ブロックチェーンを支える技術「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」とは

ブロックチェーン上で行われた取引は「マイニング」と呼ばれる作業を通じて全てが正しく記録され、最終的にはネットワークに接続されている無数のコンピュータに同期されます。ビットコインほか多くの暗号通貨では、このマイニング作業に「プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work、PoW)」と呼ばれるシステムが利用されています。この仕組みにより、ブロックチェーンがトラストレスでも正しく動作する理由にも繋がっています。詳しく見ていきましょう。

 

マイニング作業-取引情報の入ったブロックの新規生成

ブロックチェーン上で行われた取引の記録作業を「マイニング(Mining)」と呼び、その記録作業を行う人々のことを「マイナー(Miner)」と呼びます。また、ブロックチェーンに接続されているコンピューターを「ノード」と呼びます。マイナー達はノードとして接続されている自身のコンピュータを使って、いくつもの取引をまとめた「ブロック」を約10分間おきに生成しています。

このとき各ブロックには「nonce(ナンス)」と呼ばれるハッシュ値を含める必要があります。このハッシュ値は一つ前のブロックのハッシュ値とは別物であり、プログラムにより指定される「ターゲット」と呼ばれる値以下である必要があります。マイナー達は膨大な量の計算を行い、総当りでこのハッシュ値を探し出すマイニング競争を行います。そして条件に該当するハッシュ値を一番最初に探し出すことに成功したマイナーがブロックを生成し、マイニング報酬を受け取ることができます。ビットコインではマイニング報酬が約4年おきに「半減期」を迎えるよう設定されており、2016年夏には25BTCから12.5BTCに半減しました。最終的には2140年頃にマイニング報酬がゼロとなり、発行上限量として設定された2100万BTCに到達する予定です。

 

ブロックの承認と合意形成

ブロックが生成されると、他のノード達の多数決によって承認作業が行われます。ブロックチェーンネットワークの過半数のノードによって承認されればそのブロックは正当なものとみなされ、さらに次のブロックが生成されます。仮に一番乗りになったマイナーが間違った取引を含んだブロックを生成した場合には、そのブロックは他のノードから承認されず、次に条件に該当するハッシュ値を見つけたマイナーがブロックを生成し、それを他のノードが承認するという過程を経ます。このようにして生成されたブロックをノードが多数決で承認しながら、常に正しいブロックが同期されるような合意形成(コンセンサス)を行うことで台帳への記録作業が行われているのです

 

膨大な計算を行うことで、報酬を得ることができる「プルーフ・オブ・ワーク」

この一連の合意形成の仕組み(コンセンサスアルゴリズム、Concensus Algorithm)を「プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work、PoW)」といいます。このようにマイナーは自分のコンピュータの計算能力を台帳への記録作業に提供する代わりに、記録に成功すると報酬としてビットコインを受け取ることができます。

では、仮に不正に送金を行おうとする人がいた場合はどうなるでしょうか。過去の取引記録を改ざんしようとする場合、ブロックチェーンのデータ構造の特徴上、過去のブロックだけでなく最新のブロックまでを全て改ざんした上で、全ノードに同期させる必要があります。そのため、過去のブロックになればなるほど指数関数的に改ざんは困難となります。6承認されるとほぼ改ざんの恐れはないと判断しているのは、こういった理由からです。

またマイニングの際に不正なブロックを生成しようとする場合には、世界中に無数に存在するマイナーのコンピュータの計算能力を上回る必要があるため、むしろマイニング作業に参加して報酬を得たほうが経済合理性に適う結果となるため、ハッキングすることへのインセンティブも低減します。

このように人々が合理的な選択の結果として正しい取引記録を行う仕組みを確立したことで、管理者の存在がなくとも取引の記録作業が完全に自律的に維持されているのです

 

「51%攻撃」リスクとは?

しかしながらこれは逆に言えば世界中のマイナーのコンピュータの計算能力の51%を上回るマイナーが現れると、ブロックがそのマイナーの恣意によって生成されてしまう、「51%攻撃(51%アタック)」という問題が発生します。ビットコインで考えると、現状のマイニングパワーと同じだけの計算能力を特定の一つの集団が保持するのは難しく実現不可能であるとされていますが、中国がマシンパワーの9割近くを占めている現在の状況を危惧する声もあります。

また、プルーフ・オブ・ワークは、仕組み上コンピューターに膨大な計算をさせるため、莫大な電力を消費するというデメリットがあります。そのため電力の安い中国など発展途上国において、マイニング作業に特化した巨大なコンピューターサーバーを多数設置した「マイニングプール」が多く設立されています。このような電力の消費が無駄なのではないかとして、プルーフ・オブ・ワーク以外のコンセンサスアルゴリズムも研究がされていますが、ほとんどの暗号通貨がプルーフ・オブ・ワークを採用しているのが現状です。

 

最後に

ブロックチェーンでは、このプルーフ・オブ・ワークという一連の手続きを踏むことで、常に正しい取引記録が更新されていっています。このように個々の人間に対する信頼に頼ることのない合理的な仕組みによって取引記録が正しく維持されるため、ブロックチェーンは「トラストレス」であると言えます。ユーザーは取引記録の信頼性をそのたびに確認する必要がなく、ブロックチェーン上の取引記録を常に正しいものとして信頼できるのです。これは、取引相手の信頼性を判断するための十分な情報を持たない状況において、信頼を担保する第三者を介す中央集権型システムに頼らざるを得なかった既存の枠組みを大きく変革する可能性を持っています

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BBC編集部
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