石油産業の構造にブロックチェーンが与えるインパクト

2017年8月30日 BBC編集部 0

  石油産業は、これまでDWC技術(Dividing Wall Column)やペトロリオミクス技術といったような、先進的なテクノロジーを他の業界に先駆けて積極的に取り入れてきました。しかしその一方で、今世紀で最も重要な技術のひとつといわれるブロックチェーンの導入に関しては遅れをとっていると言われています。今回の記事では、ブロックチェーンの導入が、石油産業の構造にどのようなインパクトを与えるかについて注目していきたいと思います。   石油業界の現状と課題 石油に対する世界的な需要は全体的には増加の見込みがある一方で、需要増加分以上に精油所の新設や増設が進み、供給過剰となってしまう可能性もあります。また、需要の増減については地域によって違いがあります。例えば、日本では少子高齢化や自動車の燃費向上によって需要が減少していますが、欧州では域内の製油所の整理が進み、中東などの域外からの輸入需要が増加する動きがあります。アジアでは新興国を中心に需要の伸びが期待されており、豪州では国内需要の伸びに応じて、輸入が増加する見込みです。また環境問題への対策として石油使用の規制が進められ、バイオ燃料への取り組みがさらに強まることも考えられます。 一方、石油の供給面でも構造的に懸念点があります。近年、石油の主要な産出地域である中東地域で政治的不安が広がっています。それを受けて、中東国家の反体制派であるテロ組織などに活動資金が渡らないように、石油の産出元の健全性が求められています。しかし、イスラム国とトルコ国境に不審な石油運送ルートの存在が衛星画像で指摘されるなど、石油への信頼性が大きく揺らぎました。   このように、石油や石油化学産業のサプライチェーンは⑴採掘から精製地、⑵精製地から最終消費者に届けるまでに数多くのプレイヤーを経由するため、非常に大きく複雑な流れになっています。現在の石油業界では、企業間や部署間での取引効率化やセキュリティ向上のため、業界内での合併や戦略的提携の拡大が進められてきました。しかし、これらの課題を低コストで解決できるポテンシャルをもつ、ブロックチェーン技術の活用に業界内で注目が集まっています。 金融や政治の分野で活用されるブロックチェーン 分散型台帳技術とも呼ばれるブロックチェーンは、取引記録の改竄が困難、悪意ある攻撃を受けにくい、容易に取引記録にアクセスでき透明性が高い、などの特徴をもっています。 financeとtechnologyを掛け合わせたフィンテックが進む金融業界では、与信審査やあらゆる業務の効率性を高めるべく、スマートコントラクトや分散型台帳を導入することによってエラー率の減少、取引の高速化、透明性向上に取り組んでいます。ブロックチェーンは他にも、社債取引、送金、詐欺対策、各種の売買取引に活用されており、これらは石油産業においても同様に活用できることが期待されています。世界最大級の産油国であるアラブ首長国連邦(UAE)では、既に行政レベルでブロックチェーンの導入が進んでいます。UAEは“Dubai Blockchain Strategy”を掲げ、2020年までにUAEの全ての政府機関でのブロックチェーン活用を目指しており、今後石油の分野にも進出していくことが期待されます。   石油業界でのブロックチェーン活用の今後の動向 現在の石油産業では、石油生産、精製、運送において、生産者や、供給者、建築業者、下請業者、精製工、小売業者といった幅広い人が関わっています。ここにブロックチェーンを導入することによって分散型台帳を参照することで、各箇所で行われていた膨大な事務処理を大幅に削減することができます。また、ブロックチェーン上で取引が容易に追跡可能になるので、石油取引に透明性を確保することができます。石油産業やガス産業において、取引の透明性向上は、規制管理の面でも非常に重要です。行政機関などの規制を行う主体は、ブロックチェーンの導入によって、取引の規制がきちんと実行できているか管理しやすくなるでしょう。取引コストの削減や、石油のルーツの健全性、取引価格の透明性が求められる石油産業界において、ブロックチェーン導入は1つの大きなキーとなりそうです。   [参考] http://www.ide.go.jp/library/Japanese/Publish/Download/Report/pdf/2007_04_16_05.pdf PwCあらた監査法人、『Industry snapshot: Oil and […]

アブダビ国立銀行が一部決済システムにリップルを導入

2017年8月18日 BBC編集部 0

アブダビ国立銀行は、いくつかの取引についてリップルネットワークの基盤となっている「XRP Ledger(旧Ripple Consensus Ledger、RCL)」を採用することを発表しました。 リップル(Ripple)とは、銀行がリアルタイムで決済できることを目的として設計されたプロトコルです。リップルを活用することの最大のメリットは、銀行と個人の双方が取引コストを低く抑えられる点にあります。既存の多くの暗号通貨では、トランザクションにかかる時間が長くなりつつあることや、手数料が不安定であるという課題があり、金融取引のような即時性や安定性が求められる場面で用いることに関して、大きな不安がありました。リップルはその点をカバーするような設計となっており、金融機関のビジネスユースにも耐えうると期待されているため、現在金融業界内で大きな注目を集めています。 リップルについてはこちらの記事で詳しく解説しています。 →「リップルとは?-新たな国際送金システムを目指す暗号通貨」 また、リップルネットワークの基盤である「XRP Ledger」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。 →「リップルネットワークの基盤「XRP Ledger」とは?」   国境を越えた取引にリップルを使用するアブダビ国立銀行 2017年6月中旬、アブダビ国立銀行は国際取引にリップルを採用する計画を発表しました。この計画ではアブダビ国立銀行の既存のシステムにXRP Ledgerを統合することで、銀行から リアルタイムで送金を行うことができるとのことです。アブダビ国立銀行のあるアラブ首長国連邦は世界のトップクラスの送金額を誇るため、この連携を通じてリップルが世界中の送金において幅広く利用されるようになるでしょう。 アブダビ国立銀行が リップルを選択した背景には、リップルが国境を越えた取引の効率化に重点を置いており、特に複数の決済ネットワーク間の取引をターゲットとしているという理由が考えられます。   世界中の銀行がリップルの台帳システムに注目している リアルタイムでの送金・決済には、世界中の銀行が関心を示しており、リップルはここ数ヶ月で非常に注目度を増しています。アブダビ国立銀行とリップルネットワークとの提携の成否については、今後も慎重に見ていく必要があると言えるでしょう。アブダビ国立銀行とリップルの提携が成功すれば、リップルと世界中の銀行の間で今後積極的な提携が進む可能性があります。

リップル社がインターレジャープロトコル(ILP)のビットコインプラグインを公開

2017年6月12日 BBC編集部 0

2017年6月1日、リップル社(Ripple, Inc.)は「インターレジャープロトコル(InterLedger Protocol、ILP)」初のビットコインプラグインを公開しました。これによって、ブロックチェーントランザクションを異なる決済ネットワーク上送信することができます。本記事では、その公開内容について解説していきます。 リップルについてはこちらの記事で詳しく解説しています。 →「リップルとは?-新たな国際送金システムを目指す暗号通貨」   インターレジャープロトコル(ILP)とは? 国際送金など複数の金融機関をまたぐ形での取引を行う場合、異なる取引記録データベース(=決済ネットワーク)を経由する必要があるため、大きな時間的・費用的コストがかかります。2015年10月にリップル社が発表した「インターレジャープロトコル」は、複数の取引台帳を接続することで異なる決済ネットワークにまたがる取引を実現します。具体的には、二者間の取引を仲介する「エスクロー」という機能を通じ、異なる決済ネットワーク上の資産をやり取りすることができます。これにより、複数の金融機関やブロックチェーンにまたがる取引をリップルネットワークを介して実行できるようになるため、時間や費用をかけずに取引を行うことができます。このリップルの発表以来、多くの金融機関がブロックチェーンの活用への関心を強めています。 リップルネットワークにおいてブリッジ通貨として発行されているXRPですが、金融機関の多くはKYCコンプライアンスなどセキュリティの問題から暗号通貨を銀行間取引に用いることに消極的です。その一方でブロックチェーンや広義の分散型台帳の活用には積極的であり、リップルネットワーク上のIssurance(イシュアランス、旧IOU)を用いた銀行間取引に向けての取り組みも進められています。一方で、インターレジャープロトコル自体はブロックチェーンではなくあくまで接続システムであり、既存のリップルネットワーク(XRP Ledger)とは独立して存在しています。 また、リップルネットワークの基盤である「XRP Ledger」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。 →「リップルネットワークの基盤「XRP Ledger」とは?」   ILPがビットコインへ対応 インターレジャープロトコルでは既存の決済ネットワークを接続することを目指していましたが、2017年6月にビットコインブロックチェーンへ接続するプラグインを公開しました。2017年6月1日、2日にドイツのベルリンで開催されたBlockchain Expoではリップル社によるデモンストレーションが行われ、パブリックブロックチェーン、プライベートブロックチェーン、中央集権的な取引台帳、従来の決済チャネルなど7つの異なる決済ネットワークを経由する一つのトランザクションが実行されました。これらを通じ、既存の取引チャネルとブロックチェーンの連携が実現されました。将来的には、全ての取引台帳が結びつくことになるかもしれません。 今回は公開されたビットコイン向けプラグインを用いた接続だけでなく、XRPを使用したインターレジャー取引も実行されました。これはXRPエスクローとXRP支払いチャネルの両方を使用して行われるものです。これらの技術により、取引記録の全体をETHに両替し、それらをいったんXRPに両替したのち、それらを最終的にユーロに戻すといったことが、より小さな費用・時間で実行できるようになります。   今後もプラグイン構築は拡大 今後インターレジャープロトコルは接続可能なブロックチェーンをさらに拡大していく予定です。例えば、ライトコインとの接続を可能にすることは、ビットコイン向けプラグインのコードを微調整するだけで可能になると言われています。また、ZcashやLightning Network、PayPalなどにも対応するプラグインを構築していくとのことで、今後もリップル社の発表に注目していきたいです。   リップルについてはこちらの記事で詳しく解説しています。 […]

ブロックチェーンは金融格差を解消できるか?-Everexがマイクロファイナンス・モバイル送金に進出へ

2017年6月9日 BBC編集部 0

MyEtherWallet、CoinTracking、Coinigyなど数々の有名サービスに対しイーサリアムアプリケーションの開発インフラとなるAPIを提供しているEverex社が、2017年5月28日、ブロックチェーン技術を用いたモバイルプラットフォーム上で、マイクロファイナンスや法定通貨の送金が行えるサービスをリリースすることを発表しました。   世界経済にアクセスできない20億の人々にチャンスを与える Everex社は、途上国に暮らす20億人が世界経済からの孤立している原因は、既存の資本運用に関する制度が非効率的であることと、金融インフラが未発達であることだと指摘しています。また、これらの構造が彼らが貧困状態からの脱出および途上国の経済成長をより困難にしている、とも述べています。 この問題に対し、Everex社はモバイル端末を利用したマイクロファイナンス(小口の低金利融資)を施すことで、途上国に暮らす貧困層の人々が安定的な生活を実現するための基盤を提供することで、拡大する金融格差を解消しようとしています。 ユーザーはこのプラットフォームを通して、どんな法定通貨でも自由に選び、借りることができるようになります。その際、モバイル端末上のEverex Wallet(Everex社の提供するウォレットサービス)と連携し、ユーザーの行動・ソーシャルデータ・消費パターンを元に、自動的にそのユーザーの信用スコアや適切な利率・貸付期間およびリスクを算出できるとのことです。 また、ブロックチェーン技術を利用することで法定通貨をCrypto Cash(Everex社の提供する仮想通貨)に交換できるのも大きな特徴となっています。これにより、ユーザーは借り入れ時の法定通貨に縛られることなく、Crypto CashをATMで引き出す際に、そのATMがある国の法定通貨に変換できるので、実質的に安価に国際送金が行えるほか、Crypto Cashが対応しているモバイルサービスの支払いにも利用できるため、利便性が高くなっています。このように小口金融のプラットフォーム上に、安価に国際送金ができるシステムが整備されている点で、従来のマイクロファイナンスと異なります。   今後の展望 Everex社は2016年の段階で、途上国からの国際送金テストを実行済みだそうです。ミャンマーへ出稼ぎにきている100人のタイ人移民労働者たちの協力の元、ミャンマーからタイへ国際送金テストを行った結果、総計850,000タイバーツ(2017年6月2日現在のレートで、約270万円相当)が無事送金され、従来の国際送金コストよりも7%節約することができたとのことです。 このプラットフォームを開発する足掛けとして、2017年夏にICO(暗号通貨やトークンでの資金調達)が行われるそうです。Everex社は、このプラットフォームによって得た利益を自社成長のための再投資につなげるのではなく、ICOで配られたトークンの買い戻しに充てると宣言しており、サービスの成功をトークン保有者と分け合おうとする姿勢が強く感じられます。 ブロックチェーンが世界的な金融格差に切り込んでいく可能性に、これからも注目です。    

リップルネットワークの基盤「XRP Ledger」とは?

2017年6月8日 BBC編集部 0

リップル(Ripple)はネットワーク内であらゆる価値と交換できるようにすることを目的とした決済プラットフォームです。リップルではビットコインと同様に、台帳によって各利用者の取引記録を管理しています。しかしその台帳は「ブロックチェーン」ではなく、より広義の意味を持つ「分散型台帳」(distributed ledger)と呼ばれています。リップルではこの分散型台帳は「XRP Ledger」と呼ばれています。 このXRP Ledgerは、主に法人の国際送金に対応しており、銀行等の途上国への事業拡大にも適した台帳であるとされています。2012年の運用開始以降、XRP Ledgerは、プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work、PoW)の次世代手段として運用されてきました。 このXRP Ledgerがさらにグローバルに採用されるようになるためには、承認システムを分散化し、システムをさらに強化することが必要だとされています。そこで本記事では、XRP Ledgerの仕組みと今後の分散化に向けた取り組みについて解説していきます。 リップルについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてお読み下さい。 →「リップルとは?-新たな国際送金システムを目指す暗号通貨」   これまでのXRP Ledgerの仕組み XRP Ledgerでは、ビットコインブロックチェーンとは異なり、コンピューター計算による取引の承認(マイニング)を行うのではなく、承認者(validator)による投票で承認が行われていました。このプロセスは、ビットコインのプルーフ・オブ・ワークに対して、プルーフ・オブ・コンセンサス(Proof of Consensus、PoC)と呼ばれます。ここでは、80%以上の承認者が有効と判定した取引のみを台帳に記録しています。この仕組みにより、数秒以内という非常に速い時間で、余分な電力の消費もなしに、取引を承認することが可能となっています。 承認者のリストはUNL(Unique Node List、ユニーク・ノード・リスト)と呼ばれ、UNLの各承認者はお互いを承認者として許可することでネットワークを形成しています。リップルの場合、基本的にはリップル社(Ripple Labs, Inc.)が指定するUNLが選ばれており、信頼性が担保されていました。管理者がいなくなってもネットワーク自体は継続されるので完全な中央集権的システムとは言えないものの、実質的にはリップル社が管理主体となるシステムをとっており、一方では非中央集権性が失われてしまうという懸念があがっていました。 […]

リップルとは?-新たな国際送金システムを目指す暗号通貨

2017年1月13日 BBC編集部 0

 現在世界には数百種類を超える暗号通貨(仮想通貨)が発行されており、こうしたビットコインに続く暗号通貨のことをアルトコインと呼びます。今回はその中からリップル(Ripple)の特徴、そして今後の展望について分かりやすく解説していきます。 リップルとは?-グローバルな価値移動を目指す  RippleはシリコンバレーのRipple Labs, Inc.(リップル社)によって開発・運営されています。リップルはそれ自体の価値ではなく、リップルネットワークを通じてあらゆる資産価値をやり取りできる、「グローバルな価値移動のための分散型台帳ネットワーク」を目指しています。Googleが出資しているほか、みずほフィナンシャルグループやSBIホールディングスがリップルを用いて実証実験を行うなど、大きな注目を集めています。 リップルネットワークの基盤である「XRP Ledger」についてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、ぜひあわせてお読みください。 →「リップルネットワークの基盤「XRP Ledger」とは?」   リップルの特徴①-分散型台帳で管理する「IOU」とは?  リップルネットワークは送金を行うユーザーと、ユーザー資産を保有・管理する「ゲートウェイ」によって構成されています。ゲートウェイはユーザーから資産を預かり、IOU(I owe you=借りている)と呼ばれるデジタル借用証書を発行します。IOUは預けた資産を受け取ることができる借用証書であり、資産の所有権を示していると捉えることができます。  そしてユーザーは、このIOUをリップルネットワーク上で取引することで資産の所有権を移転します。たとえばAさんがゲートウェイで100万円と引き換えに受け取ったIOUをBさんが購入した場合、BさんはそのIOUと引き換えにどのゲートウェイでも100万円を受け取ることができるのです。このようにリップルネットワークにおけるゲートウェイは銀行に近い役割を担っています。   リップルの特徴②-プルーフオブコンセンサス(Proof of Concensus)とは?  ビットコインなどで採用されているコンセンサス方式(承認方式)はプルーフオブワーク(Proof of Work、PoW)と呼ばれ、ノードと呼ばれる世界中のコンピュータが膨大な計算を行うマイニング作業を通じて記録者を選び、その承認を行っています。  一方でリップルネットワークにおけるIOU取引の記録作業は、限られた数の承認されたノードによって行われています。これをプルーフオブコンセンサス(Proof of Concensus、PoC)と呼びます。少人数かつ信頼性の高いノードに限って記録・承認を担うことで、プルーフオブワークに必要なマイニング作業での電力消費を抑え、取引承認にかかる時間を数秒以内にまで短縮できます。しかし一方で承認作業を行う者がクローズな状態になってしまうため、非中央集権性が失われてしまう恐れもあります。 […]