国連によるブロックチェーン活用は難民問題解決の切り札となりうるか

2017年5月30日、国連世界食糧計画(WFP)はヨルダン国内の約1万人のシリア難民に対し、イーサリアム(Ethereum)ベースのアプリケーションを用いて食糧を提供する実証実験を行ったと発表しました。シリア難民は、ヨルダンの難民キャンプ内の市場から、WFPが提供した食糧を受け取ります。具体的には目の虹彩をスキャンする生体認証によって難民であることを証明し、援助を受ける資格があると確認された人は食糧を受け取ることができます。

ブロックチェーンは、格差是正ソリューションの未来か

このプロジェクトは、世界中の難民の食糧難を救うモデルケースとなると期待されています。 約500万人がシリアを逃れ、現在も多くの人がヨルダン周辺の貧困地域に滞在しています。国連の推計によれば、2016年にはシリア難民は約63万人、パレスチナ難民は約200万人にまで増加するとのことです。

ブロックチェーンは従来よりも大きな規模で支援を提供することができます。WFPは8月までに対象となる難民の数を10万人にまで拡大し、2018年までにはヨルダンに滞在する全ての難民への援助を実施、2030年までには食糧援助によって世界中のあらゆる食糧難を解決することを目指しています。

分散型IDプロジェクト「ID2020」とは

WFPのイノベーション・チェンジマネジメント担当ディレクター、ロバート・オップ氏によれば、ブロックチェーンの活用によって食糧提供に関するコスト削減、食糧提供を受けた人々のデータの保護、財務リスクの管理、緊急時の迅速な対応などが実現されうるとのことです。このようにブロックチェーンを活用することで、人道支援のあり方自体をより効率的に変えていく可能性があります。

また米大手コンサル企業のアクセンチュアは、「ID2020」と呼ばれる国連プロジェクトにブロックチェーンを活用しようとしています。これは、世界に約11億人存在しているとされる公的な身分証明(ID)を持たない人々に対し、身分証明を付与することを目的とした国連支援プロジェクトです。アクセンチュアはこの一貫として、ブロックチェーンを活用した分散型デジタルIDネットワークを構築する計画を発表しています。アクセンチュアによればこの分散型デジタルIDを活用し、2020年までに75カ国以上、700万人以上の難民を支援することが期待されています。先日もマイクロソフトがuPortなどと提携し分散型ID実用化へ向けた取り組みを進めるとのニュースがありました。これらの取り組みが実現されれば、今まで自らの身分を法的に証明しにくかった難民でも、医療や教育、金融サービスなどの行政サービスを容易に受けることができるようになるでしょう。

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BBC編集部
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