。 1.パフォーマンス EIP98の導入により、state root情報がブロックから削除されます。これによって、マイニングに必要なエネルギー(GPUの消費電力)が大幅に低下する見込みです。 2.ライトクライアントのユーザビリティ EIP658の導入により、ユーザーはコントラクトが実行されたかどうかを判別することが可能になります。従来のイーサリアムにおいてコントラクトの実行状況を確認するためには、ユーザーがイーサリアムブロックチェーン上の全情報を手元にダウンロードして最新情報をアップデートする、あるいはイーサリアム専用のブロックチェーンエクスプローラー(ブロックチェーン内部のデータを参照する外部サービス)のような第三者機関を参照する必要がありました。Metropolisバージョンのイーサリアムでは、これらの大きなユーザー負担が解消され、手軽にコントラクトの実行状況を確認できるようです。 3.マイニング EIP100の導入により、ブロックの同時生成で得られる報酬額に調整が入りました。ブロックチェーンでは、複数のマイナーがほぼ同時のタイミングでマイニングに成功した場合、チェーンが一時的に分岐することがあります。最終的には一番長いチェーンに正当性が認められ、他のチェーンは消滅するのですが、これらの分岐したブロックを生成した際にも、マイナーは報酬を得ることができます。(このようなチェーンは、bitcoinブロックチェーンでは親なしチェーン、ethereumブロックチェーンでは従兄弟チェーンと呼ばれるようです。) 従来のイーサリアムブロックチェーンでは、ここの報酬設定に問題がありました。同時生成時に得られる従兄弟チェーンのマイニング報酬を総額すると、本チェーンを生成した人のマイニング報酬である5ETHよりも高くなってしまうケースがあったそうです。今回のEIP100は、ここのバランス調整の目的で行われるようです。 4.プライバシー Metropolisバージョンの目玉となりそうです。EIP198、EIP212、EIP213により、zk-SNARKsがイーサリアムに導入される見込みです。zk-SNARKsとは、匿名性暗号通貨で有名なZCASH(ジーキャッシュ)のチームが開発した技術です。これにより、ユーザーは自身のトランザクションの詳細や、ステートの変化を非公開にすることができるようになるそうです。ただし、この匿名機能を利用するには、通常のコントラクトやトランザクジョンにかかるGas(ガス、取引手数料)よりも高くなるとのことです。 5.コントラクト まずはじめに、EIP214の導入により、コントラクトのセキュリティが強化されます。従来は、コントラクトのなかにコントラクトが含まれているコントラクトといったような、入れ子構造になった複雑なコントラクトについては、最も中心に含まれているコントラクトから順番に実行されて、各コントラクトのステートもそれに応じて変化していくという仕組みでした。しかしイーサリアムは、このステート変化の複雑性がもたらす脆弱性を突かれて、DAO事件という未曽有の匿名サイバー攻撃の被害にあい、イーサリアムとイーサリアムクラシックの2つへと分岐するハードフォークを起こしています。今回のMetropolisバージョンへのアップデートにより、ステート変化を起こさずに入れ子上のコントラクトを処理できるようになったことで、脆弱性が低下し、安全性が向上したようです。 […]

Blockchain to Blockchain:今注目されている新たな「B2B」とは?

2017年10月4日 BBC編集部 0

  ブロックチェーン技術は現在、黎明期から普及期へと移行しつつあります。その傾向は、新規ICOプロジェクトの傾向に注視すると読み取ることができます。従来のブロックチェーンプロダクトは、通貨としての利用や、その他の価値の保存目的での利用などに主軸が置かれていました。すなわち、現実世界で起きている問題の解決や、現実世界にある価値の代替物を作る目的で、ブロックチェーンが活用される場合が主でした。 メタアプリケーションのICOが相次ぐ昨今 しかし現在では、ブロックチェーンのエコシステムにおける「メタアプリケーション」の開発に、投資家たちの熱い注目が集まっています。メタアプリケーションとはすなわち、「ブロックチェーン経済圏のなかにおいて発生している問題を解決するプロダクト」のことです。 一般的にメタアプリケーションは、直接的に消費者のニーズを満たすことがない一方で、企業体のニーズを満たすことに特化しています。いわゆるB2B(business-to-business)と呼ばれるビジネス領域に属しています。 昨今、メタアプリケーションを扱うICOプロジェクトが急増している背景には、ブロックチェーンエコシステム全体の「複雑性」が急激な勢いであがっていることが原因として挙げられます。世界を席巻したbitcoin(ビットコイン)という一大暗号通貨が誕生して以来、様々なアルトコイン(ビットコイン以外の暗号通貨)が誕生しました。新たに誕生したアルトコインやブロックチェーンは、それぞれが違う目的を実現するために設計されている一方で、実際のユースケースを見てみると、相互に関係性を持った経済圏が誕生していることがわかります。 巨大なマーケットに食らいつく これにより、異なるアルトコインやブロックチェーン間における、相互運用性や互換性が問題となってきました。暗号通貨の市場規模は、2017年10月現在で17兆円以上と推計されています。そのため、この相互運用性や互換性を実現する機能をもったメタアプリケーションを開発したプレイヤーには、莫大な資金やユーザーが集まる可能性に期待が高まっています。 このようなメタアプリケーションを開発プレイヤーの例として、Aionブロックチェーンを提供している、Nuco社が挙げられるでしょう。Nuco社は、グローバルコンサルティング企業であるDelloite社における、ブロックチェーン専門部門であるRubix社という前身企業をもとに作られているそうです。Nuco社は、銀行から自社のプライベートブロックチェーンを経由して、様々なアルトコインブロックチェーンの架け橋となるような機能を提供しています。社員数は20名ほどであるそうですが、ブロックチェーン技術を数年に渡って扱ってきた豊富な開発経験と、Delloitte社から得られるビジネスコネクションは大きな強みとなるでしょう。Nuco社は、Aionブロックチェーンにいちはやくエンタープライズユーザーを惹きつけ、ネットワーク効果を発揮することで、Aionブロックチェーンの価値を高めることを目指しているようです。 メタアプリケーション開発における3つの壁 しかしこの領域においては、3つの大きな課題が残されています。 一番大きな問題として立ちはだかっているのが、①スケーラビリティの問題です。Ethereum(イーサリアム)のRaidenネットワークが開発されたように、ビットコインのLightningネットワークや、ビットコインブロックチェーンのフォークが行われた背景には、このスケーラビリティ問題があります。 スケーラビリティ問題とは? http://businessblockchain.org/what-is-bitcoin-split-and-its-fundamental-problem これからの企業は、それぞれ大量のデータを含んだブロックチェーンを持つようになることを考えると、ブロックチェーン間のやりとりを担保する中間プレイヤーは、大量のトランザクションを捌けるシステムを開発することが必須となります。 スケーラビリティ問題は、ふたつめの②相互運用性の問題にも絡んできます。あるブロックチェーンから別のブロックチェーンへとデータが移動する場合、プログラムの使用上、互換性がないことや、バグが発生してしまうこと懸念されます。この問題に対処できなければ、メタアプリケーションにとって致命的となります。 そして最後に、③プライバシーの問題が挙げられます。暗号通貨の重要な特徴のひとつとして「取引の透明性」を担保できることが挙げられます。この特徴は活用方法によってはメリットになる一方で、一般に公開されることが望ましくない顧客の個人情報など、企業が扱うセンシティブなデータのやりとりにおいては問題となってきます。 これら3つの大きな課題を乗り越え、なおかつ複雑でリアルタイムなビジネスの取引を運用できる中間プレイヤーが、次の覇権を握るでしょう。 次世代B2Bビジネスの覇権を取るのは誰か? Nuco社のCEOは、「今日、すでに何百と存在しているブロックチェーンですが、じきに数千、数百万ものブロックチェーンが誕生するでしょう。今後のブロックチェーンの発達には、公私の主体を問わず、ブロックチェーン同士のネットワークを構築できるかどうかにかかっています。そして、我々はその実現に向けて活動しています。」と述べています。Nuco社は、EEA(Enterprise Ethereum Foundation、イーサリアム企業連合)の立ち上げメンバーでもあります。 日々混沌さを増しているブロックチェーンビジネスですが、今後この巨大なマーケットを制するプレイヤーが誕生する様子に注目です。