ゼロ知識証明とは?ZCash、Ethereumの基盤技術:情報の中身を相手に知らせずに、正しい情報を知っていることを伝える方法

2017年12月13日 BBC編集部 0

ゼロ知識証明とは? 近年、暗号通貨(仮想通貨)コミュニティの間で話題になっている「ゼロ知識証明」、またの名を「Zk-Snark」と呼ばれる技術について紹介していきます。ゼロ知識証明とは、ある人(証明者)が別のある人(承認者)に対して、与えられた情報が「真実である」ということ以外の情報を相手に与えずに、その情報が実際に「真実」であることを証明する手法のことです。 例えば、こちらの実験について考えてみてください。仮に、ここに色を判別することができない「色盲」の方がいらっしゃったとしましょう。そして、ここにそれぞれ色の違う2つのボールがあるとします。 あなたの目にはこの2つが違うボールであると区別することができますが、色盲の方には、2つのボールがまったく同じものに見えていると仮定します。さて、ここで問題です。あなたはこの色盲の方に対して、2つのボールが異なるものであることを証明することになりました。どっちがどのボールであるか、またそれぞれのボールがどの色なのかという情報を、相手に一切与えずに、自分が「2つのボールを見分けることができる(=正しい情報を持っている)」ことを、色盲の方に証明するにはどうすればよいでしょうか?   ここで、ゼロ知識証明の出番です。あなたは下記のような実験をします。 まずはじめに、色盲の方がボールを両手にひとつずつ取り、背中に手を回して隠します。次に、色盲の方が片方のボールをとりだし、あなたに見せます。そして、もう一度ボールを背中に隠したあと、また2つのうちひとつのボールをあなたに見せて、最初に見せたボールと同じものであるか、異なるものであるかを尋ねてきます。色盲の方はボールの色の情報については知りませんが、自分が今どっちのボールを相手に見せているかについて、把握しています。この試行を数回繰り返して、1回目にみせたボールと2回目にみせたボールが、すり替わったかどうかについて答え続けることになります。ここで、色盲の方があなたにどちらのボールをみせるかについては、50%の確率で固定されているものとします。 あなたはボールの色をみることで、ボールがすり替わったかどうかについて「YES/NO」で確実に答えることができます。しかし、2つのボールの区別がつけられない状態でこの試行に挑戦すると、正答率は50%に収束していきます。 すなわち、この試行を何度か繰り返して試行に対する正答率をみることで、あなたが正しい知識を持っているかどうか(本当にボールの区別がつくのかどうか)がわかります。例えばこの正答率50%の試行を10連続でクリアできる確率は1/1024なので、ある程度試行回数を重ねることで、本当に知識を持っているのかどうかについて、知識そのものの情報を相手に知らせずに証明することができます。ゼロ知識証明も、これとまったく同じような仕組みを用いて、相手に情報の中身を一切知らせずに、自分が知っている情報が正しいことを相手に証明します。 情報の中身について公開せずに、知っていることを伝える 今回話題になっている、暗号通貨領域におけるゼロ知識証明では、このボールの色ではなく、ランダムな文字列である「ハッシュ」という情報を用います。証明者(ボールの判別をする人)は、承認者(色盲の人)に対して、試行を通して実際のハッシュの値を公開することなく、ハッシュに関する知識の証明をします。ある規則を用いて元のハッシュを別の値に変換し、「ハッシュ変更の規則は?」「ハッシュ変更後の値は?」という2つの問いかけのうちひとつを証明者に対して問いかけます。(2つとも問いかけると、元の値が明らかになってしまうため、問いかけられるのは片方のみです。)元のハッシュの値を知っていれば、確実に正解を出せるため、同じように試行を繰り返して、本当に正しい知識を保有しているのかどうか、判別していきます。 なぜ現在、このゼロ知識証明のことが話題になっているのでしょうか?暗号通貨のどの領域にこの技術を用いることができるのでしょうか? zk-SNARKとは? 流通量が8億4000万ドル以上もの流通量を誇る暗号通貨であるZCash(ジーキャッシュ、ZEC)は、このゼロ知識証明という技術によって支えられています。ZCashは、ゼロ知識証明を用いることで、トランザクションの完全なプライバシー(匿名性)を実現した世界初のパーミッションレス型の暗号通貨です。ZCashは、シールド(アドレスの匿名化)をネットワークのうちの広範囲に適用することで、攻撃者にとって目当てのトランザクションを掘り当てるコストを大幅に増大させています。これによって攻撃をするインセンティブを削ぐことで、ネットワークの安全性を保つ試みをしています。 ZCashは、ZCashが開発した「zk-SNARK」と呼ばれるゼロ知識証明技術によって支えられています。ZCashは、このzk-SNARKsを用いて、トランザクションのアドレスや送金額といったプライバシーにかかわる重要な情報を隠したまま、トランザクションの正当性を証明することができます。 ZCashは、匿名トランザクションの送り主が、トランザクションの正当性についての試行をクリアすることでネットワークの安全性が担保されています。 ・各匿名トランザクションの、アウトプット値とインプット値の総和が算出されます。 ・送り主は、インプット値のプライベートキーを持っていることを証明することで、トランザクションを使用する権利を入手します。 ・インプットノートのプライベート使用キーは、トランザクション全体の署名と暗号で結びつけられます。このようにして、トランザクションがこのプライベートキーを知らない人によって改ざんされる恐れをなくします。 ZCASHは、①一般アドレスから一般アドレスに送るパブリックトランザクション(一般アドレスは情報が匿名かされていないので、トランザクションの内容が完全に公開されている)、②一般アドレスから匿名アドレスへのトランザクション、③匿名アドレスから一般アドレスへのトランザクション、④匿名アドレスから匿名アドレスへのトランザクション(完全非公開のトランザクション)、の4つの使用パターンにわかれます。このように、プライバシーを保つ技術が確立している点で素晴らしい一方で、マネーロンダリングといった用途に使われることも懸念されています。ビットコインと違い、ZCashでは誰がどんな取引をしたのか特定することはできません。   イーサリアムに導入されたzk-SNARK 最近行われたEthereum(イーサリアム)のByzantiumアップグレードによって、イーサリアムにこのzk-SNARKsの機能が追加されたことで話題になりました。イーサリアムのスマートコントラクトに、この承認アルゴリズムの技術基盤が組み込まれました。イーサリアム上でzk-SNARKsを用いることで、トランザクションのアドレスや送金額といったプライバシーに関わる情報を隠したまま、トークンを送金することができるようになりました。 2017年11月に行われたDevCon3という開発者向けのカンファレンスで、The Open […]

JPモルガンが手のひらを返す:ビットコインをデジタル・ゴールドとして評価するコメント

2017年12月6日 BBC編集部 0

  2017年9月13日、JPモルガンのCEOのJamie Dimon氏がBitcoin(ビットコイン)を「詐欺である」と糾弾したことを受け、ビットコイン相場が直後に24%下落するなどして、一時大きな騒ぎとなりました。これを受け、市場操作の疑惑でJPモルガンはスウェーデンの金融当局から勧告を受けたほか、Blockswater社から同疑惑によって訴追されるなど、問題は後を引いています。しかし、2017年12月5日、JPモルガンのアナリストであるNikolaos Panigirtzoglou氏が、ビットコインを「デジタル空間上の金」として評価するなど、従来の姿勢とは一転したコメントを打ち出しました。 デジタルゴールドとして、ビットコインの信頼性を評価 Nikolaos Panigirtzoglou氏は、 大手の暗号通貨(仮想通貨)取引所が、ビットコインの明るい未来の予測を打ち立てていることは、ビットコインの(資産としての)ポテンシャルの正当性を加味する材料として十分。そのため、暗号通貨市場を一般投資家・機関投資家に向けてアピールする機会は増加するだろう。 と述べており、投資対象としての信頼性が高まっているとの認識を示しているようです。しかし、同社の市場操作ともとれるような発言直後に、ビットコインを大量に買い付けた疑惑もあること、加えてわずか3ヵ月で評価を覆していることから、ビットコインコミュニティの間でJPモルガンに対して反発を示すコメントがあがっているようです。 投資対象としての金とビットコイン 投資対象として、金とビットコインはどちらがより人気か、ということについて以前より投資家の間で討議が交わされています。物理的実体を持ち、希少価値の高い金の方が、投資対象として大きな存在感をみせていました。しかし、猛烈な勢いで急成長を遂げているビットコインが、投資家の目には魅力的に映っており、高い注目を集めつつあることは間違いありません。 2017年12月から1月にかけて、ビットコインは複数のハードフォークを予期しており、分裂後のウオレット事業者や取引所による通貨配当を狙った、投資家による投資が続いているようです。決して安定しているとは言い難いビットコインですが、長期的な価格上昇を予見する投資家もおり、今後の動向は不透明です。人工知能を活用したトレーディングサービスなども登場してきており、2018年にかけて、ますます資本の参入が進んでくる可能性があります。

【ライトニングネットワーク上でのアトミックスワップ】解説記事

2017年11月20日 BBC編集部 0

注目が集まるライトニングネットワーク(Lightning Network)とアトミックスワップ(Atomic Swap) Segwitのアクティベート以来、ビットコインブロックチェーンの署名格納方法が変更されたことで、異なるブロックチェーン間で暗号通貨(仮想通貨)レートに応じて同量のトークンを交換する「atomic swap(アトミックスワップ)」に注目が集まっていました。2017年11月16日、Lightning Labsはライトニングネットワークのテストネット上で、bitcoin(ビットコイン)とLitecoin(ライトコイン)のクロスチェーン・アトミックスワップに成功したことを発表し、大きな注目を集めています。今回の記事では、アトミックスワップとライトニングネットワークの概要、ライトニングネットワーク上のスワップについて説明していきます。 アトミックスワップとは? そもそもクロスチェーン・アトミックスワップとはなんでしょうか。簡潔に説明すると、この言葉は「それぞれ異なるブロックチェーン上にある資産を、ブロックチェーンをまたがって交換を行うこと」を指しています。これは、トランザクション(取引)の「原子性」が保障されたときに、初めて可能となるため、「アトミックスワップ(原子的な交換・両替)」と呼ばれています。 原子性とは? ここでいう原子性とは、なんでしょうか。コンピュータ・サイエンスの分野において、トランザクションシステムが持つべき4つの性質を総称した【ACID特性】というものがあります。このACIDのA(Atomic)に該当するのが、原子性になります。 トランザクションの「原子性」がある状態とは、トランザクションのプロトコルが「AさんとBさんの資産の交換が成功に終わる」、あるいは「AさんとBさんの資産の交換がまったく行われない」という2つの状態のみに収束している状態のことです。すなわち、原子性がある状態では、すべての取引は「All or Nothing」に帰結します。この状態がシステム上で保障されていることで、「AさんがBさんにお金を渡したけれども、Bさんからは何も返ってこなかった」という、資産交換時に相手に持ち逃げされる「リスク」を回避することができます。トランザクションの原子性は、お互いに信頼関係がないプレイヤーの間で取引を行う場合、必須の要件となってきます。 あらためて、ライトニングチェーン上のアトミックスワップとは? ここまでアトミックスワップとは何か、について説明して参りました。ここからは、ライトニングチェーンなどのシステムの部分について、理解を深めていきたいと思います。 今回のライトニングネットワーク上でアトミックスワップが成功したというニュースが話題になっているのは、異なるブロックチェーン間で価値を交換できる技術が実証されたという点もありますが、それ以上に、ライトニングネットワークを利用することによって得られる魅力的なメリットが複数あるから注目されているのだと考えられます。 ひとつは、取引スピードが向上すること。二つ目には、プライバシーが向上すること。そして三つ目には、取引手数料が低下することが考えられます。既存の暗号通貨の取引所は、そのどれもが中央集権的に運営されていますが、アトミックスワップが今後ますます発展すれば、ライトニングネットワーク上に管理者不在の新たな取引インフラが完成する可能性があります。 オンチェーン・スワップ   ※引用元:Connecting Blockchains: Instant Cross-Chain Transactions On […]

ビットコインゴールドのウェブサイト、分裂直後にDDoS攻撃を受けダウン

2017年10月25日 BBC編集部 0

  2017年10月24日、ビットコインブロックチェーンのフォークによって、新しい暗号通貨(仮想通貨)、bitcoin gold (ビットコインゴールド、BTG)が正式に誕生しました。しかし、このビットコインゴールドのクラウドウェブサイトが、継続的にDDoS攻撃の被害にあっていることが判明しました。 マイナーの集中がBTG誕生の契機に ビットコインゴールド誕生の裏側には、中国の大手マイニング業者、LightningAsic社CEOのJack Liao氏がいます。Jack氏は、中国にビットコインの大手マイナーが集中している現状を受け、マイナーの分散化を推し進めるために、通常のCPU/GPUとASIC(マイニングに特化したプロセッサ)のマイニングパワーに差がでない、新たなエコシステムを設計することを目標に掲げています。ビットコイン(BTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)に加えて新たにビットコインゴールド(BTG)が誕生することで、集中しているマイナーが分散することを狙っているようです。しかし分裂して間もなく、開発チームはTwitterにて下記のように、問題が発生していることを報告しました。   “Massive DDoS attack on our cloud site. 10M requests per minute. We are working with the providers […]

ブロックチェーンテクノロジーに熱視線を注ぐアフリカの若い起業家たち

2017年10月24日 BBC編集部 0

  トムソン・ロイター社主催のアフリカサミットにて、ブロックチェーンテクノロジーに関して多くの議論が行われたようです。メディアとマーケティングソリューションを提供するCreative Counsel社のCEO、Ran Neu-Ner氏は、個人や企業がブロックチェーン技術に参入していくべきであると強い主張を行いました。彼は、演説にて「ブロックチェーンはユーザーが取引を行えるという点で、インターネットの革命よりもはるかに革新的です。これは無視しがたいインパクトをもたらします。どのような形でもブロックチェーンの影響を受けない産業はありません。」と述べています。 金融分野に革命をもたらすブロックチェーン Blockchain Academy(ブロックチェーン・アカデミー)のCEO、Sonya Kuhnel氏は、ブロックチェーン技術は、貧困やインフラの未整備などが原因で銀行やその他のシステムにアクセスできない35億人以上の人々を、国際経済の流れのなかに統合することができると述べています。Kuhnel氏は、 「伝統的な大企業や、第三者や仲介者を介さずに、人々がお互いに直接取引できるようになります。取引手数料がはるかに低くなることによって、経済がさらに加速していくことでしょう。」と述べており、今後ブロックチェーンによって人々が低額の手数料でお金を転送し、経済発展に参加することが可能になるシステムが実現する未来を描いています。 Kuhnel氏は個人情報管理と検証の分野にも触れています。演説のなかで、個人情報関連の従来の課題を解決するアプリケーションを開発したスタートアップ企業を紹介しており、ブロックチェーンによって本人確認作業などが効率的に行われるようになり、金融や銀行関連の業務が高速化される未来について示唆していました。 ディスラプションが新たな基軸を生む Ran Neu-Ner氏は、ブロックチェーンが「新しい時代」の突入をもたらしたことを確信しています。 「現代は、(中央集権による)ビッグ・ビジネスの時代の終わりであると同時に、複数の人間がそれぞれバラバラなネットワークに参加する分散化された時代の始まりにあります。今までは「イノベーション」という名の創造が繰り返さえれてきましたが、我々は歴史の中で初めて「破壊と解体」に取り組みはじめました。」と述べています。 また同氏は、企業のデータに対する向き合い方について、このように付け加えています。 「データは通貨です。データに関するすべての意思決定を自分でしていないのであれば、既に取返しがつかない状態になっています。」と述べました。同氏は、ウォルマートやマイクロソフトのような大企業がデータの取り扱いに頭を抱えている中、Nike(ナイキ)を成功例のひとつとして取り上げています。ナイキのCEO、マイク・パーカーは、自社について、スポーツウェアの販売も手掛けている大手データ会社であると語りました。 今回のサミットでは、ブロックチェーンテクノロジーからデータ産業の今後まで、幅広いテーマが取り扱われたようです。現在、新たなスタートアップの出身地としてアフリカの一部地域が高い注目を集めています。今後、アフリカ発のブロックチェーン企業の誕生に期待が高まります。

CarbonXプロジェクトとは?気候変動問題に取り組むカナダのブロックチェーン企業

2017年10月20日 BBC編集部 0

その行動は本当に「環境に優しい」…? 多くの人々が気候変動問題に高い関心を持っている一方で、実際にCO2排出量削減に向けて行動をしている人は少数にとどまります。また「省エネ電球」のような環境に優しい製品を利用することがよしとされている一方で、ヒトはただそれらを「購入した」という事実だけで満足しがちで、その他のCO2排出量の削減行動に結び付くことは稀です。そして、環境に優しいとされる行動を地道に積み重ねている人たちがいる一方で、アメリカのニューヨークからデンバーまで、たった片道分のフライトに乗るだけで乗客1人当たり、車の走行距離12000㎞分に相当するCO2が排出されます。このような現状では、環境に優しい行動を積極的にとろうとするインセンティブが削がれていくばかりです。 CO2排出権をトークンに しかしもし仮に、CO2排出量の少ない、環境に優しい行動をとるたびに換金可能な報酬を得られるようになったら、私たちの行動はどう変わるでしょうか。そんな夢のような計画を進めているのが、カナダにあるブロックチェーン企業であるCarbonX社です。CarbonX社は、国連のREDD+という規定に基づいたCO2の排出権を購入し、代わりに換金可能なCxTトークンを発行しています。 仕組みはこうです。ユーザーが自家用車の代わりにバスに乗ったり、あるいは東南アジアから空輸されてきた食物の代わりに地元の海産物を購入すると、購入が発生したそのタイミングでCxTトークンを受け取ることができます。そして、そのCxTトークンを別の商品の購入にあてがうことができます。例えばホームセンターで「燃費のとても良い芝刈り機」を購入すると、購入時にCxTトークンがもらえ、そのCxTトークンで新たな商品を購入することができます。これらは一見すると複雑なプロセスのように聞こえますが、CarbonX社によると、処理は完全にバックグラウンドで行われるため、ユーザーのシームレスな買い物体験を阻害することはない、とのことです。 ブロックチェーン・レボリューションでも注目されていたカーボン・クレジット ブロックチェーンは当初より、複数産業をまたぐロイヤリティスキーム(ポイントサービスのような、購入時にユーザーが更なる特典を得られるサービスのこと)における活用が期待されていました。「ブロックチェーン・レボリューション ――ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか」の共著者の一人である、Don Tapscott氏は、「カーボン・クレジット(炭素クレジット)はトークン化しやすいため、ブロックチェーンで実装するにはもってこいでしょう。そして、カーボン・クレジットP2Pのオープンネットワークで取引できるようにするためには、今後”価値のインターネット”を実現していくことが不可欠です。」と述べています。ここでTapscott氏の述べている「価値のインターネット」とは、「株式、票、ポイント、知的財産、音楽などのような物理的実体のないものを、銀行や市場など中央集権構造を経由せずに、ブロックチェーン上でトークン化して電子資産としてやりとりできるシステム」のことを指しています。 アプリでCxTトークンを管理する Tapscott氏は、兄弟のBill氏と息子Alex氏、そしてロイヤリティー産業のプロフェッショナルであるJane Ricciardelli氏と協力して、CarbonX社を創業しています。CarbonX社は、小売業者や製造業者を代表してCO2排出権を購入し、各トランザクションから少額の手数料をとることで初期のCO2排出権の購入費用を補填していくようです。CarbonX社は、2018年度の第二期中にリリース予定であるスマートフォンアプリを通して、ユーザーがCxTトークンを買い物で利用できる状態を実現することを目指しているとのことです。例えば、ガソリン代にかかる炭素税の支払いに、CxTトークンを用いる、といったことも可能になるようです。(現在、カナダでは二酸化炭素の排出活動に対して課税を行う、”炭素税”の全土導入が検討されています。) Bill Tapscott氏は、インタビューで小売り業者がCarbonX社のプログラムを利用するメリットについて述べています。CarbonX社のユーザーは、合意の下でアプリ上の「炭素計算機」を利用することができ、効率的なCxTトークンの回収が行えるようになります。ユーザーにメリットを与えると同時に、各ユーザーの日常的に利用している製品や移動手段、各家庭のエネルギー消費活動が可視化されます。CarbonX社のプロジェクトに参加することで、企業はこの匿名ユーザーデータにアクセスすることができるようになる、という仕組みです。実際に、2018年の年初にCarbonX社のプロジェクトに参加するパートナー企業がいくつか発表されるそうです。 市場原理で利益の調整を 従来は、個人がCO2の排出量を緩和する(CO2排出上限を引き上げる)目的で、カーボン・クレジットが利用されることが主でした。しかし、今回の計画は従来とは異なります。Tapscott氏は、個人レベルの排出量制限では個人にとってうまみのある話でなくなる可能性について、懸念していました。平均的なアメリカ人は、年間一人当たり20トンものCO2を排出しているといわれており、これを西部気候イニシアチブの算出する炭素の現行市場価格に照らし合わせると、$400もの価格になるとのことです。1人当たりのCO2排出削減量を20%と仮定すると、年間の収益見込みは$80程度となります。しかし、$80のために習慣となっている行動を変えるユーザーは極めて少ないと考えられます。 この問題に対して、CarbonX社は、トークンの価格を炭素市場の価格から切り離すことを検討しているようです。ひとつの案では、トークンの価値が販売者の設定するトークン付与量に関連づけられるようです。例えば、環境に優しい食器洗い機を購入する場合、報酬として5CxTトークンを付与するか、あるいは3CxTトークンしか付与しないのか、販売者が自由に設定することができます。そしてこれと同時に、トークン価格は取引市場の状況も反映されていくようです。最終的な調整を経て、Tapscott氏らは年間$250をユーザーに還元することを目標としているそうです。 地球規模の問題に取り組むブロックチェーン企業 「気候変動問題は、もはや大きな組織や政府だけに任せておいて解決できる問題ではありません。現在ではまだ、ヒトに何か行動を促すための、効果的な手段は確立されていません。しかしこの誰もが使えるCarbonXのプラットフォームが足がかりとなって、気候変動問題が解決されていくことに期待しています。」とDon Tapscott氏は答えます。今後も地球規模の問題に取り組むブロックチェーン企業、CarbonX社に注目です。

【IOTA創業メンバーDominik Schiener氏 BBC独占インタビュー】前編

2017年10月13日 BBC編集部 0

このたびブロックチェーンビジネス研究会では、IOTAプロジェクトの創業メンバーのひとりであるDominik Schiener氏にインタビューを行いました。IOTAプロジェクトはその発表以来、高い注目を集めており、2017年10月13日現在、暗号通貨(仮想通貨)取引市場での流通量が10番目に高いプロジェクトとなっています。本インタビューでは、IOTAプロジェクトの概要と現在進行中のプロジェクト、今後の展望についてお聞きしました。ぜひご覧ください。   はじめにDominikさんのご自身のことと、現在携っている事業について教えてください。  私の名前はDominik Schienerです。IOTAの設立したメンバーのうちの一人で、現在21歳です。出身はイタリアなのですが、IOTAプロジェクトをDavid Sønstebøと推進するため、現在はベルリンに住んでいます。 私はブロックチェーン技術に2011年頃から注目していました。初めはアルトコインのマイニングをしていて、その後に自分の会社を立ち上げました。私はスイスのザグにあるCrypto Valleyの創設を支援した一人で、ベルリンでIOTAのプロジェクトに携わる前は、ロンドンでも会社を経営していました。私は、分散型台帳技術は高いポテンシャルを持っていると思っていて、特にIoTやAIなど他の技術との掛け合わせに注目しています。私の主要な目的はこの技術を世界に導き、IoTでの最初の時代を切り開いていきたいと思っています。 ありがとうございます。IOTAの紹介と、その歴史について教えていただけますか?  IOTAの創設メンバー(Dominik Schnier氏、David Sønstebø氏、 Sergey Ivancheglo氏( 別名:Come-from-Beyond)、 Serguei Popov氏)は、2010年〜2011年頃からブロックチェーン技術に注目していて、四人全てが多様で相補的なバックグラウンドを持っています。私とDavidは起業家ですが、技術に関する知識も高いです。Sergey Ivanchegloは分散型台帳技術の専門家でSerguei Popovはランダム・ウォーク理論(株式市場の値動きの予測不可能性を論じた理論)と、確率の分野を専門とする数学者です。 我々がブロックチェーン×IoTの探求を始めたきっかけは2つあります。ひとつは、私たちがIoTのもつポテンシャルに早期から気が付いていたこと。もうひとつは、フォグ・コンピューティング(集中型のクラウド・コンピューティングと対立する概念、霧[fog]のような分散型コンピューティングのこと)のミクロプロセスを開発していくための、Jinnという物理的ハードウェアを保有していたことです。 私たちは、ブロックチェーンで実現できることの限界を知っていました。なのでIoTの世界観に特化した、Tangle(タングル)という有向非巡回グラフを用いた全く新しいモデルを開発しました。その後、私たちは2016年2月にICOで1337BTCを調達することに成功しました。   IoT時代に特化しているIOTAプロジェクト IOTAプロジェクトが描いているビジョンについて教えて下さい。 […]

UTRUSTとは?ブロックチェーン取引を加速させるエスクローシステム

2017年10月6日 BBC編集部 0

  ブロックチェーンは総合的ソリューションではない ブロックチェーン技術に期待されている最も重要な機能の1つは、エンドユーザーとビジネスサイドの両方にとって、よりシンプルで安全な支払い方法を提供することです。取引コストの低下、決済速度と匿名性の向上など数々の利点がもたらされることがブロックチェーンには期待されています。しかしその一方で、実際のビジネスをのぞくと、ブロックチェーンはより実務的な場面におけるサポートまでカバーしきれていない、というのが現状です。 買い手側が本当に望んでいるのは、売り手との取引で何らかの問題が発生した場合に、払い戻しや返金の保証などの強力な顧客保護のバックアップを得られることです。売り手側も同様に、ボラティリティに振り回されるなど暗号通貨を受け入れて起こる問題を恐れています。 UTRUSTとは? UTRUSTは、画期的な顧客保護メカニズムを備えた、バイヤーとセラー両方にメリットのある次世代の支払いモデルの開発を目標としています。バイヤーは強力な顧客保護モデルを使って商品やサービスを購入するために、あらゆる主要な暗号通貨を使用することができます。UTRUSTは、Paypalに似た紛争処理システムを備えており、これによって詐欺や不正リスクをほぼゼロに抑えます。UTRUSTは、支払い時期から納期までバイヤーを保護することを保証します。 またセラー側もUTRUSTプラットフォームを利用することで、、暗号通貨のボラティリティによる経営リスクや、取引関連トラブルのリスクを回避することができます。UTRUSTはセラーが同時に複数の暗号通貨を受け入れることを可能にし、価格の変動から売り手を保護しつつ、取引の即時決済を行います。また紛争処理システムによって、売り手はハッキングされたクレジットカードの支払いや、不正なチャージバックを仕掛けるような詐欺を排除することができます。 UTRUSTのしくみ セラーは特定の価格で市場で商品やサービスを提供します。 バイヤーはオファーをチェックし、購入の意思決定をします。 バイヤーは、変換コストの低い主要な暗号通貨の1つで支払うか、または変換費用の掛からないUTRUSTトークンを使用して支払いするか選択することができます。 UTRUSTはエスクローファンドを保有しており、セラーを暗号通貨のボラティリティのリスクから保護するために、、暗号通貨が即座に変換されます。(保持期間は加盟店のパフォーマンス履歴によって異なります) バイヤーは商品やサービスを受け取り、セラーは法定通貨で資金を入手します。 例えば、何らかの理由でバイヤーが品物を受け取らないなど、取引中に想定外の問題が発生した場合、セラーはUTRUSTに対して問題の申し立てをすることができます。バイヤーとセラー同士が自力で問題を解決できない場合、UTRUSTは審判員または仲介者として機能し、バイヤーとセラーからの証拠を収集し、バイヤーに払い戻したり、セラーに資金を出すなど問題の解決を図ります。 Crypto Valleyがブロックチェーンビジネスを育む UTRUSTはCrypto Valleyに加わることを発表しています。ホワイトペーパーによると、2017年9月から始まる、7ラウンドのICOを長期的に見据えているそうです。現在進行中のICOラウンドで$ 1.5mを調達することを目指しているようです。 Crypto ValleyはスイスのZugに拠点を置く有名なブロックチェーンと暗号化技術のコンソーシアムです。かの有名なイーサリアムプロジェクトも、Crypto Valleyに拠点を置いている企業です。この協会は、ビジネスフレンドリーな規制枠組み、ハイスキルな人材のプール、洗練されたインフラストラクチャーのおかげで、若いブロックチェーン企業の育成場として機能しています。スイス政府の支援もあり、新たなイノベーションの拠点としても注目されています。Crypto Valleyのもたらす創発効果と、UTRUSTの今後の動向にも注目です。

Blockchain to Blockchain:今注目されている新たな「B2B」とは?

2017年10月4日 BBC編集部 0

  ブロックチェーン技術は現在、黎明期から普及期へと移行しつつあります。その傾向は、新規ICOプロジェクトの傾向に注視すると読み取ることができます。従来のブロックチェーンプロダクトは、通貨としての利用や、その他の価値の保存目的での利用などに主軸が置かれていました。すなわち、現実世界で起きている問題の解決や、現実世界にある価値の代替物を作る目的で、ブロックチェーンが活用される場合が主でした。 メタアプリケーションのICOが相次ぐ昨今 しかし現在では、ブロックチェーンのエコシステムにおける「メタアプリケーション」の開発に、投資家たちの熱い注目が集まっています。メタアプリケーションとはすなわち、「ブロックチェーン経済圏のなかにおいて発生している問題を解決するプロダクト」のことです。 一般的にメタアプリケーションは、直接的に消費者のニーズを満たすことがない一方で、企業体のニーズを満たすことに特化しています。いわゆるB2B(business-to-business)と呼ばれるビジネス領域に属しています。 昨今、メタアプリケーションを扱うICOプロジェクトが急増している背景には、ブロックチェーンエコシステム全体の「複雑性」が急激な勢いであがっていることが原因として挙げられます。世界を席巻したbitcoin(ビットコイン)という一大暗号通貨が誕生して以来、様々なアルトコイン(ビットコイン以外の暗号通貨)が誕生しました。新たに誕生したアルトコインやブロックチェーンは、それぞれが違う目的を実現するために設計されている一方で、実際のユースケースを見てみると、相互に関係性を持った経済圏が誕生していることがわかります。 巨大なマーケットに食らいつく これにより、異なるアルトコインやブロックチェーン間における、相互運用性や互換性が問題となってきました。暗号通貨の市場規模は、2017年10月現在で17兆円以上と推計されています。そのため、この相互運用性や互換性を実現する機能をもったメタアプリケーションを開発したプレイヤーには、莫大な資金やユーザーが集まる可能性に期待が高まっています。 このようなメタアプリケーションを開発プレイヤーの例として、Aionブロックチェーンを提供している、Nuco社が挙げられるでしょう。Nuco社は、グローバルコンサルティング企業であるDelloite社における、ブロックチェーン専門部門であるRubix社という前身企業をもとに作られているそうです。Nuco社は、銀行から自社のプライベートブロックチェーンを経由して、様々なアルトコインブロックチェーンの架け橋となるような機能を提供しています。社員数は20名ほどであるそうですが、ブロックチェーン技術を数年に渡って扱ってきた豊富な開発経験と、Delloitte社から得られるビジネスコネクションは大きな強みとなるでしょう。Nuco社は、Aionブロックチェーンにいちはやくエンタープライズユーザーを惹きつけ、ネットワーク効果を発揮することで、Aionブロックチェーンの価値を高めることを目指しているようです。 メタアプリケーション開発における3つの壁 しかしこの領域においては、3つの大きな課題が残されています。 一番大きな問題として立ちはだかっているのが、①スケーラビリティの問題です。Ethereum(イーサリアム)のRaidenネットワークが開発されたように、ビットコインのLightningネットワークや、ビットコインブロックチェーンのフォークが行われた背景には、このスケーラビリティ問題があります。 スケーラビリティ問題とは? http://businessblockchain.org/what-is-bitcoin-split-and-its-fundamental-problem これからの企業は、それぞれ大量のデータを含んだブロックチェーンを持つようになることを考えると、ブロックチェーン間のやりとりを担保する中間プレイヤーは、大量のトランザクションを捌けるシステムを開発することが必須となります。 スケーラビリティ問題は、ふたつめの②相互運用性の問題にも絡んできます。あるブロックチェーンから別のブロックチェーンへとデータが移動する場合、プログラムの使用上、互換性がないことや、バグが発生してしまうこと懸念されます。この問題に対処できなければ、メタアプリケーションにとって致命的となります。 そして最後に、③プライバシーの問題が挙げられます。暗号通貨の重要な特徴のひとつとして「取引の透明性」を担保できることが挙げられます。この特徴は活用方法によってはメリットになる一方で、一般に公開されることが望ましくない顧客の個人情報など、企業が扱うセンシティブなデータのやりとりにおいては問題となってきます。 これら3つの大きな課題を乗り越え、なおかつ複雑でリアルタイムなビジネスの取引を運用できる中間プレイヤーが、次の覇権を握るでしょう。 次世代B2Bビジネスの覇権を取るのは誰か? Nuco社のCEOは、「今日、すでに何百と存在しているブロックチェーンですが、じきに数千、数百万ものブロックチェーンが誕生するでしょう。今後のブロックチェーンの発達には、公私の主体を問わず、ブロックチェーン同士のネットワークを構築できるかどうかにかかっています。そして、我々はその実現に向けて活動しています。」と述べています。Nuco社は、EEA(Enterprise Ethereum Foundation、イーサリアム企業連合)の立ち上げメンバーでもあります。 日々混沌さを増しているブロックチェーンビジネスですが、今後この巨大なマーケットを制するプレイヤーが誕生する様子に注目です。

スカンジナビア半島一のキャッシュレス社会を目指すスウェーデン

2017年10月3日 BBC編集部 0

  スウェーデンは世界初のキャッシュレス社会の実現に向けて、急速に計画を進めつつあるようです。このようなニュースは電子通貨コミュニティにとっては朗報ではありますが、同時に様々な問題も懸念されています。ひとつは、すべての取引が可視化されてしまうことにより発生する、プライバシーの問題です。しかし、スウェーデンはbitcoin(ビットコイン)が既存の貨幣制度と同様に、取引の匿名性を保てるとして、注目しているようです。 紙幣のメリットが急速になくなりつつある現代 紙幣や硬貨による価値の取引は、物理的な管理コストがかかってくる上に、取引時に消費者に関するデータを何一つストックすることができないので、企業にとってはほとんどメリットがなくなりつつあります。そのため、スウェーデンを筆頭として、金融界はキャッシュレス社会への移行を推し進めているのが現状です。スウェーデンの中央銀行であるRiksbankの統計調査によると、スウェーデン国内の銀行1600店舗中、およそ900店舗は既に紙幣の保管を行っておらず、紙幣の引き出しや預入にも対応していないそうです。また、ATMの設置台数が徐々に減少しているだけでなく、スウェーデンクローナ(スウェーデンの法定通貨)の流通量自体も、2009年の1060億クローナから、2016年の600億クローナにまで低下しているそうです。 このような背景から、スウェーデンの中央銀行は政府主導型の電子通貨を発行すべきかどうかについて、検討を進めているようです。そして、ビットコインが解決策のうちのひとつとして、期待されています。 カード決済、電子決済が主流のスウェーデン社会 クレジットカード世界最大手であるVisa社によると、スウェーデン国内ではカード払いが主流となっています。そしてこの利用率は、平均的なヨーロッパ社会の3倍ほどとなっています。スウェーデンで広く普及している「Swish」というアプリでは、ユーザーはスマートフォンの電話番号を利用して、銀行口座から別の銀行口座へリアルタイムで送金を行うことができます。Swishの開発者に携わっているプレイヤーとして、Nordea、Handelsbanken、SEB、Danske Bank、Swedbankといった複数の銀行が名を連ねています。 このようにキャッシュレス化が広く歓迎されているスウェーデンですが、その一方でキャッシュレス社会のデメリットとして、携帯電話や銀行口座を保有できない層が社会から締め出されてしまう、ということがあります。しかしビットコインでああれば、利用するにあたって銀行口座を必要としないため、この懸念点を解消することができるかもしれません。キャッシュフローが完全に匿名化されることもないので、現実の貨幣のキャッシュフローに似た状態を作り出すことが考えられます。 キャッシュレスの世界最先端をいくスカンジナビア半島 このようにキャッシュレス化を猛烈な勢いで進めているのはスウェーデンだけではありません。同じスカンジナビア半島に位置しているデンマークも、キャッシュレス社会を目指しています。デンマークの経済産業省は、過去に小売業者や病院や郵便局といった基幹インフラに対して、電子決済の導入を行うように通達しています。事実、デンマーク政府は2030年に「完全キャッシュレス社会」を実現するという目標を発表しています。引き続き、スカンジナビア半島周辺国から発表されるであろう、キャッシュレスソリューションに注目です。