ゼロ知識証明とは?ZCash、Ethereumの基盤技術:情報の中身を相手に知らせずに、正しい情報を知っていることを伝える方法

2017年12月13日 BBC編集部 0

ゼロ知識証明とは? 近年、暗号通貨(仮想通貨)コミュニティの間で話題になっている「ゼロ知識証明」、またの名を「Zk-Snark」と呼ばれる技術について紹介していきます。ゼロ知識証明とは、ある人(証明者)が別のある人(承認者)に対して、与えられた情報が「真実である」ということ以外の情報を相手に与えずに、その情報が実際に「真実」であることを証明する手法のことです。 例えば、こちらの実験について考えてみてください。仮に、ここに色を判別することができない「色盲」の方がいらっしゃったとしましょう。そして、ここにそれぞれ色の違う2つのボールがあるとします。 あなたの目にはこの2つが違うボールであると区別することができますが、色盲の方には、2つのボールがまったく同じものに見えていると仮定します。さて、ここで問題です。あなたはこの色盲の方に対して、2つのボールが異なるものであることを証明することになりました。どっちがどのボールであるか、またそれぞれのボールがどの色なのかという情報を、相手に一切与えずに、自分が「2つのボールを見分けることができる(=正しい情報を持っている)」ことを、色盲の方に証明するにはどうすればよいでしょうか?   ここで、ゼロ知識証明の出番です。あなたは下記のような実験をします。 まずはじめに、色盲の方がボールを両手にひとつずつ取り、背中に手を回して隠します。次に、色盲の方が片方のボールをとりだし、あなたに見せます。そして、もう一度ボールを背中に隠したあと、また2つのうちひとつのボールをあなたに見せて、最初に見せたボールと同じものであるか、異なるものであるかを尋ねてきます。色盲の方はボールの色の情報については知りませんが、自分が今どっちのボールを相手に見せているかについて、把握しています。この試行を数回繰り返して、1回目にみせたボールと2回目にみせたボールが、すり替わったかどうかについて答え続けることになります。ここで、色盲の方があなたにどちらのボールをみせるかについては、50%の確率で固定されているものとします。 あなたはボールの色をみることで、ボールがすり替わったかどうかについて「YES/NO」で確実に答えることができます。しかし、2つのボールの区別がつけられない状態でこの試行に挑戦すると、正答率は50%に収束していきます。 すなわち、この試行を何度か繰り返して試行に対する正答率をみることで、あなたが正しい知識を持っているかどうか(本当にボールの区別がつくのかどうか)がわかります。例えばこの正答率50%の試行を10連続でクリアできる確率は1/1024なので、ある程度試行回数を重ねることで、本当に知識を持っているのかどうかについて、知識そのものの情報を相手に知らせずに証明することができます。ゼロ知識証明も、これとまったく同じような仕組みを用いて、相手に情報の中身を一切知らせずに、自分が知っている情報が正しいことを相手に証明します。 情報の中身について公開せずに、知っていることを伝える 今回話題になっている、暗号通貨領域におけるゼロ知識証明では、このボールの色ではなく、ランダムな文字列である「ハッシュ」という情報を用います。証明者(ボールの判別をする人)は、承認者(色盲の人)に対して、試行を通して実際のハッシュの値を公開することなく、ハッシュに関する知識の証明をします。ある規則を用いて元のハッシュを別の値に変換し、「ハッシュ変更の規則は?」「ハッシュ変更後の値は?」という2つの問いかけのうちひとつを証明者に対して問いかけます。(2つとも問いかけると、元の値が明らかになってしまうため、問いかけられるのは片方のみです。)元のハッシュの値を知っていれば、確実に正解を出せるため、同じように試行を繰り返して、本当に正しい知識を保有しているのかどうか、判別していきます。 なぜ現在、このゼロ知識証明のことが話題になっているのでしょうか?暗号通貨のどの領域にこの技術を用いることができるのでしょうか? zk-SNARKとは? 流通量が8億4000万ドル以上もの流通量を誇る暗号通貨であるZCash(ジーキャッシュ、ZEC)は、このゼロ知識証明という技術によって支えられています。ZCashは、ゼロ知識証明を用いることで、トランザクションの完全なプライバシー(匿名性)を実現した世界初のパーミッションレス型の暗号通貨です。ZCashは、シールド(アドレスの匿名化)をネットワークのうちの広範囲に適用することで、攻撃者にとって目当てのトランザクションを掘り当てるコストを大幅に増大させています。これによって攻撃をするインセンティブを削ぐことで、ネットワークの安全性を保つ試みをしています。 ZCashは、ZCashが開発した「zk-SNARK」と呼ばれるゼロ知識証明技術によって支えられています。ZCashは、このzk-SNARKsを用いて、トランザクションのアドレスや送金額といったプライバシーにかかわる重要な情報を隠したまま、トランザクションの正当性を証明することができます。 ZCashは、匿名トランザクションの送り主が、トランザクションの正当性についての試行をクリアすることでネットワークの安全性が担保されています。 ・各匿名トランザクションの、アウトプット値とインプット値の総和が算出されます。 ・送り主は、インプット値のプライベートキーを持っていることを証明することで、トランザクションを使用する権利を入手します。 ・インプットノートのプライベート使用キーは、トランザクション全体の署名と暗号で結びつけられます。このようにして、トランザクションがこのプライベートキーを知らない人によって改ざんされる恐れをなくします。 ZCASHは、①一般アドレスから一般アドレスに送るパブリックトランザクション(一般アドレスは情報が匿名かされていないので、トランザクションの内容が完全に公開されている)、②一般アドレスから匿名アドレスへのトランザクション、③匿名アドレスから一般アドレスへのトランザクション、④匿名アドレスから匿名アドレスへのトランザクション(完全非公開のトランザクション)、の4つの使用パターンにわかれます。このように、プライバシーを保つ技術が確立している点で素晴らしい一方で、マネーロンダリングといった用途に使われることも懸念されています。ビットコインと違い、ZCashでは誰がどんな取引をしたのか特定することはできません。   イーサリアムに導入されたzk-SNARK 最近行われたEthereum(イーサリアム)のByzantiumアップグレードによって、イーサリアムにこのzk-SNARKsの機能が追加されたことで話題になりました。イーサリアムのスマートコントラクトに、この承認アルゴリズムの技術基盤が組み込まれました。イーサリアム上でzk-SNARKsを用いることで、トランザクションのアドレスや送金額といったプライバシーに関わる情報を隠したまま、トークンを送金することができるようになりました。 2017年11月に行われたDevCon3という開発者向けのカンファレンスで、The Open […]

JPモルガンが手のひらを返す:ビットコインをデジタル・ゴールドとして評価するコメント

2017年12月6日 BBC編集部 0

  2017年9月13日、JPモルガンのCEOのJamie Dimon氏がBitcoin(ビットコイン)を「詐欺である」と糾弾したことを受け、ビットコイン相場が直後に24%下落するなどして、一時大きな騒ぎとなりました。これを受け、市場操作の疑惑でJPモルガンはスウェーデンの金融当局から勧告を受けたほか、Blockswater社から同疑惑によって訴追されるなど、問題は後を引いています。しかし、2017年12月5日、JPモルガンのアナリストであるNikolaos Panigirtzoglou氏が、ビットコインを「デジタル空間上の金」として評価するなど、従来の姿勢とは一転したコメントを打ち出しました。 デジタルゴールドとして、ビットコインの信頼性を評価 Nikolaos Panigirtzoglou氏は、 大手の暗号通貨(仮想通貨)取引所が、ビットコインの明るい未来の予測を打ち立てていることは、ビットコインの(資産としての)ポテンシャルの正当性を加味する材料として十分。そのため、暗号通貨市場を一般投資家・機関投資家に向けてアピールする機会は増加するだろう。 と述べており、投資対象としての信頼性が高まっているとの認識を示しているようです。しかし、同社の市場操作ともとれるような発言直後に、ビットコインを大量に買い付けた疑惑もあること、加えてわずか3ヵ月で評価を覆していることから、ビットコインコミュニティの間でJPモルガンに対して反発を示すコメントがあがっているようです。 投資対象としての金とビットコイン 投資対象として、金とビットコインはどちらがより人気か、ということについて以前より投資家の間で討議が交わされています。物理的実体を持ち、希少価値の高い金の方が、投資対象として大きな存在感をみせていました。しかし、猛烈な勢いで急成長を遂げているビットコインが、投資家の目には魅力的に映っており、高い注目を集めつつあることは間違いありません。 2017年12月から1月にかけて、ビットコインは複数のハードフォークを予期しており、分裂後のウオレット事業者や取引所による通貨配当を狙った、投資家による投資が続いているようです。決して安定しているとは言い難いビットコインですが、長期的な価格上昇を予見する投資家もおり、今後の動向は不透明です。人工知能を活用したトレーディングサービスなども登場してきており、2018年にかけて、ますます資本の参入が進んでくる可能性があります。

IOTAがデータ販売市場の確立へ:CISCO、Volkswagen、Samsungグループとパートナーシップ

2017年11月29日 BBC編集部 0

  2017年11月28日、IoTに特化した暗号通貨(仮想通貨)を提供するIOTA(アイオータ)プロジェクトが、世界有数のグローバル企業であるCisco Systems社、Volkswagen AG社、Samsung Group社を筆頭とする、複数の企業とパートナーシップを締結したことを発表しました。発表に際し、IOTAの共同創業者のひとりであるDavid Sønstebø氏は、今後これらの企業と協力し、安全なデータ市場を構築していく狙いについて述べました。 IOTA上で分散型データ販売市場を確立へ このプロジェクトでは、企業間でデータが売買できる市場を設立することを目指しているとのことです。IOTAによると、現在世界では一日あたり2.5京バイトものデータが生成されており、その量は毎月指数的な増加曲線を描いているとのことです。しかし、これらのデータはセキュリティが整っていないがために、99%が利用されていないという現状があるそうです。 Sønstebø氏は、 「いかなるデータにも金銭的価値がある。例えば、あなたが個人で気象観測器を保有しており、風速、気温、湿度、その他気象データを収集したとすれば、それらのデータは気象調査を行っている団体に販売することができる。私たちが目標としているのは、多様でオープンなデータ市場の確立である。それによって、企業や個人間でデータの流れが発生するようなインセンティブが生まれると考えている。」 と述べました。 BBC編集部では、過去にIOTAの創業メンバーのひとりであるDominik Schiener氏に独占インタビューを行っています。IOTAプロジェクトの目指す先について、詳しく述べています。ブロックチェーンとIOTAプロトコルの違いなどについては、こちらの記事にてご確認ください。 インタビュー記事はこちら 【IOTA創業メンバーDominik Schiener氏 BBC独占インタビュー】前編 国家・大企業とプロジェクトを進めるIOTA データは、IOTAの分散型台帳に記録されたと同時に、ブロックチェーンネットワークに接続している無数のノードに分配され、第3者による改ざんが不可能な状態になります。こうして安全性が確立した状態で、自由にデータを売買できる状態を実現することを目指しているようです。今回、IOTAとパートナーシップを結んだ企業は、今後それぞれの業界内においてデータを供給する役割を果たしていくようです。 ブロックチェーンの抱える課題でもある、スケーラビリティや取引手数料の問題を乗り越えると期待されているIOTAですが、IoTの機器間でのデータのやりとりなどで、今後活躍する機会が増えていくと期待されます。引き続き、IOTAの動向に注目です。

ニュージーランド航空、スイスのブロックチェーンスタートアップと連携へ

2017年11月24日 BBC編集部 0

2017年11月22日、ニュージーランド航空がスイスのブロックチェーンスタートアップであるWinding Tree社と連携することを発表しました。今後はニュージーランド航空のサービスの効率やセキュリティの面をブロックチェーンを用いて改善していくそうです。予約システムや、荷物のトラッキングシステムにブロックチェーンが用いられていくようです。 旅行業界に攻め入るWinding Tree社 発表によれば、ニュージーランド航空は2018年1月に予定されているWinding Tree社のトークンセールICOに参加し、投資を行うとのことです。ただし、同社の具体的な投資額については未公開となっています。ニュージーランド航空のデジタル部門長のAvi Golan氏は発表のなかで、ブロックチェーンについてまだまだ活用範囲を探っている段階としつつも、貨物や旅客手荷物の管理、チケットの販売・流通管理、ロイヤリティプログラム(マイレージなど)の展開など、様々な場面に用いることができる可能性について期待感を示しました。 「ブロックチェーンのもたらすメリットについて我々はまだまだ探っている段階にいますが、航空券の販売など、既存のチャンネルを合理化させることに用いることができるかもしれません。」 販売プロセスの複雑性をさげることで、ニュージーランド航空の顧客の手続きコストを削減すると同時に、情報管理のセキュリティを向上させることができるとしています。 テクノロジーの導入を進めるニュージーランド航空 Winding Tree社は、中間業者を介さずに直接的に航空券やホテルの在庫を販売するための分散型の航空券市場を、Ethereum(イーサリアム)ブロックチェーン上で提供している会社です。 ニュージーランド航空はこれまで、イノベーションの実現とサービス品質向上に向けて、サードパーティーの会社と連携してきたことを改めて強調しています。例えば、過去にはOscar社と連携して、ニュージーランド航空のアプリ内でAIチャットボットを展開するなどしてきたそうです。また、同社はオーストラリアのシドニー航空のチェックインカウンターで「Chip」というソーシャルロボットを導入する実験を2017年初頭に行っていたそうです。 ※こちらがChipです。目の部分にあるカメラに航空券のQRコードをかざすとチェックインできるそうです。 過去にお知らせしましたように、ルフトハンザ航空も同じく2017年10月10日にWinding Tree社と提携しています。ルフトハンザ航空も、中間業者を迂回してコストの低下をはかるなどしてユーザーの利便性を高める試みをしていますが、ニュージーランド航空とは少しチャレンジしようとしている事業領域は異なるようです。スタートアップながら勢力範囲をますます拡大しているWinding Tree社と航空・旅行業界の今後に注目が集まります。 ルフトハンザ航空とWinding Tree社の提携についてはこちら http://businessblockchain.org/lufthansa_windingtree_partnership_blockchain

【ライトニングネットワーク上でのアトミックスワップ】解説記事

2017年11月20日 BBC編集部 0

注目が集まるライトニングネットワーク(Lightning Network)とアトミックスワップ(Atomic Swap) Segwitのアクティベート以来、ビットコインブロックチェーンの署名格納方法が変更されたことで、異なるブロックチェーン間で暗号通貨(仮想通貨)レートに応じて同量のトークンを交換する「atomic swap(アトミックスワップ)」に注目が集まっていました。2017年11月16日、Lightning Labsはライトニングネットワークのテストネット上で、bitcoin(ビットコイン)とLitecoin(ライトコイン)のクロスチェーン・アトミックスワップに成功したことを発表し、大きな注目を集めています。今回の記事では、アトミックスワップとライトニングネットワークの概要、ライトニングネットワーク上のスワップについて説明していきます。 アトミックスワップとは? そもそもクロスチェーン・アトミックスワップとはなんでしょうか。簡潔に説明すると、この言葉は「それぞれ異なるブロックチェーン上にある資産を、ブロックチェーンをまたがって交換を行うこと」を指しています。これは、トランザクション(取引)の「原子性」が保障されたときに、初めて可能となるため、「アトミックスワップ(原子的な交換・両替)」と呼ばれています。 原子性とは? ここでいう原子性とは、なんでしょうか。コンピュータ・サイエンスの分野において、トランザクションシステムが持つべき4つの性質を総称した【ACID特性】というものがあります。このACIDのA(Atomic)に該当するのが、原子性になります。 トランザクションの「原子性」がある状態とは、トランザクションのプロトコルが「AさんとBさんの資産の交換が成功に終わる」、あるいは「AさんとBさんの資産の交換がまったく行われない」という2つの状態のみに収束している状態のことです。すなわち、原子性がある状態では、すべての取引は「All or Nothing」に帰結します。この状態がシステム上で保障されていることで、「AさんがBさんにお金を渡したけれども、Bさんからは何も返ってこなかった」という、資産交換時に相手に持ち逃げされる「リスク」を回避することができます。トランザクションの原子性は、お互いに信頼関係がないプレイヤーの間で取引を行う場合、必須の要件となってきます。 あらためて、ライトニングチェーン上のアトミックスワップとは? ここまでアトミックスワップとは何か、について説明して参りました。ここからは、ライトニングチェーンなどのシステムの部分について、理解を深めていきたいと思います。 今回のライトニングネットワーク上でアトミックスワップが成功したというニュースが話題になっているのは、異なるブロックチェーン間で価値を交換できる技術が実証されたという点もありますが、それ以上に、ライトニングネットワークを利用することによって得られる魅力的なメリットが複数あるから注目されているのだと考えられます。 ひとつは、取引スピードが向上すること。二つ目には、プライバシーが向上すること。そして三つ目には、取引手数料が低下することが考えられます。既存の暗号通貨の取引所は、そのどれもが中央集権的に運営されていますが、アトミックスワップが今後ますます発展すれば、ライトニングネットワーク上に管理者不在の新たな取引インフラが完成する可能性があります。 オンチェーン・スワップ   ※引用元:Connecting Blockchains: Instant Cross-Chain Transactions On […]

KPMGがウォールストリート・ブロックチェーンアライアンスに加入

2017年11月17日 BBC編集部 0

2017年11月17日、世界4大会計事務所の一角であるKPMGが、アメリカ・ニューヨーク州の金融街を中心に活動している、ウォールストリート・ブロックチェーンアライアンス(WSBA、Wall Street Blockchain Alliance)に加入する署名を行ったことが、WSBA公式サイトのプレスリリースにて発表されました。 金融業界で進むブロックチェーンの導入 今回加入したことによって、KPMGはWSBAのボードメンバーに追加されました。今回のKPMGの加入によって、WSBA、ひいてはブロックチェーン技術全般の発展がますます進んでいくものと思われます。WSBAの議長であるRon Quaranta氏は「世界有数のサービス会社であるKPMGが、地球上のあらゆるブロックチェーン・イノベーションの最先端の現場に立ち会うことになった。私たちは、KPMGと共に、金融分野を超えて世界中でブロックチェーン革命が起きていくことを前向きに望んでいる。」と述べています。 今回の発表は、ブロックチェーン技術が大企業レベルにまで浸透してきたことを象徴する出来事といえるでしょう。近日ブロックチェーンの導入を発表した企業として、Mastercard、Bank of America、そしてAmerican Expressが挙げられます。特にAmerican Expressに関しては、同じく2017年11月17日に、Ripple社(リップル)のシステムを組み込んだことが発表されたばかりということもあり、いかに金融業界がブロックチェーンの導入でしのぎを削っているかが伝わってきます。 ブロックチェーンの推進 ≠ 暗号通貨の推進 ただし、ここでいう「ブロックチェーン」の意味する文脈については注意を払う必要があります。すなわち、「ブロックチェーン」は歓迎されていても、必ずしも「暗号通貨(仮想通貨)」が歓迎されているわけではない、ということです。しかし、今後も大企業の参入の発表が続いてくれば、「ブロックチェーン」をダークテクノロジー(未知の怪しいテクノロジー)として扱う、従来の懐疑的な目線は徐々になくなっていくことでしょう。 ブロックチェーンスタートアップであるCOTI社のCTOであるAdam Rabie氏は「企業のブロックチェーンへの参入は、アンダーグラウンドなテクノロジーといわれていたブロックチェーンが、マスへ拡大していくにあたって必須ともいえる要素です。ブロックチェーンを導入する有名企業とインフルエンサーの増加によって、ブロックチェーンに対する誤解が解け、メリットが世間に徐々に浸透していくことでしょう。」と述べています。日本国内でも、DMMやGMOといった大手IT企業がブロックチェーン技術を活用したサービスの発表をはじめ、日本でも「ビットコイン」を中心に、徐々に知名度が向上しています。しかしその背後にあるブロックチェーンの概念が世間に広く浸透するまでには、もう少し時間を要しそうです。国際的にみても暗号通貨への投資額が高いとされる日本ですが、ブロックチェーンへの「正しい理解」が進むことを願います。

音楽・イベント産業で活躍するブロックチェーンスタートアップ5社

2017年11月15日 BBC編集部 0

  今回の記事では、音楽・イベント産業において活躍している、海外のブロックチェーンスタートアップを5社、紹介していきたいと思います。音楽・イベント産業は、大企業が絶大なパワーを有しており、彼らの後ろ盾なしには個人のアーティストが大きな成功をつかむことは難しくなっています。 このようにパワーバランスが偏った業界において、ブロックチェーン技術を武器に戦う新規参入者が、どのように展開していくかに注目が集まっています。またパワーバランスの問題だけでなく、チケットの転売問題など、長年イベント産業を悩ませてきた様々な問題をブロックチェーンが解決する可能性についても述べていきます。 イベント産業をディスラプトする 1.KickCity KickCityの創業者は、市場規模30億ドルと見積もられている巨大産業である、イベント業界の抱えている問題について指摘しています。今日の世界では、1分あたりに100個以上ものイベントが同時に開催されていますが、イベントオーガナイザーやイベント代理店は、常に複数の問題に直面しています。彼らは自身のイベントのマーケティングや宣伝を行うにあたり、クレジットカード会社や銀行に多額の手数料を支払っていることに加え、チケットの転売や詐欺といった問題にも対処を行っていかなければなりません。イベントの予算のうち、およそ20%がマーケティング活動に用いられているとされるなか、半分以上のイベントオーガナイザーは集客率の低さに頭を抱えています。加えて、26.4%のイベントオーガナイザーは、どのオンラインツールを用いてイベントの集客を行えばいいのか把握できていないとのデータが出ており、非効率的なオンライン広告事業者に振り回されている可能性があります。 既存のオンライン広告配信プラットフォームは、ユーザーに多大な費用を負担させるようにデザインされている、といえます。しかしKickCityの提供するサービスは、既存のサービスとは対照的です。KickCityは、オフラインイベント参加者を母体とする、評価経済型のコミュニティプラットフォームで、ブロックチェーンベースで分散的に運営されています。KickCityのユーザーは、身の回りのローカルイベントを発掘して、イベントと潜在的な参加者となりそうな人をつなぐ(=宣伝する)ことで、デジタルトークンを得ることができる、というモデルになっています。 ブロックチェーンを用いることで、KickCityはイベント産業における非効率的な中央集権プレイヤーや第三者機関を回避して手数料を削減しつつ、分散型評価経済プロモーションシステムを用いてイベントオーガナイザーの業務時間を50%まで削減することに成功している、とのことです。 全体の透明性向上にブロックチェーンを 2.Crypto.Tickets 偽物のチケットによって、イベントオーガナイザー、チケット販売プラットフォーム、チケット転売事業者は長年の間苦しめられてきました。例えば2017年上旬、Ed Sheeran(イギリスのシンガーソングライター)のファンたちが、非正規のチケット販売業者から定価の8倍もの価格でチケットを購入した結果、会場で偽物であることが判明したために、10000人ものファンがコンサートイベントへの入場を拒否されるという出来事が発生しています。 Crypto.Ticketsは、このようなチケット詐欺を未然に防ぐことを目的として開発されたブロックチェーンプラットフォームです。イーサリアムブロックチェーンとスマートコントラクトを用いることで、Crypto.Ticketsはチケットを暗号化して正当性を保護することができるのです。Cryptp.Tickets社の創業者であるEgor Egerev氏は、「ブロックチェーンは既存のプレイヤー間のコミュニケーションを塗り替え、予約に関するすべての手続きの透明性を向上させることができます。イベントオーガナイザーはチケットに対して、それぞれジャンルや価格設定、交換、返金、転売ポリシーなど複雑なルールを設定しています。スマートコントラクトによってCrypto-ticketはこれらの全てをブロックチェーン上で実現しています。同時に、チケットを購入する顧客は、そのチケットが正真正銘のホンモノであることの確信を持つことができます。我々は、どのようなチケット販売システムでも利用できるブロックチェーンプラットフォームを開発しようとしています。」と述べています。 中央集権構造が利益の一極集中を招いている 3.Vibrate Viberate社は、音楽産業におけるプロモーションまわりの中央集権的な構造について、こう述べています。 「高度に中央集権化された構造では、極一部のプレイヤーに利益が集中し、大多数の小規模プレイヤーはもがき苦しむことになります。音楽産業におけるアンダーグラウンドで小規模なライブハウスやレーベルに所属しているイベントオーガナイザーは、大企業によって、収益構造の蚊帳の外に置かれています。」 今日の大規模なチケット予約代理店や、中央集権化されたチケット販売プラットフォームにマネーが集中しているライブミュージック産業のエコシステムにおいて、タレント・エージェンシー(タレント事務所)の恩恵に預かれるアーティストはごく少数に留まります。タレント・エージェンシーの後ろ盾がないアーティストは、マーケティング、セールス、ネットワーキング、リーガル、税制、資金調達といった様々な問題を自力で解決せねばならず、本業であるクリエイティブな活動に専念することが難しくなります。 同時に一方で、イベントオーガナイザーは、イベントに登場してくれるアーティスト探しに奔走しますが、当日ドタキャン、低クオリティなパフォーマンス、支払いの滞りといった様々なリスクに向き合う覚悟で仕事に臨まなければなりません。 Viberateはライブミュージック産業のグローバル市場を構築しようとしているブロックチェーンスタートアップです。Ethereum(イーサリアム)ブロックチェーンを用いてミュージシャンと予約情報の管理をし、スマートコントラクトを用いてチケットの販売を行います。Viberateは現在、タレント・エージェンシーやチケット販売業者とのパートナーシップを結ぶことを計画していますが、彼らの最終的なゴールは、世界中にいる、事務所の後ろ盾のないアーティストとイベントオーガナイザーのマッチメイキングをするプラットフォームを展開することにあります。 ミュージシャンは、このプラットフォームをプロモーションや露出媒体として用いることができる一方で、プロモーターにとってはイーサリアムブロックチェーンによる支払いシステムを、分散型のエスクローシステムとして用いることができます。 既存の配信プラットフォームと比較して、20倍の収益が見込める 4.TokenFM TokenFMは、既存のメディアが抱える問題点に対してブロックチェーンを用いた世界初の企業です。TokenFMは、メディアの分散化を推し進めるとともに、アーティストとファンを直接結び付ける活動をしています。 […]

欧州委員会が賞金500万ユーロのブロックチェーン開発コンテストを開催

2017年11月10日 BBC編集部 0

  分散型台帳技術を用いて社会課題を解決せよ 2017年11月、EUは”Blockchains for Social Good”(社会貢献のためのブロックチェーン)と題したブロックチェーンの開発コンテストを開催することを発表しました。このコンテストでは、社会課題の解決に向けた、透明性と分散性の高いソリューションのエントリーを受け付けています。   コンテスト詳細ページはこちら https://ec.europa.eu/research/eic/index.cfm?pg=prizes_blockchains コンテストのWebページには、選考基準として①ソリューションに社会的インパクトがあること、②透明性と分散性を兼ね備えていること、③実用的であること、④スケーラビリティがあることなどが挙げられています。欧州委員会は、特に実用的なDLT(Distributed Ledger Technology、分散型台帳技術)を用いたアプリケーションの開発を望んでいるそうです。 委員会メンバーのひとりは「ブロックチェーンの持つポテンシャル(中央集権構造・中間構造を回避する力)を、地球規模の持続可能にする挑戦に対して十分に用いられていない」と述べています。 持続可能な発展を目指して ブロックチェーンを用いて透明性の向上をはかることは、欧州委員会の長年に渡る課題でした。2017年8月、欧州委員会副総裁のValdis Dombrovskis氏は、委員会はデータ会社の情報を国家データベースと共有できるようにする目的で、Financial Transparency Gateway(経済活動の透明性向上のためのゲートウェイ)を構築することを宣言していました。 法人格を持っていれば、個人・法人問わず、EU内外のどこからであっても、コンテストに応募することができるそうです。エントリーの締め切りは2019年中旬頃を予定しており、2020年初頭に優勝者の発表が行われるそうです。 コンテストには、今までブロックチェーン技術の支援に当てられた金額の累計総額が支給されるとのことで、EUがHorizon2020フレームワークの実現に向けてスタートアップ6社に対して既に投資された500万ユーロ相当の金額が、リストアップされているようです。ヨーロッパではブロックチェーンビジネスへの支援が積極的に進められており、今後もその動向に注目です。 Horizon2020に関する記事はこちら EUによるブロックチェーン企業への投資額が累計500万ユーロを突破

ロシア観光庁長官がブロックチェーンの旅行産業へのインパクトについて言及

2017年11月9日 BBC編集部 0

  ロシアの観光庁長官のOleg Safanov氏は、ブロックチェーンがロシアの観光業界を塗り替える可能性について言及しました。ブロックチェーンのような新しいテクノロジーによって、産業全体が塗り替えられる直前であることについても述べています。 長期的インパクトに注目が集まる 2017年11月初頭に、ロシア連邦内タタール共和国の首都カザンにて行われた、カザン・ツーリズムフォーラム2017冒頭のスピーチにて、Safanov氏はブロックチェーンが観光客に提供されるサービスの品質を向上させる可能性について述べました。ブロックチェーンによって、中間業者や第三者機関を経由せずに、観光客が直接サービス提供者とやりとりできる可能性について述べました。 「観光庁内部では、ブロックチェーンがツーリズム市場に大きな変化を起こすことは間違いない、と考えている。ただし、この変化は2年以内ではなく、5年から10年といった(比較的長期な)タイムスパンで起こるだろう。ブロックチェーンによって、サービスの質が向上すると同時にコストも低下し、かつサービス提供者に求められる責任も向上するだろう。」 とコメントしています。 文化的背景からくるサービス品質への懸念? ロシアには年間2500万人ほどの観光客が訪れている一方で、スペインやトルコ、エジプトといった観光大国の国々がライバルとして立ちはだかっています。ロシアでは見知らぬ人に対してはあまり笑顔をみせず、不愛想な対応をすることが文化的習慣として根付いており、海外の観光客からはサービス品質が低いと誤認されている可能性があります。ブロックチェーンを通じてよりサービス提供者はより直接的に観光客相手にビジネスを展開することになると同時に、国際的な競争環境に身を置くことになります。ブロックチェーンによって、今後ロシアはより観光客にフレンドリーなスタイルに変化していくかもしれません。 観光産業における中間事業者を迂回する手法については、先日のルフトハンザ航空の投資先企業である、スイスのスタートアップ Winding Tree社のことが思い浮かぶ方がいらっしゃるかもしれません。オンライントラベル産業が急成長を遂げたこの10年ですが、ブロックチェーンによってまだまだ環境が変化する可能性があります。 Winding Tree社についてはこちらから ルフトハンザ航空がスイスのブロックチェーン企業と提携、ICOへ   ロシア政府トップは現在、暗号通貨(仮想通貨)への慎重な態度を示しています。2017年10月28日には、プーチン大統領とメドヴェージェフ首相は議会に対して、国内のマイニング事業者を登録制に変更するように議論を進めている他、「ルーブルが国内唯一の通貨である」とする法律の解釈の変更についても議論を進めているようです。ロシア政府は、ICOを法の下に置きたいという狙いがある一方で、国家暗号通貨である「クリプトルーブル」の発行を目指していると報道しているメディアもあり、議会の結論が出る2018年7月頃までに様々な議論が起こりそうです。 規制か、援護か このように暗号通貨に対しては厳しい姿勢をみせているロシアですが、国有銀行であるSberbankの金融インフラシステムにEthereum(イーサリアム)を組み込む実験を計画するなど、ブロックチェーン技術そのものには前向きな姿勢で取り組んでいることが伺えます。2017年10月、ロシア政府は2018年初頭に、土地登記のシステムにブロックチェーンを組み込むパイロットテストを行うことを発表しています。当時の経済産業省の提示した草案資料によると、ブロックチェーンを用いて国有の土地情報登録システム内の情報へのアクセシビリティを向上させることと、土地の所有権を明白にする目的で利用を計画しているようです。 引き続き、規制情報も含め、ロシアのブロックチェーン産業の動向に注目です。