インドの保険業界13社が分散型台帳導入に向けて企業連合を形成

2017年9月1日 BBC編集部 0

  2017年8月、インドに拠点をおく13の保険会社が企業連合を組み、連合内で分散型台帳を用い、顧客管理の効率化を進めることを発表しました。分散型台帳上で顧客情報を共有することで、ユーザー側が新規契約を結ぶ際に重複する個人情報登録手続きなどを省略することが可能になるため、利便性の向上が見込まれているようです。 ユーザーにとって、乗り換えコストが最小限に 発表に際し、HDFC Life Insurance社の副代表を務めるAkshay Dhanak氏は「これまでのように各社がそれぞれのシステム上でデータの保管やテストを行う場合に比べて、ブロックチェーン上で同一の情報を会社を跨いで1か所にまとめることができれば、はるかに少ないコストでシステムを維持できる」と述べました。 今まではユーザーが保険商品を契約するたびに、KYC(know your customer)と呼ばれる本人確認作業が必須でした。また、保険商品によっては医療機関による診断書、給与明細書など、数種類の書類を用意する必要がありました。しかし、これらの作業はユーザーにとって負担が大きいだけでなく、重要な個人情報の移動に伴う書類の紛失など、重大なリスクも懸念されます。また、契約を他社に乗り換える場合は同様の手続きをもう一度行う必要があったため、ユーザーにとって保険契約の乗り換えのために多大なコストが発生していました。しかし企業連合内で分散型台帳を用いれば、これらの書類を一度提出するだけで、ユーザーは連合内の保険商品であれば気軽に購入できるようになります。 Fintechとブロックチェーンの今後 PwCのGlobal Fintech Report 2017によると、2020年までに決済、送金、デジタルID認証といった用途に用いるため、fintech(フィンテック)に携わる事業者のうちおよそ77%が何らかの形でブロックチェーンを活用することになるだろう、と予想しています。 IndiaFirst Life InsuranceのMohit Rochlani氏は、顧客情報の共有実現のために、連合内で足並みを揃えて、今後協調的にブロックチェーンの導入されていく展望ついて述べました。顧客情報の共有に関して、まだ法的な課題を乗り越える必要があるとしつつも、その先の未来にて実現する大幅なコスト削減と効率向上に期待感を示しました。 今回の13社が共同して分散型台帳を導入する計画は、国際的に活動するコンサルティングファームであるEY社が中心となって複数の外部テクノロジーパートナーと共に進めているようです。EY社のSachin Seth氏は、EY社がHyper Ledger、MultiChain、Cordaといった複数のプラットフォームとのパートナーシップを持っていることを述べた上で、保険業界のビジネス運用において、処理可能なトランザクション量や相互運用性などの点で最適な特徴をもつプラットフォームを模索していくことを示唆しています。 保険詐欺の検知にも使えるブロックチェーン 今回の発表で、13社による企業連合は「顧客データベースの共有による透明性向上と手続きコストの大幅な削減は、企業にとって、また顧客にとってもメリットのある仕組みである」と述べています。IDBI Federal […]

石油産業の構造にブロックチェーンが与えるインパクト

2017年8月30日 BBC編集部 0

  石油産業は、これまでDWC技術(Dividing Wall Column)やペトロリオミクス技術といったような、先進的なテクノロジーを他の業界に先駆けて積極的に取り入れてきました。しかしその一方で、今世紀で最も重要な技術のひとつといわれるブロックチェーンの導入に関しては遅れをとっていると言われています。今回の記事では、ブロックチェーンの導入が、石油産業の構造にどのようなインパクトを与えるかについて注目していきたいと思います。   石油業界の現状と課題 石油に対する世界的な需要は全体的には増加の見込みがある一方で、需要増加分以上に精油所の新設や増設が進み、供給過剰となってしまう可能性もあります。また、需要の増減については地域によって違いがあります。例えば、日本では少子高齢化や自動車の燃費向上によって需要が減少していますが、欧州では域内の製油所の整理が進み、中東などの域外からの輸入需要が増加する動きがあります。アジアでは新興国を中心に需要の伸びが期待されており、豪州では国内需要の伸びに応じて、輸入が増加する見込みです。また環境問題への対策として石油使用の規制が進められ、バイオ燃料への取り組みがさらに強まることも考えられます。 一方、石油の供給面でも構造的に懸念点があります。近年、石油の主要な産出地域である中東地域で政治的不安が広がっています。それを受けて、中東国家の反体制派であるテロ組織などに活動資金が渡らないように、石油の産出元の健全性が求められています。しかし、イスラム国とトルコ国境に不審な石油運送ルートの存在が衛星画像で指摘されるなど、石油への信頼性が大きく揺らぎました。   このように、石油や石油化学産業のサプライチェーンは⑴採掘から精製地、⑵精製地から最終消費者に届けるまでに数多くのプレイヤーを経由するため、非常に大きく複雑な流れになっています。現在の石油業界では、企業間や部署間での取引効率化やセキュリティ向上のため、業界内での合併や戦略的提携の拡大が進められてきました。しかし、これらの課題を低コストで解決できるポテンシャルをもつ、ブロックチェーン技術の活用に業界内で注目が集まっています。 金融や政治の分野で活用されるブロックチェーン 分散型台帳技術とも呼ばれるブロックチェーンは、取引記録の改竄が困難、悪意ある攻撃を受けにくい、容易に取引記録にアクセスでき透明性が高い、などの特徴をもっています。 financeとtechnologyを掛け合わせたフィンテックが進む金融業界では、与信審査やあらゆる業務の効率性を高めるべく、スマートコントラクトや分散型台帳を導入することによってエラー率の減少、取引の高速化、透明性向上に取り組んでいます。ブロックチェーンは他にも、社債取引、送金、詐欺対策、各種の売買取引に活用されており、これらは石油産業においても同様に活用できることが期待されています。世界最大級の産油国であるアラブ首長国連邦(UAE)では、既に行政レベルでブロックチェーンの導入が進んでいます。UAEは“Dubai Blockchain Strategy”を掲げ、2020年までにUAEの全ての政府機関でのブロックチェーン活用を目指しており、今後石油の分野にも進出していくことが期待されます。   石油業界でのブロックチェーン活用の今後の動向 現在の石油産業では、石油生産、精製、運送において、生産者や、供給者、建築業者、下請業者、精製工、小売業者といった幅広い人が関わっています。ここにブロックチェーンを導入することによって分散型台帳を参照することで、各箇所で行われていた膨大な事務処理を大幅に削減することができます。また、ブロックチェーン上で取引が容易に追跡可能になるので、石油取引に透明性を確保することができます。石油産業やガス産業において、取引の透明性向上は、規制管理の面でも非常に重要です。行政機関などの規制を行う主体は、ブロックチェーンの導入によって、取引の規制がきちんと実行できているか管理しやすくなるでしょう。取引コストの削減や、石油のルーツの健全性、取引価格の透明性が求められる石油産業界において、ブロックチェーン導入は1つの大きなキーとなりそうです。   [参考] http://www.ide.go.jp/library/Japanese/Publish/Download/Report/pdf/2007_04_16_05.pdf PwCあらた監査法人、『Industry snapshot: Oil and […]