イーサリアムがハードフォーク、Metropolisバージョンへ

2017年10月6日 BBC編集部 0

Ethreum(イーサリアム)が、現行のHomestead(ホームステッド)からMetropolis(メトロポリス)バージョンにアップデートされるにあたり、ハードフォークが実行されることが決まりました。アップデート前後でどのように変わるのかについて、見ていきたいと思います。 PoS導入は見送り まずはじめに一番注目されていたProof of Stakeの導入についてですが、イーサリアムコミュニティ内でコンセンサスをとった結果、次回の「Serenity」バージョンまで持ち越されるようです。 今回のMetropolisアップデートに伴うByzantineハードフォークにより分岐し、Byzantineが今後のメインチェーンとして機能する見込みです。また、Metropolisアップデートには2段階目のハードフォークであるConstantinopleハードフォークも計画されているものの、こちらについては内容、日時など詳細については現時点では不明です。Byzantineハードフォークは、4,370,000番目のブロックが生成されたタイミングにアクティベートされる予定で、2017年10月17日に起きる見込みです。Byzantine ハードフォークにより、EIP(Ethereum Improvement Proposal、イーサリアム改善提案)649が導入され、マイニング難易度向上のプログラムが18か月間、停止されるそうです。これにより、かねてより懸念されていたイーサリアムの氷河期(マイニング難易度向上による、、イーサリアムネットワークの停滞期)の到来が18カ月間先伸ばしされたかたちになります。また、ブロック生成報酬の少ないProof of Stakeの導入を見越して、マイニング報酬が現行の5ETHから3ETHへと減額されるそうです。 ハードフォークで何が変わる? Byzantineハードフォークでは、5つの項目が改善されるようです。 1.パフォーマンス EIP98の導入により、state root情報がブロックから削除されます。これによって、マイニングに必要なエネルギー(GPUの消費電力)が大幅に低下する見込みです。 2.ライトクライアントのユーザビリティ EIP658の導入により、ユーザーはコントラクトが実行されたかどうかを判別することが可能になります。従来のイーサリアムにおいてコントラクトの実行状況を確認するためには、ユーザーがイーサリアムブロックチェーン上の全情報を手元にダウンロードして最新情報をアップデートする、あるいはイーサリアム専用のブロックチェーンエクスプローラー(ブロックチェーン内部のデータを参照する外部サービス)のような第三者機関を参照する必要がありました。Metropolisバージョンのイーサリアムでは、これらの大きなユーザー負担が解消され、手軽にコントラクトの実行状況を確認できるようです。 3.マイニング EIP100の導入により、ブロックの同時生成で得られる報酬額に調整が入りました。ブロックチェーンでは、複数のマイナーがほぼ同時のタイミングでマイニングに成功した場合、チェーンが一時的に分岐することがあります。最終的には一番長いチェーンに正当性が認められ、他のチェーンは消滅するのですが、これらの分岐したブロックを生成した際にも、マイナーは報酬を得ることができます。(このようなチェーンは、bitcoinブロックチェーンでは親なしチェーン、ethereumブロックチェーンでは従兄弟チェーンと呼ばれるようです。) 従来のイーサリアムブロックチェーンでは、ここの報酬設定に問題がありました。同時生成時に得られる従兄弟チェーンのマイニング報酬を総額すると、本チェーンを生成した人のマイニング報酬である5ETHよりも高くなってしまうケースがあったそうです。今回のEIP100は、ここのバランス調整の目的で行われるようです。 4.プライバシー Metropolisバージョンの目玉となりそうです。EIP198、EIP212、EIP213により、zk-SNARKsがイーサリアムに導入される見込みです。zk-SNARKsとは、匿名性暗号通貨で有名なZCASH(ジーキャッシュ)のチームが開発した技術です。これにより、ユーザーは自身のトランザクションの詳細や、ステートの変化を非公開にすることができるようになるそうです。ただし、この匿名機能を利用するには、通常のコントラクトやトランザクジョンにかかるGas(ガス、取引手数料)よりも高くなるとのことです。 5.コントラクト まずはじめに、EIP214の導入により、コントラクトのセキュリティが強化されます。従来は、コントラクトのなかにコントラクトが含まれているコントラクトといったような、入れ子構造になった複雑なコントラクトについては、最も中心に含まれているコントラクトから順番に実行されて、各コントラクトのステートもそれに応じて変化していくという仕組みでした。しかしイーサリアムは、このステート変化の複雑性がもたらす脆弱性を突かれて、DAO事件という未曽有の匿名サイバー攻撃の被害にあい、イーサリアムとイーサリアムクラシックの2つへと分岐するハードフォークを起こしています。今回のMetropolisバージョンへのアップデートにより、ステート変化を起こさずに入れ子上のコントラクトを処理できるようになったことで、脆弱性が低下し、安全性が向上したようです。 […]

ビットコインがハードフォークしたらどうなるのか?保有者は何をすべき?

2017年3月31日 BBC編集部 0

 前回の記事ではBitcoin Core(ビットコイン・コア)派とBitcoin Unlimited(ビットコイン。アンリミテッド)派の対立について触れました。状況次第ではBitcoin Unlimitedによるハードフォークが実行され、ビットコインブロックチェーンが分裂する可能性があります。では、ハードフォークが起きた際にどうなるのでしょうか。詳しくみていきましょう。   ハードフォークが起きると持っているビットコインはどうなるの? ハードフォークが起きると、その時にユーザーが保有しているビットコインが、ビットコイン(BTC)とビットコインアンリミテッド(BTU)の二つに分かれます。ビットコイン10BTCを持っていた人は、ハードフォークと同時に10BTCと10BTUを保有することになるのです。これは、ハードフォーク時まではBTCとBTUが同じブロックチェーンを取引記録として同期しているからです。   リプレイ攻撃とは?-2つのコインを識別する必要 ハードフォーク時に問題となるのが、片方のコインの送金処理を行うと二つのコインが同時に送られてしまう「リプレイ攻撃(Replay Attack)」というものです。イーサリアムがハードフォークを行ってイーサリアムクラシックが誕生した時にも同様の問題が生じ、大きな混乱を生みました。このときはETHとETCの識別をする対応が遅れたため、取引所やウォレットによってはハードフォーク後にETHの送金処理を行うと同時にETCのブロックチェーンでも送金処理が行われてしまい、同額のETCが送金されてしまう事態が生じてしまったのです。  ビットコインにおいても同様の事態が発生するのを防ぐため、取引所19社は合同で、ハードフォークが実行された場合にはBTCとBTUを別の通貨として扱い、そのためにBU側にハードフォークの場合はリプレイ攻撃への対策を講じるよう求める声明を発表しました。これによって、リプレイ攻撃への対策がBU側でなされれば、19社の取引所では二つのコインを別々に取引することができるようになりますが、他の取引所やウォレットが対応するかは現時点では未定のものも多くあります。送金先がBTUに対応していない場合はBTUが引き出せなくなって実質消滅する可能性もありますので、フォーク前後はBTC・BTUともに送金を控える必要があります。   ビットコイン保有者は、何をすべきか? 送金をしなかったとしても、取引所や外部ウォレットサービスなどにビットコインを置いておくことには引き続きリスクが残ります。秘密鍵の管理を自分で行うタイプの分散型ウォレットでは、フォークとともにBTC保有者は同額のBTUを保有することになります。しかし取引所では各ユーザーが秘密鍵を所有しているわけではなく、銀行にお金を預けているのと同じ状態です。そのため、もしビットコインを預けた取引所がどちらか片方の通貨にしか技術的に対応していない場合、ユーザーがBTCとBTUを別々に管理できないだけでなく、そもそもユーザーにBTUが付与されない可能性もあるのです。 取引所に暗号通貨を預ける構図については以下の記事で詳しく解説しています。 取引所にビットコインなどの暗号通貨を預けることのリスクとは? このリスクを回避するためにも、自分で秘密鍵を管理できる分散型ウォレットにビットコインを引き上げ、取引所の対応を慎重に見ていく必要があります。そして各取引所のBTCおよびBTUの対応について確認してから取引所を利用することで、安全に取引を行うことができるでしょう。

ビットコイン分裂の危機は、どうして生まれたのか?Bitcoin CoreとBitcoin Unlimited

2017年3月24日 BBC編集部 0

近頃、メディアにおいて「ビットコイン分裂の危機」と大きく報じられていますが、その実態はどのようなものなのでしょうか。その根底には、「Bitcoin Core(ビットコイン・コア)」と「Bitcoin Unlimited(ビットコイン・アンリミテッド)」と呼ばれる二つの派閥の対立があります。当記事で、詳しく見ていきたいと思います。   対立の発端-ビットコインスケーラビリティ問題 そもそもビットコインをめぐる対立はなぜ生まれてしまったのでしょうか。実はそこにはビットコインの課題の一つとして以前から言われている「スケーラビリティ問題」が深く関わっています。 ビットコインでは、ブロックサイズの上限が1MBと定められているため、1MBを超える取引が発生するとトランザクションの遅延や手数料の高騰が起きてしまいます。ブロックに記録しきれない取引の「積み残し」が発生するのです。これがスケーラビリティ問題であり、特にビットコインの取引量が増大している近頃は解決すべき問題として議論されていました。 これに対応するためには「フォーク」と呼ばれるアップデートを行って、より多くの取引をブロックに収めるためにビットコインの仕様変更を実施する必要がありました。   「フォーク」とは何か?➖ソフトフォークとハードフォーク ブロックチェーンではシステムのアップデートを「フォーク(分岐)」という形で行います。ブロックチェーンがある点から分岐する様子を思い浮かべて考えていただけると想像しやすいかと思います。フォークには、ソフトフォークとハードフォークという二種類が存在します。ソフトフォークでは、旧バージョンとの互換性があるので以前と同じように利用できますが、ハードフォークでは互換性がなくなってしまうので、旧バージョンと新バージョンに分裂した状態でそれぞれのブロックチェーンが続くという結果も起こり得ます。昨年には、イーサリアム(Ethereum)がハードフォークを行った結果、イーサリアムとイーサリアム・クラシックに分裂してしまいました。ブロックチェーンのフォークを行うためには、ネットワークに参加しているノードの多数決による民主的な決定が必要となります。しかし、意見が分裂してしまうと、前述のイーサリアムのように2つに別れてしまうという事態となります。   Bitcoin Core派の「Segwit」とは? 「Bitcoin Core」はビットコインのソースコードであり、それらの開発を担うごく少数のエンジニアを「コア開発者」と呼びます。彼らはスケーラビリティ問題への対応のため、2016年10月に「Segwit(セグウィット)」と呼ばれるソフトフォークを発表しました。Segwitはトランザクションデータの圧縮や「ライトニングネットワーク」と呼ばれるオフチェーン取引の実装によって、実質的にブロックに入るトランザクション容量の拡張を企図しています。 Segwitを有効にするためにはアドレスをSegwit対応の3から始まるものを利用しなければならず、効果が出るまでに時間がかかってしまうというデメリットが存在します。またマイナーからすれば、Segwit採用によりオフチェーン取引が増加するとマイニング報酬が減少するため、マイナーやマイニングプールの一部からはSegwitに対する反発の声も上がっています。   Bitcoin Unlimited派とは? ビットコインのスケーラビリティ問題はSegwitが開発されるまで実に約3年もの間、コア開発者内部で議論の的となってきました。この間にBitcoin XTやBitcoin Classicなどの解決策が模索されては対立を生み、「/r/bitcoin」というReddit内コミュニティにおいて過激な言論統制が行われたり、Bitcoin RoundtableやSatoshi Roundtabeなどの非公開会合における合意が何度か行われるなど、ビットコインコミュニティは次第に分散化とは相反する方向性へと進んでしまい、マイク・ハーン氏がコア開発者から離脱し「ビットコインは失敗だった」(英語記事)と題するブログを掲載するなどの事態に至りました。 […]

イーサリアムクラシックとは?-分散型の理念を追求した暗号通貨の意義

2017年1月13日 BBC編集部 0

   現在世界には数百種類を超える暗号通貨(仮想通貨)が発行されており、こうしたビットコインに続く暗号通貨のことをアルトコインと呼びます。今回はその中からイーサリアムクラシック(Ethereum Classic)の特徴、そして今後の展望について分かりやすく解説していきます。 イーサリアムクラシックとは?  イーサリアムクラシックとはイーサリアムから分裂して登場した暗号通貨です。イーサリアムクラシックは現在も活発に取引されているだけでなく、2017年2月にはイーサリアムクラシックを用いたハッカソンが開催されるなど、独自の発展を遂げている過程であるとも考えられます。   イーサリアムクラシックの特徴  イーサリアムクラシックが生まれた契機は、イーサリアムを利用したプロジェクトであるThe DAOのスマートコントラクトコードの脆弱性を突いて当時の金額で約65億円相当のイーサリアムが不正に送金された「The DAO事件」と呼ばれる事件です。これに対しイーサリアム開発チームは「ハードフォークによって不正送金が行われる前の状態に戻す」という手段を取ることで解決を図りました。そして最終的にはコミュニティの約90%がこれに賛成し、ハードフォークが実行されイーサリアムの不正送金は無効化されました。  しかしこの対応が中央管理的な介入であるとして、あくまで非中央集権的な暗号通貨を目指すコミュニティの一部が反発し、ハードフォークを拒否しました。その結果生まれたのが「イーサリアムクラシック」です。 イーサリアムクラシックのメリット-良好な取引環境  ハードフォークが実行された2016年7月20日以降、イーサリアムクラシックはイーサリアムとは別のブロックチェーンに記録されています。しかし両者はもともと一つの暗号通貨であるので、スマートコントラクトなどの基本的な機能は同一であり、両者に大きな差異はありません。  またイーサリアムを所持していた人は、ハードフォークに伴って同額のイーサリアムクラシックを手に入れました。新たな暗号通貨でありながら、生まれながらにして多くの人が保有することになったのです。ハードフォーク後にはPoloniexを始めとした大手取引所がイーサリアムクラシックに対応し、取引環境も比較的早く整いました。 イーサリアムクラシックのデメリット  イーサリアムクラシックはイーサリアムとの差異が小さい以上、イーサリアムの価格変動の影響を受けたり、逆にイーサリアムの価格に影響を与える傾向にあります。  実際にイーサリアムのマイナーと流通量がハードフォーク前に比べると減少したことでイーサリアムの価格が一時下落したため、ハードフォーク直後はイーサリアムコミュニティとイーサリアムクラシックコミュニティの間で激しい対立が起き、これが双方の価格に影響するといった事態も生じていました。   イーサリアムクラシックの普及と今後の可能性  イーサリアムクラシックはその誕生の経緯から、本来の分散型システムとしての理念を重視する層からの支持を集めています。クラシック派はコードを絶対視する「コードこそが法(Code is law.)」という理念の下に非中央集権性を追求しており、「コミュニティの多数決による合意形成」と「コードに則った合意形成」のどちらを重要視するかという非常に難しい問題提起に繋がっています。  一方でブロックチェーンのフォークのリスクという観点からも非常に興味深い事例であると言えます。同じような事例として、現在ビットコインはSegwitと呼ばれるフォークを予定していますが、一部から反発を受けてフォークを拒否する「ビットコイン・アンリミテッド(Bitcoin Unlimited)」と呼ばれる派閥が生まれてしまっている状況です。これらのように議論の分かれるフォークでは、分裂の危険性が十分に存在することを示していると言えるでしょう。