量子コンピュータでも破ることができないブロックチェーンが開発される

2017年6月27日 BBC編集部 0

ロシアの科学者が、世界初となる、量子コンピュータでも破ることのできない強固なセキュリティを持ったブロックチェーンを開発しました。今日では、量子コンピュータはまだ構想段階にあり、実現には至っていません。しかしもし仮に実現すれば、既存のコンピュータとは比較にならないほど高速に、かつ大量の情報を処理できるコンピュータが誕生することになります。   量子コンピュータがブロックチェーンの公開鍵暗号を突破する? 電子署名など高度なセキュリティが求められる場面では、「公開鍵暗号方式」という暗号化手法が一般的に用いられています。公開鍵暗号方式ではランダムな文字列の組み合わせからなる公開鍵・秘密鍵のペアが生成されます。秘密鍵は複雑な計算を経て作成されるので、その秘密鍵を特定するのは容易ではありません。そのため総当たりで数字を試して解読するほか方法がありません。このように、膨大な計算を処理できない人間や今日のコンピュータにとっては突破が極めて難しい、という点で安全性が担保されています。 公開鍵暗号方式についてはこちらの記事で詳しく解説しています。 →「ブロックチェーンを支える技術『公開鍵暗号方式』とは」 しかし将来的に膨大な計算量を一瞬で処理できる量子コンピュータが実現すれば、秘密鍵を総当たり的に特定することが可能になってしまうため、この公開鍵暗号方式によるセキュリティが確保できなくなってしまうことが考えられます。ブロックチェーン技術も同様に公開鍵暗号方式を用いた電子署名を採用しているため、量子コンピュータの登場によって秘密鍵が特定され第三者によって不正送金されてしまうといった可能性が懸念されます。   これに対し開発されたのが、量子コンピュータによってもハッキングされることのない、より強固なセキュリティを持ったブロックチェーンです。 量子コンピュータにも破れない、新しいブロックチェーンの仕組みとは? 今回開発された新しいブロックチェーンには、「量子鍵配送(Quantum Key Distribution、QKD)」という、量子暗号技術が用いられています。 量子は、「量子の重ね合わせ」と呼ばれる、古典力学で説明できない不思議な性質を持っています。すなわち、量子は「Aの状態」と「Bの状態」という、表裏一体の状態を同時に体現することができます。しかし、一度誰かがその量子を観測すると、途端に「量子の重ね合わせ」が解消され、AもしくはBの、どちらかの状態へと収束していくという性質を持っています。 また「量子のもつれ」という現象があります。これは、異なる2地点に分散した量子がそれぞれ量子が重ね合わさった状態で存在していても、片方の量子が観測され状態が収束すると、量子間の距離や媒介物などを一切無視して、時間差ゼロで、もう一方の量子の状態も収束する、という性質です。   一見不可解なこの「量子のもつれ」という現象ですが、外部からの侵入者を検知したい場合に効果的に用いることができます。すなわち、誰にも観測されていない、もつれを引き起こしている量子を、通信を行っているAさんとBさん二人のそれぞれの端末に配置します。この状態において、ハッキングなど外部からの侵入者によって量子が観測され、「量子の重ね合わせ」からひとつの状態に収束した瞬間に、通信を遮断することによって情報漏洩を即座に防ぐことが可能です。これが「量子鍵配送」と呼ばれる量子暗号技術です。 この量子鍵配送技術を用いたブロックチェーンは、二層構造を擁しています。第一層では、そのブロックチェーンに参加している二者に対して量子鍵配送を用いてそれぞれの通信の安全性を認証することで、そのブロックチェーンへの参加が承認されます。そして第二層では、「Toeplitz Hash」というコンセンサスアルゴリズムに基づいて、取引記録がブロックチェーン上に記録されていきます。   実用化に向けての今後の展望 量子鍵配送の技術は、既に金融業界の一部でも用いられ始めているとのことで、高度なセキュリティが求められる金融取引の分野での活用が期待されています。この技術がブロックチェーンに応用されるのは世界初のことですが、既存のブロックチェーンとは根本的に仕組みが異なるため、既存のものとは独自に新規のブロックチェーンを構築する必要があります。量子コンピュータが実現した未来では、量子鍵配送技術を用いたブロックチェーンが新たなスタンダードになっているかもしれません。   ※画像はInternational Business […]

ブロックチェーンを支える技術「公開鍵暗号方式」とは

2017年3月28日 BBC編集部 0

暗号通貨を送金する際には、「秘密鍵」と「公開鍵」というペアの暗号鍵を用いた「公開鍵暗号方式」が使われています。これはインターネットサイトの閲覧においても用いられている暗号化方式であり、暗号通貨ではそれをブロックチェーンやプルーフ・オブ・ワークなどと組み合わせる形で応用しています。今回の記事では公開鍵暗号にフォーカスして詳しく解説していきます。   公開鍵暗号方式とは?-暗号化と閲覧を別々の暗号鍵で実行 公開鍵暗号方式では特定の人だけが知っている「秘密鍵(シークレット・キー)」と外部に公開している「公開鍵(パブリック・キー)」というペアの暗号鍵があります。公開鍵は秘密鍵をもとに生成されますが、公開鍵から秘密鍵を知ることはできません。このとき暗号化については公開されている公開鍵を用いて誰でも行うことができますが、公開鍵によって暗号化された内容は秘密鍵を持っている者だけしか閲覧することができません。   暗号通貨における公開鍵・秘密鍵の役割 誰かに暗号通貨を送金する場合、送金者が自身の秘密鍵を用いて「電子署名」をすることで初めて送金処理を実行することができます。秘密鍵を用いた電子書名は、銀行口座で送金を行う際にパスワードや印鑑などで行う本人確認にたとえることができます。 一方で送金先を指定する際には、送金先が公開している公開鍵を用いて生成されるアドレスを用います。公開鍵は振込先の口座番号にたとえることができます。 例えば、ボブさんがアリスさんに10BTCを送金する際、ボブさんは「10BTCをアリスさんのアドレスへと送る」という内容に自らの秘密鍵で電子署名を行います。この電子署名によって送金処理が初めて可能になり、アリスさんは10BTCを受け取ることができます。   秘密鍵の所有=所有権の確認 しかしながら秘密鍵と特定の個人の間に紐付けは存在しないため、秘密鍵を知られていまうと誰でも勝手に送金できてしまいます。これは「秘密鍵を知っていること」がつまり「暗号通貨の所有権」を意味すると捉えることができます。そのため秘密鍵は誰にも知られることがないように、オフラインで保管するなど非常に厳重に管理する必要があると言えるでしょう。 bitFlyerやcoincheckなどの取引所に暗号通貨を預けている場合、秘密鍵を取引所が管理していることになります。Mt.Gox事件のように、取引所の管理する秘密鍵が何者かによって流出し、取引所から利用者の暗号通貨の一部が盗まれてしまうといった事件はこれまでもたびたび起きています。取引所に資産を預けるリスクについては別の記事で詳しく解説しますので、併せてご覧ください。