改正資金決済法のポイントと仮想通貨交換業者の注意点

2017年4月19日 池田宣大 0

本年4月1日、仮想通貨に関する改正を盛り込んだ資金決済に関する法律(「資金決済法」)の改正法が施行されました。 これにより、日本では、初めて仮想通貨が法律上に位置づけられることとなり、また、いわゆる取引所の運営者が仮想通貨交換業者として資金決済法の適用を受けることになります。 また、この改正資金決済法の施行を受けて、ビックカメラが、ビットコインによる決済サービスを4月7日より一部店舗で試験導入すると発表しました。ビックカメラの発表では、「今般の改正資金決済法の施行に伴い、ビットコインは安全性が向上し、今後国内での普及が進むことが考えられます。また、ビットコインが先行して普及している海外からの観光客の利用も見込んでおります。」とのコメントも出されており、今回の資金決済法の改正を契機として、ビットコインをはじめとする仮想通貨を利用したサービスの拡大が期待されます。   改正資金決済法の意味 このように、早速ビジネスの現場に影響を及ぼしつつある資金決済法の改正について、その意味を改めて整理してみます。 まず、今回の改正により、仮想通貨交換業者に対して登録制が導入されました。 その結果、仮想通貨を取り扱おうとする事業者の観点からは、仮想通貨の売買や他の仮想通貨との交換等を業として行うためには登録が必要であり、登録をしない限り、仮想通貨の売買等のサービスを提供できないことになりました。 仮想通貨を利用する一般の利用者の観点からは、仮想通貨の購入や売却をするためには、個人間で仮想通貨を交換するようなケースを除くと、基本的には、登録業者を通じてのみ行えることになりました。 また、資金決済法では、仮想通貨交換業者が取り扱うことになる仮想通貨の概念を定義しています(同法第2条第5項)。加えて、仮想通貨交換業者の登録に際して、取り扱う仮想通貨の名称を申請することとされています(同法第63条の3第1項第7号)。そのため、資金決済法上の仮想通貨の定義に該当するものであっても、仮想通貨交換業者が取り扱っていなければ、事実上、その仮想通貨は流通しないことになると考えられます。 このように、資金決済法の改正により、今後は、仮想通貨の売買等を取り扱う事業者や実際に取り扱われる仮想通貨が法律上限定されることになります。 同時に、今回の改正では、マネロン・テロ資金供与対策及び利用者の信頼確保のための法制度が整備され、仮想通貨交換業者には様々な規制が課されることになりました。そのため、仮想通貨交換業者やそのサービスの質が一定程度担保されることが見込まれ、結果として、仮想通貨を利用したビジネスの進展につながる可能性も高まったと考えられます。   法律上の仮想通貨の範囲 次に、資金決済法で定義された仮想通貨の範囲を説明します。資金決済法上、仮想通貨は以下のように定義され、(1)と(2)の2つの種類に分けられています。 (1) 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの (2) 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの (1)がいわゆるビットコインであり、(2)は(1)の要件を満たさないものの、ビットコインと交換可能な他の仮想通貨を意味しています。 上記(1)の内容は一見すると複雑な定義となっていますが、ポイントは以下の3点です。 不特定の者に対して代価の弁済として使用可能であり、かつ、不特定の者を相手方として仮想通貨自体の売買(=法定通貨と交換)が可能であること 電子的に記録・移転が可能であること 法定通貨及び通貨建資産でないこと このうち、①の「不特定の者」との関係という点が重要なポイントです。 具体的には、例えば、プリペイドカード等の前払式支払手段、企業が発行するポイントカード、ゲーム内で利用可能な通貨は、それらを使用できる店舗やゲーム等の範囲が、当該プリペイドカード等の発行者との契約により特定の範囲に限定されることになります。そのため、基本的には「不特定の者に対して代価の弁済として使用可能」という要件を満たさないと考えられ、仮想通貨には該当しないことになります。 また、仮想通貨の発行者が仮想通貨と法定通貨との交換を制限している場合や、仮想通貨と法定通貨との交換市場が存在しない場合は、「不特定の者を相手方として仮想通貨自体の売買(=法定通貨と交換)が可能である」という要件を満たさない可能性があり、その場合は、やはり仮想通貨には該当しないことになります。 […]