スイスのツーク市で分散型ID導入へ

2017年7月27日 BBC編集部 0

スイス連邦北部のツーク市では、イーサリアム(Ethereum)を使用したデジタルID認証サービスを2017年9月に開始すると発表しました。ブロックチェーンベースで分散的に本人確認データを保持する分散型IDの取り組みは各所で進められており、昨今注目が高まっているトピックの一つでしょう。 分散型IDについてはエストニアでの取り組みがあります。こちらの記事で詳しく解説していますのであわせてご覧ください。 →「ブロックチェーンは国家を超越するか – Bitnationとエストニアから見る未来国家」   個人情報管理はどう変わる? ツーク市の取り組みによって、今後市民の個人情報はデジタル化され、ブロックチェーン上に分散的に記録されるようになります。ツーク市民はモバイルアプリを通じ、どこにいても個人情報にアクセス・管理することができます。個人情報は市によって証明された後にブロックチェーン上で暗号化され、高いセキュリティによって保護されます。 ツーク市の取り組みでは、以前よりイーサリアムを活用した分散型ID管理システムの構築を行っていたuPortのプラットフォームが活用されます。また開発面ではスイスのスタートアップTI&Mとルツェルン経済大学との連携が図られるとのことです。   ブロックチェーンに積極的なスイス・ツーク市 ツーク市にはイーサリアムベースのプラットフォーム構築を行うConsenSysが拠点を置いているほか、2016年6月にはツーク市の公共料金のビットコイン決済が試験的に導入されるなど、官民ともにブロックチェーンの導入が非常に盛んになっています。ツーク市における分散型ID導入においてuPortプラットフォームが活用されるのも、uPortの開発元がConsensysであるからこそ実現したものと考えられます。 このようにスイス、特にツーク市はブロックチェーンテクノロジー企業の大きな拠点になっ  ており、政府の施策によってますますブロックチェーン技術を活用した取り組みを進めるだけでなく、ブロックチェーン開発の一大拠点としての成長が期待されます。

国連によるブロックチェーン活用は難民問題解決の切り札となりうるか

2017年7月6日 BBC編集部 0

2017年5月30日、国連世界食糧計画(WFP)はヨルダン国内の約1万人のシリア難民に対し、イーサリアム(Ethereum)ベースのアプリケーションを用いて食糧を提供する実証実験を行ったと発表しました。シリア難民は、ヨルダンの難民キャンプ内の市場から、WFPが提供した食糧を受け取ります。具体的には目の虹彩をスキャンする生体認証によって難民であることを証明し、援助を受ける資格があると確認された人は食糧を受け取ることができます。 ブロックチェーンは、格差是正ソリューションの未来か このプロジェクトは、世界中の難民の食糧難を救うモデルケースとなると期待されています。 約500万人がシリアを逃れ、現在も多くの人がヨルダン周辺の貧困地域に滞在しています。国連の推計によれば、2016年にはシリア難民は約63万人、パレスチナ難民は約200万人にまで増加するとのことです。 ブロックチェーンは従来よりも大きな規模で支援を提供することができます。WFPは8月までに対象となる難民の数を10万人にまで拡大し、2018年までにはヨルダンに滞在する全ての難民への援助を実施、2030年までには食糧援助によって世界中のあらゆる食糧難を解決することを目指しています。 分散型IDプロジェクト「ID2020」とは WFPのイノベーション・チェンジマネジメント担当ディレクター、ロバート・オップ氏によれば、ブロックチェーンの活用によって食糧提供に関するコスト削減、食糧提供を受けた人々のデータの保護、財務リスクの管理、緊急時の迅速な対応などが実現されうるとのことです。このようにブロックチェーンを活用することで、人道支援のあり方自体をより効率的に変えていく可能性があります。 また米大手コンサル企業のアクセンチュアは、「ID2020」と呼ばれる国連プロジェクトにブロックチェーンを活用しようとしています。これは、世界に約11億人存在しているとされる公的な身分証明(ID)を持たない人々に対し、身分証明を付与することを目的とした国連支援プロジェクトです。アクセンチュアはこの一貫として、ブロックチェーンを活用した分散型デジタルIDネットワークを構築する計画を発表しています。アクセンチュアによればこの分散型デジタルIDを活用し、2020年までに75カ国以上、700万人以上の難民を支援することが期待されています。先日もマイクロソフトがuPortなどと提携し分散型ID実用化へ向けた取り組みを進めるとのニュースがありました。これらの取り組みが実現されれば、今まで自らの身分を法的に証明しにくかった難民でも、医療や教育、金融サービスなどの行政サービスを容易に受けることができるようになるでしょう。

Humaniq(ヒューマニック)とは?ー生体IDにより金融システムの不平等性の解決を目指す

2017年6月19日 BBC編集部 0

分散型台帳とも呼ばれるブロックチェーン技術は暗号通貨(仮想通貨)だけでなく様々な分野に応用が可能で、多くのプロジェクトが登場しています。こうしたプロジェクトの多くは従来の中央集権的な構造による問題点を解決することを目指しています。今回はその中からHumaniq(ヒューマニック)の特徴、そして今後の展望について分かりやすく解説していきます。   Humaniq(ヒューマニック)とは? ”Unbanked”と呼ばれる銀行口座を持たない、または持つことのできない人々は、世界に20億人以上存在すると言われています。預金するに十分な収入がない、本人証明(ID)を持っていない、銀行インフラが未整備であるなど、その理由は様々です。 Humaniqはブロックチェーンを活用し、発展途上国の人々も含めたすべての人に公平に金融インフラを提供するアプリケーションです。   Humaniqの特徴 自分の暗号通貨をスマートフォンで管理し送金できるという点では、既存のウォレットアプリなどと似たもののように思えるかもしれません。Humaniqはウォレットアプリとどのような違いがあるのでしょうか。 ①生体認証によるセキュリティの高い「BioID」を生成 Humaniqの最大の特徴の一つは高度な生体認証を基礎とした「プルーフ・オブ・フェイス(Proof of Face、PoF)」という仕組みです。ユーザーが初めてHumaniqを使うときには、生体認証登録を通じて「BioID」を生成します。本人確認書類やメールアドレスではなく生体認証を採用したのは、Humaniqが発展途上国の人々をメインターゲットとしているためです。さらに生体認証の採用によって、1人につき1つのBioIDだけを割り当てることになり、アカウントの盗難や複製などの不正行為リスクが大幅に削減できます。 ユーザーはBioIDを取得して初めて、ウォレットの生成やトークンのやり取りが可能になります。サインイン時はジェスチャー認証によってウォレットにアクセスし、送金などを行います。既存の多くのウォレットではパスワードや公開鍵・秘密鍵、パスフレーズなどがセキュリティとして用いられていますが、それらが他人に知られてしまえば本人でなくともウォレットにアクセスして送金を実行することができてしまうため、厳重に管理する必要がありました。しかし、利用者にとってそれらのデータの管理は、少々煩雑であったり、情報の紛失などによって所有者であってもウォレットにアクセスできないということが少なからず起きていました。そこで、生体認証を用いれば容易に本人確認を行うことができるため、既存の多くのウォレットに比べてより高いセキュリティを保ち、かつ利便性を高めることができるでしょう。 ②HMQトークン もう一つの特徴は、Humaniq内で用いられる「HMQトークン」という独自イーサリアムトークンです。人々はHMQトークンを自国通貨に交換して日常的な決済に用いるほか、将来的にはHMQトークンを用いた店頭決済の導入も検討しています。 HMQトークンは、アカウントの開設、HMQトークンの送金、友人の招待など、ユーザーのアクティビティによって新たに生成され、ユーザーに付与されます。Humaniqの利用を促進するインセンティブとしてHMQトークンを用いつつ、付与されたHMQトークンを決済手段として提供することで、循環的にHumaniq経済を活性化させていきます。   Humaniqの普及と今後の可能性 高度な生体認証を用いてのアカウント付与と、HMQトークンを基軸とした経済圏の構築という2つのポイントが、Humaniqの大きな特徴です。Humaniqではこのようなウォレット・送金サービスに加え、保険や、個人間融資、データセキュリティサービスなどのサードパーティサービスの参入を見据え、それらに必要なインフラの提供も検討しています。 Humaniqの将来的な展望としては、HMQトークンを通じ暗号通貨を浸透させることで送金が容易になり、発展途上国における経済循環を活発化することができるとしています。また送金手段の浸透によってリモートワークなど職業の選択肢が広がることで国民所得が向上し、ひいては国全体の信用力の向上へ繋がることも期待されています。 まずはアフリカ、中南米、アジアの発展途上国に多数存在する、銀行口座を持たない”Unbanked”層をメインターゲットとした上で、将来的には世界各国への展開を検討しています。2017年4月6日にはICOが実施され、約500万ドルにも上る資金調達に成功しました。今後は2017年5月までにプロトタイプを完成させ、2018年を目途に世界中へと展開していくとのことです。   web site: https://humaniq.co/