ゼロ知識証明とは?ZCash、Ethereumの基盤技術:情報の中身を相手に知らせずに、正しい情報を知っていることを伝える方法

2017年12月13日 BBC編集部 0

ゼロ知識証明とは? 近年、暗号通貨(仮想通貨)コミュニティの間で話題になっている「ゼロ知識証明」、またの名を「Zk-Snark」と呼ばれる技術について紹介していきます。ゼロ知識証明とは、ある人(証明者)が別のある人(承認者)に対して、与えられた情報が「真実である」ということ以外の情報を相手に与えずに、その情報が実際に「真実」であることを証明する手法のことです。 例えば、こちらの実験について考えてみてください。仮に、ここに色を判別することができない「色盲」の方がいらっしゃったとしましょう。そして、ここにそれぞれ色の違う2つのボールがあるとします。 あなたの目にはこの2つが違うボールであると区別することができますが、色盲の方には、2つのボールがまったく同じものに見えていると仮定します。さて、ここで問題です。あなたはこの色盲の方に対して、2つのボールが異なるものであることを証明することになりました。どっちがどのボールであるか、またそれぞれのボールがどの色なのかという情報を、相手に一切与えずに、自分が「2つのボールを見分けることができる(=正しい情報を持っている)」ことを、色盲の方に証明するにはどうすればよいでしょうか?   ここで、ゼロ知識証明の出番です。あなたは下記のような実験をします。 まずはじめに、色盲の方がボールを両手にひとつずつ取り、背中に手を回して隠します。次に、色盲の方が片方のボールをとりだし、あなたに見せます。そして、もう一度ボールを背中に隠したあと、また2つのうちひとつのボールをあなたに見せて、最初に見せたボールと同じものであるか、異なるものであるかを尋ねてきます。色盲の方はボールの色の情報については知りませんが、自分が今どっちのボールを相手に見せているかについて、把握しています。この試行を数回繰り返して、1回目にみせたボールと2回目にみせたボールが、すり替わったかどうかについて答え続けることになります。ここで、色盲の方があなたにどちらのボールをみせるかについては、50%の確率で固定されているものとします。 あなたはボールの色をみることで、ボールがすり替わったかどうかについて「YES/NO」で確実に答えることができます。しかし、2つのボールの区別がつけられない状態でこの試行に挑戦すると、正答率は50%に収束していきます。 すなわち、この試行を何度か繰り返して試行に対する正答率をみることで、あなたが正しい知識を持っているかどうか(本当にボールの区別がつくのかどうか)がわかります。例えばこの正答率50%の試行を10連続でクリアできる確率は1/1024なので、ある程度試行回数を重ねることで、本当に知識を持っているのかどうかについて、知識そのものの情報を相手に知らせずに証明することができます。ゼロ知識証明も、これとまったく同じような仕組みを用いて、相手に情報の中身を一切知らせずに、自分が知っている情報が正しいことを相手に証明します。 情報の中身について公開せずに、知っていることを伝える 今回話題になっている、暗号通貨領域におけるゼロ知識証明では、このボールの色ではなく、ランダムな文字列である「ハッシュ」という情報を用います。証明者(ボールの判別をする人)は、承認者(色盲の人)に対して、試行を通して実際のハッシュの値を公開することなく、ハッシュに関する知識の証明をします。ある規則を用いて元のハッシュを別の値に変換し、「ハッシュ変更の規則は?」「ハッシュ変更後の値は?」という2つの問いかけのうちひとつを証明者に対して問いかけます。(2つとも問いかけると、元の値が明らかになってしまうため、問いかけられるのは片方のみです。)元のハッシュの値を知っていれば、確実に正解を出せるため、同じように試行を繰り返して、本当に正しい知識を保有しているのかどうか、判別していきます。 なぜ現在、このゼロ知識証明のことが話題になっているのでしょうか?暗号通貨のどの領域にこの技術を用いることができるのでしょうか? zk-SNARKとは? 流通量が8億4000万ドル以上もの流通量を誇る暗号通貨であるZCash(ジーキャッシュ、ZEC)は、このゼロ知識証明という技術によって支えられています。ZCashは、ゼロ知識証明を用いることで、トランザクションの完全なプライバシー(匿名性)を実現した世界初のパーミッションレス型の暗号通貨です。ZCashは、シールド(アドレスの匿名化)をネットワークのうちの広範囲に適用することで、攻撃者にとって目当てのトランザクションを掘り当てるコストを大幅に増大させています。これによって攻撃をするインセンティブを削ぐことで、ネットワークの安全性を保つ試みをしています。 ZCashは、ZCashが開発した「zk-SNARK」と呼ばれるゼロ知識証明技術によって支えられています。ZCashは、このzk-SNARKsを用いて、トランザクションのアドレスや送金額といったプライバシーにかかわる重要な情報を隠したまま、トランザクションの正当性を証明することができます。 ZCashは、匿名トランザクションの送り主が、トランザクションの正当性についての試行をクリアすることでネットワークの安全性が担保されています。 ・各匿名トランザクションの、アウトプット値とインプット値の総和が算出されます。 ・送り主は、インプット値のプライベートキーを持っていることを証明することで、トランザクションを使用する権利を入手します。 ・インプットノートのプライベート使用キーは、トランザクション全体の署名と暗号で結びつけられます。このようにして、トランザクションがこのプライベートキーを知らない人によって改ざんされる恐れをなくします。 ZCASHは、①一般アドレスから一般アドレスに送るパブリックトランザクション(一般アドレスは情報が匿名かされていないので、トランザクションの内容が完全に公開されている)、②一般アドレスから匿名アドレスへのトランザクション、③匿名アドレスから一般アドレスへのトランザクション、④匿名アドレスから匿名アドレスへのトランザクション(完全非公開のトランザクション)、の4つの使用パターンにわかれます。このように、プライバシーを保つ技術が確立している点で素晴らしい一方で、マネーロンダリングといった用途に使われることも懸念されています。ビットコインと違い、ZCashでは誰がどんな取引をしたのか特定することはできません。   イーサリアムに導入されたzk-SNARK 最近行われたEthereum(イーサリアム)のByzantiumアップグレードによって、イーサリアムにこのzk-SNARKsの機能が追加されたことで話題になりました。イーサリアムのスマートコントラクトに、この承認アルゴリズムの技術基盤が組み込まれました。イーサリアム上でzk-SNARKsを用いることで、トランザクションのアドレスや送金額といったプライバシーに関わる情報を隠したまま、トークンを送金することができるようになりました。 2017年11月に行われたDevCon3という開発者向けのカンファレンスで、The Open […]

JPモルガンが手のひらを返す:ビットコインをデジタル・ゴールドとして評価するコメント

2017年12月6日 BBC編集部 0

  2017年9月13日、JPモルガンのCEOのJamie Dimon氏がBitcoin(ビットコイン)を「詐欺である」と糾弾したことを受け、ビットコイン相場が直後に24%下落するなどして、一時大きな騒ぎとなりました。これを受け、市場操作の疑惑でJPモルガンはスウェーデンの金融当局から勧告を受けたほか、Blockswater社から同疑惑によって訴追されるなど、問題は後を引いています。しかし、2017年12月5日、JPモルガンのアナリストであるNikolaos Panigirtzoglou氏が、ビットコインを「デジタル空間上の金」として評価するなど、従来の姿勢とは一転したコメントを打ち出しました。

IOTAがデータ販売市場の確立へ:CISCO、Volkswagen、Samsungグループとパートナーシップ

2017年11月29日 BBC編集部 0

  2017年11月28日、IoTに特化した暗号通貨(仮想通貨)を提供するIOTA(アイオータ)プロジェクトが、世界有数のグローバル企業であるCisco Systems社、Volkswagen AG社、Samsung Group社を筆頭とする、複数の企業とパートナーシップを締結したことを発表しました。発表に際し、IOTAの共同創業者のひとりであるDavid Sønstebø氏は、今後これらの企業と協力し、安全なデータ市場を構築していく狙いについて述べました。 IOTA上で分散型データ販売市場を確立へ このプロジェクトでは、企業間でデータが売買できる市場を設立することを目指しているとのことです。IOTAによると、現在世界では一日あたり2.5京バイトものデータが生成されており、その量は毎月指数的な増加曲線を描いているとのことです。しかし、これらのデータはセキュリティが整っていないがために、99%が利用されていないという現状があるそうです。 Sønstebø氏は、 「いかなるデータにも金銭的価値がある。例えば、あなたが個人で気象観測器を保有しており、風速、気温、湿度、その他気象データを収集したとすれば、それらのデータは気象調査を行っている団体に販売することができる。私たちが目標としているのは、多様でオープンなデータ市場の確立である。それによって、企業や個人間でデータの流れが発生するようなインセンティブが生まれると考えている。」 と述べました。 BBC編集部では、過去にIOTAの創業メンバーのひとりであるDominik Schiener氏に独占インタビューを行っています。IOTAプロジェクトの目指す先について、詳しく述べています。ブロックチェーンとIOTAプロトコルの違いなどについては、こちらの記事にてご確認ください。 インタビュー記事はこちら 【IOTA創業メンバーDominik Schiener氏 BBC独占インタビュー】前編 国家・大企業とプロジェクトを進めるIOTA データは、IOTAの分散型台帳に記録されたと同時に、ブロックチェーンネットワークに接続している無数のノードに分配され、第3者による改ざんが不可能な状態になります。こうして安全性が確立した状態で、自由にデータを売買できる状態を実現することを目指しているようです。今回、IOTAとパートナーシップを結んだ企業は、今後それぞれの業界内においてデータを供給する役割を果たしていくようです。 ブロックチェーンの抱える課題でもある、スケーラビリティや取引手数料の問題を乗り越えると期待されているIOTAですが、IoTの機器間でのデータのやりとりなどで、今後活躍する機会が増えていくと期待されます。引き続き、IOTAの動向に注目です。

【ライトニングネットワーク上でのアトミックスワップ】解説記事

2017年11月20日 BBC編集部 0

注目が集まるライトニングネットワーク(Lightning Network)とアトミックスワップ(Atomic Swap) Segwitのアクティベート以来、ビットコインブロックチェーンの署名格納方法が変更されたことで、異なるブロックチェーン間で暗号通貨(仮想通貨)レートに応じて同量のトークンを交換する「atomic swap(アトミックスワップ)」に注目が集まっていました。2017年11月16日、Lightning Labsはライトニングネットワークのテストネット上で、bitcoin(ビットコイン)とLitecoin(ライトコイン)のクロスチェーン・アトミックスワップに成功したことを発表し、大きな注目を集めています。今回の記事では、アトミックスワップとライトニングネットワークの概要、ライトニングネットワーク上のスワップについて説明していきます。 アトミックスワップとは? そもそもクロスチェーン・アトミックスワップとはなんでしょうか。簡潔に説明すると、この言葉は「それぞれ異なるブロックチェーン上にある資産を、ブロックチェーンをまたがって交換を行うこと」を指しています。これは、トランザクション(取引)の「原子性」が保障されたときに、初めて可能となるため、「アトミックスワップ(原子的な交換・両替)」と呼ばれています。 原子性とは? ここでいう原子性とは、なんでしょうか。コンピュータ・サイエンスの分野において、トランザクションシステムが持つべき4つの性質を総称した【ACID特性】というものがあります。このACIDのA(Atomic)に該当するのが、原子性になります。 トランザクションの「原子性」がある状態とは、トランザクションのプロトコルが「AさんとBさんの資産の交換が成功に終わる」、あるいは「AさんとBさんの資産の交換がまったく行われない」という2つの状態のみに収束している状態のことです。すなわち、原子性がある状態では、すべての取引は「All or Nothing」に帰結します。この状態がシステム上で保障されていることで、「AさんがBさんにお金を渡したけれども、Bさんからは何も返ってこなかった」という、資産交換時に相手に持ち逃げされる「リスク」を回避することができます。トランザクションの原子性は、お互いに信頼関係がないプレイヤーの間で取引を行う場合、必須の要件となってきます。 あらためて、ライトニングチェーン上のアトミックスワップとは? ここまでアトミックスワップとは何か、について説明して参りました。ここからは、ライトニングチェーンなどのシステムの部分について、理解を深めていきたいと思います。 今回のライトニングネットワーク上でアトミックスワップが成功したというニュースが話題になっているのは、異なるブロックチェーン間で価値を交換できる技術が実証されたという点もありますが、それ以上に、ライトニングネットワークを利用することによって得られる魅力的なメリットが複数あるから注目されているのだと考えられます。 ひとつは、取引スピードが向上すること。二つ目には、プライバシーが向上すること。そして三つ目には、取引手数料が低下することが考えられます。既存の暗号通貨の取引所は、そのどれもが中央集権的に運営されていますが、アトミックスワップが今後ますます発展すれば、ライトニングネットワーク上に管理者不在の新たな取引インフラが完成する可能性があります。 オンチェーン・スワップ   ※引用元:Connecting Blockchains: Instant Cross-Chain Transactions On […]

KPMGがウォールストリート・ブロックチェーンアライアンスに加入

2017年11月17日 BBC編集部 0

2017年11月17日、世界4大会計事務所の一角であるKPMGが、アメリカ・ニューヨーク州の金融街を中心に活動している、ウォールストリート・ブロックチェーンアライアンス(WSBA、Wall Street Blockchain Alliance)に加入する署名を行ったことが、WSBA公式サイトのプレスリリースにて発表されました。 金融業界で進むブロックチェーンの導入 今回加入したことによって、KPMGはWSBAのボードメンバーに追加されました。今回のKPMGの加入によって、WSBA、ひいてはブロックチェーン技術全般の発展がますます進んでいくものと思われます。WSBAの議長であるRon Quaranta氏は「世界有数のサービス会社であるKPMGが、地球上のあらゆるブロックチェーン・イノベーションの最先端の現場に立ち会うことになった。私たちは、KPMGと共に、金融分野を超えて世界中でブロックチェーン革命が起きていくことを前向きに望んでいる。」と述べています。 今回の発表は、ブロックチェーン技術が大企業レベルにまで浸透してきたことを象徴する出来事といえるでしょう。近日ブロックチェーンの導入を発表した企業として、Mastercard、Bank of America、そしてAmerican Expressが挙げられます。特にAmerican Expressに関しては、同じく2017年11月17日に、Ripple社(リップル)のシステムを組み込んだことが発表されたばかりということもあり、いかに金融業界がブロックチェーンの導入でしのぎを削っているかが伝わってきます。 ブロックチェーンの推進 ≠ 暗号通貨の推進 ただし、ここでいう「ブロックチェーン」の意味する文脈については注意を払う必要があります。すなわち、「ブロックチェーン」は歓迎されていても、必ずしも「暗号通貨(仮想通貨)」が歓迎されているわけではない、ということです。しかし、今後も大企業の参入の発表が続いてくれば、「ブロックチェーン」をダークテクノロジー(未知の怪しいテクノロジー)として扱う、従来の懐疑的な目線は徐々になくなっていくことでしょう。 ブロックチェーンスタートアップであるCOTI社のCTOであるAdam Rabie氏は「企業のブロックチェーンへの参入は、アンダーグラウンドなテクノロジーといわれていたブロックチェーンが、マスへ拡大していくにあたって必須ともいえる要素です。ブロックチェーンを導入する有名企業とインフルエンサーの増加によって、ブロックチェーンに対する誤解が解け、メリットが世間に徐々に浸透していくことでしょう。」と述べています。日本国内でも、DMMやGMOといった大手IT企業がブロックチェーン技術を活用したサービスの発表をはじめ、日本でも「ビットコイン」を中心に、徐々に知名度が向上しています。しかしその背後にあるブロックチェーンの概念が世間に広く浸透するまでには、もう少し時間を要しそうです。国際的にみても暗号通貨への投資額が高いとされる日本ですが、ブロックチェーンへの「正しい理解」が進むことを願います。

ビットコインゴールドのウェブサイト、分裂直後にDDoS攻撃を受けダウン

2017年10月25日 BBC編集部 0

  2017年10月24日、ビットコインブロックチェーンのフォークによって、新しい暗号通貨(仮想通貨)、bitcoin gold (ビットコインゴールド、BTG)が正式に誕生しました。しかし、このビットコインゴールドのクラウドウェブサイトが、継続的にDDoS攻撃の被害にあっていることが判明しました。 マイナーの集中がBTG誕生の契機に ビットコインゴールド誕生の裏側には、中国の大手マイニング業者、LightningAsic社CEOのJack Liao氏がいます。Jack氏は、中国にビットコインの大手マイナーが集中している現状を受け、マイナーの分散化を推し進めるために、通常のCPU/GPUとASIC(マイニングに特化したプロセッサ)のマイニングパワーに差がでない、新たなエコシステムを設計することを目標に掲げています。ビットコイン(BTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)に加えて新たにビットコインゴールド(BTG)が誕生することで、集中しているマイナーが分散することを狙っているようです。しかし分裂して間もなく、開発チームはTwitterにて下記のように、問題が発生していることを報告しました。   “Massive DDoS attack on our cloud site. 10M requests per minute. We are working with the providers […]

CarbonXプロジェクトとは?気候変動問題に取り組むカナダのブロックチェーン企業

2017年10月20日 BBC編集部 0

その行動は本当に「環境に優しい」…? 多くの人々が気候変動問題に高い関心を持っている一方で、実際にCO2排出量削減に向けて行動をしている人は少数にとどまります。また「省エネ電球」のような環境に優しい製品を利用することがよしとされている一方で、ヒトはただそれらを「購入した」という事実だけで満足しがちで、その他のCO2排出量の削減行動に結び付くことは稀です。そして、環境に優しいとされる行動を地道に積み重ねている人たちがいる一方で、アメリカのニューヨークからデンバーまで、たった片道分のフライトに乗るだけで乗客1人当たり、車の走行距離12000㎞分に相当するCO2が排出されます。このような現状では、環境に優しい行動を積極的にとろうとするインセンティブが削がれていくばかりです。 CO2排出権をトークンに しかしもし仮に、CO2排出量の少ない、環境に優しい行動をとるたびに換金可能な報酬を得られるようになったら、私たちの行動はどう変わるでしょうか。そんな夢のような計画を進めているのが、カナダにあるブロックチェーン企業であるCarbonX社です。CarbonX社は、国連のREDD+という規定に基づいたCO2の排出権を購入し、代わりに換金可能なCxTトークンを発行しています。 仕組みはこうです。ユーザーが自家用車の代わりにバスに乗ったり、あるいは東南アジアから空輸されてきた食物の代わりに地元の海産物を購入すると、購入が発生したそのタイミングでCxTトークンを受け取ることができます。そして、そのCxTトークンを別の商品の購入にあてがうことができます。例えばホームセンターで「燃費のとても良い芝刈り機」を購入すると、購入時にCxTトークンがもらえ、そのCxTトークンで新たな商品を購入することができます。これらは一見すると複雑なプロセスのように聞こえますが、CarbonX社によると、処理は完全にバックグラウンドで行われるため、ユーザーのシームレスな買い物体験を阻害することはない、とのことです。 ブロックチェーン・レボリューションでも注目されていたカーボン・クレジット ブロックチェーンは当初より、複数産業をまたぐロイヤリティスキーム(ポイントサービスのような、購入時にユーザーが更なる特典を得られるサービスのこと)における活用が期待されていました。「ブロックチェーン・レボリューション ――ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか」の共著者の一人である、Don Tapscott氏は、「カーボン・クレジット(炭素クレジット)はトークン化しやすいため、ブロックチェーンで実装するにはもってこいでしょう。そして、カーボン・クレジットP2Pのオープンネットワークで取引できるようにするためには、今後”価値のインターネット”を実現していくことが不可欠です。」と述べています。ここでTapscott氏の述べている「価値のインターネット」とは、「株式、票、ポイント、知的財産、音楽などのような物理的実体のないものを、銀行や市場など中央集権構造を経由せずに、ブロックチェーン上でトークン化して電子資産としてやりとりできるシステム」のことを指しています。 アプリでCxTトークンを管理する Tapscott氏は、兄弟のBill氏と息子Alex氏、そしてロイヤリティー産業のプロフェッショナルであるJane Ricciardelli氏と協力して、CarbonX社を創業しています。CarbonX社は、小売業者や製造業者を代表してCO2排出権を購入し、各トランザクションから少額の手数料をとることで初期のCO2排出権の購入費用を補填していくようです。CarbonX社は、2018年度の第二期中にリリース予定であるスマートフォンアプリを通して、ユーザーがCxTトークンを買い物で利用できる状態を実現することを目指しているとのことです。例えば、ガソリン代にかかる炭素税の支払いに、CxTトークンを用いる、といったことも可能になるようです。(現在、カナダでは二酸化炭素の排出活動に対して課税を行う、”炭素税”の全土導入が検討されています。) Bill Tapscott氏は、インタビューで小売り業者がCarbonX社のプログラムを利用するメリットについて述べています。CarbonX社のユーザーは、合意の下でアプリ上の「炭素計算機」を利用することができ、効率的なCxTトークンの回収が行えるようになります。ユーザーにメリットを与えると同時に、各ユーザーの日常的に利用している製品や移動手段、各家庭のエネルギー消費活動が可視化されます。CarbonX社のプロジェクトに参加することで、企業はこの匿名ユーザーデータにアクセスすることができるようになる、という仕組みです。実際に、2018年の年初にCarbonX社のプロジェクトに参加するパートナー企業がいくつか発表されるそうです。 市場原理で利益の調整を 従来は、個人がCO2の排出量を緩和する(CO2排出上限を引き上げる)目的で、カーボン・クレジットが利用されることが主でした。しかし、今回の計画は従来とは異なります。Tapscott氏は、個人レベルの排出量制限では個人にとってうまみのある話でなくなる可能性について、懸念していました。平均的なアメリカ人は、年間一人当たり20トンものCO2を排出しているといわれており、これを西部気候イニシアチブの算出する炭素の現行市場価格に照らし合わせると、$400もの価格になるとのことです。1人当たりのCO2排出削減量を20%と仮定すると、年間の収益見込みは$80程度となります。しかし、$80のために習慣となっている行動を変えるユーザーは極めて少ないと考えられます。 この問題に対して、CarbonX社は、トークンの価格を炭素市場の価格から切り離すことを検討しているようです。ひとつの案では、トークンの価値が販売者の設定するトークン付与量に関連づけられるようです。例えば、環境に優しい食器洗い機を購入する場合、報酬として5CxTトークンを付与するか、あるいは3CxTトークンしか付与しないのか、販売者が自由に設定することができます。そしてこれと同時に、トークン価格は取引市場の状況も反映されていくようです。最終的な調整を経て、Tapscott氏らは年間$250をユーザーに還元することを目標としているそうです。 地球規模の問題に取り組むブロックチェーン企業 「気候変動問題は、もはや大きな組織や政府だけに任せておいて解決できる問題ではありません。現在ではまだ、ヒトに何か行動を促すための、効果的な手段は確立されていません。しかしこの誰もが使えるCarbonXのプラットフォームが足がかりとなって、気候変動問題が解決されていくことに期待しています。」とDon Tapscott氏は答えます。今後も地球規模の問題に取り組むブロックチェーン企業、CarbonX社に注目です。

Maybank銀行が銀行口座を持たない19000人の移民労働者へ決済ソリューションを提供

2017年10月18日 BBC編集部 0

  2017年10月4日、Maybank銀行のシンガポール拠点が、巨大な寮で生活を送る移民労働者に対して、ブロックチェーンベースのデジタル決済手段を提供することを発表しました。Maybank銀行は、InfoCorp社の提供するCrossPayというブロックチェーン決済ネットワークを利用するとのことです。 銀行口座がなくても決済ができる世界 CrossPayでは、決済に特化したプライベートブロックチェーンプラットフォームであり、顧客データの保管にブロックチェーンを活用しています。一方で、Maybank銀行は現在、寮の入居者を管理しているTSGroup社と入居者数の最終調整を行っています。ひとつめの拠点となっている寮には既に16,800人の移民労働者が住んでいますが、Mandaiに新たにできる拠点にもう2000人ほど住むことが見込まれているとのことです。InfoCorp社CEOであるRoy Lai氏は、インタビューに対して「ブロックチェーンの真価はオンラインの銀行口座を持たない人々に安全な決済手段を提供できることにある」と述べています。特に現地の銀行口座システムに不慣れな移民労働者に関しては、より便利な決済手段となることでしょう。 移民・難民にとっての希望 移民労働者向けのブロックチェーンソリューションは、今回のシンガポールの例に留まりません。フィンランド政府は、現地のfintech(フィンテック)スタートアップであるMONI社と提携を結び、同国に移住してくる難民向けにブロックチェーンベースのデビットカードを提供する計画を発表しています。国民IDを紛失していても、取引履歴を安全に追跡できるブロックチェーンの強みに注目が集まっています。 Maybank銀行の国際銀行部門トップのAmos Ong氏は、「金融サービスへのアクセスを持たない人々に対して、InfoCorp社と協力してサービスを提供していきたい」と前向きな姿勢を表明しています。ミャンマーのロヒンギャ問題をはじめとして、移民難民の問題は世界中で発生しています。一度国際経済から取り残されてしまうと貧困からの脱出が困難になるといわれていますが、このような領域においてブロックチェーンが救いの手を差し伸べていくことに今後も期待が集まります。

イーサリアムのByzantiumハードフォークが完了

2017年10月17日 BBC編集部 0

2017年10月16日05:22 UTC(協定世界時)、Ethereum(イーサリアム)のアップデートが、公式に完了しました。イーサリアムネットワークにとって、通算で5度目のハードフォークとなります。 Constantinopleハードフォークは2018年中に実行か 2015年に発表されたイーサリアムプロジェクトの開発ロードマップで名付けられていた通り、Frontier、Homesteadバージョンに続く3番目のバージョンであるMetropolisバージョンへのアップデートが完了しました。Metropolisバージョンは、最小限の変更に留まるマイナーアップデートであるByzantiumハードフォークとさらなる変更が加えられるConstantinopleハードフォークの2段階のアップデートを予定しており、今回はByzantiumハードフォークが実行された形となります。なお、Constantinopleハードフォークの実行日時については未だ詳細な発表はなされていませんが、2018年中に行われるものとみられています。今回、Byzantiumハードフォーク実行直前にプログラムにバグが発見されたものの、イーサリアムコミュニティのエンジニアたちにより、無事にバグを回避することができた、とのことです。 イーサリアムMetropolisバージョンの詳細や変更点はこちら http://businessblockchain.org/ethereum_metropolis_update 利便性が増していくスマートコントラクト 近年のICOにERC-20トークンが用いられるようになってから注目度が急上昇していたイーサリアムですが、今後スマートコントラクトの利用場面において、さらに利便性が向上していくものと思われます。引き続きイーサリアムの動向に注目です。

業界内パワーバランスの分散化を進めるブロックチェーンスタートアップ3社

2017年10月16日 BBC編集部 0

  今回はブロックチェーンビジネスを展開している3つのスタートアップ企業について紹介していきます。これらはそれぞれ金融業界や広告業界の既存の構造にブロックチェーンでアプローチしており、今後業界内でパワーバランスの集中構造が崩れ、分散化が進んでいく可能性があります。大まかではありますが、彼らが取り組んでいる業界内の課題とともに、概要を紹介して参ります。 Wish Finance社 中小企業向けローンの契約は、その作業に時間がとてつもなくかかる上に、借り手にとっては極めて制約された選択肢しか提供されていないように感じられるそうです。 Eugene Green(ユージーン・グリーン)氏によって設立されたWish Finance(ウィッシュ・ファイナンス)社は、中小企業のローンオプションを、ブロックチェーン上で提供することに重点を置いています。中小企業は、予測モデルや資産ではなく、会社の実際のキャッシュフローに基づく金利でWish Finance社を通じて融資を受けることができるようになります。 Wish Finance社は、Point of Sales(POS)というローン返済用に開発された分散型ソリューションをベースにビジネスを展開しています。融資を受けた中小企業は、各取引を行う際に、ブロックチェーン上のPOSを経由します。 ここでPOSを経由する際に、あらかじめ設定された数%の金額がWish Finance社に返還されることにより、中小企業はローンを返済することができます。ブロックチェーン上で取引が透明化されることにより、貸し手と借り手双方にとって信頼性を築きやすくなりました。   BitClave社 ブロックチェーンと暗号通貨(仮想通貨)に対して最も期待を寄せられている役割のひとつとして挙げられるのが、「市場における中央集権構造を破壊し、分散化を推し進めること」です。BitClave社はまさにその役割を果たそうとしている一例として挙げられるでしょう。現在個人が利用する検索エンジンとしては、GoogleやFacebookが有名です。しかし、ユーザーは検索をすると同時に多くの情報を引き換えにして、広告ネットワークのなかに飛び込まされることになります。BitClave社は、個人が自身のデータの主導権をGoogleやFacebookに奪われることなく、自分の意志に基づいて管理できる世界を実現しようとしています。 BitClaveについては下記記事にまとまっているので、ぜひご覧ください。 広告配信の分散化を進めるBitClaveプロジェクト http://businessblockchain.org/bitclave_project_basetechnology Ripio Credit Network社 現在世界中の起業家たちは、fintechにブロックチェーンが活用できる可能性に魅了されています。私たちが今利用できる金融サービスは、すべてがあらゆる制約の支配下にあり、法律に固められています。しかし、Ripio […]