ルフトハンザ航空がスイスのブロックチェーン企業と提携、ICOへ

2017年10月31日 BBC編集部 0

  2017年10月10日、ドイツの拠点を置く大手航空会社ルフトハンザ航空が、スイスの旅行プラットフォームアプリを提供するブロックチェーン企業と提携することを発表しました。イーサリアムの技術を旅行業界に導入し、分散化を推し進めていくようです。 分散型航空券市場を提供するWinding Tree社 ルフトハンザグループは、スイスのブロックチェーンスタートアップであるWinding Tree社とパートナーシップを結ぶことを発表しました。Winding Tree社は、B2Bの分散型パブリックブロックチェーン上で、航空券の販売市場サービスを提供していることで知られています。今回の発表によると、今後ルフトハンザ航空のAPIを、Winding Tree社のパブリック・イーサリアムブロックチェーンと統合していくそうです。 Winding Tree社の航空券市場を用いることで、ユーザーはExpediaやBooking.comのような、OTA(オンライントラベルエージェンシー)と呼ばれる中間業者を経由せずに、より安く効率的に航空券を購入することができるようになります。一方、航空会社側(ルフトハンザ航空)にとっても、中間業者を迂回して直接顧客に航空券が販売できるだけでなく、各取引にかかる手数料も大幅に低下するため、メリットがある仕組みとなっています。 ルフトハンザの目線の先 ルフトハンザ航空は、「この先、ホテルや航空会社、その他旅行産業に携わっているプレイヤーは、Winding Tree社のプラットフォームの上でサービスを展開することになるでしょう。そして、ユーザーに対してコンテンツ(旅行商品)を提供することに特化したプレイヤーは、今後、ブロックチェーン上のB2Bの分散型取引市場にて流通しているなかから、ユーザーの希望に沿ったコンテンツを探し出すことになるでしょう。」と述べており、今後OTAが旅行商品を調達する先として、分散型市場が台頭してくる可能性について示唆しています。今後は実際の導入テスト開始に向けて、ルフトハンザ航空の提示する要件に合わせて、Winding Tree社がサービスを開発していくとのことです。 ブロックチェーンによって塗り替えられる旅行業界 Winding Tree社は、2017年11月1日から11月8日まで、同社の発行するLIF(リフ)トークンのICOを行うことを発表しており、ICO期間中に調達した資金はプラットフォームの開発費用として利用されるそうです。ルフトハンザ航空が投資している額については公表されていませんが、他の航空会社からも高い注目を集めているようです。 今回のルフトハンザ航空の発表は、ドイツ発の世界最大手旅行会社、TUI(Touristik Union International)を後追いした形になります。TUI社は2017年8月に、「Bed Swap」という独自のプライベートブロックチェーン計画を発表しています。TUI社の「Bed Swap」構想では、ブロックチェーン上でTUI社の抱えているホテルの空き部屋在庫情報を、スマートコントラクトを用いて管理する社内運用システムの実現を目指しているようです。 2000年代に入り、オンライン化の波が押し寄せていた旅行業界でしたが、ここにブロックチェーンの波が加わることによって、更に業界構造に変化が起こりそうです。引き続き、ドイツの旅行業界を支える巨人と、日本の旅行業界の動向にも注目です。

業界内パワーバランスの分散化を進めるブロックチェーンスタートアップ3社

2017年10月16日 BBC編集部 0

  今回はブロックチェーンビジネスを展開している3つのスタートアップ企業について紹介していきます。これらはそれぞれ金融業界や広告業界の既存の構造にブロックチェーンでアプローチしており、今後業界内でパワーバランスの集中構造が崩れ、分散化が進んでいく可能性があります。大まかではありますが、彼らが取り組んでいる業界内の課題とともに、概要を紹介して参ります。 Wish Finance社 中小企業向けローンの契約は、その作業に時間がとてつもなくかかる上に、借り手にとっては極めて制約された選択肢しか提供されていないように感じられるそうです。 Eugene Green(ユージーン・グリーン)氏によって設立されたWish Finance(ウィッシュ・ファイナンス)社は、中小企業のローンオプションを、ブロックチェーン上で提供することに重点を置いています。中小企業は、予測モデルや資産ではなく、会社の実際のキャッシュフローに基づく金利でWish Finance社を通じて融資を受けることができるようになります。 Wish Finance社は、Point of Sales(POS)というローン返済用に開発された分散型ソリューションをベースにビジネスを展開しています。融資を受けた中小企業は、各取引を行う際に、ブロックチェーン上のPOSを経由します。 ここでPOSを経由する際に、あらかじめ設定された数%の金額がWish Finance社に返還されることにより、中小企業はローンを返済することができます。ブロックチェーン上で取引が透明化されることにより、貸し手と借り手双方にとって信頼性を築きやすくなりました。   BitClave社 ブロックチェーンと暗号通貨(仮想通貨)に対して最も期待を寄せられている役割のひとつとして挙げられるのが、「市場における中央集権構造を破壊し、分散化を推し進めること」です。BitClave社はまさにその役割を果たそうとしている一例として挙げられるでしょう。現在個人が利用する検索エンジンとしては、GoogleやFacebookが有名です。しかし、ユーザーは検索をすると同時に多くの情報を引き換えにして、広告ネットワークのなかに飛び込まされることになります。BitClave社は、個人が自身のデータの主導権をGoogleやFacebookに奪われることなく、自分の意志に基づいて管理できる世界を実現しようとしています。 BitClaveについては下記記事にまとまっているので、ぜひご覧ください。 広告配信の分散化を進めるBitClaveプロジェクト http://businessblockchain.org/bitclave_project_basetechnology Ripio Credit Network社 現在世界中の起業家たちは、fintechにブロックチェーンが活用できる可能性に魅了されています。私たちが今利用できる金融サービスは、すべてがあらゆる制約の支配下にあり、法律に固められています。しかし、Ripio […]

スイス金融規制当局がブロックチェーンに対して前向きな姿勢を表明

2017年10月2日 BBC編集部 0

スイスの金融規制当局であるFINMA(Financial Market Supervisory Authority)の2017年9月29日付プレスリリースにて、FINMAは現在スイス国内で行われているICOに対する捜査を強化していることを発表しました。 いくつかのICOプロジェクトがスイス現行法に抵触か スイスの金融当局は、国内で現在行われているICOの一部は、既にスイス国内で適用されている金融関連の現行法に抵触している可能性が高い、との見解を示しています。抵触している可能性のある法として、アンチマネーロンダリング法およびテロ対策法、証券取引規定、集団投資スキーム(ファンド)規制に関する法律、銀行法が挙げられています。今回の発表では、法に触れている可能性のあるプロジェクトの具体的な名前や数については述べられていません。しかし今後捜査が進むにつれ、法律違反に該当する企業に対して何らかの措置を取る可能性について強調しています。 文書によると、「FINMAは現在、いくつかの案件について詳細な捜査を進めています。FINMAは、金融市場法の抜け道をつくような行為や現行法に抵触するICO案件を発見した場合、法的措置を執行します。」とのことです。 ブロックチェーン技術に可能性を見出しているスイス当局 このように、違法なICO案件に対して厳しく取り締まりを進めていく姿勢をみせたFINMAでしたが、同文書内には、「FINMAはブロックチェーンの持つイノベーティブなポテンシャルを認識しており、今後もスイスの金融業界におけるブロックチェーン・ソリューションの開発と展開の支援を進めていきます。」との記述もみられました。このことから、スイス当局はあくまで違法な企業活動やICOプロジェクトに注視しているのであり、ブロックチェーンテクノロジーそれ自体については高く評価していることが伺えます。 現在、世界各国でICOの規制に関する状況は異なっています。中国政府や韓国政府は、ICOを禁止する方針を打ち出すなど厳しい姿勢を示している一方で、今回のスイス金融当局であるFINMAの発表によって、スイス政府のイノベーションに対する柔軟な姿勢が浮き彫りになったかたちになります。今後スイスから立ち上がるICOプロジェクトにも注目です。  

欧州中央銀行総裁がエストニア国家によるICOを認めない旨を発言

2017年9月11日 BBC編集部 0

  2017年8月22日に発表されたエストニア国家によるICO計画に対して、欧州中央銀行の総裁であるMario Draghi氏が「ユーロ圏においては、国家が主体となって発行する通貨は認められない。ユーロ圏で使用できる通貨はユーロのみだ。」と発言しました。 ICOに対して様々な見解が取り巻いている現在 estcoinの構想は、エストニアの電子政府計画の一環として行われている、e-residencyプログラムの代表責任者であるKaspar Korjus氏によって提唱されたものであり、今後の具体的な進行については計画段階であり、協議をもって進められることが示されていました。 e-residencyによるICO計画の記事はこちら http://businessblockchain.org/estonia_estcoin_ico_project   estcoin計画は、暗号通貨(仮想通貨)という存在がニッチからマスの市場に進出していくにあたり、ひとつの指標とも呼べるべき存在でした。国家関連機関が主体で発行となってされる暗号通貨には高いポテンシャルが期待されますが、今回の欧州中央銀行総裁のコメントにより、estcoin計画は否認された形となります。2017年9月8日に中国がICOが「違法な資金調達」として禁止を表明するなど、国家によるICOの認識には差がみられます。今後も暗号通貨に対して、国々が規制を進めていくのか、あるいは推奨していくのか、注目が集まりそうです。

中国政府は不正なICO事業者に対して死刑を宣告できるのか?

2017年9月4日 BBC編集部 0

ブロックチェーン(Blockchain)における最新のトレンドとして、ICO(Initial Coin Offering)と呼ばれる資金調達の手法が注目されています。既存のIPO(新規公開株)とより明確に区別するために、一部ではToken Creation Eventsとも呼ばれています。 スタートアップ企業は、ビジネスアイディアとともにWebサイトに暗号通貨のアドレスを掲示し、それに賛同する投資家から資金を募ります。Coindeskによると、2017年上半期だけでICOはすでに累計18億ドルを集めていると報告されています。しかい、実態がないビジネスも新規ICOプロジェクトの中で散見されており、これらのプロジェクトの存在は業界のリーダーや証券弁護士に大きな打撃を与えています。米国の証券取引委員会(Securities and Exchange Commission)も、投資家に対して不正な資金調達が疑われるICOプロジェクトに支援を行わないよう警告を発しています。 中国ネットユーザーの間で広がる疑念 このように各国政府による規制などの最新動向が注目されるICOですが、中国国内において不正が疑われるICOプロジェクトが現行法に抵触する可能性について、インターネット上で議論が行われていたようです。深圳に本拠を置くBitkanというニュースブログが、2017年6月29日、「中国政府がICOを通じて不法に資金を調達している人に対して、死刑を宣告できるのではないか?」という疑問を提起するポストを投稿しました。その結果、中国のあ暗号通貨(仮想通貨)ユーザーの間で広くシェアされ、死刑は可能性としてありえるのではないか、という考えが広がっていたようです。 しかし、ユーザーの懸念とは対照的に、ICOによる不正資金調達が死刑判決に至る可能性について、明確な根拠となる材料は存在していないそうです。 中国では、昨年だけで3600億ドル以上が資金調達によって集められていました。このように盛んに資金調達が行われている一方で、中国政府は不法資金調達について、厳しい姿勢で対処しています。2013年には、不法資金調達として2件の事件が報告されています。しかし、このどちらも死刑宣告には至っていません。中国において、違法な資金調達で死刑が言い渡された唯一の事件は、2011年に3人のグループが15,000人から55億人民元(当時8億6,700万ドル相当)を調達した事件のみです。 不正な資金調達を取り締まる現行法 中国刑法は1979年に初めて導入され、1997年以来現在の形で存在しています。そのうちの第160条(証券詐欺)と第179条(違法資金調達)には最大5年の懲役判決があり、第192条(金融詐欺)に関しては「特に巨額」の場合には終身刑が施行されるとされています。 第199条は、第192条を改正したもので、「関与する金額が特に大きく、特に重大な損失が国家又は国民の利益になる場合」には、死刑の可能性があるとされていました。しかし、第199条は、2015年の刑法改革の一環として廃止されています。 現在、中国で進められている裁判のうち、死刑が宣告される可能性がある事件が46件あるそうです。それらの多くは非暴力犯罪のためのものであり、経済犯罪によるものはほとんどありません。大部分は偽造医学の製作や販売、危険な食品、公職への横領に関連した事件に当てはまるそうです。 これらのことから、中国でICOによる資金調達を行う事業主は、悪意を持った不正を行わずに、資金調達を行う上で最低限必要なセキュリティを確保していれば、法に抵触する恐れは少ないといえるでしょう。引き続き各国の暗号通貨の規制状況に注目です。

BBCミートアップ第7回イベントレポート

2017年8月25日 BBC編集部 0

2017年8月23日(水)にブロックチェーンビジネス研究会(BBC)ミートアップ第7回が開催されました。今回のテーマは「ブロックチェーン×レギュレーション ー RegTech分野への応用と最新の規制状況について」でした。本記事ではこのイベントの様子をご紹介いたします。 今回のイベントではブロックチェーン技術のRegTech分野への応用とICOにおける最新の規制状況について、3名の専門家よりご講演をいただきました。 初めに、アルタアップス株式会社代表の森川夢佑斗氏より、ブロックチェーンに関する時事ニュースとして、主にビットコインのスケーラビリティ問題の動向や、エストニアによる国家のICOについてお話を頂きました。さらにレギュレーション分野へのブロックチェーンの活用可能性についてのお話がありました。Reg Techは大幅なコスト削減、特にコンプライアンスコストの削減につながることから金融機関を中心に注目が集まっているとのことでした。今後は金融機関以外にも導入が検討されることが考えられ、ますます注目が集まりそうです。 次にQRC株式会社の王氏から中国におけるブロックチェーンとRegTechに関する最新情報を共有していただきました。中国では暗号通貨のような新しい投資手法については積極的に受け入れるカルチャーがあり、ICOも2017年の5月から7月にかけて非常に早いスピードで成長しているとのことでした。ただ、現段階では中国政府はICOをネガティブに捉えていて規制を強めている傾向だそうで、今後も動向を注視する必要がありそうです。 最後にAZX Professionals Groupの池田宣大弁護士からICOにおける法規制についてお話しして頂きました。ICOは現状では資金決済法や金融商品取引法が適用されるとのことでした。現在は法律の抜け穴があっても、時機に法令の改正や修正が行われ得ることを前提に行動することが求められるというお話しがありました。参加者の方から多くの質問が出るなど、法規制への関心の高さが伺えました。 講演終了後には、前回までのミートアップと同じく、軽食を用意して懇親会の場を設けました。登壇者の方にもご参加頂き、質疑応答や情報交換の場として非常に有意義な時間をお過ごしいただけたようです。 9月にも勉強会の開催を予定しております。皆様のご参加をお待ちしております。

中国のブロックチェーン協会がICOを規制する議定書を発表

2017年8月19日 BBC編集部 0

2017年7月末、中国のブロックチェーン取引を行う6つの企業が、中国におけるICOによる財政的リスク管理を目的とした、合同議定書を発表しました。 中国貨幣ネットワークの調査によると、「Guizhou Blockchain Industry Technology Innovation Alliance」「Zhongguancun Blockchain Industry Alliance」「Blockchain Finance Association」「Guiyang Blockchain Innovation Research Institute」の4社と、その他2社の企業により、合同議定書「Guiyang Blockchain ICO Consensus」が提案されました。 現在の中国には、ICOへ参入するためのプラットフォームが43個、開かれているそうです。 ICO口座の総合計の60%以上は、広東、上海そして北京のエリア内に分布しているそうです。   SEC(米国証券取引委員会)によるICOへの取り締まり 中国ICO議定書の発表は、SEC(米国証券取引委員会)が7月末に発表したレポートにて指摘されていたものと同様に、DAOトークン(ドイツの投資ファンドThe DAOに投資する際に使われる、独自コイン)は規制されるべきだと主張した点で、注目を集めています。 […]

米国証券取引委員会発表のレポート、事業者によるICOへの規制を示唆

2017年8月17日 BBC編集部 0

2017年7月25日、米国証券取引委員会(以下SCE)はICOに関するレポートを公表しました。今回の発表で、SCEは仮想通貨の取り扱いについて、発行主体がどのような形であっても米国内における有価証券の販売及び販売は米国証券取引法が適用されるとして、トークン売買にもこの法が適用されるとの見解を示しました。ICOについても連邦証券取引法が適用され、株式を発行する行為と同様の扱いを受けなければいけない、と警告しています。 相次ぐICO詐欺 この背景にはICOを謳った詐欺が出回ってきたことにあります。SCEはICOを登録制にすることでICOに参加する投資家への注意を促す旨を、レポートの後半部分に記載しています。ICOをしている事業者の登録届出書やForm S-1などをSCEのウェブサイトで確認することができるようになり、こちらを確認することで悪質な事業者かどうか、ある程度まで判別することが可能になりました。SCEは、ICOで得た資金がどのような用途で利用されるのか、ICOで得られるトークンにはどのような効果があるのか、トークンを返還する際の返金フローや転売可否などについて、理解した上で投資をするように呼びかけています。   ICOのブラックボックス SCEはICO詐欺から投資家を救済する際に4つの課題が存在すると主張しており、大きくまとめると以下のようになります。 1.暗号通貨の性質上、従来の金融機関のように資金の流れを追跡し、個人を追跡することが困難である。 2.ICOや暗号通貨の取引及びユーザーは国をまたがって世界中に点在しているため、各国の行政機関や捜査機関の協力を得られない限り、問題のある取引に携わっている人物に関する情報を収集することが難しい場合がある。 3.暗号通貨を利用するユーザーデータを収集・管理する中央当局が存在せず、SCEは捜査する際に他の情報源を当たらざるを得ない。 4.個人・事業者が所有する暗号通貨を凍結することは、現状できない。 投資を募る側も投資する側も、国法証券取引所と同様に、原則的に登録が必要となるということをSCEは主張しています。ICOは非常に容易に行うことができる資金調達方法として期待されていましたが、今回の発表によってICOによる資金調達の難易度があがるため、現在まで続いているICOバブルが崩壊する可能性があります。

「ICO」による資金調達の課題、暗号通貨「DASH」が解決の糸口となるか?

2017年6月22日 BBC編集部 0

ICO(Initial Coin Offering)は、トークン(暗号通貨)の発行を通じた新たな資金調達手段です。分散型アプリケーション(DApps)内で使用できるトークンをローンチ前に売り出すものもあれば、配当権や議決権を付与した株式に近い性質を持つトークンを発行していることもあります。今回の記事ではアルトコインの一つ「DASH(ダッシュ)」がICOにおける問題点をどのように解決するのか、という点について解説していきます。 ICOとはなにか?についてはこちらの記事で詳しく解説しています。 →「新たな資金調達手段『ICO』とは?」   浮き彫りになったICOの問題点とは? 最近ではICOにおいて10分足らずで数億円規模の資金調達に成功する事例が現れるなど、プロジェクトの初期の資金調達方法として活用が進んでいます。しかし、その一方で、ICOの問題点やリスクについても言及されるようになってきました。ICOの問題点は、「そのプロジェクトの信頼性を測ることが難しい」という点です。 従来の株式市場への上場によるIPOでは、上場審査や監査情報の公開など、その企業の信頼性について十分に情報を得られるようになっています。しかしながらトークンを発行し販売するというICOは誰もが出来てしまうため、ICOを行う主体が果たしてサービスを完成させることができるのかなど、必ずしも正しい情報が手に入るとは限らないのです。 さらに、ICOが一度成功すれば開発者は資金を調達できるため、開発者にとって公開したスケジュールに従ってサービスの開発を行うインセンティブは薄れます。通常の株式であれば議決権を行使し経営陣の交代などを求めることができますが、ICOの場合はトークンを購入した後は待つしかありません。   DASHは、ICOの問題点をどうやって解決するのか? DASHについてはこちらの記事で詳しく解説しています。 →「DASH(ダッシュ)とは?-即時決済可能な匿名性暗号通貨の今後の展望」 DASHではこのような問題を解決することができます。DASHの支払いメカニズムに従えば、ICOを通じて調達した資金は一度にまとめてではなく、一か月ごとに支払われます。また調達資金の支払いは自動ではなくDASHのマスターノードの投票により決定されますので、開発者は常にサービスのローンチに向け開発を進めるインセンティブを持っているのです。 このようなマーケットインセンティブは、開発を集中的かつ効率的に行うように開発者に働きかけるとともに、分散型アプリケーション開発が非効率的になってしまう問題を解決する糸口となるでしょう。

中小企業にとってのブロックチェーン革命:生か死かの瀬戸際

2017年3月6日 赤羽 雄二 0

  前回、前々回と大企業およびベンチャーにとってのブロックチェーン革命のインパクトについてお話しました。今回は、中小企業にブロックチェーンがどのような影響を与えるのかについてお話していきます。   中小企業にとって激動の時代が来た ブロックチェーンはあらゆる企業に影響を与えます。多くの旧態依然とした大企業の変化を加速します。変化できない大企業は遅かれ早かれ淘汰されていきます。大企業の中央集権的な強みが急激になくなっていくからです。 また、インターネットの導入期、発展期を大きく超える急成長ベンチャーが続出します。完備された高速インターネットの上にブロックチェーンが載る形になるため、高速化やモバイル化の進展とともに手探りで進んでいた頃とは比較できないほど素早く事業が拡大していくからです。 しかもICO(Initial Coin Offering)という万人に開かれた新しい資金調達の方法が確立しましたので、数億円、数十億円もの資金が場合によっては一瞬で集まるようになりました。VCや投資銀行の役割も劇的に変わっていきます。大企業との関係で生きていた中小企業にとっては、取引先の大企業もろとも淘汰される可能性があります。 逆に、ブロックチェーンをうまく取り入れて生き残りをはかる大企業を顧客にしたり、それらのサプライチェーンにうまく入り込むことができれば、大企業が構築するブロックチェーンベースのサプライチェーンにおいて、キープレイヤーとして新たな命を得る可能性も高くなります。 コンピュータ導入期、PC導入期、インターネット導入期・発展期などには、大きな地殻変動がありました。その数倍の変化が今まさに始まりつつあります。しかも中小企業にとっては追い風とは言えない変化であり、舵取りが非常にむずかしい激動の時代が来たと言わざるをえません。 生き残りをかけて動くなら今すぐ まだブロックチェーンがどうなるかもわからず、銀行が実証実験をしているだけの状況で、もう少し様子を見たほうがいいでしょうか。 私はそういった待ちの姿勢が命取りになると思います。 この1年の変化は劇的です。1年前はビットコインは使えるのかという議論が多かったのに、今年の1月のダボス会議ではブロックチェーンの議論で持ちきりでした。ダボス会議というのは、大成功したエスタブリッシュメント、勝ち組の集まりで、今の有利な状況を一番変えたくない人たちの集まりです。 今、ブロックチェーンがあらゆる産業、機能に広まろうとしています。世界中で実証実験が始まっています。各国の中央銀行など一番保守的なところがむしろ先陣を切っています。 今ならまだ勉強会に参加したり、実証実験に何とか参加したりして、先端グループに何とか食い込むことができます。先端といっても始まったばかりだからです。日に日にブロックチェーン関連の情報が多く発信されるようになっています。新聞にもどんどん取り上げられます。 船に飛び乗るのなら今です。   社長自ら頭を切り替えるなら 中小企業がブロックチェーン時代を生き抜くには、社長自ら頭を切り替える必要があります。これは相当なチャレンジです。特に、今までメールを部下に任せていたような方はこれを機会に本気でITに取り組む必要があります。 ITに取り組むといっても別にむずかしいことはありません。PCでメールやエクセル、パワーポイントができ、スマホを活用し、Amazonなどでも平気で買い物ができればいいだけです。これをやる気がどうしても出ないなら、やはりちょっと微妙でしょう。 「PCでメールできるかどうかなど、どうでもいいのではないか」と思われる経営者は、大企業ならまだしも、ブロックチェーン時代を生き抜こうとする中小企業の経営者としてはかなりのハンディキャップを負います。 社内のブロックチェーン推進担当者が社長の説得にものすごく苦労します。苦労だけではなく、貴重な時間を無駄にします。そういう状況では、投資判断も的確にできませんし、先端的なベンチャー社長との企業連携交渉ができません。 その中小企業がブロックチェーン関連のコミュニティを作ってそこでリーダーシップを発揮しようとしても、社長がブロックチェーンを理解したまともな挨拶すらできません。 […]