音楽・イベント産業で活躍するブロックチェーンスタートアップ5社

2017年11月15日 BBC編集部 0

  今回の記事では、音楽・イベント産業において活躍している、海外のブロックチェーンスタートアップを5社、紹介していきたいと思います。音楽・イベント産業は、大企業が絶大なパワーを有しており、彼らの後ろ盾なしには個人のアーティストが大きな成功をつかむことは難しくなっています。 このようにパワーバランスが偏った業界において、ブロックチェーン技術を武器に戦う新規参入者が、どのように展開していくかに注目が集まっています。またパワーバランスの問題だけでなく、チケットの転売問題など、長年イベント産業を悩ませてきた様々な問題をブロックチェーンが解決する可能性についても述べていきます。 イベント産業をディスラプトする 1.KickCity KickCityの創業者は、市場規模30億ドルと見積もられている巨大産業である、イベント業界の抱えている問題について指摘しています。今日の世界では、1分あたりに100個以上ものイベントが同時に開催されていますが、イベントオーガナイザーやイベント代理店は、常に複数の問題に直面しています。彼らは自身のイベントのマーケティングや宣伝を行うにあたり、クレジットカード会社や銀行に多額の手数料を支払っていることに加え、チケットの転売や詐欺といった問題にも対処を行っていかなければなりません。イベントの予算のうち、およそ20%がマーケティング活動に用いられているとされるなか、半分以上のイベントオーガナイザーは集客率の低さに頭を抱えています。加えて、26.4%のイベントオーガナイザーは、どのオンラインツールを用いてイベントの集客を行えばいいのか把握できていないとのデータが出ており、非効率的なオンライン広告事業者に振り回されている可能性があります。 既存のオンライン広告配信プラットフォームは、ユーザーに多大な費用を負担させるようにデザインされている、といえます。しかしKickCityの提供するサービスは、既存のサービスとは対照的です。KickCityは、オフラインイベント参加者を母体とする、評価経済型のコミュニティプラットフォームで、ブロックチェーンベースで分散的に運営されています。KickCityのユーザーは、身の回りのローカルイベントを発掘して、イベントと潜在的な参加者となりそうな人をつなぐ(=宣伝する)ことで、デジタルトークンを得ることができる、というモデルになっています。 ブロックチェーンを用いることで、KickCityはイベント産業における非効率的な中央集権プレイヤーや第三者機関を回避して手数料を削減しつつ、分散型評価経済プロモーションシステムを用いてイベントオーガナイザーの業務時間を50%まで削減することに成功している、とのことです。 全体の透明性向上にブロックチェーンを 2.Crypto.Tickets 偽物のチケットによって、イベントオーガナイザー、チケット販売プラットフォーム、チケット転売事業者は長年の間苦しめられてきました。例えば2017年上旬、Ed Sheeran(イギリスのシンガーソングライター)のファンたちが、非正規のチケット販売業者から定価の8倍もの価格でチケットを購入した結果、会場で偽物であることが判明したために、10000人ものファンがコンサートイベントへの入場を拒否されるという出来事が発生しています。 Crypto.Ticketsは、このようなチケット詐欺を未然に防ぐことを目的として開発されたブロックチェーンプラットフォームです。イーサリアムブロックチェーンとスマートコントラクトを用いることで、Crypto.Ticketsはチケットを暗号化して正当性を保護することができるのです。Cryptp.Tickets社の創業者であるEgor Egerev氏は、「ブロックチェーンは既存のプレイヤー間のコミュニケーションを塗り替え、予約に関するすべての手続きの透明性を向上させることができます。イベントオーガナイザーはチケットに対して、それぞれジャンルや価格設定、交換、返金、転売ポリシーなど複雑なルールを設定しています。スマートコントラクトによってCrypto-ticketはこれらの全てをブロックチェーン上で実現しています。同時に、チケットを購入する顧客は、そのチケットが正真正銘のホンモノであることの確信を持つことができます。我々は、どのようなチケット販売システムでも利用できるブロックチェーンプラットフォームを開発しようとしています。」と述べています。 中央集権構造が利益の一極集中を招いている 3.Vibrate Viberate社は、音楽産業におけるプロモーションまわりの中央集権的な構造について、こう述べています。 「高度に中央集権化された構造では、極一部のプレイヤーに利益が集中し、大多数の小規模プレイヤーはもがき苦しむことになります。音楽産業におけるアンダーグラウンドで小規模なライブハウスやレーベルに所属しているイベントオーガナイザーは、大企業によって、収益構造の蚊帳の外に置かれています。」 今日の大規模なチケット予約代理店や、中央集権化されたチケット販売プラットフォームにマネーが集中しているライブミュージック産業のエコシステムにおいて、タレント・エージェンシー(タレント事務所)の恩恵に預かれるアーティストはごく少数に留まります。タレント・エージェンシーの後ろ盾がないアーティストは、マーケティング、セールス、ネットワーキング、リーガル、税制、資金調達といった様々な問題を自力で解決せねばならず、本業であるクリエイティブな活動に専念することが難しくなります。 同時に一方で、イベントオーガナイザーは、イベントに登場してくれるアーティスト探しに奔走しますが、当日ドタキャン、低クオリティなパフォーマンス、支払いの滞りといった様々なリスクに向き合う覚悟で仕事に臨まなければなりません。 Viberateはライブミュージック産業のグローバル市場を構築しようとしているブロックチェーンスタートアップです。Ethereum(イーサリアム)ブロックチェーンを用いてミュージシャンと予約情報の管理をし、スマートコントラクトを用いてチケットの販売を行います。Viberateは現在、タレント・エージェンシーやチケット販売業者とのパートナーシップを結ぶことを計画していますが、彼らの最終的なゴールは、世界中にいる、事務所の後ろ盾のないアーティストとイベントオーガナイザーのマッチメイキングをするプラットフォームを展開することにあります。 ミュージシャンは、このプラットフォームをプロモーションや露出媒体として用いることができる一方で、プロモーターにとってはイーサリアムブロックチェーンによる支払いシステムを、分散型のエスクローシステムとして用いることができます。 既存の配信プラットフォームと比較して、20倍の収益が見込める 4.TokenFM TokenFMは、既存のメディアが抱える問題点に対してブロックチェーンを用いた世界初の企業です。TokenFMは、メディアの分散化を推し進めるとともに、アーティストとファンを直接結び付ける活動をしています。 […]

イリノイ州が出生証明書をブロックチェーンで管理へ

2017年9月14日 BBC編集部 0

2017年8月31日、北米イリノイ州の政府が出生証明書のデジタル化に向けて、ブロックチェーンによる管理システムのテストを開始したことを発表しました。州政府は、ブロックチェーン上でIDを管理するプロジェクトの実績があるEvernym社というスタートアップ企業と協力し、試験プロジェクトの実施に向けて準備していくようです。 イリノイ州のブロックチェーンビジネス広報担当者であるJennifer O’Rourke氏によると、現在開発中のプラットフォームは、個人が一生涯に渡って使うことができる、個人IDを一元管理できるツールの元となる可能性があるそうです。 ブロックチェーンスタートアップを支援しているイリノイ州 O’Rourke氏は「このパイロットテストでは、法人や政府などの公的機関が、個人のIDが必要となってくる場面において、その正当性を証明することができるようになる可能性があります。」とインタビューに答えています。今回のパイロットバージョンのプログラムでは、子どもの出生にあたり、両親や医師が公式に子どもの情報を登録できるブロックチェーンベースのツールを開発し、テストするようです。これらのツールは、World Wide Web Consortium(W3C)内にある、特別チームによって開発されているそうです。 このプロジェクトは「イリノイ州ブロックチェーンイニシアチブ」と呼ばれる大きなプロジェクトのなかの一部であるそうです。イニシアチブ全体の目的として、州のブロックチェーン企業にとって好ましい環境の創出と、政府がブロックチェーンを構築する際の障壁を排除することが挙げられています。このイニシアチブのパートナー機関には、国務貿易省(DCEO)、保険局(DOI)、および革新技術局(DoIT)が含まれています。 個人のIDが出生時からブロックチェーンで管理される時代へ 州政府機関は、出生時に個人の登録データを確認するだけでなく、個人の名前、生年月日、血液型などに関連する情報を暗号で署名します。その情報は、個人が法的な成人になるまで、法的な保護者によって承認された場合にのみアクセス可能な、改ざん不能の分散型元帳に保管されるそうです。 個人のIDとブロックチェーンの分野は現在非常に注目を集めている分野です。これからも様々な形で、政府主導のIDプロジェクトが出てくる可能性があります。引き続き、ブロックチェーンの活用方法について注目です。   分散型IDについてはこちらから http://businessblockchain.org/decentralized-identity-foundation-announced-formation

ブロックチェーン新事業開発支援チームの設立と運用

2017年6月14日 赤羽 雄二 0

前回、リーンスタートアップによるブロックチェーン新事業開発についてご説明しました。1000字程度の価値仮説を書くのが意外にむずかしいことやスピード感の重要性についてもお話しました。 複数のチームを並行して走らせると交互に刺激になることや、ベストプラクティス共有についても触れました。   ブロックチェーン新事業開発支援チームが必要な理由 ただ、それでも、プロジェクトメンバーが新事業、ましてやブロックチェーン新事業に初めてでは、おっかなびっくり動くしかありません。そうなると、新事業開発がスムーズに進まず、時間を大きくロスします。それだけではなく、慣れていればうまくかわすことのできた問題にぶつかったり、どんなに時間をかけても顧客・ユーザーを満足させる製品・サービスに到達できなかったり、ということが起きてしまいます。 そのため、私は中堅企業、大企業の場合は、ブロックチェーン新事業開発支援チームを専任で置いて、そこが各ブロックチェーン新事業プロジェクトを支援することが望ましいと考えています。 こういう支援チームの提案をすると、多くの経営者が「そんなものは特に必要ない。優秀なメンバーを集めれば、新事業プロジェクトはうまく行くはずだ」と言って必要性を理解してくれません。スポーツならコーチやトレーナーをつけるのが当然と考えられているにも関わらず、会社の新事業プロジェクトは、社員が本気で取り組めば何とかなると考えているようです。精神論だけで何かができると考えがちなのは、まだスパルタ教育や「体育会的ノリ」が信奉されているからかも知れません。 ブロックチェーンのような全く新しいもので、しかも社内外との調整が非常に多く、大企業的でありかつベンチャー的要素もあり、グローバルとローカルの線引きもあいまい、という状況では、ただ仕事ができるだけの部課長に任せるのは危険です。彼らはできないとは言いませんが、会社として決してよい結果をもたらしません。それよりは、専任の支援チームを置いてノウハウを蓄え、会社としてスキルアップしていくことが効果的です。   リーンスタートアップを支援するブロックチェーン新事業開発支援チーム では、リーンスタートアップを支援するブロックチェーン新事業開発支援チームはどういう体制、位置づけ、構成にすべきでしょうか。 上図にあるように、経営者の直下に置き、事業部から生み出される新事業案とその推進メンバーをいったんブロックチェーン新事業開発支援チーム内に置きます。 そこでは、慣れたメンバーのコーチングのもと、新事業案の事業計画を短時間でしっかり詰めます。価値仮説や成長仮説も手早く書いて仕上げ、MVPを設計して電光石火でトライアルを進めます。準備ができ次第、チームは新事業推進プロジェクトとして外に出します。 ブロックチェーン新事業開発チームに助けてもらうと仕事がスムーズに速く進む、本当に助かるという評判をなるべく早く作っていく必要があります。そうなると、事業部あるいは研究所でブロックチェーン関連新事業を検討しようと話し始めた最初の段階で相談されるようになり、会社としては新事業推進が効率的に進むようになります。   ブロックチェーン新事業開発支援チームリーダーとメンバーの資質 ブロックチェーン新事業開発支援チームリーダーは、①ブロックチェーンという新しい分野で、②新事業を立ち上げるための、③支援をするという3つのチャレンジを同時に受ける立場ですので、社内でもっとも優秀な部長クラスを当てる必要があります。 具体的には、 問題把握、解決力がある リーダーシップがある 情報感度が高い 好奇心が強い 頭が柔らかい 社内をスムーズに進めるコミュニケーション力がある 社外のITベンチャー、専門家、海外の関連ベンチャーとの連携ができる […]

新たな資金調達手段「ICO」とは?

2017年4月28日 BBC編集部 0

ブロックチェーン周りで聞かれる新しい用語の一つに「ICO」という言葉があります。「ブロックチェーンを用いた〇〇がICO間近!」という言葉を見たことがある人も少なくないでしょう。今回の記事ではこのICOとはいったい何なのか、解説していきます。 従来の資金調達の形-株式公開、クラウドファンディング 資金調達手段には融資などの手段もありますが、今回の記事では「出資」にフォーカスして見ていきます。出資は、融資と違い返済義務がないため出資先が潰れてしまえば出資者は大損してしまいます。出資者はこのようなリスクを負うため、出資者に対しては必ず何らかのリターンを提供する必要があります。 日本において民間企業が出資を募るときの最も代表的な手段は、株式の発行でしょう。企業は株式を発行し販売することで資金を調達し、株主は株式を購入することで配当権や経営参加権などを持ちます。企業が成長し株式市場に上場すると、一般公開された市場において株式を売買できるため、より機動的な資金調達が可能になります。これを新規株式公開、またはIPO(Initial Public Offering)と呼びます。 また近年ではクラウドファンディングといった手法も盛んになってきています。これは何らかのプロジェクトが実現する前にあらかじめ「サービス受益権」を直接一般向けに販売しすることで、投資者のハードルを下げることを実現するものです。 近年、IPOによる株式公開やクラウドファンディングとは異なる、暗号通貨を用いた資金調達が登場しています。   暗号通貨建ての資金調達「ICO」とは? 「ICO(Initial Coin Offering)」とは、ある組織や企業が資金調達する際に暗号通貨やブロックチェーン上でトークンを発行し、それらを一般の投資家に向けて販売することで資金調達を行うことを指します。暗号通貨やトークンの発行を伴うため、ブロックチェーン関連のプロジェクトにおいてよく用いられています。「クラウドセール」や「プレセール」と呼ばれることもあります。たとえば、分散型予測市場プロジェクトの「Gnosis(ノーシス)」のICOでは、数分で1200万ドルにも上る資金調達に成功しました。 では、ICOにおけるリターンはどのようなものがあるのでしょうか。ICOにおけるリターンには複数のパターンがあります。以下のようにスマートコントラクトを活用し、様々な形態でのリターンを提供できるのも暗号通貨およびトークンならではのメリットだと言えるでしょう。   ICOにおけるリターンの3分類 (1)議決権 スマートコントラクトを通じ何らかの形で多数決による何かしらの意思決定に投票に参加できるというものです。株主のように運営主体の経営に関する議決に参加できる場合や、サービス内での投票に参加できる場合もあります。たとえば、自律分散的な投資ファンド運用を目指した「The DAO」のプレセールにおいて販売されたDAOトークン保有者は、The DAOにおいて提案された投資先への投資の可否についての投票に参加することができます。 (2)配当権 こちらのタイプは、サービス利用に伴う手数料収入などをスマートコントラクトによって配分するものです。このように直接金銭的なリターンを提供するものも多くあります。たとえば公正な著作権料分配を目指す「SingularDTV」がプレセールで販売したSNGLSトークンの保有者は、SingularDTV内の動画の再生回数に応じた収益を受け取ることができます。(1)の議決権と併せて付与される場合もあります。 (3)サービス内で使えるコイン サービスにおいて手数料や利用料などの支払いに利用することができるトークンをそのままプレセールで販売するパターンです。たとえば、コンピュータリソースの共有を目指す「Golem」がプレセールで販売したGNTトークンは、サービス内でそのままコンピュータリソースの購入に利用することができます。   […]

ブロックチェーンスタートアップのGatechain社が、2017年航空貨物イノベーション賞のファイナリストに選出

2017年3月1日 BBC編集部 0

チューリヒが拠点のブロックチェーンスタートアップであるGatechain社が、国際航空運送協会(IATA)が選出する2017年航空貨物イノベーション賞のファイナリスト5社に選ばれました。 2016年にもアイルランドのブロックチェーンスタートアップTravacoin社が、遅れてキャンセルされた便の払い戻しと補償のプロセスを簡素化するように設計されたブロックチェーンベースのバウチャーシステムの開発を行い選出されています。 http://www.coindesk.com/blockchain-startup-selected-airline-trade-group-awards/

エネルギー分野のブロックチェーン最新状況(2)

2017年2月23日 大串 康彦 0

※ブロックチェーン+エネルギーに関する大串の最新の意見(2017年10月以降)については、Mediumを参照願います。 前回に引き続き2月14日〜15日にウィーンで行われた「Global Summit on Blockchain Technology in the Energy Sector」の会議に関して書いていきます。1日目にイーサリアム財団のヴィタリック・ブテリンが登壇し、分散化(decentralization)についての議論を展開しました。その一部をご紹介します。 そもそもブロックチェーンはエネルギー分野に役立つのか? まず、分散化という広い概念をよりよく理解するために分散化する対象としての次の3つの側面から整理を試みました。 アーキテクチャーの分散(物理的システムの分散) 政治の分散(ブテリンは「政治」というややスケールの大きい単語を使いましたが、コントロールする主体と考えればよいかと思います) 論理の分散(インターフェイスやデータ構造) その上で、分散システムのメリットとして、次の4つを挙げました。 故障に対する耐性(中央集中システムの故障の例として2003年の米国・カナダの大停電) 攻撃に対する耐性(中央集中システムが攻撃された例としてアシュレイ・マディソンという不倫出会い系サイトのデータベースがハックされ、個人情報が漏洩した) 談合や独裁体制を形成することに対する耐性(独裁体制の例として、APIが更新されてツイッターのサードパーティー製アプリケーションの使用が制限された) 効率性の向上 ブテリンはエネルギー分野での応用については特に議論せず、分散システム一般の議論に終始していました。そして最後に、エネルギー分野で分散化が意味のあるものであれば、ブロックチェーンは役に立つと結論付けました。ブテリンが示した枠組みは「そもそもブロックチェーンはエネルギー分野で使えるのか」という問いを考えるのに有効かもしれません。現在の電力システムに当てはめて考えてみましょう。 電力システムについての分散化の対象となる3つの側面は簡単に書くと以下のようになっています。   1.アーキテクチャーの分散 中央の大型発電所から送配電網を通って末端の需要家に電気を届ける方式が主流であり、大部分です。この中央集権型の構造を大きく変えるには至っていませんが、分散型の発電設備も近年増加しています。 […]

東南アジア向け決済プラットフォーム「Omise」がイーサリアムベースのウォレットアプリ「Omise GO」の提供をアナウンス

2017年2月21日 BBC編集部 0

 タイ・バンコクに拠点を置き、東南アジア向けの決済プラットフォームを開発する Omise が、パリで行われた「European Ethereum Development Conference (EDCON)」にて、イーサリアムベースのウォレットアプリケーション「Omise GO」の提供を行うことをアナウンスした。公開は、2017年Q4を予定している。 日本人起業家による東南アジアのクレジット決済システム「Omise」  Omiseは、APIのみで簡単に実装が可能なクレジットカード決済システムを2013年6月にタイで提供を開始した。簡易なオンライン決済導入サービスが少なかったタイにおいて、順調に導入店舗およびサイトを増やしてきた実績がある。現在は、タイだけではなく、日本およびシンガポール、インドネシアでもマーケティング活動を行っている。  また、Wireと呼ばれるC2C向けの決済アプリも提供している。(国内だと、AnyPayやCoineyペイジが類似サービスだろう。)   イーサリアムを活用したアジアをつなぐ分散型M-Pesaへ  その同社が「アジアをつなぐ分散型のM-Pesaとなる」ことをスローガンに、イーサリアムベースのウォレットアプリケーションの提供を行うことをアナウンスした。M-Pesaとは、ケニアのモバイル送金サービスで、SMSを利用してモバイルマネーの送金依頼を行うことが可能だ。ケニアのモバイル端末利用者の約80%が利用するなど、広く浸透しているサービスだ。その後、M-Pesaのビットコイン版であるBitPesaも存在する。  手軽にモバイル端末同士でお金を送り合えるウォレットアプリケーションを提供することで、銀行口座を持たない何百万人の人々に恩恵をもたらしたいと考えているようだ。ブロックチェーンを利用する理由としては、ネットワーク自体がトラストレスな点のほか、その汎用性にある。同社のウォレットはオープンソースでの提供を行い、今後、様々な企業や政府が自由に利用を行うことを想定している。多くの事業者が、Omise Goを利用することで、自然と商圏が広がっていくというわけだ。  また、イーサリアムを利用する理由について、OmiseのアドバイザーでありイーサリアムのアドバイザーでもあるThomas Greco氏は、送金手数料を抑えることができる点と、モバイルマネーとの相互運用性が高い点をあげている。詳しい技術仕様などについては、今後の発表を待ちたい。  さらに同社は、Omise Goプラットフォームで生じた手数料収入の分配を受ける権利を、Omise GO (OMG)トークンとして販売(ICO)するようだ。  同社の強みとしてCEO Jun Hasegawa氏も述べている通り、すでに数多くの店舗に導入実績を持っている。そこにブロックチェーンおよび暗号通貨という、これまでの法定通貨やモバイルマネーの常識にとらわれない技術を組み合わせることで、独自ウォレットアプリを軸としたOmise経済圏を築くことができるかもしれない。今後の動向についても目が離せないプロジェクトとなりそうだ。 […]

エネルギー分野のブロックチェーン最新状況(1)

2017年2月14日 大串 康彦 0

※ブロックチェーン+エネルギーに関する大串の最新の意見(2017年10月以降)については、Mediumを参照願います。 2月14日〜15日にオーストリアのウィーンでGlobal Summit on Blockchain Technology in the Energy Sectorという国際会議が開催されました。ブロックチェーン関連の国際会議はたくさんありますがエネルギー分野に特化した会議は他に聞いたことがなく、急遽参加することに決め、2日間の会議を聴講して来ました。 同会議の様子をご紹介しながら、エネルギー分野のブロックチェーン最新状況について、数回に分けてご紹介していきます。内容は、以下の通りです。 ブロックチェーン技術はエネルギー分野に応用できるか エネルギー分野へのブロックチェーン応用のユースケース 規制や既得権益の多い同業界で、スタートアップにチャンスはあるのか 取り組みを始める世界各国のプレイヤー紹介 今後、考えうる事業展開のシナリオとは   ブロックチェーン×エネルギー分野に世界中から注目集まる 会議は36カ国から約450人が集まり、大盛況でした。開催国であるオーストリアをはじめヨーロッパ諸国からの参加が多かったですが、米国からは26人、日本からは13人の参加がありました。ブロックチェーンのエネルギー分野だけで450人もの人が集まったということはポテンシャルの大きさを感じます。 参加者の内訳は大手エネルギー会社や電力会社の代表からソフトウェア開発業者や研究者まで様々でした。私が休憩時間等に話した人は、特にエネルギーやブロックチェーンに直結した事業を持っていなくても情報収集あるいは様子見で会議にやって来たという人も多かったです(私もその一人ですが)。多くの人が虎視眈々と機会を狙っていることがわかります。   すでにエネルギー分野の覇権めぐり各国が動き始めている なぜオーストリアで開催されたかというと、オーストリアにはGrid Singularityというエネルギー分野でブロックチェーン技術を応用することに特化したベンチャー企業があることと関連がありそうです。次回以降の記事で書きますが、同社の戦略的パートナーを中心にコンソーシアム組成の発表があり、この会議開催の裏にはエネルギー分野で覇権を取ろうと戦略的に動いている組織の存在を感じました。 ブロックチェーン技術のエネルギー分野への応用の状況を一言で言うと、裏では世界各国でいろいろな活動が進行していますが、実証実験や実物への展開はまだ数えるくらいしか行われていない段階です。従って、本会議も各社が実証実験や商用運用の成果を発表する場というよりは、業界共通の課題を共有・議論したり、概念や計画を発表する場でした。 […]

企業向けイーサリアム「Enterprise Ethereum」が始動

2017年2月14日 BBC編集部 0

企業向けイーサリアムプロトコル利用にフォーカスしたプロジェクト「Enterprise Ethereum」が始動しました。 設立メンバーにはJPモルガン、Microsoftなど主要な金融機関、テクノロジー企業、天然資源企業のほか、ブロックチェーンスタートアップのBlockAppsなどが参画しています。 このプロジェクトではイーサリアムのメインのパブリックネットワークとは別に、企業利益追求という観点から新たなイーサリアムプラットフォームを構築することを目指しています。 最終的に「Enterprise Ethereum」は、ガバナンスや技術開発、産業協同にフォーカスしたワーキンググループを一体化させるメンバーシップモデルを基礎とすることを構想しているということです。 http://www.coindesk.com/jp-morgan-santander-said-join-enterprise-ethereum-blockchain-group/ Also refer to https://kingpassive.com/what-is-ethereum/

ベンチャーにとってのブロックチェーン革命 :このチャンスを活かすか死ぬか

2017年2月13日 赤羽 雄二 0

  こちらは、ブレークスルーパートナーズ株式会社 赤羽雄二氏の連載コラムです。ブロックチェーンが、産業、企業、個人に与えるインパクトについて、「どういったことが起きるのか、何をすべきなのか」について、それぞれの立場の方に合わせて解説していきます。 連載:「ブロックチェーンがおよぼすビジネスインパクト」 ※第1回:ブロックチェーンが産業、企業、個人に与えるインパクト:例外なくすべてが変わる ※第2回:ブロックチェーンが生み出すビジネスチャンス:インターネットを超える大チャンス ※第3回:ブロックチェーンビジネス立ち上げは、早い者勝ち:今すぐ始めないと取り残される ※第4回:ブロックチェーンビジネスを考えるための頭の柔軟性:さらに柔らかい頭を ※第5回:大企業にとってのブロックチェーン革命:大企業の存在意義が真正面から問われる ※第6回:ベンチャーにとってのブロックチェーン革命:このチャンスを活かすか死ぬか 当記事は、その第6回です。   ブロックチェーンはベンチャーにとって20年来のチャンス ブロックチェーンがもたらす産業構造変化とビジネスチャンスについてここまでお話してきました。大企業の存在意義が真正面から問われています(第5回:大企業にとってのブロックチェーン革命:大企業の存在意義が真正面から問われる)。中央集権型で規模の経済に甘んじ、仲介者利益を搾取と言うべき形でとり続けてきた大企業が、今後数年で大きな変化を遂げます。 大企業はその性質上、大変保守的になりますので、自ら大きな変化を遂げることは通常ほとんどありません。しかし今回は、深刻な危機がすぐそこに迫っていることを察知した大企業が必死で生き残り策を図っています。実はここにベンチャーにとって20年来のチャンスが生まれています。 20年来、そう、インターネットブラウザが世に出た1993年からの数年と同じくベンチャーがすさまじい勢いで生み出される時期が来たのです。流通業完全制覇への道を着々と進めているAmazonは1994年に設立されました。Yahooは1995年、Googleは1998年です。国内では、楽天が1997年、サイバーエージェントが1998年です。 起業を志す方がどれほど優秀でも、時期が悪ければ逆風が吹き続けます。一方、1993~2000年はベンチャーにとって圧倒的な追い風でした。資金が集まりやすくなります。関心を持ったエンジニアが殺到します。こういうときは、顧客・消費者の感度もなり、事業が急成長します。   様子見をしていると即座に置いていかれる そうは言われても、ベンチャー社長としては、ビットコインもよくわからないし、あやしげな話もよく聞く中でスタンスを決めかねている方が多いのではないでしょうか。ブロックチェーンの実証実験の話は頻繁に聞くものの、どこからどう手をつけたらいいかよくわからない、ということでしょう。 起業準備中の方も、ハードルが高くてリーンスタートアップ的に簡単にアプリを作るわけにもいかず、迷っておられる方が相当いらっしゃるのではないかと思います。起業自体のハードルは以前に比べてかなり下がったものの、アイデア勝負だけで埒が明くようにも思えません。 といって、ここで様子見をしていると、世の中のダイナミックな変化に即座に置いていかれるとほぼ断言できます。 ジェフ・ベゾスやジェリー・ヤンが創業したとき、「すごいことになりそうだ」といてもたってもいられず起業したとは思いますが、ここまでの大発展を見越していたかどうかわかりません。成功した後、最初から確信していたと豪語しがちですが、実は胃に穴が空いてその後いつの間にか治っていたということもあるでしょう。 迷っている時間はありません。今のブロックチェーンがそのまま普及するわけではなく、きっとブロックチェーン2.0、ブロックチェーン3.0、ブロックチェーン4.0と大きく進化していきますが、後になればなるほど参入はむずかしくなります。ブロックチェーンの欠点は次々に克服されます。 今躊躇されている理由をリストアップして、 […]