国連によるブロックチェーン活用は難民問題解決の切り札となりうるか

2017年7月6日 BBC編集部 0

2017年5月30日、国連世界食糧計画(WFP)はヨルダン国内の約1万人のシリア難民に対し、イーサリアム(Ethereum)ベースのアプリケーションを用いて食糧を提供する実証実験を行ったと発表しました。シリア難民は、ヨルダンの難民キャンプ内の市場から、WFPが提供した食糧を受け取ります。具体的には目の虹彩をスキャンする生体認証によって難民であることを証明し、援助を受ける資格があると確認された人は食糧を受け取ることができます。 ブロックチェーンは、格差是正ソリューションの未来か このプロジェクトは、世界中の難民の食糧難を救うモデルケースとなると期待されています。 約500万人がシリアを逃れ、現在も多くの人がヨルダン周辺の貧困地域に滞在しています。国連の推計によれば、2016年にはシリア難民は約63万人、パレスチナ難民は約200万人にまで増加するとのことです。 ブロックチェーンは従来よりも大きな規模で支援を提供することができます。WFPは8月までに対象となる難民の数を10万人にまで拡大し、2018年までにはヨルダンに滞在する全ての難民への援助を実施、2030年までには食糧援助によって世界中のあらゆる食糧難を解決することを目指しています。 分散型IDプロジェクト「ID2020」とは WFPのイノベーション・チェンジマネジメント担当ディレクター、ロバート・オップ氏によれば、ブロックチェーンの活用によって食糧提供に関するコスト削減、食糧提供を受けた人々のデータの保護、財務リスクの管理、緊急時の迅速な対応などが実現されうるとのことです。このようにブロックチェーンを活用することで、人道支援のあり方自体をより効率的に変えていく可能性があります。 また米大手コンサル企業のアクセンチュアは、「ID2020」と呼ばれる国連プロジェクトにブロックチェーンを活用しようとしています。これは、世界に約11億人存在しているとされる公的な身分証明(ID)を持たない人々に対し、身分証明を付与することを目的とした国連支援プロジェクトです。アクセンチュアはこの一貫として、ブロックチェーンを活用した分散型デジタルIDネットワークを構築する計画を発表しています。アクセンチュアによればこの分散型デジタルIDを活用し、2020年までに75カ国以上、700万人以上の難民を支援することが期待されています。先日もマイクロソフトがuPortなどと提携し分散型ID実用化へ向けた取り組みを進めるとのニュースがありました。これらの取り組みが実現されれば、今まで自らの身分を法的に証明しにくかった難民でも、医療や教育、金融サービスなどの行政サービスを容易に受けることができるようになるでしょう。

Sensus(センサス)とは?-回答するほど儲かる、分散型の”知恵袋”

2017年1月24日 BBC編集部 0

 分散型台帳とも呼ばれるブロックチェーン技術は暗号通貨(仮想通貨)だけでなく様々な分野に応用が可能で、多くのプロジェクトが登場しています。こうしたプロジェクトの多くは従来の中央集権的な構造による問題点を解決することを目指しています。今回はその中からセンサス(Sensus)の特徴、そして今後の展望について分かりやすく解説していきます。 センサスとは? センサスはヤフー知恵袋などのQ&Aサイトのように、知識を提供する分散型アプリケーションです。暗号通貨の一種である「Senseトークン(SNS)」を質問への回答のインセンティブとして用いることで、従来からあるQ&Aサービスの課題の解決を図っています。   センサスの特徴-迅速かつ精度の高い回答の実現 従来のQ&Aサービスは投稿された質問を受動的に表示するだけでした。回答者は表示された質問に回答しますが、質問者は回答者が回答するのを待つ必要がありました。また、誰でも投稿や回答ができるのがQ&Aサービスのメリットでもあるのですが、それゆえに質が低かったり、質問者の満足するような回答を得ることができない場合もあります。  センサスは、投稿された質問を別のユーザーに直接送ることが可能です。その際に、年齢や居住地などの条件指定によって、質問のターゲットを絞ることもできます。また質問を受け取ったユーザーは、質問に回答することで「Senseトークン」を得ることができます。しかし、その報酬であるトークンを受け取れるのは、早い者勝ちなので質問を受け取ったユーザーには即座に回答するインセンティブが生じます。  また、ユーザーは質問に回答することにより「Senseトークン」を得ることができます。そしてヤフー知恵袋のベストアンサーに近い形で、質問者は最も優れた回答者を選び、選ばれた回答者は報酬として「Senseトークン」が送られます。回答者はより多くの報酬を得るため、より質問者の意図に沿った形の回答をすることで回答の精度を高めるインセンティブが生まれます。   センサスの普及と今後の可能性-The Sense Networkの構築  センサスは「Senseトークン」を利用できるサードパーティアプリケーションの導入も見込んでおり、将来的には「Senseトークン」を利用できるアプリケーションからなる”The Sense Network”の構築を目指しています。センサスで回答をすることでSenseトークンを得て、それを利用して日用品やサービスを享受して生活するユーザーも現れる可能性もあります。単なるQ&Aサイトにとどまらず、働き方革命の未来がここにもあるのかもしれません。  現在はβ版テスト中であり、アプリケーション内でのSenseトークン獲得、USドルとの交換開始による取引機能のテストなど機能追加を随時実施していくとのことです。